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《Google Design Studio》 テーマ別紹介

今日はテーマ別紹介で、Googleのデザインを担うGoogle Design Studioを取り上げます。IT企業の最前線であるGoogleだけに、さぞかし合理的なデザインを目指しているのか?と思ってしまいますが、実際には感性とテクノロジーのよりよいバランスを目指し、色・音・手触り・匂いなどの力で無機質なデジタル化を解決しようとしています。美的経験と脳の働きの関係を調べる神経美学のアプローチを応用し、『どうデザインするか』を重要視して哲学をもってデザインするようです。また、サスティナビリティ(持続可能性)と見た目の美しさの両立も図るなど、最先端のIT企業である故に環境や美意識といった領域にまで踏み込んでいます。今日はそんなGoogle Design Studioについて2019年の21_21 DESIGN SIGHTでの展示を振り返る形で、当時の記事で使わなかった写真を追加しながらご紹介してまいります。なお、作品名や解説などは特にありませんので私の簡単な感想のみとなります。

 参考記事:Google Design Studio | comma (21_21 DESIGN SIGHT)
 参考リンク:https://design.google/


2019年時点の情報ですが、Google Design Studioはアイビー・ロス氏という女性が率いていて、上記の展示は彼女の40年来の友人であるトレンド・クリエイターのリドヴィッチ・エデルコート氏(この方も女性)がキュレーションを手掛けていました。
まずアイビー・ロス氏についてですが、ニューヨーク州ヨンカーズに生まれ育ち、子供の頃はドラムに夢中だったようで、やがてインダストリアルデザイナーの父の影響でクリエイティブな世界に入っていきます。高校と大学ではアートと心理学を専攻し、ニューヨーク州立ファッション工科大学でジュエリーデザインを学び、23歳で自身のジュエリーブランド「スモールワンダーズ」を設立しました。タイタニウムやニオブといったメタル素材を使った作品は名だたる美術館のコレクションになるほどの評価を受けたようです。 さらに30代にはコーチ、カルバンクライン、マテル、ディズニー、ギャップといった会社でデザイナーとして働き、ファッション、時計、おもちゃなど様々なプロダクトをデザインしていったそうで、2014年からテクノロジーの世界に踏み込みました。2019年時点ではGoogleのハードウェア部門にてデザインを担当するバイスプレジデントとなり、グーグル ピクセルやグーグル ホームを含む30以上の製品デザインに携わって、70以上のデザイン賞をグローバルで受賞しています。
 引用元:https://www.axismag.jp/posts/2020/05/206635.html

一方のリドヴィッチ・エデルコート氏は詳細な経歴は分かりませんがトレンド予測のパイオニアで、上記の展示で厳選した日本の美意識を感じさせる日用品とともに、暮らしに溶け込むテクノロジーのあるべき姿を提案していて、展覧会のタイトルを「comma(カンマ)」としました。これは「忙しい日常に一呼吸を置いてみて」というメッセージが込められていて、Google が表現する新しいテーマとなっています。

と、前置きが長くなったので、ここからは写真を観ながら補足していきます。

こちらは和風の鉄瓶とお皿
DSC07705.jpg
一部分が伸びてカンマのような形になっています。テーマに合わせて洒落っ気を感じると共にいずれも簡潔な美しさを感じるデザイン。

エデルコート氏はこの時の展示の意図について、下記のように語っています。
「今回の展示のコンセプトは、デジタルデバイスが人間にストレスを与えている側面について考えながら決めていきました。私などは毎週メールで質問が寄せられて、もっと早く返事をくれないかと言われ続けてストレスを感じています。でも、デジタルデバイスは必ずしもそういうことではないはずです。パートナーであり友達であり、日常を加速させるものではなくスローダウンさせることもできるものではないかと考えています。ゆっくり料理をつくったり、思慮深い時間を過ごしたり、ヨガで瞑想したり……そうやって日常生活に一呼吸を置くことを、この空間で表現してみました」
 引用元:https://casabrutus.com/design/120756/2

こちらは漆器のセット
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何気なくスマートフォンが置かれています。すっかりスマートフォンも日常に溶け込んだ感があるかな。黒と白のコントラストは伝統的な色彩だし、しっくりきます。

どこか懐かしさや心地よさを感じるのは先述のコンセプトに基づいているからでしょうね。

こちらもスマフォと民芸の品のような組み合わせ。
DSC07713.jpg
匙がカンマのような形をしていました。 こうして置かれてるとスマフォが硯のように見えるw

アイビー・ロス氏も「私にとって『何をデザインするか』はそこまで重要ではありません。大事なのは『どうデザインするか』であり、自分の哲学をあらゆるものに応用することが好きなのです」と語っています。哲学に基づいているから安っぽさがなく伝統工芸に引けを取らないんでしょうね。

