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窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 (感想後編)【東京国立近代美術館】

今日も写真多めで、前回に引き続き東京国立近代美術館の「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」についてです。前編は1~5章についてでしたが、今日は6~14章について写真を使ってご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 

【公式サイト】
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/windows/

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】竹橋駅

【会期】2019年11月1日(金)~2020年2月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は撮影不可の場所もいくつかありました。撮影できた場所については写真を使って参ります。

<6 窓の外、窓の内 奈良原一高 『王国』>
6章は奈良原一高の初期の代表作『王国』に関するコーナーです。1958年の個展で発表されその後に写真集にまとめられたこの作品は、北海道の男子トラピスト修道院を撮った「沈黙の園」と、和歌山の女子刑務所を撮った「壁の中」の2つのパートから成っています。ここにはその中から窓が写った12点が展示されていました。

奈良原一高 「『王国』より 沈黙の園」
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一見すると西洋風に見えますが、受付口の看板が日本語で書かれていて函館付近のトラピスト修道院だと分かります。禁欲的な世界の内側と言った感じで、中世的な雰囲気がありました。

奈良原一高 「『王国』より 壁の中」
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こちらは監獄の中から外を観る女性の囚人たち。右の女性は話しかけているようにも見えるかな。こちらも閉ざされた世界との境界を感じさせました。


<7.世界の窓 西京人《第3章:ようこそ西京に-西京入国管理局》>
続いては打って変わって現代アートのコーナーで、日本の小沢剛・中国の陳シャオシュン・韓国のギムホンソックという3人から成る「西京人」のコーナーです。西京人はアジアの何処かにある西京国という架空の都市国家を題材にしているそうで、ここでは入国管理局を模した作品がありました。

小沢剛・陳シャオシュン・ギムホンソック 「西京人」
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こちらが入国管理局。パスポートの代わりに「とびきりの笑顔か、お腹の底からの大笑い」または「お好きな歌を1小節」または「チャーミングな踊り」を係員に見せないと入国できないそうです。実際には無理強いされることはないですが、笑顔を見せる人が多かったかなw 

こちらは手書きのイラスト
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ここではチャーミングな踊りを見せている様子が描かれています。こんな平和な審査だったら楽しいでしょうね。

結構凝っていて、様々な小物も展示されていました。
DSC09800.jpg
この近くにあった映像では子どもたちが入国する様子を流していました。


<8.窓からのぞく人II ユゼフ・ロバコフスキ《わたしの窓から》>
続いてはポーランドを代表するアーティストであるユゼフ・ロバコフスキの代表作の1つ「わたしの窓から」に関するコーナーです。ここは映像1点のみで、ユゼフ・ロバコフスキが住む高層アパートの9階から撮った広場の様子が映されていました。

ユゼフ・ロバコフスキ 「《わたしの窓から》」
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こちらはそのワンシーン。警官が車を呼び止めていた時の様子。ユゼフ・ロバコフスキはこうした窓から見える光景を1978年から22年にも渡って撮り続けたそうです。ナレーションで説明が入るのですが、それは真偽が定かではないのだとか。また、この作品では直接的には表現されていませんが、撮っていた期間には政治体制が変わった時期も含まれるので激動の時代の中の日常の風景に思えました。


<9.窓からのぞく人III タデウシュ・カントル《教室-閉ざされた作品》>
続いてもポーランドのアーティストのコーナーで、演劇家でもあるタデウシュ・カントルの「教室-閉ざされた作品」という作品が1点だけ展示されていました。

タデウシュ・カントル 「教室-閉ざされた作品」
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部屋の中に部屋がありました。黒い壁で不吉な雰囲気。元は「死の教室」という演劇で、ポンピドー・センターでの「ポーランド人の存在」展の際に立体作品としたそうです。

中を覗くとこんな感じ。マネキンがいてめっちゃ怖いw
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死者となった年老いた登場人物が自分の子供時代を表すマネキンを腕に抱えて学校に教室に集うという設定の舞台なので、こうしたマネキンが置かれているようです。延々と戦争で死んだ人を点呼したりするそうなので、見た目が怖いのも納得。ポーランドの苦難の歴史を表しているようでした。

