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《ギュスターヴ=アドルフ・モッサ》 作者別紹介

今日は作者別紹介で、退廃的かつ悪夢的な画風で異彩を放つ象徴主義の画家ギュスターヴ=アドルフ・モッサを取り上げます。モッサは日本で観る機会はほとんどありませんが、2017年に大きな話題となった「怖い絵展」でも狂気をはらんだ作品が出品され、強烈なインパクトを残しました。経歴を調べてもあまり分からないので今日はほとんど絵の羅列になりますが、モッサの父が館長を務めたニース美術館で撮った写真をご紹介していこうと思います。

ほとんどwikiの受け売りですが、ギュスターヴ=アドルフ・モッサは1883年に南仏ニースで生まれ、父も画家でデッサン学校を経営し、ニース美術館の館長も務めていたようです。モッサはその父から手ほどきを受け、ギュスターヴ・モローら象徴主義の画家、ボードレールなどの作家、ラファエル前派、アール・ヌーヴォーなどに影響を受けました。1905~1918年頃に退廃的な画風で脚光を浴びたものの、第一次世界大戦に従軍して負傷してからは絵画から遠ざかったようです。(1971年まで生きています)

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Salomé, les mains coupées」
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こちらは1904年の作品。サロメを主題にしているので浮かんでいる生首は洗礼者ヨハネかな。幻影のようで首と手から落ちた血が寝具を染めているのが怖いw

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Judith et Holopherne」
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こちらも1904年の作品。ホロフェルネスの首を斬るユディトを題材としていて、敵将ホロフェルネスの首がおかしな方向に曲がって鮮血が吹き出しています。ユディトも美人のはずが恐ろしい表情をしていて幻想的な淡い色彩と合わないのが一層に不気味w それにしてもホロフェルネスの体つきはちょっと変な感じかな。腰がやけにくびれて足がひょろっとしてて女性みたいな。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「セイレーン」の看板
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こちらは1905年の作品で、「怖い絵展」にも出品されていました。セイレーンは美しい歌声で船を惑わせ難破させる怪物で、ここでは顔だけ人間で体は鳥になっています。何と言っても狂気をはらんだ眼が怖くて、口には血がついています。

ここまで観てもモッサは破滅を招く美女をテーマにした作品が結構あるようです。世紀末以降に流行ったファム・ファタル的な要素が感じられます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Portrait psychologique de l’auteur」
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こちらは1905年の自画像。「作者の心理描写」という意味のタイトルとなっていて、血の手形みたいなのが禍々しいw 上目遣いでこちらを見る目や首に巻いた蛇などちょっと中二病のような不気味さがありますねw

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Encor Salomé」
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こちらは1905年の作品。サロメを主題にしていて、頭に載せているのは舞の褒美で貰った洗礼者ヨハネの首だと思われます。妖しい美しさで悪魔的な魅力を感じさせます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Dalila s'amuse」
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こちらは1905年の作品で日本語にすると「デリラの楽しみ」となります。デリラは勇者サムソンの妻で、サムソンの無敵の力の根源が髪にあることを聞き出し髪を切った裏切り者です。中央あたりで拘束されて血を流してるのはサムソンと思われ、髪を剃られています。それを楽しげに見る派手な女がデリラかな。病的な白さで魔女のような雰囲気となっていて、やはり破滅を招く女ですね。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「David et Bethsabée」
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こちらは1906年の作品。ダビデとバテシバというタイトルなので、真ん中の女性はバテシバかな。この話は人妻のバテシバに横恋慕したダヴィデ王が夫を戦場に送り込んで死なせるというもので、背後に馬に乗った騎士の姿があるのが夫だと思われます。右にいるのがダヴィデ王だと思うけど、神の恩寵を受けたとは思えないほど邪悪な顔をしてるw この話のバテシバはむしろ被害者のはずが、ここでは冷徹で男を惑わすような存在となっているのが独特の解釈に思えます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Pierrot s'en va」
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こちらは1906年の作品で日本語にすると「ピエロが出ていく」といった意味となります。ちょっとこれは何のシーンか分かりませんが、血の滴るナイフを持って虚ろな顔をするピエロが事件を起こしたように見えますね。背後の抱き合う男女と何か関係があるのかな。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「La femme aux squelettes」
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こちらは1906年の作品で日本語にすると「骸骨の女」となります。これも主題は不明ですが、背景に無数の骸骨がいて半透明の衣の中にナイフを握っているのが死を予感させます。黒髪の美人で、白い衣、赤い花といった華やかさが美醜の対比になっていて面白い。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Israél」
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こちらは1907年の作品で、日本語にするとイスラエルとなります。教会の模型のようなもの、手を合わせる人物像、トカゲ(竜?)のようなものに2人が杯を捧げていますがちょっと意味は分かりません。背景に廃墟みたいなものが描かれていたり、何かの象徴だとは思うんですが…。

