《小野田尚之》 作者別紹介
今日は作者別紹介で、現代の日本画家である小田野尚之 氏を取り上げます。小田野尚之 氏は写実的に日本の田舎の風景などを描き、リアリティがありつつ静けさが漂う画風となっています。鉄道や田んぼ、廃墟などをモチーフにして 観るものがノスタルジックな気持ちになるのが特徴で、目の前に光景が広がる もしくは絵の中に入り込むような感覚を覚えます。院展を中心に活動され、数多くの大きな賞を受賞されるなど現代の日本画壇においても注目の画家です。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。
小田野尚之 氏は1960年に横浜市に生まれました。幼稚園に入る前から根っからのインドア派で、絵と工作に熱中し 小学校に入ってもプラモデルや工作に没頭する子供だったようです。高学年になり車のカタログ写真などの中から気に入ったものをそっくりに描こうとしたのが初めに絵を描くきっかけだったと語っています。大学受験では美大のデザイン科を目指したものの、それまで絵を習ったことも無く美術部にも所属したことがなかったので美術系予備校で受験勉強をしたり、その合間に油画・彫刻・イラストなど様々な種類の展覧会に脚を運んでいたようで、その中で現代日本画に出会いました。当時は日本画の知識も乏しかったものの、現役時代にデザイン科の受験に全滅したのを機に浪人1年目に日本画へと転向し、1986年には東京藝術大学大学院美術研究科日本画を修了しています。さらに1989年には東京藝術大学大学院後期博士課程 保存修復技術を満期退学し、それ以降、院展(日本美術院)を中心に活動するようになりました。
小田野尚之 「遠雷」

こちらは1991年の作品。コローを思わせる淡い水辺の光景の中、3人の子供が遊んでいる姿が見えます。優しく静かな雰囲気で、観ていて郷愁を誘われますね。
小田野尚之 氏は「子供の頃から静謐な風景画に惹かれることが多く、画集などで気に入った作品に出会うと、その描かれた世界に自分が入り込んだところを想像しながら鑑賞していました」と語っています。その言葉が頷けるくらい小田野尚之 氏の作品にも奥行きや人の気配が感じられ、感情移入しやすい画風となっています。
小田野尚之 「くつおと」

これは1996年の作品で、今は廃駅となっている上野の博物館動物園駅の瓦づくりの駅舎を描いています。階段を下から登ってくる2人の姿があり、階段からは光が霧のように上がってきていて、2人は逆光となっているので強い光を感じます。また、周りの壁は風化した感じで固そうな質感があり、ひんやりした空気や足音までも聞こえてきそうです。
この1996年には日本美術院賞大観賞を受賞されています(同2001年) 日本画と出会う前までは、現代の絵の世界では強烈な個性で観るものを圧倒するような作品が主流なのかと思いこんでいたようですが、それとは逆に穏やかな画風でも徐々に引き込まれるような大きな力が沢山あることを知り、自分もそういう絵を描いてみたいと思って日本画へと進んだようです。また、岩絵の具に魅せられたの理由の1つとして挙げていて、氏の作品にも繊細な色使いが現れているように思います。
小田野尚之 「映」

こちらは2010年の作品。前の作品との14年の間に作風も結構変わってくっきりしたかな。日本画とは思えないほどリアリティのある画風で、写真のような精密さです。しかし絵画ならではの詩情があり、線路が対角線上に伸びる大胆な構図も面白い。人も電車もいないのがかえって余韻を感じさせます。
2006年には日本美術院で同人推挙され、その後 足立美術館賞、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞などを立て続けに受賞されています。写実で表現することについて訊かれた際、「色々なタイプの画風に挑戦しようにも、結局こういう描き方しかできないから」と答えています。「今はこの1つのスタイルしか持っていない自分の不器用さを痛感しています」とも語っていて、非常に謙虚な方のようです。かなり進化してると思うんですがw
小田野尚之 「定刻着」

