《ギュスターヴ・クールベ》 作者別紹介
今日は作者別紹介で、19世紀中盤頃に活躍した写実主義の画家ギュスターヴ・クールベを取り上げます。クールベの生きた時代は歴史画(宗教画)が最も権威があり、神話や聖人などを描くのが是とされていましたがクールベは「羽根の生えた天使なんて観たことが無い」と言って自然の風景や同時代の人物などを描き「レアリスム宣言」を行いました。また、歴史画にのみ許されていた大画面の作品に風景画を持ち込み、当時は存在しなかった個展を開催し、レズビアン達の裸体を描くなど様々な革新を起こし「反逆児」の異名で語られます。写実主義や同時代の事物を描くという姿勢は近代絵画の方向性として非常に重要で、後進の画家たちに決定的な影響を与えました。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。
クールベはスイス国境近い街で生まれ、神学校を出た後に父親の意向でソルボンヌ大学の法学部に入学していたそうです。絵画については新古典主義のダヴィッドの流れを組む画家フラジューロに師事していたというのが意外な所です。やがてパリに出て画家を目指し、アカデミーシュイスにも通い、ルーブル美術館で巨匠たちの古典を模写するようになったようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Autoportrait au chien noir」

こちらは1844年(25歳頃)の作品で、日本語にすると「黒い犬を連れた自画像」となります。1842年に描かれた後に1844年に修正され、同年のサロンで初入選しています。クールベのイメージのせいか、こちらを睥睨しているような表情に見えるかなw デビューとしてはかなり遅かったようですが自信家の雰囲気が出ているように思います。
クールベは1846年~47年頃にオランダやベルギーを旅行し、レンブラントやフランス・ハルスなども学んだようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Les Amants dans la camagne, sentiments du jeune âge」

こちらも1844年の作品で、日本語にすると「田舎の恋人、若かりし頃の気持ち」といった感じでしょうか。若い男女が寄り添っていて夢想的でロマンチックな雰囲気に思えます。この頃から現実的なものを描いていますが、若干後の時代の画風とは異なっているように思えます。
1849年にサロンに出品された「オルナンの食後」はドミニク・アングルやドラクロワに高い評価を得て、ドラクロワは「新人が出た、革命者が現れた」とまで絶賛しました。そのため、国家買い上げとなり それ以降のクールベ作品は無審査でサロンに出品できるようになったようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Pompiers courant à un incendie」

こちらは1851年の作品で、日本語にすると「火事に駆けつける消防士」となります。火事現場が目の前に広がるようなリアリティがあるけど、こんな場面を絵の題材にしているのはこれより前の時代にはあまり無いのでは?? 騒然とした中で割と無関係そうな男女がいたりするのも現実感ありますね。
この絵と同時期の1850~51年にサロンで「オルナンの埋葬」という大作を発表しますが、これはかなり批判されて問題作とされました。クールベの故郷オルナンでの葬儀の様子を描いたのですが、巨大なサイズのキャンバスは宗教画を描くのが一種のルールで それを破った上に 人物の身なりやポーズも現実的過ぎて絵画に相応しくないと考えられたようです。まあ当時主流の新古典主義のような神聖性も無ければロマン派のようなドラマチックな雰囲気も無いので、みすぼらしく観えたのかも知れません。しかし写実主義のスタイルを支持する人達もいて、新しい潮流となっていきました。ちなみに同時期に活躍した画家にバルビゾン派のミレーなどがいます。「種まく人」は「オルナンの埋葬」と同じ年の作品で、クールベと同様に社会の現実を描いています。
ギュスターヴ・クールベ 「Les Demoisellers des bords de la seine」

