関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 (感想前編)【東京国立博物館 平成館】

前回ご紹介したお店でお茶した後、東京国立博物館平成館で日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」を観てきました。ボリュームある内容でしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示には前期・後期の会期があり私が観たのは後期の内容でした。

DSC05262_20200224025203d23.jpg

【展覧名】
 日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

【公式サイト】
 https://izumo-yamato2020.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2020年1月15日(水)~ 3月8日(日) → 2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外と空いていて概ね自分のペースで観ることができました。これほど空いている東博はかなり久々で、やはりコロナウィルスで外国人観光客が激減しているのが原因だと思われます。まあ いつもよりは空いているとはいえそれなりに人は多いので、感染予防の対策をするのは必須ですね。

さて、この展示は養老4年(720)に日本最古の正史『日本書紀』が編纂されて1300年を記念したもので、出雲と大和という2つの土地について紹介する内容となっています。8年前にも古事記1300年記念で出雲の展示がありましたが、その際は本館4・5室のみだったのが今回は倍以上のスケールにパワーアップしてしています。 『日本書紀』には出雲は「幽」すなわち神話や祭祀の世界を司り、大和は「顕」つまり目に見える現実世界や政治の世界を司るとされているようで、幽と顕の世界を比較するような趣向となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」 (東京国立博物館)


<第1章:巨大本殿 出雲大社>
まずは出雲大社のコーナーです。出雲大社は幽の世界を司るオオクニヌシを祀る神社で、日本で最も古い由緒があります。古代には48mもの高さを誇る本殿があったようで、2000年には境内から巨大な「心御柱」「宇豆柱」という柱が発見されました。ここにはそうした出雲大社にまつわる品や奉納された宝物などが並んでいました。

2 「日本書紀 巻二」 南北朝時代 永和元~3年 ★こちらで観られます
こちらは『日本書紀』の模写で、熱田神宮に伝わる全15巻のうちの1巻です。オリジナルは全30巻で神代から持統天皇(697年)まで記された歴史書ですが、これは14世紀の南北朝時代の写本のようです。かなり保存状態が良く、朱書きで本文の右側に送り仮名がついていて漢文のように読める部分も結構あります。ここにオオクニヌシの国譲りの神話と共に件の「幽」と「顕」について書かれているようで、展示ケースの近くには該当箇所が分かるように印が付けられていました。写本とは言え、この本が日本の歴史を伝えていると思うと歴史の重みがありますね。ちなみに私は昔に訳本を読んだことがありますが大半は忘れましたw 

13 「宇豆柱」 鎌倉時代 ★こちらで観られます
こちらは鎌倉時代に遷宮された本殿の柱材と考えられる木の塊です。直径1.3mもある3本の柱を1本の柱として用いていたようで、朽ちたとは言え圧倒的な風格をたたえています。運搬用の穴や手斧の痕跡も残っているようで、当時の様子を忍ばせるようでした。
この近くには本殿中央にあった「心御柱」もありました。3本セットの柱は9本あったようで、3×3のマス目状に並び、中央が「心御柱」で、その手前が「宇豆柱」となります。宇豆柱は以前にも観たことがありますが、心御柱とセットで観るとさらに威容が感じられました。

14 「模型 出雲大社本殿」 平成11年
こちらは当時の造営の資料などを元に作られた1/10サイズの復元模型です。平安時代10世紀頃を想定していて、高さ48m、長さ109mもあり本殿まで延々と長い階段が一直線に続いています。柱の上には社殿があり、とんでもない迫力です。模型でも驚くのに本物は相当なものだったと想像できますが、正直 ほんまかいな??と疑ってしまいますw しかし、かつては「雲太(出雲大社)」「和二(東大寺大仏殿)」「京三(御所の大極殿)」と並び称されたので大仏殿(45m)より高かったと推測されています。これも以前観たので心構えはありましたが、何度観てもこんな姿だったのか…という驚きがありました。今ではこんな木材無さそうだしw

その先は境内の出土品が並んでいました。勾玉や須恵器・土師器などの素朴な土器、立柱の儀式に使われた手斧などがあります。中には「金輪御造営差図」という本殿の平面図があり、これにサイズも記載されているので先程の模型ができたようでした。

24 「秋野鹿蒔絵手箱」 鎌倉時代 ★こちらで観られます
こちらは蒔絵の手箱で表面に鹿、鳥、草花など秋のモチーフが描かれています。小鳥などには螺鈿も使われていて、豪華かつ可憐な印象を受けます。これは鎌倉時代13世紀の品とのことで、宝治2年(1248)の造営の際に奉納されたものと考えられているようです。かなり繊細で高い技術と優美さが感じられました。

26 「色々威胴丸」 室町時代 15世紀 ★こちらで観られます
こちらは守護大名だった尼子氏が奉納した鎧兜です。立物(兜の額の部分の飾り)が三叉に分かれて切透かしとなっていて、中央に「天照大神宮」右に「八幡大菩薩」 左に「春日大明神」と書かれています。神仏習合した様子が伺えるけど、何しろ見た目がカッコいいw 厨ニ心をくすぐるようなデザインで、神々しい雰囲気もありました。

他にも刀や檜扇、御簾、舞楽を描いた屏風なども並んでいました。


<第2章:出雲 古代祭祀の源流>
続いても出雲で、出雲大社や日本書紀より前の古代の時代についてです。出雲は古代から日本海を通じた交流によって独自の文化があったようで、青銅器を用いた祭祀が行われていたようです。しかしその一方では弥生時代後期には他の地域に先駆けて青銅器祭祀をやめて四隅突出型墳丘墓と呼ばれる巨大な墳墓を舞台にした祭祀へと移り変わったようです。ここにはそうした古代祭祀に関する品が並んでいました。

