《ユベール・ロベール》 作者別紹介
今日は作者別紹介で、18世紀半ばから19世紀初頭に活躍し「廃墟のロベール」や「庭園のロベール」と呼ばれたフランスの画家ユベール・ロベールを取り上げます。ユベール・ロベールは若い頃にイタリアで修行し、遺跡などを実際に目にして描いていました。折しもイタリアではポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いていたこともあり、古代遺跡への世間の関心も高かったようです。帰国してからもイタリアで観た遺跡を自在に組み合わせて描き 高い評価を得ていました。また、ルイ16世の命を受け庭園の制作に携わり、その方面でも功績を上げています。フランス革命の際には死刑判決を受けましたが、運良く釈放されその後はルーヴル美術館の設立に関わり委員会に参加しました。こうした功績のためかフランスではあちこちの美術館で観ることができることができる画家です。日本ではそれほど知名度は高くないとは思いますが、2012年の国立西洋美術館での大規模展示や廃墟をテーマにした展示で観る機会が増えてきたように感じます。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。
ユベール・ロベールは1733年に公爵の侍従の息子としてパリで生まれました。最初は彫刻を学んだようですが画家に転向し、1754年に公爵の息子がイタリアに大使として赴任した際に随行して、ローマで11年間を過ごします。
ユベール・ロベール 「La Blanchisserie」

こちらは1758~1759年頃のイタリア時代の作品。ちょっと何を題材にしているか分かりませんが、この後ご紹介する作品と比べるとだいぶ作風が異なって観えます。何かの物語だと思うけど身振りが大きくドラマチックな雰囲気で、明暗も強めに感じます。
ロベールはフランスの国費留学生たちとともに、フランス・アカデミーでの寄宿と勉強が許され、絵画を学びました。クロード・ロランやジョヴァンニ・パオロ・パニーニ、ピラネージなどから影響を受けているようです。
ユベール・ロベール 「Troupeau dans la grotte de pausilippe」

こちらもイタリア時代の1760年の作品で、日本語にすると「ポジリッポの洞窟の中の群れ」でしょうか。ポジリッポはナポリの景勝地で、1760年代のナポリ周辺では重要な考古学的発見が続いていました。薄暗く神秘的で ちょっと象徴主義のような雰囲気すらあります。こうした神秘性はこの後のロベールのテーマになっていったように思えます。
イタリア時代のロベールは、古代遺跡や教会建築ばかりではなく、郊外で半ば打ち捨てられた16~17世紀のヴィラ(上流階級の邸宅)の庭園なども重要なモティーフだったようです。仲間たちとともにローマから足を伸ばしてイタリア各地でスケッチをしたそうで、ロココの巨匠のジャン=オノレ・フラゴナールと連れ立ってローマ近郊の景勝地でスケッチしたこともあったようです。2人は主題や様式も近くしばしば混同されることもあったのだとかw
ユベール・ロベール 「Ruines romaines,le Forum avec le Colisee et l'Obelisque」

こちらは1765年の作品。ローマ遺跡のコロッセオとオベリスクを描いています。美しく理想化されたような世界で、人々がのんびりしている様子も観られます。ユベール・ロベールの特徴が詰まったような感じかな。ではこれは何処か?となると恐らく建物を組み合わせて描いているのだと思います。一見緻密で写実的に思えますが、実景には拘っていなかったようで、奇想画(カプリッチョ)などと呼ばれることもあります。
11年間のイタリア滞在の後、ロベールは1765年にフランスに帰国し、翌年には王立絵画彫刻アカデミーへの入会を許されました。イタリアでの修行の成果を発表してサロンでも成功を収めるなど順風満帆な画家生活だったようで、ルーブル宮の中で絵画コレクションの管理などをしながら人気画家の地位を確かにしていきました。
左:ユベール・ロベール 「古代遺物の発見者たち」
右:ユベール・ロベール 「アルカディアの牧人たち」

