《国吉康雄》 作者別紹介
今日は作者別紹介で、アメリカで活躍した日本人画家の国吉康雄を取り上げます。国吉康雄は17歳で渡米し、日本の伝統とアメリカのフォークアートを融合して1920~30年代の「アメリカン・シーン」の流れに乗って高い評価を受けました。やがて時代は日米の戦争を迎えると敵性外国人としてマークされ、対日プロパガンダに協力を余儀なくされます。両国の葛藤は作風にも顕れ、複雑な心境や虚無感を感じさせる名作を生み出しました。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。
国吉康雄は1889年に現在の岡山市で生まれ、染織の工業学校を退学して1904年に17歳の若さで単身で渡米しました。当時は岡山県から多くの人がアメリカに移民していた時代で、国吉康雄もそうした時流に乗ったと思われます(父に勧められて英語学習が目的だったという話もあります) アメリカで様々な職業につく傍ら、美術に興味を示すようになりL.A.やニューヨークで美術学校に入り、1916年からはアート・スチューデンツ・リーグで学んでいます。当初は子供や動物などのモティーフを散りばめた哀愁漂う風景を描いていましたが、後にアート・スチューデンツ・リーグで出会ったジュール・パスキンの影響を受けて憂いを帯びた都会の女性を描くようになっていきます。
国吉康雄 「読書する少女」

こちらは初期の1921年の作品。最初期はセザンヌやルノワールに傾倒していた国吉康雄ですが、この頃はキュビスムに影響を受けていたようで全体的にやや角張った感じの風景画となっています。一方で縦に積み上がる構図は山水画のようであり、国吉康雄が独自性を模索する様子が伺えるようです。くすんだ色彩は特に国吉康雄ならではの哀愁と幻想性を感じさせるかな。手前の少女の表情も目を引きますね。
この翌年の1922年に行われた個展がメディアに紹介されると、国吉康雄は素朴派の画家として有名になりました。東洋っぽさとアメリカのモダニズムの融合で、パリの芸術の物真似でないのが高く評価されたようです。
国吉康雄 「村落」

こちらは1921年の作品。構成はだいぶ違いますが、雰囲気としては先程の作品に似ていると思います。風景があって手前に人物が描かれている構図で、茶色っぽくノスタルジックな印象です。夢想的なところもあって割とシャガールの作風と共通する部分があるように思います。
この時期の国吉康雄の特徴は、空間の手前にあるものから順に下から上へとモチーフを積み上げる遠近法です。また、過去の記憶と想像力で描いたモチーフは、時間も空間も異なる要素を併置しているようになっています。
国吉康雄 「夢」

こちらは1922年の作品。まさに夢の中のような光景で、ちょっとシュルレアリスムのような奇妙さもあるように思えます。赤い牛が特に目を引きますね。
この頃のアメリカは第一次世界大戦の後の孤立主義の影響でナショナリズムが高まり、「アメリカン・シーン」と呼ばれるヨーロッパ・モダニズムへの反動と写実主義への回帰が起きていました。国吉もこの流れの一員と見なされ、他にはホッパーやベン・シャーンなどもカテゴライズされています。
国吉康雄 「雨乞い」

こちらは1923年の作品。手前にいるのはミミズを咥えたカエルかな? 奥には建物があり遠近感もありつつ夢の中の光景のようにも思えます。素朴派と呼ばれる画家たちの特徴として、1つ1つのモチーフはしっかり描いているけど全体では辻褄があわずシュールに見えるってのがありますが それを逆に上手く利用している感じを受けます。タイトルはカエルが雨を待ちわびてるんでしょうか。その発想に日本的な情緒も感じます。
1925年にパスキンの誘いでパリへと渡りました。1928年にもパリを訪れていて、この2度の渡欧で国吉はより写実的な作風に転じていきます。
国吉康雄 「茄子」

こちらは1925年の作品。皿に乗った茄子と建物が描かれていて、キュビスムのように上からの視点と横からの視点が混ざった構成となっています。ちょっと痩せた茄子だけど、描写自体は写実的かな。少し画風が変わっているのが感じられます。
この頃、名もなき女性たちやサーカスの少女などをよく描いていました。どちらもこの後の時代にも出てくるお気に入りのモチーフです。
国吉康雄 「夜警」