こちらは撮影OKだった加茂岩倉遺跡の銅鐸埋納状況の復元。
DSC05282.jpg
日本最多の39個の銅鐸が出土したそうで、銅鐸が入れ子状になっていたのだとか。埋まり方も規則的な感じがしますね。

32 「貝輪」 弥生時代 前4~前3世紀
こちらは白っぽくいびつな5角形みたいな形をした貝製の腕輪です。こうした腕輪は弥生時代中期広範に北部九州で隆盛したそうで、日本海を通じて出雲にまで伝わったようです。貝は奄美以南に分布する大型の巻き貝を加工していて、有力者か儀式を司る男性がつけていたのだとか。当時の交流の範囲の広さが伺えると共に、シャーマンが使っていそうな品に思えました。

この先は荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡についてのコーナーです。見つかった当時の様子を踏まえて銅剣や銅鐸を展示しています。埋納の方法にも色々あるようでしたが、素人の私には違いの理解は難しいw

42-2 「銅鐸」 加茂岩倉遺跡 弥生時代 前2~前1世紀 ★こちらで観られます
こちらは先程の模型の銅鐸の実物で、一気に見つかったものです。横倒しに埋められていて、大きな銅鐸の中に小さな銅鐸が入れられていたようで、17個の小さめのグループが展示されています。錆びて緑色になっているので模様はよく分かりませんが、同じ形をしていて四国や近畿でも同じ鋳型の銅鐸が出土しているようです。同じということは交流があったんでしょうね。考古学のロマンが感じられる品でした。

41-2 「銅鐸」 荒神谷遺跡 弥生時代 前2~前1世紀
こちらも銅鐸で、側面に袈裟のような「袈裟襷文」と「流水文」の2種類の文様が描かれています。河内平野南部の銅鐸工房で作られたものらしく、袈裟襷文の中には人々の生活や トンボ、鹿、歯朶のような渦巻きなどが描かれています。プリミティブな雰囲気があり、呪術めいた印象を受けました。

この辺には銅矛もずらりと並んでいました。

41-1 「銅剣」 荒神谷遺跡 弥生時代 前2~前1世紀
こちらは150本くらいの銅剣で、発見された時は358本もの銅剣が4列に整然と並んでいたようです。何しろその数が圧巻で、全長50cmくらいの銅剣が同じ形・同じサイズでズラッと並んでいるのは壮観な眺めです。一括で作られたと考えられるようで、当時の生産技術の高さが伺えました。

46-5 「勾玉・管玉」 西谷3号墓出土 弥生時代1~3世紀
こちらは中国で作られたガラス製の青く小さな勾玉と、朝鮮半島の碧玉製の緑がかった管玉です。さらに隣にあった管玉はローマ帝国領内で生産されたガラスを中国で加工した可能性があるとのことで、弥生時代とは思えないほどにワールドワイドな品となっています。素朴なように見えて こんな早い時期から広範に交流していたことに驚かされました。


<第3章:大和 王権誕生の地>
続いては大和のコーナーです。前方後円墳は政治や権力の象徴で、大和を中心として1つの国へとまとまっていく様子を示しているようです。また、大陸を通じて様々な文物や技術を獲得し、そこで得た品や模倣品を各豪族に与えて王権の基盤を堅固にしていったと考えられるようです。ここにはそうした王権誕生の地にまつわる品が並んでいました。

49-1 「画文帯神獣鏡」 ホケノ山古墳出土 古墳時代4世紀
こちらは2~3世紀にかけて中国河北地域で作られた銅鏡です。龍、東王父、西王母、黄帝といった中国的なモチーフが表されていて、中国からの直輸入品と言った所でしょうか。当時の大陸との交易や銅鏡が権力の象徴であったことなどが伺えました。

51-5.6 「鉄弓・鉄矢」 メスリ山古墳出土 古墳時代4世紀
こちらは鉄でできた弓と矢で、弦まで鉄でできています。そのため実用品ではなく儀礼用と考えられるようで、大きく迫力のある弓矢となっています。わざわざ矢羽まで鉄で出来てて芸が細かいw 何故鉄で作ったのか不思議で仕方ないですw

51-7.8 「円筒埴輪」 メスリ山古墳出土 古墳時代4世紀 ★こちらで観られます
こちらは高さ2.5mもある世界一巨大な円筒形の埴輪です。出土したメスリ山古墳は全長224mもある前方後円墳で、こうした円筒形の埴輪を方形にいくつも並べてたようです。ここには2点置かれていて、上部の口の辺りが広がっていて埴輪というよりは土器と言ったほうがイメージしやすいかも。側面には逆三角形の穴が規則的に並んでいて、素朴さと無機質さの両面が感じられます。よく観るとバラバラになったのを貼り付けて展示しているようで、長い年月を物語っているようでした。

この近くには黒塚古墳から出土した古墳時代3世紀頃の「三角縁神獣鏡」(★こちらで観られます)が33枚も並んでいました。全国最大の出土数だそうです。また、宮山古墳出土の埴輪は家、兜、盾などの形の大型の埴輪で見栄えがしました。


ということで、この辺で第一会場は終わりとなります。前半の見どころはやはり出雲の柱と遺跡からの出土品の数々でしょうか。この時代は考古学的な要素も強いので古代好きの方には特に面白いと思います。後半は仏教伝来後の仏像などもありましたので、次回はそちらについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら

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