チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展 【江戸東京博物館】
先週の土曜日に冷たい雨の降る中、江戸東京博物館へ「チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展」を観に行ってきました。

【展覧名】
チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展
【公式サイト】
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2010/0202/0202.html
【会場】江戸東京博物館
【最寄】JR両国駅/大江戸線両国駅
【会期】2010年2月2日(火)~2010年4月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、混み具合ですがそれなりに混んでいて、1点に1人は鑑賞しているくらいの混み具合でした。そこまで混んでいたわけではないので自分のペースで観られました。
さて、この展覧会はその名の通り、モンゴルの歴史を知りながら楽しむことができるのですが、中国の国宝にあたる中国国家一級文物が惜しげなく並んでいる作品の充実具合となっています。一口にモンゴルと言っても様々な文化や部族を知ることができ、有意義な展覧会となっていました。ただ私の好みとは違ったので、満足度としては普通にしてます。 価値が分からない奴と言われればその通りだとは思いますがw
いつも通り、章ごとにご紹介します。時事comが提供しているyoutubeがありましたので、これで大体中の様子もわかるかも。
<第1章 戦国時代のモンゴル>
まずは、チンギスハーン以前の戦国時代のモンゴルのコーナーです。最初の章では紀元前475年くらいから1125年にかけて、台頭しては消えていった5つの部族について取り上げられていました。勢力を拡大した時期には中国や西方オアシスを勢力下に置き、逆に漢民族が力をつけている時は統制下に入るという繰り返しだったようで、お互いの交易や文化交流も盛んにあったそうです。
[東胡族](とうこぞく)
この部族は中国の春秋時代から内モンゴル東部にいたそうで、高い青銅器文化を持っていたようです。匈奴に侵攻したものの、後に逆に侵略されて崩壊していきました。
「許季姜の青銅き」
青銅で出来た取っ手と台のついた器です。裏には許季姜が作ったもので、子々孫々まで伝えるようにと漢文で書かれているのだとか。既に中国との深い交流を持っていたようです。 見た目は結構シンプルで、縦に入った線にデザイン性を感じました。
この他にも短剣、馬面飾り、柄杓などの青銅器も並び、8点中6点が一級文物という貴重な品々が並んでいました。
[匈奴族](きょうどぞく)
東胡を滅ぼした部族です。東は遼河、西はパミール高原、北はバイカル湖、南は長城に至る広大な領土を持ち、ゴビ砂漠の南北の草原を統一したそうです。その生活は、肉と乳製品を食料とし、狩猟を基本的な訓練としドーム型の移動式住居に住んでいました。
後に南北に分裂し、南は漢に滅ぼされました。
「水晶と瑪瑙の首飾り」
天然の水晶や瑪瑙に穴をあけて繋いだ首飾りです。素朴なつくりかもw 草原文化と中原文化の交流を伺わせるそうですが、その辺は何のことか分かりませんでした。
[鮮卑族](せんぴぞく)
東胡族の流れを継ぐ部族です。東胡族が滅ぼされた後、鮮卑山に篭ってこの名前を名乗ったそうで、その後フルンボイルというところに移り、北魏を建てて仏教を崇拝しました。 その後は東西に分裂したそうです。
「金製鹿頭形冠飾り」 ★こちらで観られます
雄鹿と雌鹿の顔と角を象った金の髪飾りです。枝のような角に葉っぱがついて木のようになっています。細かい金の粒が施され、所々に嵌め込まれた小さい宝石はシルクロードなどの交流の影響らしいです。華やかで洒落たセンスでした。
ここには他に、金の飾り板や金印など、煌びやかな品や、俑(死者と共に埋葬する人形)など中国っぽさを感じる品もありました。
「銅製熊足形案」
3匹の金の熊が足になり、平たい銅の皿を支えているものです。目などには宝石をつけていたらしいですが失われています。そのデザインが面白かったです。
なお、この鮮卑族は強大な国家で、中国に倣い中央集権となっていたそうです。こうした金の作品などから何となく国力が伝わってきました。
[突蕨族](とっけつぞく)