こちらは1857年の作品で、日本語にすると「セーヌ河畔の若い娘たち」となります。昼寝しているようでこちらをチラっと観る仕草に色気を感じます。この2人は売春婦とされていて、ちょっと納得。同時代の女性の下着姿がけしからんと これも当時の批評家にはショックだったようです。
この2年前の1855年にパリ万国博覧会があり、アングルやドラクロワは華々しく特別室が設けられた訳ですが、クールベは「オルナンの埋葬」や「画家のアトリエ」などの出品を拒否されています。そこでクールベは板で作った個展会場を設けて自作を一般公開しました。入場者は少なく、観客の評判も芳しくなかったようですが、これが個展の発祥とされています。また、この個展の目録で「レアリスム宣言」を掲げ、「生きた芸術(アール・ヴィヴァン)を作りたい」とし、「芸術の世界は失望せり」と失意も漏らしています。こうして一見すると失敗に終わった個展ですが、マネを始めとした後進の画家たちを大いに刺激することになりました(サロンで拒否→自分で開催の流れはまんま印象派と同じですね)
ギュスターヴ・クールベ 「眠れる裸婦」

こちらは1858年の作品。理想化されていない現実なのでしどけない雰囲気がw 裸婦が寝ている部屋を覗き見したような感じでしょうか。赤と緑の背景のせいか白いベッドと裸婦に存在感があるように思います。
この辺りから1860年代は特にエロティックで過激な作品が多いように思います。
ギュスターヴ・クールベ 「罠にかかった狐」

こちらは1860年の作品。1860年代以降はこうした狩猟の光景を描いていて、次第に人気を博するようになっていきました。痛そうな狐のリアルな表情も見事ですが、パレットナイフを使って描いた雪の質感が大胆かつ緻密に感じられます。
クールベは動物・狩猟に関する作品も多く、国内でもよく目にする機会があります。クールベ自身の趣味が狩猟だったこともあり、臨場感が感じられます。
ギュスターヴ・クールベ 「Pierre-Joseph Proudhon et ses enfants en 1853」

こちらは1865年の作品で、無政府主義の父とも呼ばれるピエール・ジョセフ・プルードンとその子供たちを描いています。やや悩ましげな感じがしますが、子どもたちは無邪気な感じ。実際にはこの人はナポレオンや国家を批判した罪で何度も投獄された後のようですが、割と穏やかな光景に思えるかな。親子の対比具合が面白い。
クールベ自身も政治的に左寄りで、晩年まで左翼活動にも従事しています。活動家からも一種のアイコンのようになっていたようで、絵画での反骨ぶりはそういう所から来ているのかも知れませんね。
ギュスターヴ・クールベ 「マドモアゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド」

こちらは1865年の作品。やや強い眼差しで端正な雰囲気で、古代風の髪型などと共に気品が感じられます。それでも理想化はしていない感じで、割とタッチは粗めかな。
クールベは「女神がお望みならまずそれを連れて来て欲しい」と言っていたようで、目に見えないものは描かないという主義でした。クールベの作風が詰まったような名言です。
ギュスターヴ・クールベ 「Le Sommeil」

こちらは1866年の作品で、邦題は「眠り」「2人の友達同士」「怠惰と情欲」などと呼ばれるようです。レズビアンの裸婦を描いたもので、LGBTが活発に議論されるようになった昨今においても過激な題材に思えます。身をくねらせて密着する様子が何ともw
この他にも「世界の起源」という女性器を大写しにした作品などエロティックで挑戦的な絵をいくつか残しています。裸婦は美しく神聖に描いていた前時代とは真逆のアプローチで、スキャンダラスな過激さが特徴となっています。
ギュスターヴ・クールベ 「肌ぬぎの女」

こちらは1867年の作品。もう過激さに慣れて この位なんてこと無く思えますねw 詳しいことは分かりませんがやつれた感じもして娼婦でしょうか。クールベの女性像は内面性も滲み出ているように思えます。
ギュスターヴ・クールベ 「La sieste pendant la saison des foins」

こちらは1868年の作品で、日本語にすると「干し草の季節の昼寝」となります。のんびりした光景が広がり、色合いも爽やかです。クールベの風景画は当時の暮らしを感じさせるものが多いかも。
ギュスターヴ・クールベ 「もの思うジプシー女」

こちらは1869年の作品。じっと物思いに耽っていて神秘性を感じます。女性の周りだけモヤッと白くなっているので非常に目を引きますね。
ギュスターヴ・クールベ 「波、夕暮れにうねる海」

