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ヴァン クリーフ&アーペル ザ スピリット オブ ビューティー展 【森アーツセンターギャラリー】

先日、六本木ヒルズの中にある森アーツセンターギャラリーで「ヴァン クリーフ&アーペル ザ スピリット オブ ビューティー展 時空を超える美の真髄」を観てきました。今年は春に上野でカルティエ展もありましたが、この展示も同じように豪華絢爛で美しい宝飾品を堪能することが出来ました。

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【展覧名】
 ヴァン クリーフ&アーペル ザ スピリット オブ ビューティー展 時空を超える美の真髄

【公式サイト】
 http://www.roppongihills.com/art/macg/events/2009/11/vancleef.html
 http://www.thespiritofbeauty-vancleef-arpels.com/

【会場】森アーツセンターギャラリー
【最寄】六本木駅
【会期】2009年10 月31日(土)~2010年1月17日(日)※会期中無休
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この展示はヴァン クリーフ&アーペルのこれまでの作品を集めたもので、単に煌びやかな宝石というだけでなく、その独特のデザイン性や様々なテーマを持った芸術性の高い内容となっていました。今回も章ごとに気に入った作品をご紹介します。公式ページには章単位で作品のサムネイル画像(拡大可能)が載っていますので、雰囲気を垣間見ることもできます。

<第1章 自然のスピリット> ★こちらで観られます
最初は自然がテーマとなっているデザインの作品を中心に紹介していました。円柱状の筒などの中に自然をモチーフした作品が浮かぶように展示されていて、作品の魅力をひきだしていました。

「パス パルトゥー」
蛇腹のようなゴールドのネックレスです。「パス パルトゥー」というのはマスターキーという意味で、スライドで調節することでネックレス、ブレスレット、ベルトにもなるそうです。薄い青のサファイアの花があしらわれていたのが可憐でした。

「パピヨン・ネックレス(ミステリーセッティング)」
その名の通り赤いルビーの蝶と、銀とダイヤの蝶がネックレスの両端についている作品で、蝶の部分は取り外してクリップにもできるそうです。シェイクスピアの真夏の夜の夢を題材にしているようで、高貴な雰囲気に溢れていました。

この「ミステリーセッティング」はヴァン クリーフ&アーペルのデザインを語る上で欠かせない技術で、1933年に発明され特許もとられています。蜘蛛の巣のようなネット状の薄いゴールドに宝石を嵌め込んでいく技法で、石を留める爪が見えない(金属部分が出ない)特徴があり、どんなデザインでもまるで絵画のように表現できまるそうです。1つ1つ手作りで嵌め込むので、作品によっては1000時間もかかるのだとか。「パピヨン・ネックレス」でも羽の部分が格子状になって細かい宝石が無数に嵌め込まれていました。

「パピヨン・クリップ」
輪島塗の箱瀬淳一氏とのコラボレーション作品です。無数の蝶の作品が展示されているのですが、その羽には日本風の蒔絵のモチーフが描かれています。華麗で繊細な雰囲気漂う作品でした。後のほうで日本をテーマにした作品もありますが、これは本当に日本の伝統に基づいていました。

「オーキッド(蘭)のクリップ」
まるで本物の蘭のような艶やかで生命力のある作品です。ダイヤとプラチナで出来ていて、真ん中には大きな円いラウンドカットのダイヤありました。また、茎の部分には四角いバゲットカットが施されています。ヴァン クリーフ&アーペルは最初はこうしたカット技術の高さで認められていったそうです。また、この作品もそうだと思うのですが、ヴァン クリーフ&アーペルはジャポニスムやアールデコに影響されたデザインが多かったそうです。

「ロータスブレスレット」
仏教的なデザインを思わす蓮の形のブレスレットです。緑、赤、青と無数の小さな宝石やプラチナで出来ていてキラキラと輝いていました。3章にも出てきますが、アジア風のデザインも多いのもこの展覧の特徴に思えました。

<第2章 エレガンスのスピリット> ★こちらで観られます
この辺は凄く混んでいました。ここは混み②くらいかも。リボンやレースといった女性美を感じるデザインが中心のコーナーとなっていました。

「カール ミノディエール」
ミノディエールというのは微笑みという意味のコンパクトケースです。劇場やオペラ鑑賞など夜のお出かけに使う口紅やメイク道具、オペラグラス等々が立体的なつくりのケースに収まるように作られています。端には時計まであります。 黒とゴールドが基調で気品があり、幾何学的でアールデコのような雰囲気がありました。