突蕨可汗という国を建てた部族です。東西に分裂し、東は唐に滅ぼされたものの、その後独立しました。また、モンゴルの遊牧民の中で最初に文字を作り出したそうで、200年くらい活躍し、その文化は1300年頃まで影響を与えたようです。
「浮き彫り臥鹿文様銀皿」
見事な銀の皿です。中央に伏せた鹿が浮き彫りになり、周りはびっしりと細かく草花の文様が描かれています。これは遊牧民と中国との交流や中原文化の融合を示すものなのだとか。日本の正倉院にも似たようなものが伝わっているそうで、昔からの各国の交流を表しているようでした。
この辺には瓶や壷などもありました。
[契丹族]
起源4世紀からの歴史を持つ部族で、唐の時代の内モンゴルの主要な遊牧部族です。916年に「契丹」、翌年に「大遼」と名前を定め、1125年に女真族に滅ぼされました。それだけ長く存在しただけあって、契丹の経済・軍事・文化は高度なものだったようです。
「万歳台金花銀硯箱」
昇り竜が浮き彫りになっている金の硯箱です。龍に蓮の花が絡みついていて、龍の口は蓮の花をくわえています。細かくて意匠も面白い作品でした。
「動物型玉はい」
白玉で作られたもので、へび、猿、蠍、ヒキガエル、トカゲの五毒のモチーフがキーホルダーのようにぶら下がっている作品です。澄んだ色合いが美しくモチーフも面白いです。 これは十二支の影響も受けているそうで、隣には道教の影響を受けた金の冠や、さらに隣には鳳凰や如来が彫刻された靴などもありました。契丹族には様々な宗教や文化が入り混じっているようです。
「黄金のマスク」 ★こちらで観られます
王族の墓に埋められていた金のマスクです。死者に金銀の装飾をするのは北アジアに見られる風習だそうで、これもそういう文化圏なのかな。目が細く釣りあがり、顔がこけてあごが尖っている特徴があります。アジア的な顔立ちですね。黄金のマスクというとエジプトとかを想起しますが、こういったものまであるとは驚きでした。 なお、これが出土した墓は中国の道教の影響も受けていると解説されていました。
このあたりは金の馬具が並んだコーナーがありました。龍の文様が入っている馬具もあり、龍は聖なるもので高貴な身分の象徴としていたようです。馬具は結構大きいのですが細かい細工が施されていました。
また、馬具の近くには壷なども飾ってありました。
「菩薩頭像」
穏やかに笑んでいる菩薩の頭です。隣には涅槃の釈迦の像など仏教を取り入れたことを示す品々がならんでいました。仏教を取り入れることで中央集権の中国を真似たようで、これは日本の奈良・平安時代の方針に似ているかもと思いました。また、その一方で古来のシャーマニズムの文化も守っていたそうです。
<第2章 一代の天驕~モンゴル帝国の勃興>
2章はおまちかねのモンゴル帝国の勃興です。テムジンは諸部族を統合して、チンギス・ハーンとなりました。その末子トルイの次男のフビライは大元王朝を成立して、中国に移りました。イスラムやキリスト教徒の商人とも交易をして繁栄しました。 後期は政治腐敗で国力が衰え、農民の反乱で滅んでいきました。 この章ではそうしたモンゴル帝国の時代の作品が並んでいました。
「伝・チンギス・ハーンの鞍」 ★こちらで観られます
チンギス・ハーンの鞍と伝えられるものです。戦闘・狩猟・日常のそれぞれの用途の鞍があるようで、戦闘と狩猟の鞍が並んでいました。両方の鞍には龍のすかしが入っていました。ちなみにチンギス・ハーンの墓はいまだにどこにあるかわかっていないそうです。
この辺りにはチンギス・ハーンの肖像画(のコピー)をはじめ、印鑑や銃、金の鞍、かんざし、杯、香炉など、その時代の様子がわかるような品が並んでいて、フビライの時代には景徳鎮などの磁器もありました。また、テントが2つと投石器などの模型も展示されていました。
<第3章 明・清時代のモンゴル>
1368年あたりからハーンの権力は衰えて行き、内紛などで国力を下げていきました。やがて1636年の清の成立があり、1757年にはモンゴルの大部分が清の支配下となりました。さらにその後、1911年に清が崩壊すると、モンゴルは独立していきました。ここではそうした衰えて行った頃の品が並んでいました。
「十字形銅杖飾り」
十字架です。ネストリウス派キリスト教は景教と呼ばれ、唐の時代にモンゴルに入り、元の時代に再び盛んになったそうです。蓮の花なども描かれ、仏教の影響も感じました。東西の交流があった国らしさを感じます。
この辺りには牡丹の花模様がびっしり描かれたイスラム教徒の石棺もありました。この頃のモンゴルはあらゆる宗教に寛容だったようですが、逆にそれが国の寿命を縮める原因となってしまったようです。また、モンゴルにはチベット仏教が広がったようで、これは以前観たチベット展を思い出させるような内容でした。