こちらは1925~28年頃のリトグラフ作品。全体的に暗くて歪んでいるのが不安な印象を受けます。枯れ木や2人以外に誰もいない街角がますます寒々しくてちょっと怖いw
1929年にはニューヨーク近代美術館の「19人の現代アメリカ画家展」に選出されるなど、当時のアメリカを代表する画家の1人として評価されていました。
国吉康雄 「シュミーズの女(藤椅子に座る女)」

こちらは1929年の作品。椅子にもたれ掛かってややエロティックな雰囲気がありつつ、微笑んでいて親密な印象も受けます。バランスは妙な感じだけど写実的なのはこの頃の特徴かな。非常に良い絵だと思います。
この頃、パリで活躍した日本人で有名なのは藤田嗣治ですが、国吉康雄と藤田嗣治は共通の友人であるパスキンを通じてパリで出会っています。1931年に国吉康雄が1度だけ日本に帰国した際、藤田嗣治が国吉の個展の為に尽力してくれました。
国吉康雄 「秋のたそがれ」

こちらは1929年の作品。寂しげな村の様子を描いていて、色彩や技法は以前の作風に似ているけど夢想的な感じではなく実景っぽい風景画になっています。タイトルの通り黄昏を感じる光景ですね。
先述の通り国吉康雄はアメリカで高く評価されていたため、サロンズ・オブ・アメリカの会長を務めたり、1933年には母校のアート・ステューデンツ・リーグの教授になるなど社会的にも高い地位に就いています。しかし時代は着実に次の大戦へと進んでいくのでした…。
国吉康雄 「サーカスの女玉乗り」

こちらは1930年の作品。サーカスの玉乗りの女性を描いていて、表情は穏やかに見えます。国吉康雄の描く女性は美しいだけでなく生活感というか一種の逞しさも感じさせます。それにしても赤いタイツの色が強くて目を引きますw
1931年に病気の父親を見舞うために故郷の岡山へと戻りました。その際、歓迎されて前述の個展の開催や二科展の会員推挙などもありましたが、日本社会に違和感を覚えたようで、その後の国吉は米国で活動を続けることを選択して二度と日本に戻るはありませんでした(警官に敬礼しなかった為に罵倒されたりしたそうです)
国吉康雄 「バーガンディー」

こちらは1935年の作品。頬杖をついてワインレッドの帽子を被っているのがタイトルの由来じゃないかな。物思いに耽るような表情でちょっと微笑んでいるようにも見えます。国吉康雄の描く人物はその人の性格や人生まで伝わってくるようです。
この頃には世界にファシズムが台頭し、国吉康雄は反ファシズムや反戦の運動をしていました。しかし母国の日本とアメリカの関係は日増しに悪化していくことになります。
国吉康雄 「二つの世界」

こちらは1939年の作品。1935年にアメリカ中西部を旅した際に見た 荒れた大地や険しい山、見捨てられた街などが国吉の心を捉えたようで、この頃からこうした荒野が登場するようになりました。タイトルの「二つの世界」は廃墟のある左側と少し明るい右側の世界という意味ではないか?とのことですが、時代を考えると2つの祖国を暗示しているという説のほうがしっくり来ます。遠くに見える暗い空も時代を象徴しているように見えてしまいますね。
1941年についに日米の間で戦争が始まりました。国吉康雄は強制収容はされなかったものの敵性外国人として取り扱われ、アメリカへの忠誠を証明することを迫られます。そのため、アメリカへの支持の声明を出し、対日プロパガンダの仕事も引き受けることとなります。日本を悪魔的に描いたポスターなどは現在では批判されることもありますが、時代と立場を考えれば致し方ないのかも。
国吉康雄 「イーグルズ・レスト」