壁には戦争の頃と思われる新聞なども貼られていました。


<10.窓はスクリーン>
続いてはテレビやビデオ、PCなどをテーマにしたコーナーです。

JODI 「My%Desktop OSX 10.4.7」
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こちらはオランダ出身の2人組のアーティストによる作品で、マックのOS上でフォルダやファイルを開いたり閉じたりしている映像です。リズミカルで音楽的な感じにも見えるけど、バグってるかウィルス感染したような感じですw プログラムで作ったのではなく手動で作っているとのことで、驚きでした。しかし窓の展示ならそこはwindowsを使って欲しいw

この近くには他にも作品などがありました。意味は分かりづらいですw


<11.窓の運動学>
続いては実際に窓を使った作品などのコーナーです。

ローマン・シグネール 「よろい戸」
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会場で何やらバタンバタンという音が聞こえたのですが、それはこちらの作品でした。部屋の真ん中に鎧戸があり、扇風機のON・OFFで窓が開閉します。

開くとこんな感じ。
DSC09832.jpg
背面の扇風機がONになり、両脇がOFFになっています。それが反転すると閉まる仕組みです。延々と繰り返されて無機質な印象を受けました。デュシャンのようにディメイドが別の意味合いを持ったと考えれば良いのかな?

ローマン・シグネール 「ロケットのあるよろい戸」
DSC09838.jpg
こちらは映像作品で、やはりよろい戸を使っています。ここではよろい戸が開くと中からロケット(の噴煙)が出てくるという仕掛けになっていました。もはや窓というよりは砲門みたいなw これも窓のようで窓でないような作品でした。

近くには池永慶一の神戸での大規模な建築作品のプロジェクトの様子なども展示していました。

ズビグニエフ・リプチンスキ 「タンゴ」
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こちらは36人もの人間が1つの部屋へ出入りする映像作品です。ループしていて何度も繰り返すのですが、上手いこと人々が重ならないように編集されています。これはデジタル合成技術の無かった時代に緻密に計算して役者を別々に撮影し、フィルムを手作業で切り貼りして作ったのだとか。絶妙にタイミングがズレて現れる人々を観ているとアルゴリズム体操を観ているような気分になるw ちょっと可笑しい所もあって面白い作品でした。


<12.窓の光>
続いては山中信夫 氏とホンマタカシ氏の作品が並ぶコーナーです。山中氏はピンホールカメラを使った作品、ホンマタカシ氏は山中氏の発想を転換して富士山を撮った作品が並んでいました。

山中信夫 「ピンホール・ルーム1」
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こちらがピンホールカメラで撮った作品。何枚も張り合わせて大画面にしています。自分の部屋の壁い穴を開けて部屋自体をピンホールカメラにしてこうした写真を撮ったそうです。確かにピンホールは窓の一種ではあるかもしれないけど、発想のスケールが大きいw 他にも室内の様子も撮れている写真もあり、ピンホールカメラの特性を生かした不思議な画面となっていました。


<13.窓は希望 ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》>
こちらは撮影不可となっていました。部屋に8枚のガラス板が等間隔に立ててあるのですが、それぞれが65%の透過率となっていて35%は鏡のように反射するという特殊なガラスとなっています。そのため、見る角度によっては向こう側が見えたり見えなかったりして不思議な仕組みとなっています。ゲルハルト・リヒターは画家として有名ですが、絵画だけでなくこうした立体作品もウィットがあって驚きました。

会場内の作品は以上で、もう1つの章は美術館の入口にありました。


<14.窓の家 藤本壮介>
最後の章は会場の外にある建築作品です。

藤本壮介 「House N」
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こちらは3つの箱が入れ子状の構造になった建物です。これの模型は何度か観たことがありますが、まさか本当に建てるとはw 中に入る事もできるので、構造がよく分かるようになっていました。こうなると何処までを窓というのか悩みますw
 参考記事:日本の家 1945年以降の建築と暮らし感想前編(東京国立近代美術館)


ということで、後半もバラエティ豊かな内容となっていました。ちょっと方向性がバラバラで分かりづらいところもありますが、窓の持つ様々な魅力を改めて感じることができたと思います。この展示は撮影もできますので、気になる方はスマフォやカメラを持ってお出かけすることをオススメします。
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