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2021 MOMASコレクション 第3期 【埼玉県立近代美術館】

2週間ほど前に北浦和の埼玉県立近代美術館で展示を観てきました。特別展については準備中なので先に常設についてご紹介しようと思います。この展示は撮影可能だった作品の写真を使って参ります。

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【展覧名】
 2021 MOMASコレクション 第3期

【公式サイト】
 https://pref.spec.ed.jp/momas/2021momas03

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅

【会期】2021年10月23日(土) ~ 2022年2月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2021年度の3期となってきました。3期の中でも前期・後期あったようで私が観たのは後期の内容となります。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、今回は撮影の際の設定を誤っていたことに気づかなかったので全体的に光が強すぎて色が薄く見えます。加工すれば良いんだけど大変なので…すみません。


<セレクション>
まずはこの美術館が誇るコレクションの中でも特に重要な西洋絵画が並ぶコーナーです。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「イタリアの想い出」
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こちらはコローが晩年に若い頃のイタリア留学を思い出して描いた作品。版画になっても独特の柔らかい空気感や優しい雰囲気が漂っているように思えます。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「砂丘にて―ハーグの森の想い出」
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こちらも版画。コローは木や森、水辺などをこよなく愛した画家で、これも森が主題になってますね。印象派の先駆けとなったのも頷ける光景です。

カミーユ・ピサロ 「エラニーの牛を追う娘」
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こちらは印象派のまとめ役だったピサロの作品。細かい点描で描いているのはだいぶ年下のスーラの影響を受けて点描を用いていた頃に制作された為です。エラニーでの田園と人々をよく題材にしていて、ここでも長閑で心温まる情景となっています。点描でもピサロの温厚な人柄がにじみ出てるようにも思える。

ポール・シニャック 「アニエールの河岸」
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こちらは新印象主義を代表するシニャックの作品ですが、ここでは割と普通の印象派っぽい感じで描かれています。この作品の次の年の第8回印象派展で分割主義を用いた作品を出しているのでその前の画風かな。静かな色調で後のシニャックの画風とはえらく違ってみえます。新印象主義の参加がきっかけで印象派展は意見が対立して終焉してしまうわけですが…。

斎藤豊作 「初冬の朝」
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こちらは大正時代の埼玉県出身の画家。パリで新印象主義などを学んだようですが、ナビ派っぽい雰囲気に思えます。横長の画面に奥へと湾曲していく川のリズムが心地よく、対比的な色使いも鮮やかなのに派手ではなく温かみを感じました。手前にいるのはヤギかな。牧歌的で可愛らしい。

モーリス・ドニ 「シャグマユリの聖母子」
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こちらはナビ派のドニの作品。子供を抱いて聖母子の見立てになっているのかな。鮮やかな衣や周りの花々など装飾的で華やいだ雰囲気も感じられます。幸せそうな絵ですね。

マルク・シャガール 「二つの花束」
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こちらはシャガールの油彩。1925年の作品とのことで、晩年のような強い色彩ではなく落ち着いたややくすんだような色合いに思えます。キュビスム的な要素もありつつまだ現実的かな。花瓶の下に人の顔らしきものがあるのが気になりますw

パブロ・ピカソ 「静物」
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こちらはピカソの1944年の作品。強烈な色彩と太い輪郭が特徴で、初期のキュビスムとは違った力強さを感じます。終戦後にピカソは、「わたしは戦争を描かなかった。…しかし当時のわたしの絵の中に戦争があることは疑いない」とも言っていたのだとか。

ポール・デルヴォー  「森」
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この美術館のコレクションの中でも特に好きなのがこちらの作品。鉄道と裸婦はデルヴォーが好んだ題材で、コラージュ的な不思議な光景となっています。妖しさと美しさがあって神秘的ですらありますね。

梅田正徳 「月苑」
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埼玉県立近代美術館は椅子のコレクションも充実していて、これはそのうちの1点。まるで花のようなデザインが何とも機知に富んでいますw 根本部分はちゃんと緑色になっているのも面白い。

梅田正徳 「Ran」
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こちらも同じ梅田正徳 氏の作品。これは蘭の花をイメージしたのかな? 有機的なフォルムが優美な印象でした。


<かぐわしき女性像>
続いては日本画の美人画のコーナー。今回は小村雪岱の作品が充実していました。他にもあったんだけど鏑木清方とか撮影できなかったw

小村雪岱 「花の影」
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再評価が進んでブレイクしそうな画家として名前が挙がる小村雪岱は川越の生まれということもあり埼玉県立近代美術館はコレクションが充実しています。細面の輪郭、つりあがった杏仁形の眼、華奢な体つきが「雪岱式美人」の特徴とのことで、この作品はそれがよく分かります。
 参考記事:小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)

小村雪岱 「お傳地獄 傘」
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こちらは挿絵からの1枚。毒婦と呼ばれた高橋でん が、ゆすりとった金を懐にヤクザ者の恋人と相合い傘をしている所です。性格がキツそうな顔だけどスラッとした首筋に色気を感じますw 小村雪岱の作品は傘もよく出てくるかな。

小村雪岱 「深見草」
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深見草とは牡丹の古い名前です。大ぶりで見事な牡丹を細身の女性が覗き込むような仕草ですね。小村雪岱の美人は鈴木春信の美人に通じるものを感じます。

小村雪岱 「見立寒山拾得」
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こちらは小村雪岱の馴染みの芸姑をモデルに寒山拾得に見立てています。本物の寒山拾得は妖怪みたいな不気味な笑いをたたえる禅寺の僧ですが、この2人は可憐で似ても似つかないw 仲良く葉っぱに何かを書こうとしているように見えて、初々しい雰囲気がありました。

<特集:中野四郎>
この章はもはや小個展と言いるくらいの内容でした。冒頭の写真の彫刻や資料なども含めて彫刻家の中野四郎の作品が30点ほど並んでいて、撮影も可能となっていました。せっかくなので、こちらについては別記事で作者別紹介で取り上げようと思います。


ということで、今回の常設も久々に観た作品などもあって充実した内容となっていました。どういう訳かいつも特別展に比べると空いていますが、埼玉県立近代美術館に行く機会があったら是非こちらの常設も観ることをお勧めします。

おまけ;

先行でインスタに載せていた埼玉県立近代美術館の写真。


ここは建物自体も魅力があるので絵になります。


これは地下から吹き抜けを見上げて屋上を撮ったもの


こちらは目の前の北浦和公園


これは公園の裏手から撮った夕焼け
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