大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 (感想後編)【江戸東京博物館】
今日は前回に引き続き江戸東京博物館の特別展「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」についてです。前編は歌麿と写楽のコーナーについてご紹介しましたが、後編は残りの北斎・広重・国芳についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
特別展「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」
【公式サイト】
https://dai-ukiyoe.jp/
【会場】江戸東京博物館
【最寄】両国駅
【会期】2019年11月19日(火)~2020年1月19日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半も前半同様に凄い混みようでした。後半も引き続き気に入った作品と共にその様子をご紹介していこうと思います(超有名作や以前に詳しくご紹介したものはこの記事ではあまり詳しく書いていませんので、参考記事をご参照ください)
<第3章 葛飾北斎>
3章は葛飾北斎についてです。葛飾北斎は勝川春章に入門して画業を始め、30回の改名や90回以上の転居を繰り返し、90年の生涯で様々な画風の作品を残しました。特に「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」は海外の画家にも大きな影響を与えたことで知られます。ここにはそうした北斎の代表作が並んでいました。
参考記事:
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
ホノルル美術館所蔵「北斎展」 (三井記念美術館)
まず最初に「冨嶽三十六景」が並んでいました。「凱風快晴」や「神奈川沖浪裏」など誰もが知る作品で、この展示でも特に人だかりが出来ていたかも。この辺は見慣れた感がありますが、何度見ても斬新な構図です。
187 葛飾北斎 「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」
こちらは「諸国瀧廻り」のシリーズの1つで、伊勢原の大山寺にある良弁の滝を描いた作品です。滝壺にフンドシ姿の男達が滝に打たれていて、身を清めています。と言っても楽しげで行楽のような雰囲気かな。みんな木刀を持っていて、それを奉納するお参りのようです。このシリーズでは水の飛び散る表現がそれぞれ違っていて、その違いを見比べると一層に北斎の水の表現へのこだわりが感じられました。
196 葛飾北斎 「諸国名橋奇覧 三河の八つ橋の古図」
こちらは板の橋が並ぶ様子が描かれていて、伊勢物語の八ツ橋を想起させる場面となっています。しかし8つどころではなく板の橋が曲がりくねっていてカクカクした構図で収まっています。また、橋の脇に咲いているはずのカキツバタは葉っぱだけになっているなど 伊勢物語とはちょっと違った印象です。遠近感がある構図なのは西洋からの影響かな。人々が行き交って楽しげな光景でした。
221 葛飾北斎 「芥子」 ★こちらで観られます
こちらは薄いオレンジのケシの花を描いた作品です。満開・蕾・枯れた花と時期の異なる花が並んでいて、1枚で時間の経過を感じさせます。風に揺られているのか一様に右向きに傾いでいて、茎が大きくカーブしています。これが動きを感じさせると共に神奈川沖浪裏の大波を彷彿とさせました。
近くには同様に花を描いたシリーズが並んでいました。冨嶽三十六景と同じ時期の作品群のようです。
<第4章 歌川広重>
続いては歌川広重のコーナーです。広重は歌川豊広の元に入門し、役者絵・美人画・武者絵などを手掛けていましたが北斎の「冨嶽三十六景」に刺激を受けてか風景画を描くようになり、1833年の保永堂版「東海道五拾三次之内」が大ヒットし、以降は多くの風景画を手掛けました。ここにはそうした多くの風景画が並んでいました。
まずは代表作の「東海道五拾三次之内」が並んでいました。雪の蒲原 や 庄野白雨といった特に重要な作品や、鞠子の名物茶屋など旅情を誘う作品などまさに名作と呼ぶに相応しいシリーズです。
参考記事:殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次-保永堂版・隷書版を中心に- (サントリー美術館)
257 歌川広重 「木曽海道六拾九次之内 上ヶ松」
こちらは「木曽海道六拾九次之内」のシリーズの1枚で、橋の上から滝を眺める旅姿の2人の男が描かれています。そこに薪を背負った地元の人が通りかかり、滝には無関心そうなのが旅人と対比になっていて面白い趣向です。やけに細長く斜めった山や 氷のようにささくれた川の流れなど、表現方法も変わっていて斬新さもありました。