こちらは1941年の作品。荒野に錨や門、彫像などが打ち捨てられていて非常に寂しげな光景となっています。人の姿もなく廃墟みたいな。戦争へのやりきれない気持ちが出ているのかも知れませんね。
国吉康雄のプロパガンダポスターは日本の現実に則さない部分が多かったようです。日本を離れて久しく 前述の通り日本の慣習に違和感を感じていたほどで、日本人よりアメリカ人に近い感性でした。
国吉康雄 「誰かが私のポスターを破った」

こちらは1943年の代表作。タイトルから分かるように背景のポスターらしきものが破られています。このポスターは国吉と同時代の画家ベン・シャーンが描いたもので、「我々フランスの労働者は警告する。敗退は隷属、飢餓、そして死を意味する」と描いてあります。それを破られたのがこの女性らしく、物憂げな表情でこちらを見ています。この表情に当時の国吉の心情が代弁されているんじゃないかな。暴力的になったアメリカのナショナリズムへの批判も込められているようです。
終戦直前には全米絵画展で1等を取るなど、国吉康雄の芸術自体は評価されていたようです。戦後になると1947年に美術家組合を設立し、会長となっています。
国吉康雄 「寡婦」

こちらは戦後の1948年の作品。寂しげな雰囲気の顔がタイトル通りの物語を感じさせます。ガランとした風景も心象のような感じ。戦後間もないのでこうした寡婦も結構いたんでしょうね。虚無感が伝わってきます。
この1948年にはホイットニー美術館で、現存作家として最初の個展を開催するなど、国吉は当時の米国を代表する画家として認められるようになりました。
国吉康雄 「カーニヴァル」

こちらは1949年の作品。だいぶ色彩感覚が変わって温かみのある雰囲気となっています。戦後は明るい赤と、対比的な緑や青を効果的に配した鮮やかな作品を描くようになりました。 一方、無表情の仮面は何処と無く日本の鬼のように見えるような…。この頃からちょっと和風なモチーフも登場するので何か関係があるかも??
この翌年の1950年頃から体調が悪化し、1953年に亡くなりました。国吉はアメリカの市民権を得るつもりでしたが手続き中に亡くなっています。
ということで、日本生まれではあるものの画業のほとんどはアメリカの画家となっています。しかし日本にも多くの作品が渡ってきていて、東京国立近代美術館などで作品を観ることができます。岡山などでは個展が開かれることもあり、目にする機会もあると思います。アメリカでは日本以上に評価されているので、当地に行く機会があったら代表作を観てみたいものです。
国吉康雄は1889年に現在の岡山市で生まれ、染織の工業学校を退学して1904年に17歳の若さで単身で渡米しました。当時は岡山県から多くの人がアメリカに移民していた時代で、国吉康雄もそうした時流に乗ったと思われます(父に勧められて英語学習が目的だったという話もあります) アメリカで様々な職業につく傍ら、美術に興味を示すようになりL.A.やニューヨークで美術学校に入り、1916年からはアート・スチューデンツ・リーグで学んでいます。当初は子供や動物などのモティーフを散りばめた哀愁漂う風景を描いていましたが、後にアート・スチューデンツ・リーグで出会ったジュール・パスキンの影響を受けて憂いを帯びた都会の女性を描くようになっていきます。
国吉康雄 「読書する少女」

こちらは初期の1921年の作品。最初期はセザンヌやルノワールに傾倒していた国吉康雄ですが、この頃はキュビスムに影響を受けていたようで全体的にやや角張った感じの風景画となっています。一方で縦に積み上がる構図は山水画のようであり、国吉康雄が独自性を模索する様子が伺えるようです。くすんだ色彩は特に国吉康雄ならではの哀愁と幻想性を感じさせるかな。手前の少女の表情も目を引きますね。
この翌年の1922年に行われた個展がメディアに紹介されると、国吉康雄は素朴派の画家として有名になりました。東洋っぽさとアメリカのモダニズムの融合で、パリの芸術の物真似でないのが高く評価されたようです。
国吉康雄 「村落」

