関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目【サントリー美術館】

以前、サントリー美術館の「清方/Kiyokata ノスタルジア―名品でたどる 鏑木清方の美の世界―」をご紹介しましたが、また観てきました。全部で8回の入れ替えがあるのですが、特に前半4回と後半4回で入れ替えが大きく、趣旨は同じでも前回行った時とはかなり異なる内容でした。 …勿論今回も年間パスで入場しました。こういう模様替えの時に最も威力を発揮しますw

前回の記事はこちら

写真は使いまわしですみません(><)
P1100165.jpg P1100173.jpg


【展覧名】
清方/Kiyokata ノスタルジア―名品でたどる 鏑木清方の美の世界―

【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol06/index.html

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2009年11月18日(水)~2010年1月11日(月・祝)
 ※8回の展示替えがあります。
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日18時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
細かい話は前回も書いたので、今回は単に気に入った作品をご紹介しようかと思います。素晴らしい作品が次々と現れる内容でした

今回も章の区切りをメモっていなかったのですが、構成は以下のようになっています。
<第一章 近代日本画家としての足跡>
<第二章 近世から近代へ-人物画の継承者としての清方>
<第三章 「市民の風懐に遊ぶ」-清方が生み出す回顧的風俗画>
<第四章 清方が親しんだ日本美術>
<第五章 清方の仕事-スケッチ、デザイン>


鏑木清方 「秋宵」
結婚した年に奥さんを元にして描いた作品。ハイカラな袴姿の女学生が洋風の柱を背にしてバイオリンを弾いています。その左薬指には指輪をつけていました。色白ですらっとした立ち姿が鏑木清方の作品らしい清清しい雰囲気でした。奥さんは自分が清方の作品に影響を与えるのを自覚していて、常に立ち居振る舞いに気をつけていたそうです。そうした奥さんをモデルにした作品は多々観られるようです。

鏑木清方 「朝涼」 ★こちらで観られます
緑の草原を背景に横向きで歩く着物の女性です。髪は三つ編みで、左手で髪を触りながら歩いているようです。足元には蓮の花も見られ、頭の上には薄く白い月が浮かんでいます。朝の散歩かな?清楚で生気を感じました。 これは金沢八景の別荘付近で歩く自分の娘を描いたそうで、この作品を描くことでスランプを脱することができたのだとか

鏑木清方 「遊女」
泉鏡花の「通夜物語」の遊女を描いているそうです。前回観た「妖魚」も泉鏡花に影響されて描かれた作品でしたが、これは「妖魚」と同じ場所に代わりに展示されていました。遊女が前のめりに火鉢にもたれかかり、少し見上げるようなポーズをしています。気だるい妖艶な雰囲気が漂い、顔からは憂いも感じます。少し口をあけているのは誰かと会話しているのかな。着物の鮮やかさも見所でした。

鏑木清方 「暮雲低迷」
風景画の屏風です。一時期風景画も描いていたようです。これは箱根の温泉宿を描いていて、周りにはモヤが立ち込めていてまるで仙境のようになっています。手前には桜の花が咲き、宿のベランダ?では着物の女性が外を眺めています。また宿の前では籠に乗って温泉宿に今まさに到着した客も描かれていました。実際にはこんなに盛り沢山な風景は無いとは思いますが、風景というよりはその場の人の動きなどが中心になっているようでした。清方は「人のいない風景画は死んでいるようだ」と言って、人が主役に見える風景画を描いたそうです。

鏑木清方 「松と梅」
2枚セットの大きな絵です。右には松を背景にした青い服の女性、左には梅を背景に赤い服の女性が描かれています。これらには寛永期などの風俗画の技法が用いられていると解説されていました。また、余白が大きく取られていたのが印象的でした。

鏑木清方 「江の島 箱根」
左右2枚セットの作品。右の作品は背景が海で江ノ島っぽいです。薄い橙色の着物が目を引く女性が描かれ、振り返るポーズで頭の上に傘、手にはキセルを持っています。それらから、生き生きとした動きを感じました。
左の作品は、両手で髪を触り、手ぬぐいを噛んでいる女性が描かれています。多分、風呂上りで髪を直しているのかな。ポーズが可愛かったです。

鏑木清方 「初冬の雨」
後ろを向いて傘を差した女性と、障子を開けて会話している女性が描かれています。足元にはサザンカが咲き、冬であることがうかがえます。また、家の中の女性は袖の中に手を入れていて寒さが伝わってくるようでした。なお、この障子を開けた座敷の中と戸外の人という構図は、鈴木春信の浮世絵によく出てくる構図らしいです。影響を受けているんですね。

