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ミロ展-日本を夢みて (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

今日は前回に引き続きBunkamura ザ・ミュージアムの「ミロ展-日本を夢みて」についてです。前編は3章の途中までご紹介しましたが、後編では残りについてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 ミロ展-日本を夢みて

【公式サイト】
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2022/2/11(金・祝)~4/17(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前半も日本との関わりを取り上げていましたが、後半はさらに直接的な交流の内容となっていました。


<4 日本を夢みて>
1944年に学生時代からの友人のアルティガスの協力を得てミロは焼き物づくりに没頭するようになり、日本の焼き物の虜になりました。日本の大津絵やコケシ、郷土玩具などのコレクターの品にも心奪われ、関心は民芸品にも及んでいたようです。一方、スペイン内戦での独裁政権でもコバルト49というグループが前衛的な芸術活動を支援し、細々とミロたちの展示も行われていました。1950年代には日本のコレクターがミロを訪れる機会も増えて日本への旅も具体的に夢見るようになっていきました。

53 ジュゼップ・リュレンス・イ・アルティガス/ジュアン・ミロ 「大壺」
こちらは1mくらいある首付きの壺で、側面に緑釉でミロの絵が書かれています。縞々の同心円状に切れ目が入っていて粗い感じの仕上がりで、色合いと共にどっしりとした印象を受けました。

48 ジュアン・ミロ 「夜の中の女たち」
こちらは簡略化した人や鳥?のようなものが線と色面で描かれています。夜の中の女性や太陽の前の女性というテーマで1946年の夏から年末にかけて何度も描いた作品の1枚のようです。独裁者の圧政に苦しむバルセロナの人々を表しているようですが日や星のマークもあったりしてメルヘンチックな絵本のような印象を受けました。人々を苦しみから救う為に描いたのかも?

54 ジュゼップ・リュレンス・イ・アルティガス/ジュアン・ミロ 「女」
こちらはミロの作品に出てくるモチーフを立体化したような大きな焼き物作品です。目玉のようなものがある胴体部分と、謎の板状の上に球体があって タイトルとなっている女性の姿には見えません。。。 素朴で力強い焼き上がりで日本の民芸品のような雰囲気があります。アルティガスは濱田庄司と親しかったらしく、益子から名を取って窯にマシコと名付けたりしていたようです。かなりそれに通じるものを感じました。

近くには大津絵や埴輪の頭などもあり、ミロも日本の素朴なものを愛好していたようです。


<ミロのアトリエから>
こちらはミロのアトリエにあったコレクションが並ぶコーナーです。ミロの制作風景の映像もあり、日本のタワシを使って描いたり大阪万博のために即席で壁画を制作している様子などが映されていました。この壁画は「無垢の笑い」というタイトルで現在は国立国際美術館の所蔵となっていますが、5m×12mという巨大な作品です。

ここではミロは仙厓義梵の「○△□」もお気に入りだったというエピソードが語られていました。確かに天衣無縫で概念的な所は禅画に通じるものがあるかも。他にも感銘を受けた岡倉天心の『茶の本』なども展示されていました。
 参考記事:仙厓礼讃 (出光美術館)


<5 二度の来日>
1966年に版画・タペストリー・彫刻・焼き物まで171点を集めたミロ展が東京国立近代美術館と京都分館で開催され、それに合わせてミロは初来日を果たしました。瀧口修造とも初対面し、京都や信楽の窯元や書家と交流したり2週間を慌ただしく過ごしました。 さらに1969年には大阪万博のガスパビリオンの陶板壁画を設置した際にも来日しました。その場で急遽 追加で壁画を描くことになって周りを驚かせたのだとか(先述の無垢の笑いのことです)

74 ジュアン・ミロ 松丸東魚「色紙」
こちらは墨蹟で、MIRO書いてあります。 さらに篆刻家の松丸が作った美露という落款もあり書道の作品のようにも見えるかな。ミロは印章が気に入ったようで持ち帰ってからも使っていたそうです。

