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《ロイ・リキテンスタイン》 作者別紹介

今日は作者別紹介で、アメリカのポップアートの代表の1人であるロイ・リキテンスタインについて取り上げます。ロイ・リキテンスタインは漫画など大衆文化を取り入れたクールでドライな作風で、その多くは白と黒の無彩色と、赤、青、黄の三原色だけで描かれていて(時折 茶と緑も使われる)、太い輪郭や印刷の網点など新聞に掲載された漫画の様式を用いています。1960年代に活躍し、展覧会で紹介されるのはほぼこの時期の作品です。今日はちょっと点数が少なめですが、過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

ロイ・リキテンスタインは1923年のニューヨーク生まれで、ユダヤ系の家に生まれました。1940年にはオハイオ州立大学美術学部に入ってファインアートを専攻しましたが、途中で兵役があり1949年に修士号を修めています。卒業後は講師となるなど割と手堅い経歴となっているようです。1951年に初個展を開いているものの1950年代はグラフィック・デザイナーや講師として活動していたようで、画家に転身してからも抽象表現主義の作風で後の画風とはだいぶ異なるようです(私はこの時代の作品を観たことがありません) 転機となったのは1960年代初頭で、1962年のレオ・キャステリ画廊での初個展で代名詞的なコミック風の画風の作品を発表し注目を浴びました。勿論 厳しい批判にも晒されましたが、同じ時期にアンディ・ウォーホルがシルクスクリーンを使った大量コピーの技法を確立するなど、大量生産・大量消費の時代に相応しいアメリカンポップアートとして認知されていきました。

ロイ・リキテンスタイン 「夢想(版画集『11人のポップ・アーティスト』第2巻より)」
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こちらは1965年のシルクスクリーンの作品。「THE MELODY HAUNTS MY REVERIE」と歌っているのはホーギー・カーマイケルが1927年に発表したジャズのスタンダード・ナンバー「スターダスト」の歌詞の一部で、1929年にミッチェル・パリッシュによって歌詞が付けられました。メロディーは私の夢想に取り付いている といった意味でしょうか。リキテンスタインは音楽も好きだったのでその敬意が感じられます。漫画のように吹き出しが付いているのもリキテンスタインの作品によく出てくる特徴かな。

アップにするとこんな感じ。
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この網点が最も分かりやすい特徴ではないかと思います。色は白・黒・赤・青・黄のみとなっていて、色彩としてはモンドリアンと共通するとされることもあります。印象派の筆触分割や新印象主義の点描の進化系と捉える解説も聞いたことがあるので、確かにそういった面もありそうです。

ロイ・リキテンスタイン 「泣く少女」
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こちらは1963年のオフセットリトグラフ作品。こちらも同じ手法で網点で表現されています。セリフが無いけどドラマ性を感じるかな。リキテンスタインの作品はコミック風なので、何かの話の一部のように思えてきますw

リキテンスタインは金髪の美女をよくモチーフにしています。他にヒーローものや戦車なども多いかな。

ロイ・リキテンスタイン 「鏡の中少女」
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こちらは1964年の作品。手鏡の中に笑顔の少女が映るというのは浮世絵にもある構図ですが、西洋絵画の「ヴァニタス(虚栄)」の寓意の伝統に連なっているようです。ちょっと怖い表情で自分に酔っているのかも。漫画の要素だけでなく古典に通じるものがあるのは しっかり美術を学んだ賜物でしょうね。

ちなみに、リキテンスタインと同じくレオ・キャステリ画廊と契約していたウォーホルもコミックをモチーフにした作品を制作していたようですが、リキテンスタインの個展を観てコミックモチーフから手を引いたのだとか。

ロイ・リキテンスタイン 「筆触」
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こちらは1965年のシルクスクリーンの作品。タイトルを観ても何のこっちゃ?女の子の髪の毛か?という感じですが、抽象表現主義にはブラッシュ・ストロークという筆の流れを強調する波状の表現方法があり、リキテンスタインも晩年に「ブラッシュ・ストローク」という彫刻作品を作っています。かつては抽象表現主義の画風だったのでそれと関連があるのではないか?とも思うんですが、実際のところは謎です。

ちなみにリキテンスタインはコミック風の画風以降も色々と試していたようですが、ほとんど観たことがありません。モネ展で観た「日本の橋のある睡蓮」が1992年の作品だったかな。日本で紹介されるのはほとんどが1960年代の作品となります。

ロイ・リキテンスタイン 「ピカソのある静物(版画集『ピカソ讃』より)」
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こちらは1973年のシルクスクリーン作品。先述のモネの睡蓮もそうですが、リキテンスタインは巨匠をオマージュした作品が多々あり これはピカソの作品を模しています。網点は黒だけで、他は輪郭と色面のみというこれまでの作品とは異なる作風に思えます。こうした時代の作品は日本では観る機会も少ないのであまり画風の変遷を辿れないのが残念


ということで、リキテンスタインは有名な割には紹介されるのはごく僅かな期間の作品が大半となっているように思います。実際にはもっと色々な画風があるようなので、いずれ時系列で観られる展覧会が開催されてほしいものです。ちなみに日本にあるコレクションで一番有名なのは東京都現代美術館の「ヘアリボンの少女」かな。

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