「アールデコ ネックレス」
円形のプラチナやダイヤが多く使われているように思いますが、全体的に観ると直線的で左右対称の幾何学的なデザインのネックレスです。そして、結構な重厚感がある一方で流れるような感じが印象的でした。

「ブロンクス カクテル チャームブレスレット」
禁酒法時代のカクテルの名前がつけられたブレスレットです。ゴールドとエナメルで瓶の形の飾りが付いていて面白いデザインです。また、隣にはトパーズのネックレスが、黄色く大きな四角のカットが美しかったです。

「スペインの踊り子のクリップ」
この辺には様々な踊る女性をモチーフにしたクリップがありました。バレリーナが足を水平に上げ、扇子?をかざす姿は優美で動きを感じます。そういうデザインを宝石で表現しているのが素晴らしいです。可愛らしい仕草と宝石の煌びやかさが見事にマッチしていて、このコーナーでも特に気に入りました。

「カデナウォッチ」
南京錠の形をあしらったデザインです。注文主は王位を捨ててまで愛する女性と結婚したそうで、鍵をかけたいほどの愛情を表現しているようです。南京錠というと無骨なイメージがありますが洗練されたデザインに仕上がっていました。

「ジップネックレス」
これはネックレスがジッパー(チャック)になっていて、閉めるとブレスレッドなどにも出来るようです。金とルビーやエメラルドで出来ていて、ジッパーと思えない高貴さがありました。

「リボンのクリップ」
ゴールドの緩やかな曲線で花のリボンになっているクリップ。優美で軽やかさを感じ、非常に愛らしいデザインでした。

<第3章 冒険のスピリット> ★こちらで観られます
このコーナーはアールデコを基調にしつつも、乗り物、エジプト、ヒンドゥー教、仏教などをテーマにしたデザインが中心となっていました。

「ヴァルナ ヨットのミニチュア」
船のミニチュアで、下にある緑の海も石で出来ています。また、執事呼出用のベルもついているそうです。近くには汽車と車をあしらったバニティケースなどもあり、「冒険」を想起するデザインも多々ありました。

「エジプシャンのブレスレット」
エジプトの壁画のようなブレスレットです。ダイヤを基調にルビーやサファイアで絵を描いている豪華さです。特に紫がかった赤色が美しい作品でした。

「ブッダのクリップ」
赤いブッダの坐像のクリップです。背に光背を背負っていますが、ちょっと乙女チックな感じの光背ですw 台座もダイヤで出来ていて何か違和感を感じる…。日本人ならではの違和感かもしれません。また、作品名を忘れましたが金の仏の顔のクリップもありました。これも何か微妙に違うような気がしましたw

「日本庭園を描いたペンダントクリップ」
掛け軸のような枠のある長方形の宝飾作品。宝石で家屋や富士山のような山、松などが描かれています。特に植物と屋根が鮮やかで美しかったです。こうした細かく絵画的な表現が出来るのがヴァン クリーフ&アーペルならではなのかもしれません。

<第4章 インカーネーション(美の化身)> ★こちらで観られます
このケースは作品というより宝飾品を身につけていた女性達が主役のコーナーでした。グレース・ケリー、マリア・カラス、マレーネ・ディートリッヒ、バーバラ・ハットンといった王室、歌手、女優、富豪の女性を飾った品々が展示されていました。
このコーナーの面白いのが、展示ケースの前に行くとランプがつく展示方法です。この光で鑑賞者がガラスに反射して映りこみ、中の展示物を身につけて鏡面に映っているように見える仕組みになっていました。女性はティアラや耳飾をつけた姿を観ることが出来て面白いと思います。男の私は自重しましたw また、レンズをつかって立体に浮かび上がるように見える展示方法もあり、単に綺麗に見せるだけでなく工夫が見られる展示となっていました。


ということで、豪華絢爛で輝きに満ちた中に、一流のデザインを観ることのできる素晴らしい展示でした。こういう展示を沢山観ていくと普段のアクセサリーへのセンスも身に付くんじゃないかな。(多分w) なお、展覧会の記念限定ジュエリーも買えるようです。このブランドが好きな方はチェックしてみては如何でしょうか。

この後、森美術館に「医学と芸術展」を観にいきました。レオナルドダビンチの素描などもある展示でした。次回はそれをご紹介します。
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