懐月堂度辰「女形図」
今回も、影響を受けた先人の作品も参考展示されています。
これはよく観る機会がある懐月堂の作品。(多分、着物は別物だとは思いますが) カラフルで輪郭が太く、デフォルメされた感じの美人画です。曲線が多くて優美さがあります。

勝川春章 「花下の遊女」
これも参考展示です。群青色の内掛けを着た遊女とお付の禿が、足を止めてこちらに振り返っています。声をかけられたような感じでした。頭上には満開の桜も描かれ可憐な雰囲気の作品でした。

鏑木清方 「新年附録時代美人風俗雙六 (色刷付録『文藝倶樂部』第19 巻第1号)」
全体的に赤い色が多めの、美人画で作られたスゴロクです。玉藻の前があがりなのは分かりましたが、どういう順序で進むのか全然わからなかったw というかスゴロクっぽくなかったかも。 美人は歌舞伎を題材にしているらしく艶やかかつ華やかでした。

鏑木清方 「初冬の花」
障子を開けて足元のサザンカを見る美女が描かれています。山吹色で雪のような模様のついた着物を着ていて、着物の中に手を隠して寒そうでした。初々しい感じの作品です。

伝 尾形光琳 「秋草図屏風」
清方は琳派からも影響を受けていたので、尾形光琳作と伝わる屏風もありました。厚く盛り上がった白い花など秋の草花が描かれていました。少し色が落ち着いていて、見た感じ、私の持っている光琳の作品とはちょっとイメージと違っているように思えました(特に解説が無かったので私の勘ですw)


ここら辺で4Fは終わりで3Fへ。
3Fの最初には前回同様、東北新聞のコピー、製作過程、イーゼル、絵の具皿、団扇、雑誌の表紙、袱紗、風呂敷などがありました。遺愛品は変わっていないようですが、それ以外は前回と入れ替わっていました。


鏑木清方 「朝夕安居」
明治の頃の夏の日の夜を描いた絵ですが、実際には太平洋戦争の後に描かれた作品です。体を洗う女性や、ランプの手入れをする女性、夜の茶屋で星を眺める男性や、女性店員に声をかける男性など、当時の平和でのんびりした様子を描いています。平和の尊さ、何気ない日々の幸せを表現しているようでした。

鏑木清方 「保名」
この辺には扇形を貼り付けた掛け軸などが並んでいました。歌舞伎をテーマにしているようです。これは恋人を亡くし狂人となった男の話を描いたもので、昔の病人がする鉢巻のようなものを頭に巻き、仰ぎ見るようなポーズで描かれていました。悲しくも恐ろしさを感じます。

鏑木清方 「道成寺(山づくし)・鷺娘」
大きな屏風です。右隻は歌舞伎の道成寺の演目が主題で、胸に鼓を持って身をそらす女性が描かれています。緑のモミジ模様の着物が華やかですが妖しい雰囲気が漂います。(この女性は後に蛇に変化します。)
左隻はさぎ娘が主題で、町娘に化けた白鷺が描かれています。全身白い服と頭に白布をまとい清楚さがありました。清方はこうした変化物が特に好みの主題だったようです。

鏑木清方 「明治風俗十二ヶ月(七月~十二月)」
これは前回もご紹介した作品ですが、今度は7~12月が展示されていました。特に気に入ったのは8月と12月(何月か書かれていないので多分ですw) 8月は「氷」と描かれた暖簾の下で、着物の女性が氷をかんなで削っているように見えました。涼しげな装いと夏の雰囲気が爽やかでした。12月は雪の降る中、人力車から降りる女性と車夫(引く人)が描かれています。マスクのように口まで布で覆った女性を下ろそうと車夫は後ろ向きになっていますが、背中には雪が積もり始めていました。また、背景のガス灯の光もしんしんと降り続ける雪の静けさを感じさせるようでした。寒そうですが風情のある作品でした。

鏑木清方 「白雨」
白雨というのはにわか雨のことです。薄く透き通る緑の小袖を着た女性(中に青い小袖を着ているのが透けて見える)が雨戸を閉めようとしています。斜めに雨の様な線が入り、飛沫がはねているのがわかります。 女性のうなじ辺りには強風に煽られた簾が揺れているようで、簾越しにうなじが透けて見えます。透ける着物と透ける簾が重なっている部分もあり、その表現に驚きました。

水野年方 「婦有喜倶菜」
最後にも参考展示があります。これはドレスを着た女性達が描かれた浮世絵です。見た目は浮世絵なのにドレスを着ている…。洋の東西が混ざったような面白い絵でした。

ということで、今回もだいぶ満足しました。余裕があればもう一度行くかもしれません。妖魚などもう一度観たかったなあ…。もう半分しか見られませんが、きっちり押さえて後々まで覚えておきたい美術展です。
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