この頃からファム・ファタル以外の主題の作品が目に付きました。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Salomon」
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こちらは1908年の作品で、ソロモン王を主題としています。本を広げて小人みたいなのがいるのはカバラが記された『ラジエルの書』とソロモン王が使役したと言われる天使や悪魔ではないかと思います。全体的に緻密で装飾的な画風で、ラファエル前派からの影響を感じさせます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Le roi de Gazna」
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こちらは1912年の作品で、日本語にするとガズナの王(10世紀アフガニスタンのイスラム王朝)となります。矢に倒れた男性を介抱する女性、無数の屍を越えて立ち去る騎士の姿など 恐らくガズナに関する物語を絵画化していると思うけど詳細は分からず。不穏さは相変わらずですが、ここでの女性は悲しげな顔で死を悼んでいる雰囲気で、今まで観てきた悪女たちとは違った趣きに見えます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Robert et Clara Schumann」
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こちらは1914年の作品で、作曲家のロベルト・シューマンと妻のクララ・シューマンを描いています。ここまでの悪夢のような作風と全く異なり、凛々しく気品溢れる雰囲気で描かれているのが特徴かな。仲睦まじい様子ですね。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「Le sourire de Reims」
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こちらは1918年の作品で、日本語にすると「ランスの笑顔」となります。ランスで生首の人物と言えば聖ニケーズでしょうか? 何かの霊験を表したものと思われますが、ギュスターヴ・モローの作品に似た雰囲気を感じます。以前の不気味さは鳴りを潜めて神秘性が強まっている作品です。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「L'évêque Nicaise」
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こちらは1918年の作品で日本語にするとニカイゼ司教です。詳細が分からない聖人ですが、自分の首を持って祝福のポーズをして、多くの人々が見上げて敬っている様子が描かれています。これも首なしというちょっと恐ろしいテーマではありますが、怖さよりも神秘性のほうが感じられて、先程の作品と同様にモローに近いものを感じます。

ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「La Pythonisse」
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こちらは年代不明の作品で、タイトルを調べるとアポロンの巫女を描いたものと思われます。これも詳細な物語は分かりませんが、イスラエルの王サウルが相談したのがパイソニーとされ、占い師のような存在のようです。ミステリアスな女性を中心とした群像となっていて何か話し合っているように見えますね。それほど不穏さは感じず、物語の一場面といった雰囲気です。

こちらはタイトル失念…
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これも不明ですが、着飾った女性と裸の人物が柱にくっついていて狂気じみたものを感じますw 背後の老女の表情など苦しげで、悪夢的な光景ですね。

ということで、一度観たら忘れられないような猟奇的な作品もあったりして、好き嫌いが分かれそうな画家です。日本ではあまり有名とは言えないけど、そのうちブレイクするかも?? ニース美術館にモッサのコーナーがあるので、南仏に行く機会があったらモッサを思い出してみてください。

 参考記事:
  ニース美術館 【南仏編 ニース】
  怖い絵展 (上野の森美術館)
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