この辺には当時の写真やミロ展のポスター、来日時の日程表などがありました。スケジュールはかなり過密で大変そうでしたw また、世界初の単行書となった瀧口修造の『ミロ(西洋美術文庫48)』もありました。ミロは後にそれを知り、パリでの展覧会のカタログの詩を瀧口修造に依頼しています。

75 ジュアン・ミロ 「祝毎日」
こちらは祝毎日という漢字を象形文字のように黒く墨で書いていて、さらに左下にはカタカナのミロとMIROという字が書かれています。これはミロ展を主催した毎日新聞社の社長室で書いたそうで、ミロっぽく記号化されているのも面白い。この作品などはかなり日本の書そのもので影響の様子がよく分かります。

この辺にはミロの絵が表紙の美術雑誌「デリエール・ル・ミロワール」もありました。以前に観たのと別物っぽいですがカラフルで自由なミロらしさが出ていて素晴らしい表紙でした。
 参考記事:マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に (国立西洋美術館)https://21stcenturyxxxman.blog.fc2.com/blog-entry-1834.html

99 ジュアン・ミロ 「アントニ・ガウディと瀧口修造へのオマージュ」
1979年に瀧口修造が亡くなってしまい、ミロと同郷で有名な建築家のガウディの写真集の序文を瀧口修造に依頼していた写真家の細江英公はミロに代役を依頼して、引き受けてもらえました。それがこの作品で鳥や月などみ見える記号的な色面と周りに沢山のカタルーニャ語とフランス語が散りばめられています。言葉と絵画を同列に扱うミロの特徴がここにも現れていると同時に、瀧口修造とガウディへの敬意が込められているようでした。


近くには瀧口修造との共作の書籍やブロンズ彫刻などもありました。彫刻はミロの絵画と同じく謎の有機的なモニュメントとなっていて特徴がよく出ていました。


<6 ミロの中の日本>
最後は書とミロの関係についてのコーナーです。ミロは日本の書家の仕事に夢中になり、制作方法に影響を与えたと語っていました。書を思わせる激しい筆使いと線が現れるようになったようで、ここにはそうし作品が並んでいました・

110 ジュアン・ミロ 「人、鳥」
こちらはサンドペーパーの上に板を貼り付けて書のように絵を描いた作品です。サンドペーパーの荒々しくて茶色い無骨な肌に負けないくらい太い黒線に力強さがあると同時に、素朴で日本の侘び寂びに似たものを感じます。素材の斬新さと民芸のような生命力に驚きました。

105 ジュアン・ミロ 「絵画」 ★こちらで観られます
こちらは黒の絵具が滴っている謎の抽象画です。日本の書道の影響とのことですがジャクソン・ポロック晩期のブラックポーリングを思わせる大胆な流れっぷりです。滲み、跳ね、かすりなどに興味を持ったらしく、それを利用した作品も増えたのだとか。

この辺は大型の絵が多く、かすりを使った「絵画」などもありました。1952年頃から美術界では日本の書と欧米の抽象絵画との共通点や相違点が活発に議論されていたようで、その影響もありそうです。

111 ジュアン・ミロ 「マキモノ」 ★こちらで観られます
こちらはその名の通り巻物仕立ての作品で、来日の10年前に描かれました。黒い太い線で単純化された顔や謎の生き物のようなものが描かれ、こちらも力強い印象を受けました。絵巻みたいに物語になってるのかな??


ということで、思っていた以上に日本と深い関わりがあってミロへの親近感も深まりました。非常に良い展示だったので図録も買って満足です。ミロは何故か個展が少ないけどこれを機に増えて欲しいものです。


おまけ:
3章にあった「絵画(カタツムリ、女、花、星)」 の絵葉書を撮ったもの。
DSC03463.jpg

ミロは絵と文字が踊るようで洒落てますね
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