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人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界- 【東京国立博物館 東洋館】

昨年末ご紹介した東京国立博物館の展示を観た際、東洋館で「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」も観てきました。

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【展覧名】
 特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1979

【会場】東京国立博物館 東洋館
【最寄】上野駅

【会期】2019年11月6日(水) ~ 2020年2月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
高御座の展示が混んでいたこともあり、こちらも結構多くの人で賑わっていました。

さて、この展示は人・神・自然という3つのテーマに沿ってカタール国の王族であるシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が収集された世界各国の古代文化の品を紹介する内容となっています。これらには当時の宗教観・世界観が投影されていて、歴史を知る上でも非常に興味深い品々と言えると思います。この展示は撮影不可でしたので、簡単なメモを元に各章ごとに気に入った作品を振り返ってみようと思います。


<第1章:人>
まずは人を表した作品のコーナーです。神々との繋がりや権力を誇示するものが多く主に男性像となっていますが、女性も崇拝対象となることもあったようです。

9 「女性像頭部」 エジプト 新王国時代、アマルナ文化 前1351~前1334年
こちらはエジプトの女性を表した像で、後頭部が異様なほど長くて目鼻立ちがくっきりした頭像です。髪の毛も無く、一見すると宇宙人のような頭の形が何とも不思議。骨を意図的に変形させていたのだと思いますが、ミステリアスな雰囲気となっていました。

2 「王像頭部」 エジプト 新王国時代、第18王朝 前1473~前1292年頃 ★こちらで観られます
こちらはいくつかのパーツで作った王像の一部です。顔が真っ赤で頭に宝冠を嵌め込む部分や顎の下に髭をつける箇所があるようです。かつては目と眉にも他の石を象嵌していたようで、往年の精巧なつくりの面影といった感じに思えました。

17 「ペンダント」 メキシコ オルメカ文化 前10~前7世紀(銘文:前1~後2世紀)
こちらはメキシコの翡翠製のペンダントで、目が釣り上がって口をへの字にして口ひげをつけた男性の顔となっています。怒った顔のようですが、緩くてマスコットみたいな愛嬌があります。何に使ったか説明が無かったけど魔除けかな??

30 「容器」 メソポタミア シュメール初期王朝または中期アッシリア/カッシート王朝バビロニア 前2500年頃または前1450~前1200年頃
こちらはラピスラズリで作られたジョッキくらいの大きさの把手付きの容器です。今はくすんだ色となっていますが、青っぽいところがラピスラズリであることを伺わせます。金やガラス質の装飾もついていてかつての華麗さを想像させました。

36 「飾り板」 中央アジア バクトリア・マルギアナ複合 前2千年紀中頃 ★こちらで観られます
こちらは大きな目玉を思わせる瑪瑙が2つあり、金の板で人の形を表しているように見える飾り板です。これが顔なのか分からないくらい抽象的ですが、直感的には宇宙人の顔みたい…と思わせるものがありました。 …最近、「古代の宇宙人」の番組を観すぎて何でも宇宙人に見えてくるw

近くにはギリシャ時代のアンフォラなどもありました。本当に多様な文明の品が並んでいます。

45 「仮面」 グアテマラ マヤ文明 3~6世紀
こちらは翡翠製の仮面で、白目と黒目がくっきりしていて 頭と耳に飾りらしきものをつけ、少し口を開けて話しかけるような顔に見えます。すっきりした顔立ちで何処か親しみを感じると共に生き生きとした表情となっていました。


<第2章:神>
続いては神を表した作品のコーナーです。

52 「イシス像」 ギリシア 古代ローマ 1~2世紀
こちらは首と左手の無い大理石の立像です。スラリとした立ち姿で、右足を一歩踏み出して動きを感じさせるポーズとなっています。また、胸元や腿辺りは薄布が被っているような繊細な表現となっていて高い技術を感じました。滑らかで優美な逸品です。

49 「女性像[スターゲイザー]」 アナトリア半島西部 前期青銅器時代 前3300~前2500年頃 ★こちらで観られます
こちらは大理石製の像で、かなりデフォルメして楕円を組み合わせたような不思議な造形をしています。一見してキクラデス文明の品かと思いましたが、キクラデスに影響を与えたアナトリアの品のようです。現代アートのごとく斬新で洗練されたフォルムが美しく神秘的な雰囲気がありました。実際には人なのか神なのか分からないのだとか

63 「容器」 アラビア半島南部 古代南アラビア文化 2~3世紀
こちらは巨人族とオリンポスの神々の戦いを表した筒状の容器です(ボトルクーラーみたいな形) 側面には浮き彫りで神々が戦う様子がダイナミックに表されていて、棍棒を振り上げたり女神(アテナ?)が槍を振りかざしていたりします。こちらも彫刻として素晴らしい出来で、圧倒する迫力がありました。

56 「浮彫」 アラビア半島南部 古代南アラビア文化 100年頃 ★こちらで観られます
こちらは右手を挙げて左手で金の麦の穂の束を持っている浮き彫りの像です。見開いたギョロ目が凄いインパクトw 解説によると、ローマ帝国で流行した髪型をしているそうで、胸飾りと腕輪も金で細かく装飾されています。 全体的に丸くふくよかで、量感あるデフォルメぶりとなっていて、豊穣を連想させました。


<第3章:自然>
最後は自然との関わりのコーナーで、主に動物像が並んでいました。

77 「ヒヒ」 エジプト 末期王朝時代 前6~前5世紀頃
こちらは真っ黒な黒曜石で出来たヒヒを表した品です。ヒヒと言っても怖くなく、ちょこんと座った姿をしているのが何とも可愛いw 解説によるとこれは古代エジプトの知恵の神で 文字・科学・魔術を司るトト神を表しているのだとか。
近くにはエジプトの猫の像もありました。猫はバステト信仰によるもので、中に猫のミイラが入っていたそうです。

88 「リュトン」 西アジア アルサケス朝パルティア 前1~後1世紀
こちらはラッパのような大きな口のあるリュトンです。先の方には鹿を表した形となっていて、リアルな造形です。逆さまにしないと安定しておけないので、置く前に飲み干さないといけないようです。そんな不便な形にする意味が分かりませんが、儀式用ですかね??
近くには馬の形のリュトンもありました。

109 「鼻飾り」 ペルー モチェ文化 2~4世紀 ★こちらで観られます
こちらはコウモリの顔の形の金のペンダントです。牙を剥いて目を見開く威嚇するような顔つきとなっていて怖いw これは鼻飾りとのことですがデカすぎてこんなのを鼻に付けたら重くて邪魔になりそうに思えましたw

110 「ペンダント」 ペルー モチェ文化 2~4世紀
こちらは口を大きく開けて目を見開く猿の頭部像です。驚いているのか怒っているのか分かりませんが、ちょっと緩いところもあって怖いと言うよりは滑稽な感じがしました。

116 「クマ」 中国 前漢 前206~後25年 ★こちらで観られます
こちらは頭に手を当てている金色の熊の像です。敷物の四隅を固定する錘とのことですが、参ったなあ…と頭を掻いているオッサンのように見えますw キモかわいい雰囲気のマスコット的な作品でした。


ということで、小規模ながらも多彩で良質な品々を観ることができました。造形そのものに各文明のエトスが詰まっているので、いずれの品も力強い訴求力があったように思います。「博物館に初もうで」などでトーハクに足を運ばれる方は、こちらの展示も合わせてチェックしてみてください。
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