こちらも1869年の作品で、クールベがよく描いた波をモチーフにしています。エトルタの海の波で、力強く波濤の音まで聞こえそうなほどのリアリティです。クールベは葛飾北斎の「富岳三十六景」(1835年)の荒波の表現に強く揺さぶられたとも言われ、この絵でもその影響が伺えるようです。一方、近代絵画の父と呼ばれるセザンヌは、パレットナイフで厚塗りする技法をクールベから影響を受けたとされます。この波の絵1枚にも絵画の歴史が込められているんですね。
クールベは山育ちだったので、海は長い間 未知の世界だったようです。1860年代後半から海をテーマにした作品に本格的に取り掛かっています。1869年の夏に訪れたエトルタは英仏海峡に面したノルマンディーの小さな漁村で、エトルタの断崖は後にモネなども描いています。
ギュスターヴ・クールベ 「波」

こちらは1870年の作品。さっきの作品とそっくりですが、似たような絵は結構あります。絵筆とペインティングナイフで質感を描き分けていて、波の崩れる一瞬を見事にあらわしています。空模様も臨場感あって実際に目の当たりにしているような感じですね。
クールベは1870年に起きたパリ・コミューンに参加し、ヴァンドーム広場の円柱破壊事件の責任を問われて逮捕されました。(本人は壊すのではなく移動を提案していたようです。参加も一時的だったので罪は比較的軽めでした) 1872年には出所したものの支払不能な円柱再建費用を請求されるのを避けて1873年にスイスに亡命しています。
ギュスターヴ・クールベ 「狩猟者のいる風景」

これは1873年のスイス亡命直前に故郷オルナンを描いたもので、明るく豊かな自然の風景となっています。2頭の鹿とそれを狙うハンターの姿に緊張感がありますが、爽やかな印象のほうが強いかな。とても亡命するような状況で描かれたとは思えないくらい平和な光景です。
ギュスターヴ・クールベ 「馬小屋」

最後に同じく1873年の作品。馬が草を食む様子が長閑です。クールベの自然や動物を描いた作品は普遍的なものを感じますね。
クールベは1877年に亡命先のスイスで亡くなりました。時代を切り開いた芸術家だっただけに批判も多く、まさに反逆児と言える生涯でした。
ということで、当時は軋轢が多く数多くの困難がありましたが、それ故に多くの革新を起こし今となっては非常に重要な画家となっています。国内でも観る機会が多い画家なので、その業績を詳しく知っておくと一層に楽しめると思います。
クールベはスイス国境近い街で生まれ、神学校を出た後に父親の意向でソルボンヌ大学の法学部に入学していたそうです。絵画については新古典主義のダヴィッドの流れを組む画家フラジューロに師事していたというのが意外な所です。やがてパリに出て画家を目指し、アカデミーシュイスにも通い、ルーブル美術館で巨匠たちの古典を模写するようになったようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Autoportrait au chien noir」

こちらは1844年(25歳頃)の作品で、日本語にすると「黒い犬を連れた自画像」となります。1842年に描かれた後に1844年に修正され、同年のサロンで初入選しています。クールベのイメージのせいか、こちらを睥睨しているような表情に見えるかなw デビューとしてはかなり遅かったようですが自信家の雰囲気が出ているように思います。
クールベは1846年~47年頃にオランダやベルギーを旅行し、レンブラントやフランス・ハルスなども学んだようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Les Amants dans la camagne, sentiments du jeune âge」

こちらも1844年の作品で、日本語にすると「田舎の恋人、若かりし頃の気持ち」といった感じでしょうか。若い男女が寄り添っていて夢想的でロマンチックな雰囲気に思えます。この頃から現実的なものを描いていますが、若干後の時代の画風とは異なっているように思えます。
1849年にサロンに出品された「オルナンの食後」はドミニク・アングルやドラクロワに高い評価を得て、ドラクロワは「新人が出た、革命者が現れた」とまで絶賛しました。そのため、国家買い上げとなり それ以降のクールベ作品は無審査でサロンに出品できるようになったようです。
ギュスターヴ・クールベ 「Pompiers courant à un incendie」

