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Digital×北斎【序章】~先進テクノロジーで見えた170年目の真実~ 【NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、同じNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で「Digital×北斎【序章】~先進テクノロジーで見えた170年目の真実~」という展示を観てきました。

DSC00873_20200108001210b80.jpg

【展覧名】
 Digital×北斎【序章】~先進テクノロジーで見えた170年目の真実~

【公式サイト】
 https://www.ntt-east.co.jp/pr/hokusai.html

【会場】NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
【最寄】初台駅

【会期】2019年11月1日(金)~2020年3月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
結構多くの人で賑わっていましたが、自分のペースで観ることができました。

さて、こちらはICCの入口付近に特設されたスペースで行われている展示で、葛飾北斎の富嶽三十六景を始めとした絵画の超精密なデジタルコピーが並ぶという内容となっています。その技術は何と20億画素とのことで、絵柄だけでなく和紙の繊維1本1本まで再現するという超高解像度となっています。この展示では撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。


<Zone 1. 冨嶽を観る>
まずは葛飾北斎の冨嶽三十六景をコピーしたコーナーです。山梨県立博物館所蔵の認定マスターレプリカ47作品が所狭しと並んでいました。

原画:葛飾北斎 「尾州不二見原」
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こちらは桶の中に富士が見えるという機知に富んだ構図が面白い作品。これがコピーと見抜ける人は滅多にいないのでは??というくらいの高精細ぶりです。ベロ藍の色合いまでしっかり再現。

原画:葛飾北斎 「遠江山中」
DSC00888_202001080012146ed.jpg
こちらも木材と富士が平行するような構図が面白い作品。オリジナルの版画は痛みやすいので公開には大きな制限があるようですが、コピーなら気軽に観ることが出来ますね。

原画:葛飾北斎 「凱風快晴」
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冨嶽三十六景の中でも特に有名な赤富士。こちらも見事にオリジナルの色合いが再現されています。

アップにするとこんな感じ
DSC00895.jpg
一見すると和紙の質感に思えますが、実際には普通の紙に印刷しているようです。って、プリンタも凄くね?w

原画:葛飾北斎 「深川万年橋下」
DSC00898_202001080012188a9.jpg
こちらも私の好きな構図の作品。ここまで来るとコピーというのを忘れてきますw

アップにするとこんな感じ
DSC00899_202001080012202b7.jpg
完全に和紙っぽい感じになっています。細かい人々の仕草もつぶさに観ることができました。

原画:葛飾北斎 「東海道金谷ノ不二」
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こちらは拡大して観られるように虫眼鏡がついていました。

拡大すると冨嶽三十六景の真価が分かります。
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波の表現や傘の目、人々の表情などかなり細かいところまで描き込まれていて、版画でこれだけの表現ができていたことに改めて驚かされます。

こちらは映像の神奈川沖浪裏を使った体験コーナー
DSC00938_20200108001433cdf.jpg
デジタルコピーは単純なコピーだけでなく、拡大縮小を自在に行えるので、ここではジェスチャーで拡大して観るという体験ができました。応用が効くというのは研究にも使えそうですね。


<Zone 2. 海を越えた北斎>
続いては西洋絵画のコーナー。ここはオルセー美術館所蔵の作品のコピーが展示されていました。

原画:ドミニク・アングル 「泉」
DSC00940.jpg
これは観た瞬間にコピーっぽさを感じました。アングルは絵肌が滑らかなのでコピー向きな気がしますが、油彩は版画に比べて発色に違和感が大きいように思えます。

原画:エドゥアール・マネ 「笛を吹く少年」
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こちらも写真で観るとそっくりですが、実際に観ると実物よりも平坦に観えたかな。

原画:ポール・セザンヌ 「サント・ヴィクトワール山」
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セザンヌはオリジナルとの違いがわかりやすいかも。遠目では似ていてもマチエールが違います。

この辺は北斎の作品と共に西洋絵画が並んでいました。
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ゴッホやセザンヌは日本からの影響が強いので、その対比かもしれませんね。

原画:フィンセント・ファン・ゴッホ 「コンドヴィルの藁ぶき屋根の家」
DSC00966.jpg
コピーが難しそうに思えたのはゴッホでした。そもそも厚塗りを平面にするというのは難しいのでは?? 絵具の反射なども無いので遠目でもフェイクと分かります。

アップするとこんな感じ
DSC00963_202001080014393c4.jpg
凄く細かい所まで再現されているだけに惜しいw 3Dスキャンをして3Dプリンタで再現して欲しいところです。

他にはモネなどもありました。


<Zone 3. 新たな対話>
最後は双方向的なインスタレーションのように映像が並んでいました。

原画:フィンセント・ファン・ゴッホ 「アルルのゴッホの寝室」
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発色が明る過ぎて写真でもフェイクと分かるかなw 媒体も違うのでこの辺は難しそう。

原画:葛飾北斎 「ローヌ川の星降る夜」
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こちらは星が瞬いているような感じになっていました。絵を元に映像化することが出来るのは面白い活用ですね。

原画:オーギュスト・ルノワール 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
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発色が良すぎて別物感があるけど、デジタルフォトフレームとしてインテリアに使ってみたいかもw


ということで、冨嶽三十六景に関しては驚異的なコピーでしたが、油彩に関しては素材感に課題があるように思えました。こうした技術が貴重なオリジナルの代わりに研究や公開で活躍する機会が増えるかもしれません。中々興味深い技術でした。

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