それ以外にも、シャーマンの服やチベット仏教の服、モンゴルの女性の服などのコーナーもありました。(上記の時事comのyoutubeでちらっと見られます)
「龍が彫ってある王座」 ★こちらで観られます
背もたれに龍が描かれ、肘掛が見事な鹿の角でできた王座。清の支配下でも王家の存続を認められていたそうです。結構立派です。
「大威徳金剛の面」
大きくてインパクトのある顔をした紙製の牛の面です。頭には5つの髑髏があり、額には第三の目があります。これは見るからにチベット仏教の影響を感じる面でした。
「龍紋彫刻馬頭琴(モリン・ホール)」 ★こちらで観られます
会場内で柔らかい弦楽器の音色が響いていたのですが、この馬頭琴の音色でした(youtubeで流れている音楽です) 頭に馬の彫刻がつき、2束の馬の尻尾の弦がついています。これを観ていて「スーホの白い馬」の話を思い出しましたw
ということで、様々な文化や宗教が融合していて、貴重で歴史的に重要な品々が多い展覧会でしたが、肝心のチンギス・ハーンの時代は気に入るものが少なく、全体的に少し無骨な感じの展示品もあり、総合的には普通の満足度かな^^; 最近観たチベット展の方が好みですw
しかし、一気にモンゴルの歴史と文化を知る機会だと思いますので、興味のある方はこの機会に行って観るのも良いかと思います。

【展覧名】
チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展
【公式サイト】
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2010/0202/0202.html
【会場】江戸東京博物館
【最寄】JR両国駅/大江戸線両国駅
【会期】2010年2月2日(火)~2010年4月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、混み具合ですがそれなりに混んでいて、1点に1人は鑑賞しているくらいの混み具合でした。そこまで混んでいたわけではないので自分のペースで観られました。
さて、この展覧会はその名の通り、モンゴルの歴史を知りながら楽しむことができるのですが、中国の国宝にあたる中国国家一級文物が惜しげなく並んでいる作品の充実具合となっています。一口にモンゴルと言っても様々な文化や部族を知ることができ、有意義な展覧会となっていました。ただ私の好みとは違ったので、満足度としては普通にしてます。 価値が分からない奴と言われればその通りだとは思いますがw
いつも通り、章ごとにご紹介します。時事comが提供しているyoutubeがありましたので、これで大体中の様子もわかるかも。
<第1章 戦国時代のモンゴル>
まずは、チンギスハーン以前の戦国時代のモンゴルのコーナーです。最初の章では紀元前475年くらいから1125年にかけて、台頭しては消えていった5つの部族について取り上げられていました。勢力を拡大した時期には中国や西方オアシスを勢力下に置き、逆に漢民族が力をつけている時は統制下に入るという繰り返しだったようで、お互いの交易や文化交流も盛んにあったそうです。
[東胡族](とうこぞく)
この部族は中国の春秋時代から内モンゴル東部にいたそうで、高い青銅器文化を持っていたようです。匈奴に侵攻したものの、後に逆に侵略されて崩壊していきました。
「許季姜の青銅き」
青銅で出来た取っ手と台のついた器です。裏には許季姜が作ったもので、子々孫々まで伝えるようにと漢文で書かれているのだとか。既に中国との深い交流を持っていたようです。 見た目は結構シンプルで、縦に入った線にデザイン性を感じました。
この他にも短剣、馬面飾り、柄杓などの青銅器も並び、8点中6点が一級文物という貴重な品々が並んでいました。
[匈奴族](きょうどぞく)
東胡を滅ぼした部族です。東は遼河、西はパミール高原、北はバイカル湖、南は長城に至る広大な領土を持ち、ゴビ砂漠の南北の草原を統一したそうです。その生活は、肉と乳製品を食料とし、狩猟を基本的な訓練としドーム型の移動式住居に住んでいました。
後に南北に分裂し、南は漢に滅ぼされました。
「水晶と瑪瑙の首飾り」
天然の水晶や瑪瑙に穴をあけて繋いだ首飾りです。素朴なつくりかもw 草原文化と中原文化の交流を伺わせるそうですが、その辺は何のことか分かりませんでした。
[鮮卑族](せんぴぞく)
