日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 (感想後編)【東京国立博物館 平成館】
今日は前回に引き続き東京国立博物館 平成館の日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」についてです。前編は第一会場についてご紹介しましたが、後編では残りの第二会場についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」
【公式サイト】
https://izumo-yamato2020.jp/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】2020年1月15日(水)~3月8日(日) → 2月26日(水)をもって閉幕
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半は作品が大きいこともあり前半以上に快適に鑑賞することができました。引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第3章:大和 王権誕生の地>
第二会場に入っても3章が続いています。第一会場と同じく大和に伝わった品々が並んでいました。
57 「ガラス椀」「ガラス皿」「金製垂飾付耳壺」「金製方形板」など 新沢千里126号墳出土 古墳時代5世紀
こちらはペルシャ由来のガラス椀や、シルクロードを渡ってきた深い青色のガラス皿、朝鮮半島の新羅から来た金製垂飾付耳壺、中国東北部から伝わった「金製方形板」など新沢千里126号墳から出土した品々です。特に「金製方形板」は文様も唐草と龍という中国っぽいモチーフで海外から渡来した感じがあります。豪華なだけでなく国際色豊かな埋葬品となっていて、解説によると中国か朝鮮から来た女性のお墓なのではないかとのことでした。
この近くには大陸や朝鮮と交流した際の舟「模造 準備造船」もありました。一部だけ木材が残っているようですが、こんな小さい舟で渡れるの?とやや心もとない感じがしました。
58-1 「七支刀」 古墳時代4世紀 ★こちらで観られます
こちらは4世紀に百済王から倭王へと贈られたと考えられる刀です。剣の横に6つの枝状の部分がある唯一無二の形をしていて、そこに碑文が書かれています。かすれて分かりづらいものの、年記とご利益などが書かれているようです。また、裏面には作刀の経緯などが記されているようですが、金の象嵌の抜けが多いので内容については議論が交わされているのだとか。教科書などでも観られる特に有名な国宝で、目の当たりにできる貴重な機会と言えそうです。何故こんな形なのか、当時の日本と朝鮮の関係はどのようなものだったのか、色々と想像させるミステリアスな刀です。GB世代としてはsaga2で最強の武器だったのが真っ先に思い出されるw
61-2 「埴輪 見返りの鹿」 平所遺跡出土 古墳時代5~6世紀
こちらは振り返る姿勢をしている鹿の埴輪です。かなり写実的で鹿の仕草を忠実に表現していて、耳をピンと立てているのは人の気配を感じて慌てて振り返ったのを表しているようです。さらに口の上下がやや歪んでいるのは草を食んでいた感じが出ていて、彫刻としても見事な造形となっていました。この作者は相当な観察眼と技術の持ち主だと思います。
この近くには各地の遺跡の太刀や馬具などが並んでいました。
73 「須恵器 出雲型子持壺」 山代二子塚古墳出土 古墳時代6世紀
こちらは球形の壺に吸盤のように小さな壺が無数に貼り付けられている変わった形をした品です。プラネタリウムの真ん中にある機械みたいなイメージと言うか…w さらに足の部分には三角の穴も無数にあってちょっとキモいw 解説によると6~7世紀の出雲東部で見られる特殊な須恵器らしく、供物の供献を象徴化した儀式用の壺と考えられるようです。何故こんなキモい造形が生まれたのか好奇心が湧きますが、集合体恐怖症を引き起こしそうな異様な雰囲気でした。
76 「勾玉・管玉」 上野1号墳出土 古墳時代4世紀