こちらは2011年のローカル線の駅を思わせる作品。こういう景色を観ると旅情を誘われます。小田野尚之 氏は横浜生まれの都会っ子なはずですが、どういうわけかこうした田舎の風景が多く、ディーゼル車もよく出てきます。私も都会育ちだけど観ていてノスタルジックな気分になるのが不思議ですw
小田野尚之 氏は作品の見どころについて、具体的にどの部分に注目して欲しいというのは無いそうで、自由にストーリーを作りながら あるいは絵の中に入って遊んでいるような気分で楽しんでくれたら嬉しいと語っています。
小田野尚之 「発電所跡」

こちらは2013年の作品。かつての発電所の廃墟を描いていますが、緑が生い茂って生命力を感じます。シンメトリーの構図だけどそうは感じないくらい緑で溢れてますね。
もし絵画の仕事をしていなかったら何をしていたか?という問いに対して、家具や弦楽器の職人に憧れていたことがあり、そうしていたかもしれない。いずれにせよ1人で黙々というタイプの仕事に就いていたと思うと回答されています。ご自身の絵のように穏やかな方なのかな。
小田野尚之 「道」

こちらは2015年の作品。何処か遠くの山の中か、昔の日本を思わせるような光景でちょっと寂しくもあるかな。人が誰もいない一本道をのんびり歩いている気分になります。
小田野尚之 氏は手が届くようで届かない記憶と夢とノスタルジアの風景が持つリアリティを求めているようです。観るものが懐かしいと感じるのは小田野尚之 氏が描く情景のリアリティが無意識の底にある幼児の記憶に届く深さを持っているのではないか と評されています。
小田野尚之 「映す」

こちらは2017年の作品。先程似た名前の作品がありましたが、小田野尚之 氏は水面やガラスの反射もよく描いているように思います。また、やや曇りがちの柔らかく繊細な光や 森の陰影など、嘘っぽくない日常にありそうな光景が独特の情感に繋がっているように思います。
ということで、静かで何処か懐かしさを覚える画風となっています。院展の展示や写実の展示などで目にする機会があり、現在も活躍されているので今後ますます期待される方です。もし観ることができたら間近でじっくり鑑賞してみると一層面白いと思います。
小田野尚之 氏は1960年に横浜市に生まれました。幼稚園に入る前から根っからのインドア派で、絵と工作に熱中し 小学校に入ってもプラモデルや工作に没頭する子供だったようです。高学年になり車のカタログ写真などの中から気に入ったものをそっくりに描こうとしたのが初めに絵を描くきっかけだったと語っています。大学受験では美大のデザイン科を目指したものの、それまで絵を習ったことも無く美術部にも所属したことがなかったので美術系予備校で受験勉強をしたり、その合間に油画・彫刻・イラストなど様々な種類の展覧会に脚を運んでいたようで、その中で現代日本画に出会いました。当時は日本画の知識も乏しかったものの、現役時代にデザイン科の受験に全滅したのを機に浪人1年目に日本画へと転向し、1986年には東京藝術大学大学院美術研究科日本画を修了しています。さらに1989年には東京藝術大学大学院後期博士課程 保存修復技術を満期退学し、それ以降、院展(日本美術院)を中心に活動するようになりました。
小田野尚之 「遠雷」

こちらは1991年の作品。コローを思わせる淡い水辺の光景の中、3人の子供が遊んでいる姿が見えます。優しく静かな雰囲気で、観ていて郷愁を誘われますね。
小田野尚之 氏は「子供の頃から静謐な風景画に惹かれることが多く、画集などで気に入った作品に出会うと、その描かれた世界に自分が入り込んだところを想像しながら鑑賞していました」と語っています。その言葉が頷けるくらい小田野尚之 氏の作品にも奥行きや人の気配が感じられ、感情移入しやすい画風となっています。
小田野尚之 「くつおと」