左は1765年、右は1789年の作品です。左は暗いトンネル状の遺跡の中を描いていて、火を持った人が蛮族の王の像を照らし遺跡愛好家がそれを眺めています。奥にあるトンネルの入口あたりは明るく、遺跡を眺めている人もいます。外にはピラミッドのような建物も観えるかな。遺跡の中は暗く明暗が強めで神秘的な雰囲気があり、まだ下に続く階段があるようです。これはローマのコロッセオの回廊に着想を得て想像で描いたものなのだとか。
右は古代の理想郷アルカディアを想像して描いたもので、故郷とイタリアの風景を折衷していて奥には渓谷と神殿を描いています。手前には川辺で墓を指さしている子供や女性、羊などが描かれているのですが、この墓はロベールが手がけた哲学者のジャン=ジャック・ルソーの墓を思い起こさせるようです。全体的に明るく神話的な雰囲気の理想郷といった感じですが、墓は理想郷にも死はあるという意味が込められているのだとか。
ロベールはこうしたイタリア時代の思い出の古代遺跡を自在に組み合わせた想像の風景を作り上げ、「廃墟のロベール」と呼ばれました。そこに庶民の生活を描き込むことで風景とのコントラストを生み出すのも特徴となっています。
左:ユベール・ロベール 「Passage d'un troupeau devant le Colisée et l'Arc de Constantin à Roma」
右:ユベール・ロベール 「L'Abereuvoir dans une galerie antique en ruines」

両方とも1770年の作品。いずれもここまで挙げてきたユベール・ロベールの特徴が見事に詰まった感じかなw 左の絵で門の上に立っている像はタイトルから察するにコンスタンティヌス1世でしょうか。かつてのローマの繁栄と牛を連れた一行ののんびりとした光景が同居する面白い風景です。右の絵も神像の下の泉で休んで牛も水を飲もうとしている様子となっていて、一種の理想郷のような光景です。
大体は幸福な人生だったロベールですが、4人の子供が次々と死ぬという悲劇も味わったそうです。フランス革命もあったし苦労もしてそうですね。
ユベール・ロベール 「サン=ドニ教会の内部」

こちらは1770~1774年頃の作品で、ゴシック様式の大きな教会の内部を描いています。大きな円柱を中心に、右は奥に続く階段がやや暗めに描かれ、左はガラスの窓から明るい光が差し込んでいる様子となっています。その手前の礼拝堂なども暗めに描かれているなど、陰影が劇的な雰囲気ですね。
ユベール・ロベール 「Le Temple antique」

こちらは1783~1785年頃の作品で、古代の神殿の内部を描いています。こちらも陰影が強く、円柱の存在が目を引きます。こうした光の使い方もユベール・ロベールの特徴の1つと言えそうです。
ロベールは社交的でラテン語も理解するインテリだったそうです。宮廷で活躍した50代半ばのこの頃が画家として最も輝いていた時期となります。
左:ユベール・ロベール 「モンテ・カヴァッロの巨像と聖堂の見える空想のローマ景観」
右:ユベール・ロベール 「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」

こちらはいずれも1786年の作品で、国立西洋美術館の所蔵品です。よく新館に向かう通路に対になって展示されているので観たことがある方も多いかも。いずれも実際には別々の場所にある古代の有名なモニュメントが組み合わされていて、実景のようなリアリティを持ちつつ奇想の風景となっています。ユベール・ロベールの名声はロシアにも届いていたようで、1782年と1791年にロシアの女帝エカテリーナから招きを受けています。実際にはロシアには赴くことはなかったようですが、数多くの作品を送っていて この2枚もそうしたロシア貴族の旧蔵品の一部かもしれないと考えられています。
ユベール・ロベールはルイ16世の命で庭園制作も行っています。当時のフランスではそれまでの幾何学式庭園に代わって、「自然らしさ」を求める風景式庭園がイギリスから広まりつつありました。ユベール・ロベールはこの流れの庭園デザインの世界でも名を残していて、まさに絵のような眺めを作り上げ「国王の庭園デザイナー」という称号を得ました。そして1789年頃には画家としても庭園デザイナーとしても絶頂期を迎えます。
参考までにヴェルサイユ宮殿の庭の写真。

ユベール・ロベールはヴェルサイユ宮殿の再整備計画で庭園の指揮を取っていて、人工の洞窟にアポロンなどの彫像などを置きました。
そんな絶頂期のユベール・ロベールでしたが、1789年にフランス革命が起きて投獄の憂き目にあっています。
ユベール・ロベール 「メレビル庭園の眺め」

