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朝鮮王朝の宮廷文化 【東京国立博物館 平成館】

今日は写真多めです。先日ご紹介した東京国立博物館 平成館の特別展を観た後、企画展の「朝鮮王朝の宮廷文化」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、この展示は東京国立博物館の臨時休館によって実質上の終了となっています。

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【展覧名】
 朝鮮王朝の宮廷文化

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2006

【会場】東京国立博物館 平成館 企画展示室
【最寄】上野駅

【会期】2020年2月4日(火)~ 3月15日(日)→2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は平成館の1階の企画展示室で行われていたミニ特集で、朝鮮王朝の宮廷に関わる調度や服飾などが並ぶ内容となっていました。朝鮮王朝は1394年に首都を開京(現在の開城)から漢陽(現在のソウル)に遷し漢城と改称したそうで、漢城は風水に適した地でもあったようです。そこに古代中国の礼制に基づいた景福宮を造営し、その後 東方には離宮として昌徳宮が作られました。そして景福宮で国家行事を行い、昌徳宮で日常政務を行う体制となったようで、今回はそうした宮廷の品が並んでいました。ちょうどこの記事を書いた日から東京国立博物館は臨時休館になってしまったので、もう観ることはできませんが どのような内容だったかご紹介しておこうと思います。
 参考リンク:全館臨時休館のお知らせ 2020年2月27日~3月16日

「宮廷儀式図屏風」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは宮廷で儀式を行う場面を描いた屏風。解説によると、王に慶賀を言上する礼のようです。

王の辺りをアップするとこんな感じ。
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肝心の王がいない!w これは玉座の後ろの日月五峰図屏風を王の象徴としているとのことです。日本や中国と似ているけどちょっと違う服装をしてますね。

「雑像(穿山甲)」「雑像(二口龍)」「雑像(沙和尚)」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは何やらゆるい造形の像が並んでました。一番左のとか謎すぎる造形です。朝鮮の品って大体こういう緩さがあるような気がします。

趙斗淳 他(撰)「大典会通」 朝鮮時代・高宗2年(1865)
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こちらは1865年に編纂された法典です。1485年に施行された根本法典と補完するための書をまとめたものらしく、完全版と言った所でしょうか。意味は分かりませんが漢字で書かれていて読みやすい字体でした。

「団領(武官服)」「団領(文官服)」 朝鮮時代・19世紀
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団は丸、領は襟のことらしく 襟の部分が丸くなっています。似たような服に見えますが真ん中の絵の部分で文官・武官の見分けがつきます。

こちらは鳥のマークの文官
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この鳥の種類や数で階級を識別していたようです。2羽の鶴は身分が高そうな感じがしますが、実際の所は分かりません。時代によって規定も変わったらしいので、覚えるのも大変だったのでは。

こちらは獣のマークの武官
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モチーフは2頭の虎ですが、やはりゆる~いデザインですw 武官がこんな可愛い虎の服を着てたんですねw

「科挙及第図」 原本:朝鮮時代・16世紀
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こちらは官吏になる為の試験「科挙」の合格者の祝宴の様子を描いたもの。たくさん並んでいるのが文官と武官の合格者のようです。下の方には合格者の名前も書いてあります。中国の科挙は驚異的な記憶力や文字の上手さが求められるものですが、朝鮮もそうだったんでしょうね。まさにエリートの集まりです。

こちらは景福宮勤政殿の唐家の写真
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玉座の後ろにあるのが先程の王の象徴の日月五峰図屏風のようです。確かに太陽・月・5つの山が描かれています。

こちらは昌徳宮宣政殿の写真
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日常政務を行った宮殿の一部のようですが、かなり質素でお寺みたいな…。建築様式は日本とよく似ています。

「金冠」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは宮廷で被っていた冠。見た目からして偉い人のものだろうと予測しましたが、縦に並ぶ金の線で階級が分かるようです。この5本の線(五梁)の冠は延臣の最高位の正一品という身分を表しているのだとか。金細工の鳳凰も豪華で、よくこんな冠が日本にあるものだとちょっと驚きでした。

「白磁硯」「長生白磁面取筆筒」「筆」「金銅水滴」 朝鮮時代・18~20世紀
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こちらは朝鮮王朝の上流階級の両班が使った文房具。特に教養がある両班をソンビと呼ぶそうで、清廉を心がけてこうした簡素な文房具で書画や詩文に親しんだようです。結構使い込んだ感じがするし、日本の侘び寂びに似たような質素さですね。

「鳳凰長生螺鈿二層箪笥」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは同じ形の箪笥を2層にした籠(ノン)という品。右は下の段のアップです。螺鈿細工で蝶や鳳凰、鹿など様々な吉祥文様が埋めています。華やかでこの展示の中でも特に見栄えのする作品でした。

「日月松竹螺鈿衣装箱」 朝鮮時代・18~19世紀
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こちらも螺鈿細工による箱。分かりづらいですが、表面の右上に太陽、左上に三日月らしきものが表されています。木は松や竹で、勢いよく茂っています。朝鮮王朝は太陽と月のモチーフがよく出てくるのかな? 日本の品でも観ることはありますが、この展示だけでも何度も出てきました。

「牡丹蝶螺鈿箱」 朝鮮時代・17~18世紀
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こちらも黒漆に螺鈿の箱。日本でもこの組み合わせの工芸は数多くありますが、デザインに違いが感じられて面白い。

「長生七宝簪・粧刀・眼鏡入」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは七宝でできた品々。簪は女性の髷髪に刺して使ったもので、夏は玉製 冬は七宝製を用いたとのことなので、ここにあるのは冬用のようです。

特に目を引いたのはこちらの眼鏡入
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鮮やかな青と透明感が見事です。形も丸っこくって可愛らしい

「三回装襦」「裳」 朝鮮時代・19~20世紀
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韓国の民族衣装といえばチマチョゴリですが、上衣の襦(チョゴリ)と下衣の裳(チマ)から成るようです。脇の部分に色がついてるこちらは両班が着た「三回装襦」で、庶民は「半回装襦」という脇下部分以外が色の違うものを着ていたのだとか。色で年代を分けたりもしてたようなので、服だけで身分がわかったんでしょうね。中国と似た制度に思えます。

「真鍮飯床器」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは食器。これも身分ごとに食器の数が違うそうです。真鍮製のようですが私は焼肉屋とかで出てくる金属の食器がめちゃくちゃ苦手ですw これも日本と同じようで異なる点ですね。


ということで、ミニ展示でしたがあまり知らない韓国の宮廷文化について知ることができました。韓国の美術品というと青磁・白磁・ゆるい感じの書画あたりしか思い浮かばなかったので、目新しい感じがしました。もう実質的に終わってしまいましたが、今後の参考になる展示でした。
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