こちらは瑪瑙、ガラス、翡翠を使って作られた勾玉と管玉です。瑪瑙は宍道湖辺りの山で取れたものらしく、出雲で作られた品のようです。この辺には出雲産の勾玉なども展示されていて、平安時代あたりまでは玉作りの地として大量に生産していたようです。そうした勾玉などは全国各地の権力者に渡ったようなので、信仰の道具においても出雲は存在感があったのかもしれません。出雲の意外な側面を知ることが出来る品々でした。
この近くには神賀詞(かんよごと)という祝詞の映像を流していました。何を言っているのかさっぱり分かりませんが、字幕で何となく意味が分かりますw これは出雲国造が新任した際などに都に上って天皇の長寿と国の安寧を祈って奏上するそうで、内容は国譲り神話の際に八咫鏡に魂を入れ込めて贈った話などを語っているようでした。祝詞は素人には日本語なのかも判別つきません…
<第4章:仏と政(まつりごと)>
最後は仏教伝来に関するコーナーです。6世紀半ばに仏教が伝来すると、古墳が果たした政治や権力の象徴の役割は寺院が担うようになっていきました。飛鳥時代後期には全国各地に寺院が作られ、遣隋使や遣唐使の派遣で大陸から最新の制度や知識が伝わり、やがて中央集権国家へと歩んでいきます。仏像なども多く作られていたようで、この章では主に仏像が並んでいました。
94 「観音菩薩立像」 飛鳥時代(692年)
こちらは頭が大きめでほっそりした身体つきの観音菩薩像です。左手で水瓶を摘んでいたりしてやや見慣れない表現に思えます。解説によると、これは出雲の有力者が両親のために作った像のようです。7世紀末期には日本各地に仏教が広まっていたようで、神道の中心地である出雲でも仏教を信仰している様子が伺えました。当時の歴史を考えると宗教を使った権力闘争みたいな側面もありますからね…。
96 「持国天立像」 飛鳥時代7世紀 ★こちらで観られます
こちらは当麻寺に伝わる脱活乾漆造の四天王像のうちの持国天像です。脱活乾漆造は漆を重ねる技法で、有名な所では興福寺の阿修羅像なんかもこの技法が使われています。この持国天は邪鬼の上に乗って剣を持ち、体躯は2mくらいはありそうな堂々たる印象です。中国初唐時代の様式に影響を受けているそうで、髭を生やしていることもあって中国の武将のような顔つきに思えました。金彩が一部に残っているので昔は金ピカだったのかな??
この近くには日本現存最古級の石仏「浮彫伝薬師三尊像」(★こちらで観られます)もありました。また、少し先には伎楽面のコーナーもあります。
102-1.2 四天王像のうち「多聞天立像」「広目天立像」 奈良時代8世紀
こちらは唐招提寺の四天王像のうちの2天で、鑑真と共に来日した工人の関与が推定されている仏像です。多聞天は左手に宝塔、右手に槍を持ち眉をひそめて険しい顔つきをしています。どっしりとした体つきなのも威圧的な感じを受けます。一方の広目天は右手に筆、左手に巻物を持っていてこちらも定番の持ち物です。足元に衣の裾があり、こうした表現はそれまでの日本になかった表現らしく 中国彫刻からの直接的な影響を受けた工人が関わったことを推定する根拠になっているようでした。この頃は何でも中国から学んでいたのが伺えますね。
この近くにあった奈良の金剛山寺と世尊寺の2体の「十一面観音菩薩立像」も巨大で迫力がありました。いずれも一木造りで、そうとは思えないほど大きくて威厳のある仏様です。
その先には島根の萬福寺(大寺薬師)の四天王像(★こちらで観られます)が全員揃って並んでいました。こちらも一木造りで、等身大よりやや大きめです。特に剣を振りかざし叫ぶような顔つきの増長天に勇ましさを感じました。
111 「法隆寺金堂壁画 複製登板(第一号壁)」 令和元年

こちらは撮影可能となっていました。オリジナルは7世紀末~8世紀初頭に制作されましたが、1949年の金堂火災によって焼失してしまいました。その火事によって文化財保護が成立したので、今では文化財保護の本尊と言えるかも。こうした壁が第12号壁まであったようなので、損失は計り知れませんね。
最後に神と仏の習合についても触れられていました。日本人は昔から何でも日本化してしまいますが、神は仏の化身の1つと考えて同一視していく独特の信仰です。スサノオノミコトと習合した牛頭天王の坐像や、修験道の蔵王権現などが並んでいました。
