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おもてなしの美 宴のしつらえ 【サントリー美術館】

もう10日くらい前ですが、祝日にサントリー美術館に行って、「おもてなしの美 宴のしつらえ展」を観てきました(先日ご紹介した国立近代美術館の後に六本木に移動しました。) いつもどおりメンバークラブのカード提示で入りました。
 参考:メンバークラブの公式サイト

P1110512.jpg P1110515.jpg


【展覧名】
 サントリー美術館所蔵品展
 おもてなしの美 宴のしつらえ

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol07/index.html

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2010年01月27日~03月14日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(祝日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
ほとんど貸しきり状態でゆっくり観られて良かったです。
この展覧会は「おもてなし」をテーマにしているようですが、結構多岐に渡っていて、テーマから逸脱するものは無いのの「サントリー美術館所蔵品展」の趣きの方が強かった気もします。テーマを細分化して章ごとに分かれていますが、特に時代や流行の流れとかも無いので、あまり複雑なことは考えずに観られる一方で、作品同士の繋がりを見出すのは難しいかもしれません。
なお、6回の展示替えのうち、私が行ったのは3回目の時期でした。(2/20現在で既に4回目に入っています。3回と4回では大きな展示替えがあるため、現在は既に展示されてない可能性があります。すみません)
 実際の順番と作品リストの順番が違いますが、だいたい作品リストの順で気に入った作品をご紹介しようかと思います。

<冒頭>
「朱漆塗湯桶」
リストでは3章ですが、ハイライト的に最初にありました。湯を入れる桶で、祭礼や祝宴で使われたものです。黒漆の上に朱色の漆を重ねていて、特に朱色が目に鮮やかです。祝宴に相応しい華やいだ雰囲気を持つ桶でした。

<第1章 季節のおもてなしとしつらい>
[1. 新春のおもてなしとしつらい]
「大名御飾書 第六巻 年中床飾」
大名が鏡餅を備えるための指南書です。イラストで説明されていて、どうやら鏡餅は正月以外にひな祭りなどでも飾られているようでした。この作品の隣には模型のでかい鏡餅が置かれ、餅の上に松などが載っていました。

岸駒 「猛虎図屏風」
6曲1双の虎の屏風です。左隻はうつ伏せで振り返る虎が描かれ、まるで今こちらに気づいたかのような雰囲気です。 右隻はこちらを伺い身構える虎が描かれ、すらっとした印象ですが迫力があり写実的な感じでした。今年は寅年なので、色々なところで虎の作品に出会いますねw

「月次風俗図屏風」 ★こちらで観られます
6曲の金屏風です。その名の通り、12ヶ月分の江戸時代の町の生活シーンが描かれた屏風のようで、金の雲で上下の2段×6曲で12ヶ月のようです。ぱっと見ではどこがどの月かわかりづらいw 恐らく右上が1月で右下が12月になって反時計回りなのかな?と思いましたが、実際のところはわかりません。お花見したり、門松を飾ったり、お正月の準備をする様子などが描かれ当時の人たちの生活を伝えているようでした。

[2. ひな祭のおもてなしとしつらい]
「朱漆塗絵替漆絵膳・ 飯器・杓子」
黒と朱の漆塗のお膳です。表面には絵が草花などの描かれ、お膳の下は猫足で支えていました。ひな祭り用に作られたようで、これまた華やかな雰囲気でした。

<第2章 おもてなしと宴の歴史>
狩野元信「酒伝童子絵巻 中巻」  ★こちらで観られます(私が観た場面とは違うようです)
予告を観て、これを楽しみに来ました。大きく描かれた酒呑童子(酒伝童子)と大きな盃、周りに侍らせている都から拉致してきた十二単の女性達、そして毒の酒を注ぐ源頼光の家来たちが描かれています。周りには三つ目の妖怪などもいて、お互いに隙を狙っている緊迫した騙しあいの様子が覗えました。カラフルで一見優雅ですが緊張感がありますw この後、鬼はまんまと毒の酒で動けなくなって殺されます。
 参考記事:酒呑童子(東京国立博物館)

<第3章 おもてなしの器と調度>
[1. おもてなしの酒器]
「亀流水蒔絵湯桶」
円筒形の湯桶で、黒地に金の蒔絵が施されています。上部や側面には亀が描かれていて、その甲羅の後ろには蓑のように藻がついていました。これは長寿のお目出度いモチーフのようです。また、この亀は牙が生え目をむき出しにしていてちょっと怖い顔をしています。こうした海獣のような表情は亀の霊性を高めて表現しているそうです。

