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大・タイガー立石展 世界を描きつくせ! 【埼玉県立近代美術館】

しばらく更新の間が空いてしまいました。眼精疲労だったので早めに就寝する習慣にしたらブログを書く時間が無くなってましたw
さて、だいぶ前のことになりますが1月に埼玉県立近代美術館の大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!を観てきました。この展示は既に終了していますが一部撮影できましたので写真を使って簡単に振り返っておこうと思います。

DSC02505.jpg

【展覧名】
 大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!

【公式サイト】
 https://pref.spec.ed.jp/momas/great-tiger-tateishi

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅

【会期】2021年11月16日(火) ~ 2022年1月16日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会期末が近かったこともあり意外と多くのお客さんで賑わっていました。

さて、この展示は昭和から平成にかけて前衛的な和製ポップアートの旗手として活躍したタイガー立石こと立石紘一を紹介する個展で、うらわ美術館との合同企画として2館同時開催となっていました。展示は1941年に筑豊の炭鉱の街・伊田町(現・福岡県田川市)で生まれたところから晩年に至るまで時系列で紹介されていて、1963年の読売アンデパンダン展で発表した玩具や流木などを大画面に貼り付けた作品などが冒頭に展示されていました。1965年からは漫画も描き始め、「タイガー立石」のペンネームでナンセンスな漫画連載を行い、1969年からは13年間に渡ってイタリアに渡ってミラノを中心に活動しました。そこで漫画のコマ割りを用いた絵画を描くようになりました。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「Time Elevator」
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こちらはシルクスクリーンの作品。一見すると漫画風で、部屋がタイムマシンみたいになって原始人が入り込んで来るようなストーリーに見えます。こうした漫画風絵画がタイガー立石の大きな特徴となっています。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「A Point」
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こちらは汽車が鏡合わせの空間から湧いてくるような作品。シュールでナンセンスなところも共通した特徴に思えます。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「The Moon Grows to the Moon」
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こちらは月や地球をモチーフにしたもの。SF的な世界観もよく観られ、建築/デザインの巨匠エットレ・ソットサスやアレッサンドロ・メンディーニらにも注目されて協働しています。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「Milano Torino Superway」
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こちらはこの美術館のコレクション展でも見覚えがありました。遠近法が誇張されて奇妙でポップな雰囲気が面白い。

1982年に帰国し、漫画、絵本、掛け軸、巻物など様々な媒体で作品を制作し、他のアーティストの作品を取り込んだ一種のパロディ的な作品も残しています。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「昭和素敵大敵」
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こちらは大画面の絵画作品。パッと見で古賀春江の「海」をパロって文金高島田にしたものや北脇昇の「クォ・ヴァディス」などの名画を配しつつ、有名人や出来事をぎっしり詰め込んでいますw

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「大正伍萬浪漫」
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こちらは大正の面々。岸田劉生の麗子像や中村彝の「エロシェンコ氏の像」などこちらも東京国立近代美術館からのネタが伺えますw 夢路美人とかアール・デコなどモダンな雰囲気。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「明治青雲高雲」
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こちらは明治。維新志士を始め明治の事物が並ぶ中 高橋由一の鮭が中央に吊り下がってます。リスペクトを感じつつ可笑しみがありますね。

絵画だけでなく、彫刻も手掛けていて立体的かつパロディ的な作品が展示されていました。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「RYUSEI」
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見慣れた岸田劉生の顔を配した作品。周りのモチーフも岸田劉生の絵でモチーフになったものなどが並びます

背面はこうなってました
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麗子像やパレットなどが並んでいます。2Dをうまいこと3Dにしてますね。

タイガー立石(立石紘一/立石大河亞) 「GOGH」
DSC02652.jpg DSC02654.jpg
こちらはゴッホ。郵便配達人のジョゼフ・ルーランなどの姿もあり、背面には有名なパイプの乗った椅子があります。絵画に造詣が深かったのが伺えますね。

最後に巻物風にした映像があり、タイガー立石の集大成のようになっていました。かなり幅広い活動でシュールな作風なので その全容を理解するのは難しいですが、単なる奇抜な発想ではなくアートの歴史の文脈に沿って革新している感じを受ける作家でした。そのうちじっくり作者別紹介で記事を書くかもしれません。

ということで、予想以上に満足できる内容でした。この後、うらわ美術館の展示も観たのでそれもご紹介する予定です。
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