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新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展 【大倉集古館】

金曜に休みを取って、ファミリーセールで買い物泉屋博古館分館智美術館と巡った後、さらに大倉集古館にも行って「新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展」を観てきました。さすがに閉館までの時間が少なくなってしまい、早足で周ってきました。 ・・・閉館時間が18時の智美術館を最後にすれば良かったとちょっと後悔。智美術館は初めてだったので時間が見積もれなかったw

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【展覧名】
 新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展

【公式サイト】
 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/noh2010.html
 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/

【会場】大倉集古館
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町


【会期】2010年01月02日~03月14日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(平日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日だったためかほとんど貸切状態で観ることができました。平日の美術館めぐりほど快適なものはないですw
私は能や狂言を実際に観たことが無いので、観ても深い理解はできないだろうとは思ったのですが、展示されているものを観ているうちに、観るだけでもだいぶ面白く感じました。特に面は個性的な作品が多く、感情の表現や異形の者への畏怖がストレートに伝わってくるパワーがありました。また、各作品にはしっかりと解説もあったので初心者の私には嬉しかったです。いくつか気に入った作品をメモしてきたのでご紹介しようと思います。

「能面 翁」
ポスターの作品です。満面の笑みを浮かべた老人の面です。目が^^の字になっていて、好々爺の雰囲気が伝わってきました。これは祝福の面として尊ばれているようです。長生きできそう ^^

「狂言面 狐」 「狂言面 白蔵主」
2つでワンセットと言って良いのかな。(多分) 狐の変身前と変身後の面です。まず、「狂言面 狐」の方は眉や鼻の部分に毛まで生えている狐の面で、剥き出しの歯や目にも狐らしさが出ています。そして隣の「狂言面 白蔵主」は狐が人間に化けて狐狩りをやめるよう人間をとめる演目「釣狐」の面です。基本的には人間の面なのですが、尖った頬や突き出た鼻などが人間に化けきれていないようで、逆にまるで狐の化け方を写実したような妙なリアリティを感じました。

「狂言面 福の神」
赤い顔で気持ちよく笑っている顔の福の神です。目じりが下がって大きく口を開け歯を見せて笑っていました。目じりの皺までリアルに作られています。笑う角には福来ると言いますが、観ている方も気分が明るくなるようなパワーがある面でした。

「能面 怪士(あやかし)」
こちらは怨念を持つ男の亡霊の面です。大きく目を見開き歯を見せる表情が怖いです。瞳に金銅環を施して(金具や金泥を施して)いて、これは超人的な力を持っていることを意味しているようです。瞳の周りが金色=人知を超えた存在というのはこの後も出てきますので1つのルールなのかもしれません。

「能面 痩男」
これは男の幽霊の面で、気が抜けたようなボーっとした顔をしているように思いました。しかし解説では冥途の迷いや地獄の苦しみを滲ませていると書いてあったので、私のアンテナが悪いのかもw これも瞳のふちが金色の金銅環でした。

「能面 顰(しかみ)」
真っ赤な顔で口には牙が生えた赤鬼のような形相の面です。眉間に皺を寄せ口をひらいて迫力がありました。彫りが深くて立体的な面でもありました。

「能面 小面」
江口という演目の能面です。少し微笑んだ顔の女性の面で、「小」とは可愛らしい、若い、優しいといった意味の接頭語らしいです。ふっくらして昔の美人風の顔でした。近くには色彩豊かな装束もあり、華麗な雰囲気が漂うコーナーでした。

「神楽面 ひょっとこ」 「狂言面 嘘吹」
並んで展示されていた面で、どちらも口を突き出したギョロ目の(というか目が飛び出しているw)面です。ひょうきんで面白い面でした。


この辺から2Fの展示作品です。2Fには多くの装束や団扇、太刀なども展示されていました。

「能面 相生増」
若い女性の面で、何か鼻や頬に傷みたいなものがついているぞ?と思ったら、この傷はわざとつけたもののようです。木面を写した際にあった傷を故意に再現したのだとか。貴重な写しなのかもしれません。

「能面 近江女」
女性の面です。道成寺の面でしょうか。解説によると瞳が丸く刳り貫かれていているのが他の女面には無い特徴らしいです。確かに周りの女性の面は瞳を四角く刳り貫かれていました。ちょっと微笑んでいるようにも見えますが、どこか妖しい…。

「能装束 紅地檜扇菊梅模様縫入長絹」
薄く透ける真っ赤な能装束です。扇子や菊紋、梅の花を散らし華やかな装束でした。ゆっくりしてたら閉館間際になりこの辺はかなり早足で観る羽目になったのですが、2Fの奥のほうには絢爛な装束が多くて、じっくり観られなかったのが残念…。

「能装束 紫地扇面藤柴垣模様長絹」
これも薄い紫の装束です。白い藤が沢山垂れているのが特に美しく見えました。

「能面 獅子口」
大きく口を開き金色の歯や舌まで見える獅子面です。目は丸いけれども鋭く、威嚇するような迫力がありました。これも立体的な厚みがありました。

ということで、最後は時間切れで慌ててみる感じになってしまって残念。16:30閉館とちょっと早めなのが厳しいところですw 解説も読んで周ったら1時間くらいかかるかな。予想以上に楽しめる内容で時が経つのを忘れるくらいでした。私の好みで面ばかりご紹介しましたが、能装束も艶やかな作品が多く、好きな方には面白いかと思います。とにかく、面というのは感情が凝縮されていて面白いものだと再認識できました。

おまけ:館内に入る前に、裏手の庭園も見てきました。今まで何度も観てるせいか5分くらいで回れてしまいます。
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