「色絵葡萄鳥文瓢形酒注」
久々に観ましたが、この美術館でも人気のコレクションじゃないかな。朱色や緑が鮮やかなひょうたん型の酒注です。明るくすっきりしていて品を感じます。何といってもこの形が好きです。ミュージアムショップでこれのレプリカを観ては買いたいと思いつつ、値段に負けるw。 
そういえば以前、東博でそっくりの作品を観ました。当時の量産品なのかな?
 参考記事:東京国立博物館の案内 (常設・美術編)

「染付吹墨文大徳利」
しっとりとした白い大きな徳利です。所々に青色が霧吹きされたような文様があるのがアクセントになっていて趣がありました。

「紫陽花橋螺鈿蒔絵重箱」
金の蒔絵ですアジサイの花の所々が螺鈿細工になっていて、ちょうどアジサイの花の色のような色合いを見せていました。背景には線でかかれた川や太鼓橋、舞飛ぶ蝶など優雅な雰囲気を出していました。 この辺には蒔絵も結構あったのが嬉しい。


ここら辺から階を降りて3Fのコーナー

[2. おもてなしの食の器]
野々村仁清 「流釉花枝文平鉢」
薄茶の丸っこい平針の端が内側に丸め込まれているような形をしていて、裏返った部分はこげ茶色になってす。下には3つの足がつき、側面には薄茶の地に○をとりかこむ7~8つの○の白い牡丹文が描かれていました。 何しろその形が面白いです。これも好みの器です。

「織部花文洲浜形手鉢」
山の字のような三山形の手鉢です。取手のあたりで茶色と緑の色が分かれています。 この三山形は「洲浜形」と呼ぶそうで、曲線の浜を抽象化した形のようですが、その形から蓬莱山とも結びつけられ、吉祥の形となっているそうです。 また、手鉢の中には記号のようなものが描かれ、古いのに先進的な感じを受けました。

[3. おもてなしの茶道具]
「放屁合戦絵巻」
これは実際には最後の方にあったかな。タイトルから察するに屁を競っているようで、この絵巻は屁を貯めるための食事をしている様子が描かれています。簡略化され卑近な顔をした人たちが、まるでギャグマンガのような雰囲気すらありました。 ・・・おもてなし?屁で?? まさかね?w 当時の食事の様子が分かるということで展示されているようですw

「黒樂四方茶碗 銘 山里」
ろくろではなく手づくねでで作った黒い茶碗です。中には雪のように金が散らされ、側面には山の形に金の釉薬がかけられています。まるで闇夜に降る金の雪が、山に積もっていくような感じでした。なお、この「山里」という銘は千載和歌集の詩にちなんだもののようです。

「縞螺鈿蒔絵茶箱」
長方形の箱で、蒔絵に横縞のように○や△の形の幾何学的な螺鈿が施されています。また、波や草花のような文様も見られました。これは東南アジアの文化が源流にある南蛮趣味の蒔絵と解説されていました。純和風とは違った魅力のある蒔絵でした。

[4. おもてなしの香道具]
「色絵鶴香合」
羽をたたんで泳ぐときの姿勢(少し横向き)の鶴の形をした香合です。華やかだけど落ち着いた色彩で、可愛らしさもありました。また、丸みや線に作者の腕の冴えが観られると解説されていました。

[5. おもてなしの調度]
「浦島模様筒描蒲団地」
蒲団地が3点くらい展示されていました。蒲団地とは裏地をつけて袋状にして、中に綿をいれたものです。 これは亀に乗った浦島太郎が描かれた作品でした。竜宮城や飛んでいる鶴も描かれ、亀も立派で長寿の縁起もののようでした。(あまりに立派で、そもそもこんな立派な亀がいじめられるのかな?としょうもないことを考えていましたw) こうした蒲団地はのりなどをつかって自在に絵を描けるそうですが、その分高級品らしいです。

「流水沢瀉蒔絵広蓋」
50cm四方くらいの大きな蒔絵の蓋です。衣服や引き出物を入れていたそうです。水草とその間に流れる水が簡略化されて装飾的な優雅さを出しているように思いました。


ということで、ハイレベルなコレクションを堪能することができました。タイトルがぴんと来ないせいか空いていましたが、サントリー美術館の趣味の良さを伺わせる内容でした。
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