259 歌川広重 「木曽海道六拾九次之内 中津川」
こちらもシリーズの1枚で、川辺に並ぶ家々と手前に3人の雨合羽の人物が描かれた作品です。全体的に細い線が縦に連なり大雨の風情が出ています。解説によると中津川は2種類の版があり、こちらの「雨の中津川」は遺存例が少ない知られざる傑作とのことで、庄野白雨とはまた違った魅力のある作品となっていました。
272 歌川広重 「近江八景之内 矢橋帰帆」
こちらは琵琶湖に浮かぶ沢山の船を描いた作品です。船は対角線上に連なっていて、構図の面白さがあります。また、奥には比叡山らしき山があり その上は赤い夕日のような色合いとなっていて、叙情的な雰囲気となっていました。タイトルからも船が帰る時間なんでしょうね。こちらも素晴らしい傑作です。
280 歌川広重 「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」 ★こちらで観られます
こちらは亀戸の梅園にあった梅の名木を描いた作品です。手前にうねる幹が描かれ その後ろに満開の梅があり、空は赤のグラデーションに染まっています。また、よく観ると見物客の姿も多くて華やかな雰囲気です。それにしても目の前を木が塞ぐというのは大胆な構図で、こうした構図は西洋の印象派などにも影響を与えています。また、この絵はゴッホが模写していることで有名で、世界的な名画と言えそうです。木の配置も踊ってるような流れを感じました。
この隣の「名所江戸百景 日本橋江戸ばし」も擬宝珠が風景を塞ぐという驚きの構図となっていました。また、近くには猫が窓から外を見ている「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」や、舞い降りる鷹と共に空中から眺めたような「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」といった有名作もありました。
<第5章 歌川国芳>
最後は幕末に活躍した歌川国芳のコーナーです。国芳は歌川豊国に入門し、水滸伝をテーマにした武者絵がヒットし人気絵師となりました。その性格は親分肌の粋な江戸っ子そのものだったそうで、奇想と反骨の想像力で動物の擬人化、判じ絵、妖怪絵などなど独創的な作品を送り出しました。ここには国芳の代表作が並んでいました。
参考記事:
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
314 歌川国芳 「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 短冥次郎阮小吾」
こちらは出世作の水滸伝のシリーズで、取っ組み合って水中で争う2人の武者が描かれています。周りには魚も泳いでいて結構深いところまで沈んでいるように見えるかな。逞しい体つきに全身カラフルな彫り物をしていて、険しい表情を浮かべているなど全体的に力強く 緊張感があります。解説によると実際の水滸伝にはこういう水中戦の場面は無いらしいので国芳のイマジネーションの表れのようでした。
近くには猫が集まって骸骨模様に見える「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」や巨大な骸骨の妖怪が現れる3枚続きの「相馬の古内裏」など国芳ならではの発想の作品が並んでいました。
336 歌川国芳 「四條縄手の戦い」
こちらは6枚続きの大パノラマの作品で、1枚に1人づつ武者たちが描かれています。足利尊氏に仕えた武将 高師直が率いる6万の大群と楠木正行の最後の戦いをテーマにしていて、左から右に雨あられのごとく矢が飛んでいます。それぞれの武者はそれを前屈みになって防ぎながら左に向かって奮戦していますが、既に体には多くの矢が突き刺さり、血みどろで顔は青ざめています。壮絶な最期を迎える瞬間といった感じで、鬼気迫るものがありました。
346 歌川国芳 「流行猫のおも入」
こちらは3×3マスの猫の首輪の枠に入った9匹の人面猫を描いた作品です。それぞれ役者の顔を猫風に描いていて、やけに渋い顔をした猫もいてキモかわいいw 恐らく役者絵が禁じられた時の作品だと思いますが、規制をバネに一層に想像力豊かな絵に仕上げる所に反骨精神と洒落っ気を感じます。
この辺りは擬人化のシリーズや影絵のシリーズ、「寄せ絵」と呼ばれる 集合すると別のものに見える作品などもありました。本当に驚くべき発想ばかりです。
366 歌川国芳 「たとゑ尽のうち」
こちらは猫に関する諺や たとえ話を3枚続きの画面に沢山描いた作品です。猫背、猫舌、猫に小判、猫に鰹節などは見てすぐに分かりますが、猫に紙袋(後ずさりする様子。尻込み)、猫の尻に才槌(相応しくないもの)など現代ではあまり使われないものもあり、見ても分からないものもありますw こちらも擬人化されている猫がいて、面白可笑しい雰囲気がありました。きっと現場猫の先祖だな…w