こちらは1851年の作品で、日本語にすると「火事に駆けつける消防士」となります。火事現場が目の前に広がるようなリアリティがあるけど、こんな場面を絵の題材にしているのはこれより前の時代にはあまり無いのでは?? 騒然とした中で割と無関係そうな男女がいたりするのも現実感ありますね。
この絵と同時期の1850~51年にサロンで「オルナンの埋葬」という大作を発表しますが、これはかなり批判されて問題作とされました。クールベの故郷オルナンでの葬儀の様子を描いたのですが、巨大なサイズのキャンバスは宗教画を描くのが一種のルールで それを破った上に 人物の身なりやポーズも現実的過ぎて絵画に相応しくないと考えられたようです。まあ当時主流の新古典主義のような神聖性も無ければロマン派のようなドラマチックな雰囲気も無いので、みすぼらしく観えたのかも知れません。しかし写実主義のスタイルを支持する人達もいて、新しい潮流となっていきました。ちなみに同時期に活躍した画家にバルビゾン派のミレーなどがいます。「種まく人」は「オルナンの埋葬」と同じ年の作品で、クールベと同様に社会の現実を描いています。
ギュスターヴ・クールベ 「Les Demoisellers des bords de la seine」

こちらは1857年の作品で、日本語にすると「セーヌ河畔の若い娘たち」となります。昼寝しているようでこちらをチラっと観る仕草に色気を感じます。この2人は売春婦とされていて、ちょっと納得。同時代の女性の下着姿がけしからんと これも当時の批評家にはショックだったようです。
この2年前の1855年にパリ万国博覧会があり、アングルやドラクロワは華々しく特別室が設けられた訳ですが、クールベは「オルナンの埋葬」や「画家のアトリエ」などの出品を拒否されています。そこでクールベは板で作った個展会場を設けて自作を一般公開しました。入場者は少なく、観客の評判も芳しくなかったようですが、これが個展の発祥とされています。また、この個展の目録で「レアリスム宣言」を掲げ、「生きた芸術(アール・ヴィヴァン)を作りたい」とし、「芸術の世界は失望せり」と失意も漏らしています。こうして一見すると失敗に終わった個展ですが、マネを始めとした後進の画家たちを大いに刺激することになりました(サロンで拒否→自分で開催の流れはまんま印象派と同じですね)
ギュスターヴ・クールベ 「眠れる裸婦」

こちらは1858年の作品。理想化されていない現実なのでしどけない雰囲気がw 裸婦が寝ている部屋を覗き見したような感じでしょうか。赤と緑の背景のせいか白いベッドと裸婦に存在感があるように思います。
この辺りから1860年代は特にエロティックで過激な作品が多いように思います。
ギュスターヴ・クールベ 「罠にかかった狐」

こちらは1860年の作品。1860年代以降はこうした狩猟の光景を描いていて、次第に人気を博するようになっていきました。痛そうな狐のリアルな表情も見事ですが、パレットナイフを使って描いた雪の質感が大胆かつ緻密に感じられます。
クールベは動物・狩猟に関する作品も多く、国内でもよく目にする機会があります。クールベ自身の趣味が狩猟だったこともあり、臨場感が感じられます。
ギュスターヴ・クールベ 「Pierre-Joseph Proudhon et ses enfants en 1853」

こちらは1865年の作品で、無政府主義の父とも呼ばれるピエール・ジョセフ・プルードンとその子供たちを描いています。やや悩ましげな感じがしますが、子どもたちは無邪気な感じ。実際にはこの人はナポレオンや国家を批判した罪で何度も投獄された後のようですが、割と穏やかな光景に思えるかな。親子の対比具合が面白い。
クールベ自身も政治的に左寄りで、晩年まで左翼活動にも従事しています。活動家からも一種のアイコンのようになっていたようで、絵画での反骨ぶりはそういう所から来ているのかも知れませんね。
ギュスターヴ・クールベ 「マドモアゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド」