ということで、後半も貴重な品々を観ることが出来ました。特に七支刀は今回の展示でも見どころではないかと思います。早くも会期末が迫ってきていますので、気になる方はお早めにどうぞ。コロナウィルスが怖いので、お出かけの際は感染予防だけは万全を期すようお願いします。
→ 前編はこちら

【展覧名】
日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」
【公式サイト】
https://izumo-yamato2020.jp/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】2020年1月15日(水)~
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半は作品が大きいこともあり前半以上に快適に鑑賞することができました。引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第3章:大和 王権誕生の地>
第二会場に入っても3章が続いています。第一会場と同じく大和に伝わった品々が並んでいました。
57 「ガラス椀」「ガラス皿」「金製垂飾付耳壺」「金製方形板」など 新沢千里126号墳出土 古墳時代5世紀
こちらはペルシャ由来のガラス椀や、シルクロードを渡ってきた深い青色のガラス皿、朝鮮半島の新羅から来た金製垂飾付耳壺、中国東北部から伝わった「金製方形板」など新沢千里126号墳から出土した品々です。特に「金製方形板」は文様も唐草と龍という中国っぽいモチーフで海外から渡来した感じがあります。豪華なだけでなく国際色豊かな埋葬品となっていて、解説によると中国か朝鮮から来た女性のお墓なのではないかとのことでした。
この近くには大陸や朝鮮と交流した際の舟「模造 準備造船」もありました。一部だけ木材が残っているようですが、こんな小さい舟で渡れるの?とやや心もとない感じがしました。
58-1 「七支刀」 古墳時代4世紀 ★こちらで観られます
こちらは4世紀に百済王から倭王へと贈られたと考えられる刀です。剣の横に6つの枝状の部分がある唯一無二の形をしていて、そこに碑文が書かれています。かすれて分かりづらいものの、年記とご利益などが書かれているようです。また、裏面には作刀の経緯などが記されているようですが、金の象嵌の抜けが多いので内容については議論が交わされているのだとか。教科書などでも観られる特に有名な国宝で、目の当たりにできる貴重な機会と言えそうです。何故こんな形なのか、当時の日本と朝鮮の関係はどのようなものだったのか、色々と想像させるミステリアスな刀です。GB世代としてはsaga2で最強の武器だったのが真っ先に思い出されるw
61-2 「埴輪 見返りの鹿」 平所遺跡出土 古墳時代5~6世紀
こちらは振り返る姿勢をしている鹿の埴輪です。かなり写実的で鹿の仕草を忠実に表現していて、耳をピンと立てているのは人の気配を感じて慌てて振り返ったのを表しているようです。さらに口の上下がやや歪んでいるのは草を食んでいた感じが出ていて、彫刻としても見事な造形となっていました。この作者は相当な観察眼と技術の持ち主だと思います。
この近くには各地の遺跡の太刀や馬具などが並んでいました。
73 「須恵器 出雲型子持壺」 山代二子塚古墳出土 古墳時代6世紀
こちらは球形の壺に吸盤のように小さな壺が無数に貼り付けられている変わった形をした品です。プラネタリウムの真ん中にある機械みたいなイメージと言うか…w さらに足の部分には三角の穴も無数にあってちょっとキモいw 解説によると6~7世紀の出雲東部で見られる特殊な須恵器らしく、供物の供献を象徴化した儀式用の壺と考えられるようです。何故こんなキモい造形が生まれたのか好奇心が湧きますが、集合体恐怖症を引き起こしそうな異様な雰囲気でした。
76 「勾玉・管玉」 上野1号墳出土 古墳時代4世紀
こちらは瑪瑙、ガラス、翡翠を使って作られた勾玉と管玉です。瑪瑙は宍道湖辺りの山で取れたものらしく、出雲で作られた品のようです。この辺には出雲産の勾玉なども展示されていて、平安時代あたりまでは玉作りの地として大量に生産していたようです。そうした勾玉などは全国各地の権力者に渡ったようなので、信仰の道具においても出雲は存在感があったのかもしれません。出雲の意外な側面を知ることが出来る品々でした。