ということで、後半も見どころの多い内容となっていました。この記事を書いている時点でちょうど終わってしまいましたが、これだけ豪華なラインナップは中々無い機会だったと思います。浮世絵入門になりそうな展示でした。
→ 前編はこちら

【展覧名】
特別展「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」
【公式サイト】
https://dai-ukiyoe.jp/
【会場】江戸東京博物館
【最寄】両国駅
【会期】2019年11月19日(火)~2020年1月19日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半も前半同様に凄い混みようでした。後半も引き続き気に入った作品と共にその様子をご紹介していこうと思います(超有名作や以前に詳しくご紹介したものはこの記事ではあまり詳しく書いていませんので、参考記事をご参照ください)
<第3章 葛飾北斎>
3章は葛飾北斎についてです。葛飾北斎は勝川春章に入門して画業を始め、30回の改名や90回以上の転居を繰り返し、90年の生涯で様々な画風の作品を残しました。特に「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」は海外の画家にも大きな影響を与えたことで知られます。ここにはそうした北斎の代表作が並んでいました。
参考記事:
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
ホノルル美術館所蔵「北斎展」 (三井記念美術館)
まず最初に「冨嶽三十六景」が並んでいました。「凱風快晴」や「神奈川沖浪裏」など誰もが知る作品で、この展示でも特に人だかりが出来ていたかも。この辺は見慣れた感がありますが、何度見ても斬新な構図です。
187 葛飾北斎 「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」
こちらは「諸国瀧廻り」のシリーズの1つで、伊勢原の大山寺にある良弁の滝を描いた作品です。滝壺にフンドシ姿の男達が滝に打たれていて、身を清めています。と言っても楽しげで行楽のような雰囲気かな。みんな木刀を持っていて、それを奉納するお参りのようです。このシリーズでは水の飛び散る表現がそれぞれ違っていて、その違いを見比べると一層に北斎の水の表現へのこだわりが感じられました。
196 葛飾北斎 「諸国名橋奇覧 三河の八つ橋の古図」
こちらは板の橋が並ぶ様子が描かれていて、伊勢物語の八ツ橋を想起させる場面となっています。しかし8つどころではなく板の橋が曲がりくねっていてカクカクした構図で収まっています。また、橋の脇に咲いているはずのカキツバタは葉っぱだけになっているなど 伊勢物語とはちょっと違った印象です。遠近感がある構図なのは西洋からの影響かな。人々が行き交って楽しげな光景でした。
221 葛飾北斎 「芥子」 ★こちらで観られます
こちらは薄いオレンジのケシの花を描いた作品です。満開・蕾・枯れた花と時期の異なる花が並んでいて、1枚で時間の経過を感じさせます。風に揺られているのか一様に右向きに傾いでいて、茎が大きくカーブしています。これが動きを感じさせると共に神奈川沖浪裏の大波を彷彿とさせました。
近くには同様に花を描いたシリーズが並んでいました。冨嶽三十六景と同じ時期の作品群のようです。
<第4章 歌川広重>
続いては歌川広重のコーナーです。広重は歌川豊広の元に入門し、役者絵・美人画・武者絵などを手掛けていましたが北斎の「冨嶽三十六景」に刺激を受けてか風景画を描くようになり、1833年の保永堂版「東海道五拾三次之内」が大ヒットし、以降は多くの風景画を手掛けました。ここにはそうした多くの風景画が並んでいました。
まずは代表作の「東海道五拾三次之内」が並んでいました。雪の蒲原 や 庄野白雨といった特に重要な作品や、鞠子の名物茶屋など旅情を誘う作品などまさに名作と呼ぶに相応しいシリーズです。
参考記事:殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次-保永堂版・隷書版を中心に- (サントリー美術館)
257 歌川広重 「木曽海道六拾九次之内 上ヶ松」
こちらは「木曽海道六拾九次之内」のシリーズの1枚で、橋の上から滝を眺める旅姿の2人の男が描かれています。そこに薪を背負った地元の人が通りかかり、滝には無関心そうなのが旅人と対比になっていて面白い趣向です。やけに細長く斜めった山や 氷のようにささくれた川の流れなど、表現方法も変わっていて斬新さもありました。
259 歌川広重 「木曽海道六拾九次之内 中津川」