こちらは1921年の作品。構成はだいぶ違いますが、雰囲気としては先程の作品に似ていると思います。風景があって手前に人物が描かれている構図で、茶色っぽくノスタルジックな印象です。夢想的なところもあって割とシャガールの作風と共通する部分があるように思います。
この時期の国吉康雄の特徴は、空間の手前にあるものから順に下から上へとモチーフを積み上げる遠近法です。また、過去の記憶と想像力で描いたモチーフは、時間も空間も異なる要素を併置しているようになっています。
国吉康雄 「夢」

こちらは1922年の作品。まさに夢の中のような光景で、ちょっとシュルレアリスムのような奇妙さもあるように思えます。赤い牛が特に目を引きますね。
この頃のアメリカは第一次世界大戦の後の孤立主義の影響でナショナリズムが高まり、「アメリカン・シーン」と呼ばれるヨーロッパ・モダニズムへの反動と写実主義への回帰が起きていました。国吉もこの流れの一員と見なされ、他にはホッパーやベン・シャーンなどもカテゴライズされています。
国吉康雄 「雨乞い」

こちらは1923年の作品。手前にいるのはミミズを咥えたカエルかな? 奥には建物があり遠近感もありつつ夢の中の光景のようにも思えます。素朴派と呼ばれる画家たちの特徴として、1つ1つのモチーフはしっかり描いているけど全体では辻褄があわずシュールに見えるってのがありますが それを逆に上手く利用している感じを受けます。タイトルはカエルが雨を待ちわびてるんでしょうか。その発想に日本的な情緒も感じます。
1925年にパスキンの誘いでパリへと渡りました。1928年にもパリを訪れていて、この2度の渡欧で国吉はより写実的な作風に転じていきます。
国吉康雄 「茄子」

こちらは1925年の作品。皿に乗った茄子と建物が描かれていて、キュビスムのように上からの視点と横からの視点が混ざった構成となっています。ちょっと痩せた茄子だけど、描写自体は写実的かな。少し画風が変わっているのが感じられます。
この頃、名もなき女性たちやサーカスの少女などをよく描いていました。どちらもこの後の時代にも出てくるお気に入りのモチーフです。
国吉康雄 「夜警」

こちらは1925~28年頃のリトグラフ作品。全体的に暗くて歪んでいるのが不安な印象を受けます。枯れ木や2人以外に誰もいない街角がますます寒々しくてちょっと怖いw
1929年にはニューヨーク近代美術館の「19人の現代アメリカ画家展」に選出されるなど、当時のアメリカを代表する画家の1人として評価されていました。
国吉康雄 「シュミーズの女(藤椅子に座る女)」

こちらは1929年の作品。椅子にもたれ掛かってややエロティックな雰囲気がありつつ、微笑んでいて親密な印象も受けます。バランスは妙な感じだけど写実的なのはこの頃の特徴かな。非常に良い絵だと思います。
この頃、パリで活躍した日本人で有名なのは藤田嗣治ですが、国吉康雄と藤田嗣治は共通の友人であるパスキンを通じてパリで出会っています。1931年に国吉康雄が1度だけ日本に帰国した際、藤田嗣治が国吉の個展の為に尽力してくれました。
国吉康雄 「秋のたそがれ」

こちらは1929年の作品。寂しげな村の様子を描いていて、色彩や技法は以前の作風に似ているけど夢想的な感じではなく実景っぽい風景画になっています。タイトルの通り黄昏を感じる光景ですね。
先述の通り国吉康雄はアメリカで高く評価されていたため、サロンズ・オブ・アメリカの会長を務めたり、1933年には母校のアート・ステューデンツ・リーグの教授になるなど社会的にも高い地位に就いています。しかし時代は着実に次の大戦へと進んでいくのでした…。
国吉康雄 「サーカスの女玉乗り」

こちらは1930年の作品。サーカスの玉乗りの女性を描いていて、表情は穏やかに見えます。国吉康雄の描く女性は美しいだけでなく生活感というか一種の逞しさも感じさせます。それにしても赤いタイツの色が強くて目を引きますw
1931年に病気の父親を見舞うために故郷の岡山へと戻りました。その際、歓迎されて前述の個展の開催や二科展の会員推挙などもありましたが、日本社会に違和感を覚えたようで、その後の国吉は米国で活動を続けることを選択して二度と日本に戻るはありませんでした(警官に敬礼しなかった為に罵倒されたりしたそうです)
国吉康雄 「バーガンディー」