こちらは1865年の作品。やや強い眼差しで端正な雰囲気で、古代風の髪型などと共に気品が感じられます。それでも理想化はしていない感じで、割とタッチは粗めかな。
クールベは「女神がお望みならまずそれを連れて来て欲しい」と言っていたようで、目に見えないものは描かないという主義でした。クールベの作風が詰まったような名言です。
ギュスターヴ・クールベ 「Le Sommeil」

こちらは1866年の作品で、邦題は「眠り」「2人の友達同士」「怠惰と情欲」などと呼ばれるようです。レズビアンの裸婦を描いたもので、LGBTが活発に議論されるようになった昨今においても過激な題材に思えます。身をくねらせて密着する様子が何ともw
この他にも「世界の起源」という女性器を大写しにした作品などエロティックで挑戦的な絵をいくつか残しています。裸婦は美しく神聖に描いていた前時代とは真逆のアプローチで、スキャンダラスな過激さが特徴となっています。
ギュスターヴ・クールベ 「肌ぬぎの女」

こちらは1867年の作品。もう過激さに慣れて この位なんてこと無く思えますねw 詳しいことは分かりませんがやつれた感じもして娼婦でしょうか。クールベの女性像は内面性も滲み出ているように思えます。
ギュスターヴ・クールベ 「La sieste pendant la saison des foins」

こちらは1868年の作品で、日本語にすると「干し草の季節の昼寝」となります。のんびりした光景が広がり、色合いも爽やかです。クールベの風景画は当時の暮らしを感じさせるものが多いかも。
ギュスターヴ・クールベ 「もの思うジプシー女」

こちらは1869年の作品。じっと物思いに耽っていて神秘性を感じます。女性の周りだけモヤッと白くなっているので非常に目を引きますね。
ギュスターヴ・クールベ 「波、夕暮れにうねる海」

こちらも1869年の作品で、クールベがよく描いた波をモチーフにしています。エトルタの海の波で、力強く波濤の音まで聞こえそうなほどのリアリティです。クールベは葛飾北斎の「富岳三十六景」(1835年)の荒波の表現に強く揺さぶられたとも言われ、この絵でもその影響が伺えるようです。一方、近代絵画の父と呼ばれるセザンヌは、パレットナイフで厚塗りする技法をクールベから影響を受けたとされます。この波の絵1枚にも絵画の歴史が込められているんですね。
クールベは山育ちだったので、海は長い間 未知の世界だったようです。1860年代後半から海をテーマにした作品に本格的に取り掛かっています。1869年の夏に訪れたエトルタは英仏海峡に面したノルマンディーの小さな漁村で、エトルタの断崖は後にモネなども描いています。
ギュスターヴ・クールベ 「波」

こちらは1870年の作品。さっきの作品とそっくりですが、似たような絵は結構あります。絵筆とペインティングナイフで質感を描き分けていて、波の崩れる一瞬を見事にあらわしています。空模様も臨場感あって実際に目の当たりにしているような感じですね。
クールベは1870年に起きたパリ・コミューンに参加し、ヴァンドーム広場の円柱破壊事件の責任を問われて逮捕されました。(本人は壊すのではなく移動を提案していたようです。参加も一時的だったので罪は比較的軽めでした) 1872年には出所したものの支払不能な円柱再建費用を請求されるのを避けて1873年にスイスに亡命しています。
ギュスターヴ・クールベ 「狩猟者のいる風景」

これは1873年のスイス亡命直前に故郷オルナンを描いたもので、明るく豊かな自然の風景となっています。2頭の鹿とそれを狙うハンターの姿に緊張感がありますが、爽やかな印象のほうが強いかな。とても亡命するような状況で描かれたとは思えないくらい平和な光景です。
ギュスターヴ・クールベ 「馬小屋」

最後に同じく1873年の作品。馬が草を食む様子が長閑です。クールベの自然や動物を描いた作品は普遍的なものを感じますね。
クールベは1877年に亡命先のスイスで亡くなりました。時代を切り開いた芸術家だっただけに批判も多く、まさに反逆児と言える生涯でした。
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