東胡族の流れを継ぐ部族です。東胡族が滅ぼされた後、鮮卑山に篭ってこの名前を名乗ったそうで、その後フルンボイルというところに移り、北魏を建てて仏教を崇拝しました。 その後は東西に分裂したそうです。
「金製鹿頭形冠飾り」 ★こちらで観られます
雄鹿と雌鹿の顔と角を象った金の髪飾りです。枝のような角に葉っぱがついて木のようになっています。細かい金の粒が施され、所々に嵌め込まれた小さい宝石はシルクロードなどの交流の影響らしいです。華やかで洒落たセンスでした。
ここには他に、金の飾り板や金印など、煌びやかな品や、俑(死者と共に埋葬する人形)など中国っぽさを感じる品もありました。
「銅製熊足形案」
3匹の金の熊が足になり、平たい銅の皿を支えているものです。目などには宝石をつけていたらしいですが失われています。そのデザインが面白かったです。
なお、この鮮卑族は強大な国家で、中国に倣い中央集権となっていたそうです。こうした金の作品などから何となく国力が伝わってきました。
[突蕨族](とっけつぞく)
突蕨可汗という国を建てた部族です。東西に分裂し、東は唐に滅ぼされたものの、その後独立しました。また、モンゴルの遊牧民の中で最初に文字を作り出したそうで、200年くらい活躍し、その文化は1300年頃まで影響を与えたようです。
「浮き彫り臥鹿文様銀皿」
見事な銀の皿です。中央に伏せた鹿が浮き彫りになり、周りはびっしりと細かく草花の文様が描かれています。これは遊牧民と中国との交流や中原文化の融合を示すものなのだとか。日本の正倉院にも似たようなものが伝わっているそうで、昔からの各国の交流を表しているようでした。
この辺には瓶や壷などもありました。
[契丹族]
起源4世紀からの歴史を持つ部族で、唐の時代の内モンゴルの主要な遊牧部族です。916年に「契丹」、翌年に「大遼」と名前を定め、1125年に女真族に滅ぼされました。それだけ長く存在しただけあって、契丹の経済・軍事・文化は高度なものだったようです。
「万歳台金花銀硯箱」
昇り竜が浮き彫りになっている金の硯箱です。龍に蓮の花が絡みついていて、龍の口は蓮の花をくわえています。細かくて意匠も面白い作品でした。
「動物型玉はい」
白玉で作られたもので、へび、猿、蠍、ヒキガエル、トカゲの五毒のモチーフがキーホルダーのようにぶら下がっている作品です。澄んだ色合いが美しくモチーフも面白いです。 これは十二支の影響も受けているそうで、隣には道教の影響を受けた金の冠や、さらに隣には鳳凰や如来が彫刻された靴などもありました。契丹族には様々な宗教や文化が入り混じっているようです。
「黄金のマスク」 ★こちらで観られます
王族の墓に埋められていた金のマスクです。死者に金銀の装飾をするのは北アジアに見られる風習だそうで、これもそういう文化圏なのかな。目が細く釣りあがり、顔がこけてあごが尖っている特徴があります。アジア的な顔立ちですね。黄金のマスクというとエジプトとかを想起しますが、こういったものまであるとは驚きでした。 なお、これが出土した墓は中国の道教の影響も受けていると解説されていました。
このあたりは金の馬具が並んだコーナーがありました。龍の文様が入っている馬具もあり、龍は聖なるもので高貴な身分の象徴としていたようです。馬具は結構大きいのですが細かい細工が施されていました。
また、馬具の近くには壷なども飾ってありました。
「菩薩頭像」
穏やかに笑んでいる菩薩の頭です。隣には涅槃の釈迦の像など仏教を取り入れたことを示す品々がならんでいました。仏教を取り入れることで中央集権の中国を真似たようで、これは日本の奈良・平安時代の方針に似ているかもと思いました。また、その一方で古来のシャーマニズムの文化も守っていたそうです。
<第2章 一代の天驕~モンゴル帝国の勃興>
2章はおまちかねのモンゴル帝国の勃興です。テムジンは諸部族を統合して、チンギス・ハーンとなりました。その末子トルイの次男のフビライは大元王朝を成立して、中国に移りました。イスラムやキリスト教徒の商人とも交易をして繁栄しました。 後期は政治腐敗で国力が衰え、農民の反乱で滅んでいきました。 この章ではそうしたモンゴル帝国の時代の作品が並んでいました。
「伝・チンギス・ハーンの鞍」 ★こちらで観られます
チンギス・ハーンの鞍と伝えられるものです。戦闘・狩猟・日常のそれぞれの用途の鞍があるようで、戦闘と狩猟の鞍が並んでいました。両方の鞍には龍のすかしが入っていました。ちなみにチンギス・ハーンの墓はいまだにどこにあるかわかっていないそうです。