こちらは1935年の作品。頬杖をついてワインレッドの帽子を被っているのがタイトルの由来じゃないかな。物思いに耽るような表情でちょっと微笑んでいるようにも見えます。国吉康雄の描く人物はその人の性格や人生まで伝わってくるようです。
この頃には世界にファシズムが台頭し、国吉康雄は反ファシズムや反戦の運動をしていました。しかし母国の日本とアメリカの関係は日増しに悪化していくことになります。
国吉康雄 「二つの世界」

こちらは1939年の作品。1935年にアメリカ中西部を旅した際に見た 荒れた大地や険しい山、見捨てられた街などが国吉の心を捉えたようで、この頃からこうした荒野が登場するようになりました。タイトルの「二つの世界」は廃墟のある左側と少し明るい右側の世界という意味ではないか?とのことですが、時代を考えると2つの祖国を暗示しているという説のほうがしっくり来ます。遠くに見える暗い空も時代を象徴しているように見えてしまいますね。
1941年についに日米の間で戦争が始まりました。国吉康雄は強制収容はされなかったものの敵性外国人として取り扱われ、アメリカへの忠誠を証明することを迫られます。そのため、アメリカへの支持の声明を出し、対日プロパガンダの仕事も引き受けることとなります。日本を悪魔的に描いたポスターなどは現在では批判されることもありますが、時代と立場を考えれば致し方ないのかも。
国吉康雄 「イーグルズ・レスト」

こちらは1941年の作品。荒野に錨や門、彫像などが打ち捨てられていて非常に寂しげな光景となっています。人の姿もなく廃墟みたいな。戦争へのやりきれない気持ちが出ているのかも知れませんね。
国吉康雄のプロパガンダポスターは日本の現実に則さない部分が多かったようです。日本を離れて久しく 前述の通り日本の慣習に違和感を感じていたほどで、日本人よりアメリカ人に近い感性でした。
国吉康雄 「誰かが私のポスターを破った」

こちらは1943年の代表作。タイトルから分かるように背景のポスターらしきものが破られています。このポスターは国吉と同時代の画家ベン・シャーンが描いたもので、「我々フランスの労働者は警告する。敗退は隷属、飢餓、そして死を意味する」と描いてあります。それを破られたのがこの女性らしく、物憂げな表情でこちらを見ています。この表情に当時の国吉の心情が代弁されているんじゃないかな。暴力的になったアメリカのナショナリズムへの批判も込められているようです。
終戦直前には全米絵画展で1等を取るなど、国吉康雄の芸術自体は評価されていたようです。戦後になると1947年に美術家組合を設立し、会長となっています。
国吉康雄 「寡婦」

こちらは戦後の1948年の作品。寂しげな雰囲気の顔がタイトル通りの物語を感じさせます。ガランとした風景も心象のような感じ。戦後間もないのでこうした寡婦も結構いたんでしょうね。虚無感が伝わってきます。
この1948年にはホイットニー美術館で、現存作家として最初の個展を開催するなど、国吉は当時の米国を代表する画家として認められるようになりました。
国吉康雄 「カーニヴァル」

こちらは1949年の作品。だいぶ色彩感覚が変わって温かみのある雰囲気となっています。戦後は明るい赤と、対比的な緑や青を効果的に配した鮮やかな作品を描くようになりました。 一方、無表情の仮面は何処と無く日本の鬼のように見えるような…。この頃からちょっと和風なモチーフも登場するので何か関係があるかも??
この翌年の1950年頃から体調が悪化し、1953年に亡くなりました。国吉はアメリカの市民権を得るつもりでしたが手続き中に亡くなっています。
ということで、日本生まれではあるものの画業のほとんどはアメリカの画家となっています。しかし日本にも多くの作品が渡ってきていて、東京国立近代美術館などで作品を観ることができます。岡山などでは個展が開かれることもあり、目にする機会もあると思います。アメリカでは日本以上に評価されているので、当地に行く機会があったら代表作を観てみたいものです。
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