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《小森隼人》 作者別紹介

今日は作者別紹介で静物・人物を中心に非常に精密な写実絵画を手掛ける小森隼人 氏を取り上げます。小森隼人 氏はフランドル絵画やスペイン絵画を研究し、その技法も用いて質感豊かに事物を描く画家です。モチーフの選び方もそのルーツを彷彿とさせ、複雑で計算された構図の中で多方向から当たる光を表現し、写真を超える絵画ならではの実在感を醸し出します。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

小森隼人 氏は1985年に島根県松江市に生まれ、2008年に奈良芸術短期大学 専攻科洋画コースを終了されました。2009年に白日展に初出品して佳作賞を得て以来、白日展を中心に活躍されています。今回の写真は2017年の東京都美術館での「現代の写実―映像を超えて」に出品された時のものとなりますが、反射で会場の映り込みが多い点につきまして予めご了承ください。。。

小森隼人 「Consideration」
DSC01983.jpg
こちらは2017年の作品で意味深な表情を浮かべる美女。黒い背景と光が当たったような表現の為か、写真を超えた強い色彩に思えます。じっとこっちを見る眼差しに生気が感じられますね。

この写真は反射が写り込んでいて申し訳無いのですが、小森隼人 氏は明暗の使い方が非常に巧みで、複雑な光の当たり方をしているのが特徴ではないかと思います。

小森隼人 「月宵」
DSC01988_20210627183825afe.jpg
こちらも2017年の人物画。目を閉じて横向きなのはメランコリーやプロフィールといった西洋の肖像の伝統からでしょうか。静かで深い精神性が感じられます。髪や肌のツヤが瑞々しい。

写真のような精密さがありつつ、小森隼人 氏の作品は絵画ならではの調和と奥深さを追求していると評されています

小森隼人 「驟雨 天色」
DSC01995.jpg
こちらは2016年の静物で、陶器の光沢などまでリアルです。このモチーフの選び方などからもフランドル絵画を彷彿とさせます。

静物では配置や光の当て方を研究して構成しているそうで、よく見ると光は様々な方向から対象を照らしています。ちょっとこの写真だと反射の映り込みが多くて分かりづらいですが。。。

小森隼人 「黄色い果実と赤い柘榴」
DSC02012.jpg
こちらもフランドル絵画やスペインの絵画を研究したのが伺える作品。しかし光の扱いがより鮮明に感じられるかな。

こちらは布地の部分のアップ。
DSC02011.jpg
縫い目が分かるほどのリアルさと細かさ! これは間近で観ると驚くと思います。

これだけ精密な絵なので、時間をかけて念入りに作られるようです。対象のモチーフとのやりとり、古典との対話が絵画の実在感と存在感に厚みと重さを与えていると評価されています。

小森隼人 「中紅花」
DSC01985.jpg
こちらは2017年の作品。花びらの可憐さやリングの鈍い輝きなど本物以上に本質的なものを感じさせます。花に光があたって重なる様子が鮮やかに見えますね。

小森隼人 氏は油彩技法的にも17世紀フランドルやスペインのリアリズム絵画の研究に裏打ちされているようです。確かに黒の使い方などにもそれを感じるかな。

小森隼人 「花浅葱の刻」
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こちらは2017年の作品。花浅葱というのは緑がかった青のことなので、この青の布地や葉を表した言葉でしょうか。奥行きが感じられるとともに、左に伸びていく葉に一種の緊張感があるように思います。

小森隼人 氏は2014年には白日展で会員推挙されています。数多くの展覧会に出品されているようで、春風洞画廊などでも活躍されているようです。

小森隼人 「待宵」
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こちらは2016年の作品。後ろの作品が写り込んでちょっと分かりづらいですが、暗い背景に本に乗ったボウルや果実などか描かれています。この年代がかった本やボウルを見ると本当にフランドル絵画を思い起こしつつ、それ以上に瑞々しく鮮明に思えます。黒の使い方も効果的ですね。

小森隼人 「苺 青い花」
DSC02000_20210627183830dd0.jpg
こちらは2016年の作品。水差しと容器に入ったイチゴが描かれています。この染め付けというかデルフト焼きっぽい容器は頻出のモチーフで、乳白色の滑らかな質感がよく分かります。

小森隼人 「天色」
DSC02003.jpg
こちらも2016年の作品。黒の部分に映り込みが多くて背後の展示物や人影まで写ってしまって すみません。。。暗いところにこの絵が飾ってあったら本物のように見えるのではないでしょうか。昔のヨーロッパではそのような用途で騙し絵(トロンプルイユ)が発展したのですが、ちょっとその歴史を思い起こします。

小森隼人 「靑韻」
DSC02005_20210627183833678.jpg
こちらは2015年の作品。複雑な構成になっていて、水平や垂直、斜めの線などが意識されているのではないかと思います。単にリアルなだけでなく、構成の面白さも魅力ですね。

小森隼人 「檸檬 大きな器」
DSC02009_20210627183834c1b.jpg
こちらは2015年の作品。ここまで見てきた作風と似ていて、レモンの剥き方がフランドルっぽいw 小森隼人 氏の作品は視覚・触覚・嗅覚・味覚・は感じられるけど、聴覚や生の儚さ、時間の流れといったヴァニタス的なモチーフはそれほど無いようにも思いますが、天球儀はそれっぽいかも。


ということで、過去の写実を学び現代の写実へと昇華させた画風だと思います。写真ではお伝えできないほど非常に精密なので。機会があったらぜひ間近で見てほしいアーティストです。

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