こちらは制作年不詳の作品。ここではメレヴィル庭園という庭園を描いていて、まるで神話の世界のようにも見えます。この庭はフランスで最初期の英国式庭園でロベールが造園を指揮しました。谷間のような岩場に2つの岩が置かれ、その奥には滝があります。そして両岸に渡る木の橋や小屋もあり、その脇には遊んでいる子供の姿も描かれています。奥には神殿風の乳製品加工所もあるそうで、自然と古代を賛美したような造園となっているようです。
なお、この庭園は10年かけて作られたそうです。先に想像で見本の絵を描いて、それを元に造園されると、またその光景を絵に描いていたそうです。しかし、この庭は革命後に廃墟にされて破壊が進んだのだとか
ユベール・ロベール 「Grande galerie en ruinens」

こちらは1794年の作品。1793年11月に逮捕され10か月間収監されていたので、その直後あたりでしょうか?? 描かれているのは遺跡で、全くブレないw フランス革命の後でも己の芸術を貫いている様子が伺えますね。
ユベール・ロベールは獄中でも50点以上の絵画を描いたようです。中には皿に描いた作品もあり、格子のある通路をたくさんの囚人たち歩く様子を描いた皿を観たことがあります。(これは看守を通じて売り払われイギリスに売れたようです) また、ロベールは処刑寸前の危機的状況だったようですが、その際に別人のロベールが呼ばれて助かったというエピソードもあります。
ユベール・ロベール 「Vue imaginaire de la Grande Galerie du Louvre en ruines」

こちらは1796年の作品でルーヴル美術館の所蔵品です。この絵もユベール・ロベールらしさが詰まった1枚じゃないかと思います。ユベール・ロベールはアーチの中から景色を覗く構図もよく見受けられますが、これはピラネージからの影響のようです。
釈放後もユベール・ロベールは活動を続け、ルーブル美術館の設立委員会の委員に任命され美術館の装飾の仕事をしています。
ユベール・ロベール 「Le Printemps」

こちらは晩年の1803年の作品。これも神話の中の風景のように観えますね。若干、画風が変わったようにも思えますが最後までブレない画家でした。1808年75歳で亡くなっています。
ということで、遺跡を組み合わせた廃墟の絵が特徴となっています。廃墟好きの心をくすぐるような作風なので今後も人気が高まって行くんじゃないかな? 意外と観る機会もあるので覚えておきたい個性派だと思います。
参考記事:
ユベール・ロベール-時間の庭 感想前編(国立西洋美術館)
ユベール・ロベール-時間の庭 感想後編(国立西洋美術館)
ユベール・ロベールは1733年に公爵の侍従の息子としてパリで生まれました。最初は彫刻を学んだようですが画家に転向し、1754年に公爵の息子がイタリアに大使として赴任した際に随行して、ローマで11年間を過ごします。
ユベール・ロベール 「La Blanchisserie」

こちらは1758~1759年頃のイタリア時代の作品。ちょっと何を題材にしているか分かりませんが、この後ご紹介する作品と比べるとだいぶ作風が異なって観えます。何かの物語だと思うけど身振りが大きくドラマチックな雰囲気で、明暗も強めに感じます。
ロベールはフランスの国費留学生たちとともに、フランス・アカデミーでの寄宿と勉強が許され、絵画を学びました。クロード・ロランやジョヴァンニ・パオロ・パニーニ、ピラネージなどから影響を受けているようです。
ユベール・ロベール 「Troupeau dans la grotte de pausilippe」

こちらもイタリア時代の1760年の作品で、日本語にすると「ポジリッポの洞窟の中の群れ」でしょうか。ポジリッポはナポリの景勝地で、1760年代のナポリ周辺では重要な考古学的発見が続いていました。薄暗く神秘的で ちょっと象徴主義のような雰囲気すらあります。こうした神秘性はこの後のロベールのテーマになっていったように思えます。
イタリア時代のロベールは、古代遺跡や教会建築ばかりではなく、郊外で半ば打ち捨てられた16~17世紀のヴィラ(上流階級の邸宅)の庭園なども重要なモティーフだったようです。仲間たちとともにローマから足を伸ばしてイタリア各地でスケッチをしたそうで、ロココの巨匠のジャン=オノレ・フラゴナールと連れ立ってローマ近郊の景勝地でスケッチしたこともあったようです。2人は主題や様式も近くしばしば混同されることもあったのだとかw
ユベール・ロベール 「Ruines romaines,le Forum avec le Colisee et l'Obelisque」