これは1996年の作品で、今は廃駅となっている上野の博物館動物園駅の瓦づくりの駅舎を描いています。階段を下から登ってくる2人の姿があり、階段からは光が霧のように上がってきていて、2人は逆光となっているので強い光を感じます。また、周りの壁は風化した感じで固そうな質感があり、ひんやりした空気や足音までも聞こえてきそうです。
この1996年には日本美術院賞大観賞を受賞されています(同2001年) 日本画と出会う前までは、現代の絵の世界では強烈な個性で観るものを圧倒するような作品が主流なのかと思いこんでいたようですが、それとは逆に穏やかな画風でも徐々に引き込まれるような大きな力が沢山あることを知り、自分もそういう絵を描いてみたいと思って日本画へと進んだようです。また、岩絵の具に魅せられたの理由の1つとして挙げていて、氏の作品にも繊細な色使いが現れているように思います。
小田野尚之 「映」

こちらは2010年の作品。前の作品との14年の間に作風も結構変わってくっきりしたかな。日本画とは思えないほどリアリティのある画風で、写真のような精密さです。しかし絵画ならではの詩情があり、線路が対角線上に伸びる大胆な構図も面白い。人も電車もいないのがかえって余韻を感じさせます。
2006年には日本美術院で同人推挙され、その後 足立美術館賞、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞などを立て続けに受賞されています。写実で表現することについて訊かれた際、「色々なタイプの画風に挑戦しようにも、結局こういう描き方しかできないから」と答えています。「今はこの1つのスタイルしか持っていない自分の不器用さを痛感しています」とも語っていて、非常に謙虚な方のようです。かなり進化してると思うんですがw
小田野尚之 「定刻着」

こちらは2011年のローカル線の駅を思わせる作品。こういう景色を観ると旅情を誘われます。小田野尚之 氏は横浜生まれの都会っ子なはずですが、どういうわけかこうした田舎の風景が多く、ディーゼル車もよく出てきます。私も都会育ちだけど観ていてノスタルジックな気分になるのが不思議ですw
小田野尚之 氏は作品の見どころについて、具体的にどの部分に注目して欲しいというのは無いそうで、自由にストーリーを作りながら あるいは絵の中に入って遊んでいるような気分で楽しんでくれたら嬉しいと語っています。
小田野尚之 「発電所跡」

こちらは2013年の作品。かつての発電所の廃墟を描いていますが、緑が生い茂って生命力を感じます。シンメトリーの構図だけどそうは感じないくらい緑で溢れてますね。
もし絵画の仕事をしていなかったら何をしていたか?という問いに対して、家具や弦楽器の職人に憧れていたことがあり、そうしていたかもしれない。いずれにせよ1人で黙々というタイプの仕事に就いていたと思うと回答されています。ご自身の絵のように穏やかな方なのかな。
小田野尚之 「道」

こちらは2015年の作品。何処か遠くの山の中か、昔の日本を思わせるような光景でちょっと寂しくもあるかな。人が誰もいない一本道をのんびり歩いている気分になります。
小田野尚之 氏は手が届くようで届かない記憶と夢とノスタルジアの風景が持つリアリティを求めているようです。観るものが懐かしいと感じるのは小田野尚之 氏が描く情景のリアリティが無意識の底にある幼児の記憶に届く深さを持っているのではないか と評されています。
小田野尚之 「映す」

こちらは2017年の作品。先程似た名前の作品がありましたが、小田野尚之 氏は水面やガラスの反射もよく描いているように思います。また、やや曇りがちの柔らかく繊細な光や 森の陰影など、嘘っぽくない日常にありそうな光景が独特の情感に繋がっているように思います。
ということで、静かで何処か懐かしさを覚える画風となっています。院展の展示や写実の展示などで目にする機会があり、現在も活躍されているので今後ますます期待される方です。もし観ることができたら間近でじっくり鑑賞してみると一層面白いと思います。
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