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《加山又造》  作者別紹介

今日は新企画の第3段として現代日本画家の加山又造を取り上げます。加山又造は日本画と言って良いのか分からないくらい革新的な画家で、日本の伝統を学ぶ一方で西洋絵画を取り込んだり新しい技法を取り入れて驚くような作品が多くあります。幸い、東京国立近代美術館の常設などに代表作があるので、今回はそうした作品の写真を使ってご紹介していこうと思います。

加山又造 「月と犀」
DSC06714.jpg
こちらは1953年の作品。この頃はキュビスムやシュルレアリスムを取り入れた動物モチーフの作品が結構あります。ぽつんと佇む犀が何とも寂しげ。これを観て日本画とは思わないですよねw

加山又造 「冬」
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続いてこちらは1957年の代表作。ブリューゲルの「雪中の狩人」を彷彿とするような寒々とした光景となっています。加山又造はカラスをよくモチーフにしていて、この絵でも寂寞とした雰囲気を強めてるかな。

加山又造 「火の島」(複製)
20180422 153548
こちらは複製の写真ですが、1961年の作品。この頃、「火の島」「奥入瀬」「渦潮」という三部作に取り掛かっていて、そのうちの最初の作品です。盟友の横山操に「君の作品は内向的だ」と指摘され、横山操の「炎炎桜島」に影響を受けて描かれました。空も山も真っ赤にそまって溶岩が流れ出てしまってるようなw 火山のエネルギーが凝縮された1枚です。

加山又造 「千羽鶴」
P1120812.jpg
こちらは1970年の作品。1960年代以降、日本工芸に興味を持ちこうした琳派的な作品を残しています。現代の琳派と呼ばれただけあって装飾性や単純化にその傾向を感じるかな。うねりのような千鳥がリズミカルで躍動感があります。

加山又造 「黒い薔薇の裸婦」
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こちらは1976年の作品。屏風仕立てだけど非常にモダンで妖艶な雰囲気のモデルとなっています。ポーズのとり方や衣装を含めてかなり斬新な印象を受ける傑作です。

加山又造 「群鶴図」
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こちらは1988年の作品。先日ご紹介した尾形光琳の同名の作品にも似ていますが、これは酒井抱一の群鶴図に着想を得ているようです。金地ではなく銀地な所に抱一の美意識を継承してるんじゃないかな。みんな左を向いて少しづつ姿勢が違うので、パラパラ漫画のように動いているかのように観えたり。

加山又造 「倣北宋寒林雪山」
20180422 152415
こちらは1992年の作品。加山又造は画風だけでなく手法の革新も行っていて、この絵ではマスキングやエアブラシを使って雪のふわっとした質感を表現しています。最晩年にはペンタブやCGなども試していたらしく、最後まで飽くなき挑戦者でした。

アップにするとこんな感じ
20180422 152439
迫力ある木々と雪の白さが相まって独特の緊張感があります。伝統的な山水画のようで現代的です。

加山又造 「猫」
20180422 152745
こちらは製作年は分かりませんが、割とこうした小品もあります。毛のふわふわ感が可愛いw


ということで、年代によってこれほど作風が変わっていますが、様々な絵画を取り入れても何処かに新しさがあるのが特徴じゃないかな。久しく大きな加山又造展が開かれていないですが、東京国立近代美術館の常設などで観られる機会もあるので コロナ騒動が収まったらまたご紹介していければと思います。
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