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ものいう仕口-白山麓で集めた民家のかけら- 【LIXILギャラリー】

今日は写真多めです。この前の土曜日に京橋のLIXILギャラリーで「ものいう仕口-白山麓で集めた民家のかけら-」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

DSC02948.jpg

【展覧名】
 ものいう仕口-白山麓で集めた民家のかけら-

【公式サイト】
 https://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g-1909/

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)

【会期】2019年12月5日(木)~2020年2月22日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は福井県白山麓にあった築200年以上の古民家で使われた江戸時代の「仕口」が並ぶ内容となっています。「仕口」は柱と梁のような方向の異なる部材を繋ぎ合わせる工法とその部分で、複雑な形で家を支えています。かなりマニアックなテーマで未知の世界でしたが、実物と図解でどのように接合していたか分かるようになっていましたので、その写真を使ってご紹介していこうと思います。

こちらが仕口。一見すると穴の空いた柱のように観えます。
DSC02955.jpg DSC02956_20200114235414bed.jpg
図解と共に観ると柱と梁を繋いでいた様子が分かります。先っぽの穴は伐採後に積雪を利用して山から里に下ろす際に引っ張る為の穴と考えられるのだとか。中々荒削りな見た目で古民家の力強い印象そのものです。

こちらも太い梁の一部だった材木
DSC02959_202001142354156f5.jpg
上面は素材感がありますが、切り込み部分は綺麗な直角となっています。

組み込みの図解はこんな感じ。
DSC02961.jpg
梁・桁をクロスさせるための仕口のようで、台形の突出部と組み合わせるシンプルな組み方となっています。台形の形を蟻の頭に見立てて蟻と呼んだのだとか。

こちらは鴨居と大黒柱の部分で使われていた仕口
DSC02964_20200114235418b24.jpg DSC02966.jpg
図解と実物を見比べるとかなり大きな大黒柱だと思われます。組み方も複雑で、民家と言えども高度な技術が使われていたことがよく分かりますね。

こちらもフォークのように先が割れている仕口。
DSC02979.jpg
複雑な形で、何処にどう繋げるのか想像もつかないw まずは形を観て予想してもカスリもしませんでしたw

正解はこちら。梁と梁を繋ぐ仕口です。
DSC02980.jpg
解説を読んでもかなり専門的で難解でしたが、雪国ならではの間取りによってこうした仕口が生まれたようです。

こちらは穴の数が多い仕口。
DSC02997_20200114235424bd5.jpg DSC02998_2020011423562477a.jpg
いくつもの梁を繋いでいて高機能w 白山麓は木が巨木に育つそうで、巨木は得難く扱いが難しいものの 十分な長さと強さがあるので短い材を繋ぐ継手の必要がなく結果として手間を省けたようです。それにしてもこんなに複雑な形を考えられるのは職人技ですね。

工具も並んでいました。こちらは墨壺
DSC03010_20200114235625178.jpg
木材などに線を引いて目印をつける道具です。鶴と亀の装飾が付いていて縁起が良くてお洒落。

こちらは釿(ちょうな。手斧)
DSC03016_2020011423562648e.jpg
木材を加工する時の工具で、宮大工の様子を描いた作品などでもよく見かけます。昔はこれで手作業で彫っていたんですね。

最後にもう1つ 恐ろしく複雑な形の仕口。
DSC03029_202001142356289cf.jpg DSC03030.jpg
もはやセンター的なポジションで無数の木材を束ねています。今まであまり意識していませんでしたが、仕口には長年の叡智が込められていますね。


ということで、専門性の高い内容でしたが 古民家に隠された凄い技術を目の当たりにすることが出来ました。これを観ることで今後 古民家を観る際の参考になりそうです。ここは無料で観ることが出来ますので、古民家好きの方はチェックしてみてください。
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