こちらは1765年の作品。ローマ遺跡のコロッセオとオベリスクを描いています。美しく理想化されたような世界で、人々がのんびりしている様子も観られます。ユベール・ロベールの特徴が詰まったような感じかな。ではこれは何処か?となると恐らく建物を組み合わせて描いているのだと思います。一見緻密で写実的に思えますが、実景には拘っていなかったようで、奇想画(カプリッチョ)などと呼ばれることもあります。
11年間のイタリア滞在の後、ロベールは1765年にフランスに帰国し、翌年には王立絵画彫刻アカデミーへの入会を許されました。イタリアでの修行の成果を発表してサロンでも成功を収めるなど順風満帆な画家生活だったようで、ルーブル宮の中で絵画コレクションの管理などをしながら人気画家の地位を確かにしていきました。
左:ユベール・ロベール 「古代遺物の発見者たち」
右:ユベール・ロベール 「アルカディアの牧人たち」

左は1765年、右は1789年の作品です。左は暗いトンネル状の遺跡の中を描いていて、火を持った人が蛮族の王の像を照らし遺跡愛好家がそれを眺めています。奥にあるトンネルの入口あたりは明るく、遺跡を眺めている人もいます。外にはピラミッドのような建物も観えるかな。遺跡の中は暗く明暗が強めで神秘的な雰囲気があり、まだ下に続く階段があるようです。これはローマのコロッセオの回廊に着想を得て想像で描いたものなのだとか。
右は古代の理想郷アルカディアを想像して描いたもので、故郷とイタリアの風景を折衷していて奥には渓谷と神殿を描いています。手前には川辺で墓を指さしている子供や女性、羊などが描かれているのですが、この墓はロベールが手がけた哲学者のジャン=ジャック・ルソーの墓を思い起こさせるようです。全体的に明るく神話的な雰囲気の理想郷といった感じですが、墓は理想郷にも死はあるという意味が込められているのだとか。
ロベールはこうしたイタリア時代の思い出の古代遺跡を自在に組み合わせた想像の風景を作り上げ、「廃墟のロベール」と呼ばれました。そこに庶民の生活を描き込むことで風景とのコントラストを生み出すのも特徴となっています。
左:ユベール・ロベール 「Passage d'un troupeau devant le Colisée et l'Arc de Constantin à Roma」
右:ユベール・ロベール 「L'Abereuvoir dans une galerie antique en ruines」


両方とも1770年の作品。いずれもここまで挙げてきたユベール・ロベールの特徴が見事に詰まった感じかなw 左の絵で門の上に立っている像はタイトルから察するにコンスタンティヌス1世でしょうか。かつてのローマの繁栄と牛を連れた一行ののんびりとした光景が同居する面白い風景です。右の絵も神像の下の泉で休んで牛も水を飲もうとしている様子となっていて、一種の理想郷のような光景です。
大体は幸福な人生だったロベールですが、4人の子供が次々と死ぬという悲劇も味わったそうです。フランス革命もあったし苦労もしてそうですね。
ユベール・ロベール 「サン=ドニ教会の内部」

こちらは1770~1774年頃の作品で、ゴシック様式の大きな教会の内部を描いています。大きな円柱を中心に、右は奥に続く階段がやや暗めに描かれ、左はガラスの窓から明るい光が差し込んでいる様子となっています。その手前の礼拝堂なども暗めに描かれているなど、陰影が劇的な雰囲気ですね。
ユベール・ロベール 「Le Temple antique」

こちらは1783~1785年頃の作品で、古代の神殿の内部を描いています。こちらも陰影が強く、円柱の存在が目を引きます。こうした光の使い方もユベール・ロベールの特徴の1つと言えそうです。
ロベールは社交的でラテン語も理解するインテリだったそうです。宮廷で活躍した50代半ばのこの頃が画家として最も輝いていた時期となります。
左:ユベール・ロベール 「モンテ・カヴァッロの巨像と聖堂の見える空想のローマ景観」
右:ユベール・ロベール 「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」