この近くには神賀詞(かんよごと)という祝詞の映像を流していました。何を言っているのかさっぱり分かりませんが、字幕で何となく意味が分かりますw これは出雲国造が新任した際などに都に上って天皇の長寿と国の安寧を祈って奏上するそうで、内容は国譲り神話の際に八咫鏡に魂を入れ込めて贈った話などを語っているようでした。祝詞は素人には日本語なのかも判別つきません…
<第4章:仏と政(まつりごと)>
最後は仏教伝来に関するコーナーです。6世紀半ばに仏教が伝来すると、古墳が果たした政治や権力の象徴の役割は寺院が担うようになっていきました。飛鳥時代後期には全国各地に寺院が作られ、遣隋使や遣唐使の派遣で大陸から最新の制度や知識が伝わり、やがて中央集権国家へと歩んでいきます。仏像なども多く作られていたようで、この章では主に仏像が並んでいました。
94 「観音菩薩立像」 飛鳥時代(692年)
こちらは頭が大きめでほっそりした身体つきの観音菩薩像です。左手で水瓶を摘んでいたりしてやや見慣れない表現に思えます。解説によると、これは出雲の有力者が両親のために作った像のようです。7世紀末期には日本各地に仏教が広まっていたようで、神道の中心地である出雲でも仏教を信仰している様子が伺えました。当時の歴史を考えると宗教を使った権力闘争みたいな側面もありますからね…。
96 「持国天立像」 飛鳥時代7世紀 ★こちらで観られます
こちらは当麻寺に伝わる脱活乾漆造の四天王像のうちの持国天像です。脱活乾漆造は漆を重ねる技法で、有名な所では興福寺の阿修羅像なんかもこの技法が使われています。この持国天は邪鬼の上に乗って剣を持ち、体躯は2mくらいはありそうな堂々たる印象です。中国初唐時代の様式に影響を受けているそうで、髭を生やしていることもあって中国の武将のような顔つきに思えました。金彩が一部に残っているので昔は金ピカだったのかな??
この近くには日本現存最古級の石仏「浮彫伝薬師三尊像」(★こちらで観られます)もありました。また、少し先には伎楽面のコーナーもあります。
102-1.2 四天王像のうち「多聞天立像」「広目天立像」 奈良時代8世紀
こちらは唐招提寺の四天王像のうちの2天で、鑑真と共に来日した工人の関与が推定されている仏像です。多聞天は左手に宝塔、右手に槍を持ち眉をひそめて険しい顔つきをしています。どっしりとした体つきなのも威圧的な感じを受けます。一方の広目天は右手に筆、左手に巻物を持っていてこちらも定番の持ち物です。足元に衣の裾があり、こうした表現はそれまでの日本になかった表現らしく 中国彫刻からの直接的な影響を受けた工人が関わったことを推定する根拠になっているようでした。この頃は何でも中国から学んでいたのが伺えますね。
この近くにあった奈良の金剛山寺と世尊寺の2体の「十一面観音菩薩立像」も巨大で迫力がありました。いずれも一木造りで、そうとは思えないほど大きくて威厳のある仏様です。
その先には島根の萬福寺(大寺薬師)の四天王像(★こちらで観られます)が全員揃って並んでいました。こちらも一木造りで、等身大よりやや大きめです。特に剣を振りかざし叫ぶような顔つきの増長天に勇ましさを感じました。
111 「法隆寺金堂壁画 複製登板(第一号壁)」 令和元年


こちらは撮影可能となっていました。オリジナルは7世紀末~8世紀初頭に制作されましたが、1949年の金堂火災によって焼失してしまいました。その火事によって文化財保護が成立したので、今では文化財保護の本尊と言えるかも。こうした壁が第12号壁まであったようなので、損失は計り知れませんね。
最後に神と仏の習合についても触れられていました。日本人は昔から何でも日本化してしまいますが、神は仏の化身の1つと考えて同一視していく独特の信仰です。スサノオノミコトと習合した牛頭天王の坐像や、修験道の蔵王権現などが並んでいました。
ということで、後半も貴重な品々を観ることが出来ました。特に七支刀は今回の展示でも見どころではないかと思います。早くも会期末が迫ってきていますので、気になる方はお早めにどうぞ。コロナウィルスが怖いので、お出かけの際は感染予防だけは万全を期すようお願いします。
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