こちらは朱色をテーマにした一連の作品の1つ
DSC07717.jpg
テキスタイルに描かれているのはスマフォかな? これも伝統工芸のような佇まい。

もちろん、展示のためだけでなく実際のデザインに活かされています。

こちらは当時発表されたGoogle Pixel 4の限定色
DSC07722.jpg
先程の写真にも写っているのですが、めっちゃ馴染んでます。

アイビー・ロス氏は気分と関係すると考えるのは、色だけでなく、音、手触り、匂いなどの要素が人間の感情や精神に大きく作用すると考えているようです。そしてアイビー・ロス氏はこの美的経験と脳の働きの関係を調べる神経美学のアプローチを、テクノロジーに応用することをGoogleでやろうとしています。心理学を学んでいたのも活かされてそう。

こちらは淡い青を基調としたコーナー
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置かれた静物も淡い色彩で落ち着いた気分になります。今回のコンセプトがよく分かる品々じゃないかな。

このタペストリーは、古布をはぎ合わせて、抽象的なイメージを具現化しているようです。古布というのも1つのポイントとなります。

下に置かれていた静物のアップ
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お盆の上に乗っているのは恐らくGoogle Nest Mini(スマートスピーカー)

Google Nest Miniのファブリックは100%ペットボトルからリサイクルされた素材(使用済み再生プラスチック)を使っています。Google Design Studioのデザイナーたちは、サスティナビリティ(持続可能性)を重要視していて、サスティナビリティと見た目の美しさは両立できると考えているようです。

こちらは淡いピンクで統一した品々。
DSC07727.jpg
この色彩感覚が温かみがあってどこか古風なものを感じます。洒落ていて華美ではないというか。

Googleは10数年前からオフィスやデータセンターでのカーボンニュートラルを実践しているそうで、2022年までにすべてのハードウェアに使用済み再生プラスチックを使うことを宣言しています。落ち着くだけでなく、そうした方向性も含んだデザインになってるんですね。

こちらはアトリエコーナー。
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当時、Googleデザインのインスピレーションの元やプロダクトを直接触れて体験できるようになっていました。有機的な雰囲気のデザインが多かったのが印象的でした。

Googleは2019年8月にマウンテンビューのキャンパスにハードウェアデザインチームのための7万平方フィートの「デザインラボ」を新設したと発表しました。つまりそれだけデザインが重要性だと考えているわけですね。

このコーナーにはたまにスマフォやweb画面のようなデザインもあったかな。
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そのうちgoogleのプロダクトに反映されるようなアイディアもあるのかも。

Google Design Studioには約150人の多様なメンバーが在籍いているようです。

こちらはオレンジ色のコーナー
DSC07739.jpg
よく観るとテキスタイルは縞模様のようになっていて味わいがあります。椅子や静物はビビットな印象を受けるかな。

Googleは将来を見据えて「アンビエントコンピューティング」という考え方をしているそうです。これは流動的に、個別の端末などを意識せずに、自分の取り巻く環境全体をコンピュータのように操作できることで、テクノロジーは背景に隠れているべきではないか、という考え方です。

こちらはカニとGoogle Nest Mini
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見た目は完全に溶け込んでますねw クッションのようにすら見える。

20代半ばで既に世界的に注目されるジュエリーデザイナーになっていたロス氏は当時の経験について、「いちばんの教訓は、人生とは目的を達成したら終わるものではないということに気づけたこと」と語っています。流石に一流の人の言葉は重みが違いますねw

こちらは白っぽいコーナー
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これも茶道具の棗のように見えてデバイスじゃないかなw 和風の部屋にも馴染みそうです。

ロス氏は「この道具はどうやって人々を次のレベルに引き上げてくれるのだろう?」と自分たちのデザインに常に問いかけているそうです、

最後にこちらは薄い緑のコーナー
DSC07749.jpg
緑は特に落ち着きますね。こういう雰囲気に馴染むデバイスならデジタル世界にも安らぎを求められそう。


ということで、Googleは最先端のIT企業である故に環境や美意識といった部分に踏み込んでデザインを重視しているのが伺えます。余談ですがGoogleはこれとは全く別に「Google Arts & Culture」というプロジェクトでアートを世界に公開していたりするので、美術好きにも馴染みのある企業かもしれません。こうした背景を知っておくと今後、Googleのプロダクトデザインを観る目も変わりそうです。
 参考リンク:Google Arts & Culture
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