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《田根剛》 作者別紹介

今日は作者別紹介で、今まさに日本を代表する建築家になりつつある田根剛 氏を取り上げます。田根剛 氏は26歳の若さでエストニア国立博物館の国際コンペを勝ち抜き、その壮大なスケールの設計で世界的な注目を浴びました。建設する土地について調べ、時には負の遺産を活かすというスタイルで「Archaeology of the Future(未来の考古学)」と呼称しています。周囲に調和しつつ斬新さ・大胆さが一目で分かるのも特徴で、これからの一層の活躍が見込まれる方です。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ― Search & Research (TOTOギャラリー・間)
  田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ─ Digging & Building (東京オペラシティアートギャラリー)
  CITIZEN“We Celebrate Time”100周年展 (スパイラルガーデン)


田根剛 氏は1979年の東京生まれで、北海道東海大学芸術工学部建築学科に入学し、在学中にスウェーデンの工科大学へ留学して建築を学びました。卒業後にはデンマーク王立アカデミーにて客員研究員となりデンマークやイギリスの設計事務所に務めています。そして2006年に26歳の若さで国際コンペ「エストニア国立博物館」で最優秀賞授賞し、一夜にして世界的な注目を集めました。そして、2008年にはフランスで新進建築家賞を受賞し「世界の最も影響力ある若手建築家20人」にも選出されるなど、今注目の建築家です。2012年には日本の世間を騒がせたザハ・ハディド氏の新国立競技場のデザイン案がありましたが、その際、惜しくも採用されなかった11名のファイナリストに名を連ね、そのデザイン案の「古墳スタジアム」が更に注目を集める機会となったようです。 

田根剛 「エストニア国立博物館」
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まずは出世作の実際の写真。上から観るとこんな感じで、むちゃくちゃ長くて滑走路みたい…と思った方は勘が鋭い。この博物館は元ソ連の軍用地の滑走路に接続する感じで建ってます。

この設計は負の遺産である軍用滑走路をエストニアの記憶として継承しようと活かした点が評価され、「メモリーフィールド(記憶の原野)」と名付けられました。2006年に最優秀案として選ばれ、2016年に開館しています。

こちらはエストニア国立博物館の模型。
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入口の大屋根も特徴かな。こんな大胆な案を26歳で考案したのかと驚きます。

こちらはサイズが小さめの模型。
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10年かかって作っただけあって、もはや地形と化しているくらいでかいw

田根剛 氏の大きな特徴として、徹底的に現地を調査し、その歴史やロケーションを建築に活かす点が挙げられます。

これは田根剛 氏の個展の際に床にあった資料。
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TRACE 記憶が発掘される といったことが書いてあり、遺跡のような写真がいくつも並んでいます。こうした資料からインスピレーションを受けて設計をしているようです。

このスタイルを「Archaeology of the Future(未来の考古学)」と自ら呼称しているようです。

田根剛 「古墳スタジアム」
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続いてこちらは先述の新国立競技場の最終選考案の模型。一見驚きですが、古代から続くオリンピックを日本の古代の古墳の形の競技場でというアイディアは秀逸ですね。お墓だけどw

この案を作る際にも古墳を調べたりしていたようです、神宮の森というロケーションを考えると緑が多いのもよく合いそうです。ちなみにご存知の通り、このコンペを勝ったザハ・ハディド氏の案は費用面などでケチが付き、後任の案は隈研吾 氏が選ばれました。

田根剛 「A House fro Oiso」
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こちらは大磯の家の模型で実際に完成した建物です。大磯は縄文の古代から人が住んでいた地で、縄文=竪穴、弥生=高床、中世=掘立柱、江戸=町家、昭和=邸宅 という各時代の住居を統合するというコンセプトとなっています。

こちらが実際の家の映像。
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違和感なく周囲に溶け込んでいて、落ち着きと洒落た感じがあります。確かに高床式倉庫っぽい見た目ですね。

こちらは部屋の中の様子。
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石壁の土台のような所が1階のようです。中もモダンさがありつつ落ち着くものを感じるのは日本の住居の歴史の結晶だからでしょうか。

田根剛 「カイタック・ツインタワー」
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こちらは香港の複合施設の選考案。九龍城や高層ビル群などをイメージしているようです。九龍城は魔境みたいなイメージですが、確かに多くの人の記憶に残っているしロマンがありますよねw これもワクワクさせてくれます。

田根剛 「Todoroki House in Valley」
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こちらは木々に囲まれた等々力渓谷の近くの家。森と共生するような佇まいで、洗練されているのにどこか懐かしくもあって、楽しそうな家です。

田根剛 「10 Kyoto」
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こちらは京都のプロジェクト。角度によってはピラミッドみたいな形をしていて、「条」で区切る京都の碁盤の目の歴史なども考察しているようです。この木は古材を再生させて使うようで、京都の山間部の工場で古材を集ています。

田根剛 「アルチュール・ランボー美術館」
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こちらはフランスの美術館の設計案で優秀案を受賞した作品。詩人のアルチュール・ランボーにまつまる建築として美術館と劇場の統合を試みているそうです。アルチュール・ランボーの故郷の風車小屋の中身を解体し、展示室と劇場にする計画だったようです。

田根剛 「LIGHT is TIME シチズン、ミラノサローネ」
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こちらは2014年にミラノのシチズンに作られたインスタレーションのデザイン。トンネルみたいなw

こちらもミラノのインスタレーション。時計の地板を8万枚・ワイヤー4000本以上使っているようです。
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こちらは2018年末に南青山のシチズンでミラノのインスタレーションを再現した際の写真。
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規則的にびっしりと金色の粒粒が並んでいる空間となっています。

そのうちの1つをアップで撮るとこんな感じ。
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これは「地板」という時計を支える基盤の部品だそうで、全部で12万個もの地板を使っているようです。

写真で観ると放射状のように見えますが、整然と並んでいます。
DSC08222.jpg
光と時をテーマにしていて「光は時間であり、時間は光である」という考えで作られているのだとか。理屈抜きでも星空のように輝いて美しい光景です。


ということで、土地の歴史や文化を取り入れた設計が特徴の建築家となります。まだ40代なのでこれからの一層の活躍が期待される方です。最近では2020年に弘前れんが倉庫美術館が竣工するなど、大型プロジェクトを国内で観られる機会も増えるかも知れませんね。
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