こちらはいずれも1786年の作品で、国立西洋美術館の所蔵品です。よく新館に向かう通路に対になって展示されているので観たことがある方も多いかも。いずれも実際には別々の場所にある古代の有名なモニュメントが組み合わされていて、実景のようなリアリティを持ちつつ奇想の風景となっています。ユベール・ロベールの名声はロシアにも届いていたようで、1782年と1791年にロシアの女帝エカテリーナから招きを受けています。実際にはロシアには赴くことはなかったようですが、数多くの作品を送っていて この2枚もそうしたロシア貴族の旧蔵品の一部かもしれないと考えられています。
ユベール・ロベールはルイ16世の命で庭園制作も行っています。当時のフランスではそれまでの幾何学式庭園に代わって、「自然らしさ」を求める風景式庭園がイギリスから広まりつつありました。ユベール・ロベールはこの流れの庭園デザインの世界でも名を残していて、まさに絵のような眺めを作り上げ「国王の庭園デザイナー」という称号を得ました。そして1789年頃には画家としても庭園デザイナーとしても絶頂期を迎えます。
参考までにヴェルサイユ宮殿の庭の写真。

ユベール・ロベールはヴェルサイユ宮殿の再整備計画で庭園の指揮を取っていて、人工の洞窟にアポロンなどの彫像などを置きました。
そんな絶頂期のユベール・ロベールでしたが、1789年にフランス革命が起きて投獄の憂き目にあっています。
ユベール・ロベール 「メレビル庭園の眺め」

こちらは制作年不詳の作品。ここではメレヴィル庭園という庭園を描いていて、まるで神話の世界のようにも見えます。この庭はフランスで最初期の英国式庭園でロベールが造園を指揮しました。谷間のような岩場に2つの岩が置かれ、その奥には滝があります。そして両岸に渡る木の橋や小屋もあり、その脇には遊んでいる子供の姿も描かれています。奥には神殿風の乳製品加工所もあるそうで、自然と古代を賛美したような造園となっているようです。
なお、この庭園は10年かけて作られたそうです。先に想像で見本の絵を描いて、それを元に造園されると、またその光景を絵に描いていたそうです。しかし、この庭は革命後に廃墟にされて破壊が進んだのだとか
ユベール・ロベール 「Grande galerie en ruinens」

こちらは1794年の作品。1793年11月に逮捕され10か月間収監されていたので、その直後あたりでしょうか?? 描かれているのは遺跡で、全くブレないw フランス革命の後でも己の芸術を貫いている様子が伺えますね。
ユベール・ロベールは獄中でも50点以上の絵画を描いたようです。中には皿に描いた作品もあり、格子のある通路をたくさんの囚人たち歩く様子を描いた皿を観たことがあります。(これは看守を通じて売り払われイギリスに売れたようです) また、ロベールは処刑寸前の危機的状況だったようですが、その際に別人のロベールが呼ばれて助かったというエピソードもあります。
ユベール・ロベール 「Vue imaginaire de la Grande Galerie du Louvre en ruines」

こちらは1796年の作品でルーヴル美術館の所蔵品です。この絵もユベール・ロベールらしさが詰まった1枚じゃないかと思います。ユベール・ロベールはアーチの中から景色を覗く構図もよく見受けられますが、これはピラネージからの影響のようです。
釈放後もユベール・ロベールは活動を続け、ルーブル美術館の設立委員会の委員に任命され美術館の装飾の仕事をしています。
ユベール・ロベール 「Le Printemps」

こちらは晩年の1803年の作品。これも神話の中の風景のように観えますね。若干、画風が変わったようにも思えますが最後までブレない画家でした。1808年75歳で亡くなっています。
ということで、遺跡を組み合わせた廃墟の絵が特徴となっています。廃墟好きの心をくすぐるような作風なので今後も人気が高まって行くんじゃないかな? 意外と観る機会もあるので覚えておきたい個性派だと思います。
参考記事:
ユベール・ロベール-時間の庭 感想前編(国立西洋美術館)
ユベール・ロベール-時間の庭 感想後編(国立西洋美術館)
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