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近世日本と外国文化 【東京国立博物館 本館】

今日も写真多めです。前回ご紹介した東京国立博物館の展示を観た後、同じ本館の2階で「特集 近世日本と外国文化」を観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 特集 近世日本と外国文化

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1992

【会場】東京国立博物館 本館
【最寄】上野駅

【会期】2019年11月19日(火) ~ 12月25日(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はヨーロッパ人が日本にやってきた16世紀から19世紀の幕末頃までの諸外国との交流を示す資料が並ぶ内容となっていました。江戸時代には鎖国と呼ばれる政策があったことからそれほど交流していないイメージはありますが、実際にはオランダや中国を通じて多くの品が行き来していたようで、この展示でも多彩な品が並んでいました。撮影可能となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品を写真と共にご紹介していこうと思います。


<1.キリスト教の美術>
まずはキリスト教がもたらした美術に関するコーナーです。単に西洋からの輸入品だけでなく、西洋絵画にならって日本で描いた品や西洋への輸出品なども並んでいました。

「桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕 聖ステファノの殉教」
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こちらはカトリック諸国の注文で作られた蒔絵の聖龕。一方、中央の部分は羽根モザイクというメキシコの先住民の伝統技法で作られていて、聖ステファノが石打で殉教する場面が描かれています。鹿や楓は内容に合わない気はしますが、各地の文化を合わせた豪華な聖龕となっているのが面白い作品でした。

筆者不詳 「泰西騎士像」
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こちらは安土桃山時代~江戸時代頃にイエズス会が長崎に設立した画学校で描かれた作品。掛け軸でなかったら完全に西洋で描かれたものと思ってしまいそうです。恐らく何かの模写ではないかと思いますが、陰影や遠近感もあり見事な腕前です。油彩みたいな濃い色彩なのも凄い。

「人物像」
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こちらは銅版油彩の人物像。禁教令後に没収された品のようだけど聖人像なのかな? 熱や湿気に強いので多くの品が海を渡ったとのことで、こちらも全体的に絵がハッキリ分かるくらい状態が良いように思えました。

「銅牌 エッケ・ホモ(この人を見よ)」
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こちらは手のひらサイズの小さな銅牌。ミサや個人の礼拝用の道具として輸入されましたが、後に禁教令で没収されて踏み絵に使われるようになったのだとか。踏んだせいか浮いてる部分ほどツルツルになっているように観えました。日本におけるキリスト教の歴史の証人ですね。

「花鳥蒔絵螺鈿櫃」
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こちらはヨーロッパに輸出された主力商品の1つ。形は西洋的だけどモチーフは日本的で、大きな鳥や螺鈿で表された草花が見事です。

「浮彫キリスト像」
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こちらは長崎奉行所旧蔵品のインド・ポルトガル様式のキリスト像。エッケ・ホモ(この人を見よ)と彫られててキリスト受難のシーンのようです。ポルトガルが東方貿易の拠点としたインドの特産品らしく、鮑貝を使って作られていて見た目は西洋的に思えます。長崎奉行所が持っていたということは信者から没収したんでしょうね…

山名貫義 模写 「ローマ法王パウロ5世像模本」
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こちらは国宝の仙台市博物館所蔵の作品を明治時代に模写したもの。原本は1615年頃に慶長遣欧使節団の支倉常長がサン・ピエトロ宮殿でパウロ5世に会った際に与えられたと考えられているようです。穏やかな顔つきで微笑んでいるように観えました。


<2.日蘭交流の幕開け>
続いては日本とオランダの関係についてのコーナーです。オランダがスペインからの独立戦争のさなかにあった1600年、オランダ船のデ・リーフデ号が豊後国に漂着したそうで、この船にはウィリアム・アダムス(三浦按針)やヤン・ヨーステンが乗っていたようです。2人は後に徳川家康と関係を築き、幕府の外交顧問となっています。ここにはそうした日蘭交流に関する品が並んでいました。

筆者不詳 ヨーロッパ 「西洋鍼路図 印度洋ノ部」
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こちらはデ・リーフデ号で伝わったとされる(定かではない)ヨーロッパ製の航海図で江戸城内に保管されていたようです。インドがやけに小さかったりアジアは微妙だけどこれも中々よく出来ています。

日本の辺りのアップ
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北海道もないし九州も小さいし朝鮮半島もむちゃくちゃですw まあ本国から遠く離れた所でこれだけ出来てれば凄いことですが。

「アジア航海図」
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こちらは江戸時代の17世紀に日本で制作された地図。ポルトガルの距離単位と共に日本の単位も描かれているそうで、ヨーロッパ製の地図を手本にしているようです。大西洋やオーストラリアはないけど概ね正しいように思えます。

こちらは地図のアップ
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一応日本製なので日本列島や琉球の名前も入っています。北海道や九州はやけに小さいようなw


<3.世界のなかの日本>
最後は鎖国と呼ばれた時代の中でも海外と交易していたことに関するコーナーです。ここにはオランダから将軍に献上された世界地図や日本の様子を伝えた本などが並んでいました。

エンゲルベルト・ケンペル 「日本誌(英語版)」
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こちらは1690年から2年間ほど長崎に滞在したオランダ商館付の医師が描いた資料。西欧における日本研究の基本文献として高い評価を受けたそうで、それも納得のクオリティです。実際に日本の城の中をよく表していますね。

「天正遣欧使節記」
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こちらは1585年にローマに派遣された天正遣欧少年使節団の滞在時の様子を伝えるパンフレット。伊東マンショらがローマ法王グレゴリウス13世と謁見する様子やメディチ家に歓待される様子が書かれているようです。日本だけでなく彼の地でも大きな出来事だったのが伺えました。

ヨアン・ブラウ 「地球図」
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こちらはオランダから幕府へ献上されたと思われる壁掛けの世界地図。南北アメリカもあり かなり正確な地図に思えます。1648年にオランダ独立を記念して作られたとのことで、当時の最先端の情報を盛り込んでいたのかもしれません。こんな良い地図をくれるとはオランダは凄い国ですねw

朽木昌綱(著) 松園主人(編) 「西洋銭譜」
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こちらは福知山藩主によるヨーロッパ諸国のコインの図録。表裏の図像だけでなく重さや大きさまで描かれていて、こんなに沢山のコインを江戸時代に知ることが出来たのかと驚きます。西洋への関心が深くオランダ商館長とも交流していたとのことですが、藩主とは思えないほどの研究ぶりも興味深い品でした。


ということで、思った以上にお互いに交流していた様子が伺えました。美術展というよりは歴史資料展と言った感じでしたが、こうした背景を知っておくと美術鑑賞の参考にもなると思います。
ちなみに、来年もトーハクの最初の展示は「博物館に初もうで」です。干支の子年に因んだ品や、長谷川等伯の「松林図屏風」をはじめとする新春名品紹介などもあるようです。私も例年通り足を運んでみようと思っています
 参考リンク:博物館に初もうで(2020年)
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