こちらもシリーズの1枚で、川辺に並ぶ家々と手前に3人の雨合羽の人物が描かれた作品です。全体的に細い線が縦に連なり大雨の風情が出ています。解説によると中津川は2種類の版があり、こちらの「雨の中津川」は遺存例が少ない知られざる傑作とのことで、庄野白雨とはまた違った魅力のある作品となっていました。
272 歌川広重 「近江八景之内 矢橋帰帆」
こちらは琵琶湖に浮かぶ沢山の船を描いた作品です。船は対角線上に連なっていて、構図の面白さがあります。また、奥には比叡山らしき山があり その上は赤い夕日のような色合いとなっていて、叙情的な雰囲気となっていました。タイトルからも船が帰る時間なんでしょうね。こちらも素晴らしい傑作です。
280 歌川広重 「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」 ★こちらで観られます
こちらは亀戸の梅園にあった梅の名木を描いた作品です。手前にうねる幹が描かれ その後ろに満開の梅があり、空は赤のグラデーションに染まっています。また、よく観ると見物客の姿も多くて華やかな雰囲気です。それにしても目の前を木が塞ぐというのは大胆な構図で、こうした構図は西洋の印象派などにも影響を与えています。また、この絵はゴッホが模写していることで有名で、世界的な名画と言えそうです。木の配置も踊ってるような流れを感じました。
この隣の「名所江戸百景 日本橋江戸ばし」も擬宝珠が風景を塞ぐという驚きの構図となっていました。また、近くには猫が窓から外を見ている「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」や、舞い降りる鷹と共に空中から眺めたような「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」といった有名作もありました。
<第5章 歌川国芳>
最後は幕末に活躍した歌川国芳のコーナーです。国芳は歌川豊国に入門し、水滸伝をテーマにした武者絵がヒットし人気絵師となりました。その性格は親分肌の粋な江戸っ子そのものだったそうで、奇想と反骨の想像力で動物の擬人化、判じ絵、妖怪絵などなど独創的な作品を送り出しました。ここには国芳の代表作が並んでいました。
参考記事:
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
314 歌川国芳 「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 短冥次郎阮小吾」
こちらは出世作の水滸伝のシリーズで、取っ組み合って水中で争う2人の武者が描かれています。周りには魚も泳いでいて結構深いところまで沈んでいるように見えるかな。逞しい体つきに全身カラフルな彫り物をしていて、険しい表情を浮かべているなど全体的に力強く 緊張感があります。解説によると実際の水滸伝にはこういう水中戦の場面は無いらしいので国芳のイマジネーションの表れのようでした。
近くには猫が集まって骸骨模様に見える「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」や巨大な骸骨の妖怪が現れる3枚続きの「相馬の古内裏」など国芳ならではの発想の作品が並んでいました。
336 歌川国芳 「四條縄手の戦い」
こちらは6枚続きの大パノラマの作品で、1枚に1人づつ武者たちが描かれています。足利尊氏に仕えた武将 高師直が率いる6万の大群と楠木正行の最後の戦いをテーマにしていて、左から右に雨あられのごとく矢が飛んでいます。それぞれの武者はそれを前屈みになって防ぎながら左に向かって奮戦していますが、既に体には多くの矢が突き刺さり、血みどろで顔は青ざめています。壮絶な最期を迎える瞬間といった感じで、鬼気迫るものがありました。
346 歌川国芳 「流行猫のおも入」
こちらは3×3マスの猫の首輪の枠に入った9匹の人面猫を描いた作品です。それぞれ役者の顔を猫風に描いていて、やけに渋い顔をした猫もいてキモかわいいw 恐らく役者絵が禁じられた時の作品だと思いますが、規制をバネに一層に想像力豊かな絵に仕上げる所に反骨精神と洒落っ気を感じます。
この辺りは擬人化のシリーズや影絵のシリーズ、「寄せ絵」と呼ばれる 集合すると別のものに見える作品などもありました。本当に驚くべき発想ばかりです。
366 歌川国芳 「たとゑ尽のうち」
こちらは猫に関する諺や たとえ話を3枚続きの画面に沢山描いた作品です。猫背、猫舌、猫に小判、猫に鰹節などは見てすぐに分かりますが、猫に紙袋(後ずさりする様子。尻込み)、猫の尻に才槌(相応しくないもの)など現代ではあまり使われないものもあり、見ても分からないものもありますw こちらも擬人化されている猫がいて、面白可笑しい雰囲気がありました。きっと現場猫の先祖だな…w
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