HOME   »  写真  »  保岡勝也 「旧山崎家別邸」

保岡勝也 「旧山崎家別邸」

今日は写真多めです。2ヶ月ほど前の11月に、川越で美術館巡りをしてきました。その際に、旧山崎家別邸を見学してきたのですが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

DSC_0001_enc_2022010901074260b.jpg

【公式サイト】
 https://www.city.kawagoe.saitama.jp/smph/welcome/kankospot/kurazukurizone/kyuyamazakike.html

【施設】旧山崎家別邸
【最寄】本川越駅、川越市駅、川越駅

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度
 
空いていて快適に鑑賞することができました。閑静な住宅地の中にあり、表通りの賑やかな雰囲気とは違った川越の魅力を感じられる場所となっています。入口施設にはロッカーなどもあるので、旅行客も見学しやすくなっています。

こちらが旧山崎家別邸の見取り図。近くにある山崎美術館が川越の老舗菓子屋「亀屋」の山崎家の本宅で、こちらは五代目である山崎嘉七氏の隠居所として建てられました。
DSC08231_20220109010739735.jpg
和洋折衷建築となっていて、設計者は保岡勝也という辰野金吾に師事した建築家です。

保岡勝也の代表作は川越を歩いていると一際目を引く↓の第八十五銀行本店(現在の埼玉りそな銀行川越支店)
DSC08399.jpg
どちらかと言うと、師の師であるジョサイア・コンドルっぽさを感じるかな。旧山崎家別邸にもこうした洋風の要素があるので比較してみると面白いです。

再び旧山崎家別邸に戻って、こちらは玄関を入ってすぐの光景
DSC08239_20220109010740a7e.jpg
立派な和室の客間で、幾何学的な美しさがあります。ここは一旦後回しの順路になっていますので後ほど。

こちらは廊下
DSC08241_20220109011131a54.jpg DSC08245_20220109011132a85.jpg
スイッチの装飾などが可愛らしくて、そうしたところにも細やかな気配りを感じます。

こちらは浴室
DSC08250.jpg
幾何学文様が洒落た雰囲気。建てられたのは1925年なので、アール・デコっぽさを感じます。

この時、施設内でグループ展が開催されていてあちこちに作品が展示されていました。
DSC08254_20220109011136130.jpg
こちらの期間は分からないので終わっているかもしれませんが、毎週土曜日・日曜日には盆栽・水石の展示なども行われるようです。

こちらは階段附近。ステンドグラスが見どころとなっています。
DSC_0020_enc_20220109010744be4.jpg DSC08257.jpg
残念なことに2階は非公開となっています。踊り場にもステンドグラスが見えているけど、光が強すぎて上手く撮れませんでした。

階段の脇には金庫室がありました。川越経済の中心人物の家だけに立派な金庫。
DSC08263_202201090111402dc.jpg
中からアート作品が飛び出してましたw 会場と一体化するような面白い趣向です。

こちらも展示作品。山崎雅可 氏の「生命(いのち)」
DSC08267.jpg
この家の関係者か?と思ったけど、神奈川出身の方のようです。凛とした佇まいがこの家によく合います。

こちらは洋間の客室。ここにもステンドグラスがあって洒落た雰囲気。
DSC_0033_enc_20220109010745fe7.jpg
ここで保岡勝也に関する解説があり、住宅作家のパイオニアであったことなどが紹介されています。時代が洋風に向かっていく中で、保岡勝也は和風へと傾倒していったようですが、暖房や照明など使いやすさを重視していた人だったらしく、この部屋も非常に居心地が良いように思えました。

こちらは食堂。隣には3畳ほどの準備室もあります。
DSC08284.jpg
豪邸の割に食堂はそれほど広くないように思えましたが、使い勝手は良さそうです。

ここにはこの家の模型がありました。
DSC_0046_enc_20220109010746f65.jpg
先程の洋間は左下の部分の辺りです。右半分は和室で、最初に観た部屋辺りになります。

裏から観るとこんな感じ。
DSC08278.jpg
冒頭の写真はこの方向から撮ったものです。2階は模型で観るしかないけどちょっと面白い食い込み方してるw

こちらは食堂附近にあったステンドグラス
DSC08289_20220109011144ae1.jpg
ステンドグラスが多いのが特徴かも。下のほうに写っているのはグループ展のアート作品です。

再び最初の和室に戻ってきました。
DSC08304.jpg
数寄屋造りで、主な柱は全て磨き丸太が使用されています。これだけ立派な建物なので、陸軍大演習などで川越付近に訪れた皇族がよく宿泊していたようです。

こちらは和客間から観た庭園。
DSC08316_20220109011304207.jpg
この庭に大韓帝国の最後の皇太子となった李王垠が植えた松なんかも残っています。

こちらは8畳の居間
DSC08322.jpg
日常で最も使われていたようで、茶室としても使われていたのではないかと考えられているようです。この写真には写ってないけど、畳に炉が区切られてるのが確認できました。

こちらは板の間のサンルーム。
DSC_0097_enc_20220109010748f35.jpg
設計図ではベランダと描かれているようで、窓を開け放って半屋外的な使い方が想定されていました。ガラス面が広いので部屋の広さ以上に開放感があります。

こちらは児童室。孫が遊びに来た時の部屋です。
DSC08344_20220109011305d18.jpg
ここから花壇や芝生に直接できたようで、大正期の生活改善運動で提唱された実用の庭を実現しているのだとか。

こちらは児童室から玄関に向かう途中で振り返って撮ったもの。
DSC08359.jpg
ここにも山崎雅可 氏の作品が展示されていました。

内観はこんな感じで、続いて外観と庭です。

こちらは先程の洋間の客室の辺りを外から撮ったもの。
DSC_0115_enc_20220109010749f8f.jpg
ここから観ると和室がある感じには見えませんねw 中で半々に区切られてるのが独特な和洋折衷建築となっています。

こちらにも玄関らしきものがありますが、ここは利用不可でした。
DSC08372.jpg
窓の装飾がアール・デコっぽくて好み。この家は何かと趣味が良いんですよね。

こちらは庭にある茶室。これも保岡勝也による設計です。
DSC_0123_enc_20220109010751541.jpg
著名な茶室を模倣したそうで、晩年には茶室の研究家として講義を行うほどに傾倒していたのだとか。

こちらは茶室附近から観た家の外観。
DSC_0130_enc.jpg
日当たりが良すぎて飛んでしまったw この庭は立ち入り禁止で、国登録記念物(名勝地)に登録されています。


ということで、非常に魅力的な住宅となっていました。2019年に重要文化財に指定されたようで、川越の新しい名勝地(と言っても古いですがw)になりそうです。ここは有名な川越の蔵造り通りからも近いので、川越観光に行かれる際は是非チェックしてみるとよろしいかと思います。

おまけ:

こちらは先行でインスタに上げた和客間

和の美しさを凝縮したような空間となっています。

こちらは和客間から居間に向かう縁側

縁側好きとしては、実際に住んだらここが一番好きな場所になりそうw

インスタもフォローよろしくおねがいします。
 https://www.instagram.com/artanuki/
関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
15位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
3位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。