この辺りにはチンギス・ハーンの肖像画(のコピー)をはじめ、印鑑や銃、金の鞍、かんざし、杯、香炉など、その時代の様子がわかるような品が並んでいて、フビライの時代には景徳鎮などの磁器もありました。また、テントが2つと投石器などの模型も展示されていました。
<第3章 明・清時代のモンゴル>
1368年あたりからハーンの権力は衰えて行き、内紛などで国力を下げていきました。やがて1636年の清の成立があり、1757年にはモンゴルの大部分が清の支配下となりました。さらにその後、1911年に清が崩壊すると、モンゴルは独立していきました。ここではそうした衰えて行った頃の品が並んでいました。
「十字形銅杖飾り」
十字架です。ネストリウス派キリスト教は景教と呼ばれ、唐の時代にモンゴルに入り、元の時代に再び盛んになったそうです。蓮の花なども描かれ、仏教の影響も感じました。東西の交流があった国らしさを感じます。
この辺りには牡丹の花模様がびっしり描かれたイスラム教徒の石棺もありました。この頃のモンゴルはあらゆる宗教に寛容だったようですが、逆にそれが国の寿命を縮める原因となってしまったようです。また、モンゴルにはチベット仏教が広がったようで、これは以前観たチベット展を思い出させるような内容でした。
それ以外にも、シャーマンの服やチベット仏教の服、モンゴルの女性の服などのコーナーもありました。(上記の時事comのyoutubeでちらっと見られます)
「龍が彫ってある王座」 ★こちらで観られます
背もたれに龍が描かれ、肘掛が見事な鹿の角でできた王座。清の支配下でも王家の存続を認められていたそうです。結構立派です。
「大威徳金剛の面」
大きくてインパクトのある顔をした紙製の牛の面です。頭には5つの髑髏があり、額には第三の目があります。これは見るからにチベット仏教の影響を感じる面でした。
「龍紋彫刻馬頭琴(モリン・ホール)」 ★こちらで観られます
会場内で柔らかい弦楽器の音色が響いていたのですが、この馬頭琴の音色でした(youtubeで流れている音楽です) 頭に馬の彫刻がつき、2束の馬の尻尾の弦がついています。これを観ていて「スーホの白い馬」の話を思い出しましたw
ということで、様々な文化や宗教が融合していて、貴重で歴史的に重要な品々が多い展覧会でしたが、肝心のチンギス・ハーンの時代は気に入るものが少なく、全体的に少し無骨な感じの展示品もあり、総合的には普通の満足度かな^^; 最近観たチベット展の方が好みですw
しかし、一気にモンゴルの歴史と文化を知る機会だと思いますので、興味のある方はこの機会に行って観るのも良いかと思います。
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Comment
こんにちは
モンゴルとかぜんぜんわかんないです(笑・・歴史好きにはおもしろそうなところですね。
馬頭琴 you tube で聴いてみました。
西洋とは違って素朴な響きですね。
馬頭琴 you tube で聴いてみました。
西洋とは違って素朴な響きですね。
Re: こんにちは
コメントありがとうございます。
そうですねー、モンゴルはチンギスハーンとフビライハーンくらいしか歴史的な人物は知らななかったし、縁遠い感じがしていました。あとは知っててジンギスカンとモンゴル相撲と朝青龍くらいだったかなw なので。一気に歴史を振り返るところは面白かったです。
馬頭琴は情感豊かでちょっと悲しげですね。
そうですねー、モンゴルはチンギスハーンとフビライハーンくらいしか歴史的な人物は知らななかったし、縁遠い感じがしていました。あとは知っててジンギスカンとモンゴル相撲と朝青龍くらいだったかなw なので。一気に歴史を振り返るところは面白かったです。
馬頭琴は情感豊かでちょっと悲しげですね。
勉強になります
チンギスハーンしかしらないですが、昔は、世界の中で強い国だんたと学校で習いました。昔、馬頭琴を題材にした、お話があったような
Re: 勉強になります
>みのりさん
コメントありがとうございます。
あまりモンゴルの歴史を知る機会は無いので、この展示は参考になりましたよ。
>馬頭琴を題材にした、お話があったような
恐らく、「スーホの白い馬」のことだと思います。小学校2年だったかな。私も習いました。
コメントありがとうございます。
あまりモンゴルの歴史を知る機会は無いので、この展示は参考になりましたよ。
>馬頭琴を題材にした、お話があったような
恐らく、「スーホの白い馬」のことだと思います。小学校2年だったかな。私も習いました。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
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大・タイガー立石展 世界を描きつくせ! 【埼玉県立近代美術館】 (03/07)
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もうすぐ再開予定 (02/28)
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2021 MOMASコレクション 第3期 【埼玉県立近代美術館】 (01/21)
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鎌倉の写真 (2021年11月) (01/18)
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没後70年 吉田博展 【川越市立美術館】 (01/16)
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今後の更新について (01/14)
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保岡勝也 「旧山崎家別邸」 (01/09)
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映画「劇場版 呪術廻戦 0」(ややネタバレあり) (01/07)
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TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展 【京橋エドグランタウンミュージアム】 (01/05)
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展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年01月号】 (01/01)
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2021年の振り返り (12/31)
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ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
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映画「キングスマン:ファースト・エージェント」(ややネタバレあり) (12/27)
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横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】 (12/26)
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第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
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映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
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鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
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【根津美術館】の紅葉 2021年11月 (12/14)
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カフェラヴォワ 【新宿界隈のお店】 (12/12)
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川瀬巴水 旅と郷愁の風景 【SOMPO美術館】 (12/10)
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