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ベルナール・ビュフェ展 【目黒区美術館】

目黒駅前でブュッフェランチを済ました後、目黒区美術館に行って、「ベルナール・ビュフェ展」を観てきました。ブュッフェに行った後にビュフェを観た!って駄洒落みたいなルートですw 更に言えばこの日は寒い雨の日で、ビュフェの作風のような雰囲気の天気でした。

P1110793.jpg

【展覧名】
 ベルナール・ビュフェ展 『木を植えた男』の著者ジャン・ジオノとの出会い

【公式サイト】
 http://www.mmat.jp/event/buffet/press.htm

【会場】目黒区美術館
【最寄】JR・東京メトロ 目黒駅


【会期】2010/02/11(木・祝) ~04/11(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
作品点数があまり多くないので、作品充実度は普通にしていますが、全て静岡県のベルナール・ビュッフェ美術館の所蔵品で、好みの作品も結構あって満足度は高めでした。去年そごう美術館でやってたビュフェ展を逃しただけに、今回は逃せなかったw
 参考リンク:
   ベルナール・ビュフェ美術館
   ビュフェとアナベル-愛と美の軌跡展 (於そごう美術館 2009年7月29日~8月31日)

寒い雨の日だったこともあるせいか、空いていてゆっくり観ることが出来ました。会場はいくつかのブースに分かれていて、テーマごとに作品が並び、年代ごとの変遷とかはよくわかりません。 とりあえず、観た順に気に入った作品をいくつかご紹介しようと思います。(全体的に解説などは少なかったので、観た感想のみとなります。) 

冒頭にビュフェの生い立ちと今回の展示について簡単な説明がありました。ビュフェは1928年のパリ生まれで、第二次世界大戦中はドイツの占領下で絵を学んだようです。(そのせいか、当時の世相を反映したような不安を感じるような作風に思います)戦後にアンデパンダン展やサロン・ドートンヌに出品し、19歳の時に批評家賞を受賞しました。22歳の時、『木を植えた男』の原作者のジャン・ジオノと出会い、その後『純粋の探求』に挿絵を21点つけるなどの交流があったようです。その出会いが今回のサブタイトルとなっていて、作品も展示されています。勿論、他にも初期の作品から並んでいるようでした。

<アトリエと肖像>
「アトリエ」
灰色がかった室内の風景です。中では細長い顔の自分?が絵を描いています。平面的でちょっとキュビスム風かなと思いました。

「自画像」
全裸で靴下を履こうとしている自画像です。細く角ばった体で、直線的かつ平面的なベッドや床の描写が独特でした。

「化粧台」
全裸の女性が窓際で白い椅子に座り髪を結おうとしているところです。机や洗面器、鏡など簡素化されシンプルな感じです。女性の顔は悩みでもありそうな憂いのある顔になっていました。

「裸婦」
後ろ向きで腰に手を当てて立つ裸婦です。すらっと長く細い胴体で、藤田嗣治の作品のような白の色使いと相まって美しいです。背景の部屋と裸婦の肌の色が同じようで微妙に違う色使いで細やかでした。

<神と人>
「戦争の惨禍」
メモを間違えてタイトルは間違っているかも…。高射砲のようなものと、仰向けになって死んでいる3人の裸の男達が描かれています。背景は夕暮れ時の廃墟のようです。非常に暗く陰鬱な印象の作品でした。また、この作品の隣にも街の中のバリケードの前で仰向けになって死んでいる裸の男性と夕陽が描かれていました。戦争後の悲惨さを淡々と語っているようでした。

「キリストの十字架からの降架」
結構大きな作品です。磔になった人と、血だらけで運ばれる3人が描かれています。運ぶ人は近代風の格好で、前には抱き合う男女などもいます。拷問の跡のようなむごい感じです。タイトルからすると神聖な場面っぽいですが、ちょっと怖かった。

<風景>
「波」
油彩だけど水墨画のような作品で、灰色と黒の濃淡で描かれています。どこから海と空が分かれているか大体はわかるけれどおぼろげです。白い波しぶきや黒い水面などが嵐の夜のようでした。

「ナンスの農場」
広い野原にぽつんと家が建っています。灰色の空、灰色の野原、黒い木々… モノトーンで寂しい雰囲気の絵でした。

「風景」 ★こちらで観られます
曇った空の下、奥に向かって延びる道とその沿線の電信柱が目をひきます。向こうには家々が見え、右側には何も無い野原がひろがっています。この作品も農村の寂しさが漂いますが、電柱や杭が等間隔に規則正しくならび、垂直の電柱、水平の杭と地平線、斜めに走る道など、幾何学的な要素も感じました。

<静物>
「黒いダリア」
テーブルの上に置かれた花瓶に、真っ黒な花が描かれています。影のようでダリアなのかは不明ですが、真っ黒な花は中々にインパクトがありますw また、直角のテーブルや格子状に無数の線がひかれた背景など、この作品にも幾何学的なものがありました。

「赤い鳥」
241×282cmもある大きな作品です。巨大な赤い鳥の横で、仰向けの裸婦が、肘で顔を隠し右足をあげて性器をむき出しにしています。背景は縦横に線が入り、木彫り彫刻の彫り跡ような表現になっていました。近寄るとかなりの絵の具の厚みがあり、強烈な印象が残りました。

「コンロのある静物(表)」 「アイロンのある静物(裏)」
裏表に同じような絵が描かれています。白いテーブルの上にコンロ?とフォーク、スプーン、アイロンが描かれていて、キュビスム的な要素を感じました。

「二羽のひな鶏」
黒い机の上に乗った2羽の鳥の絵です。4本の指が長くちょっと怖いw テーブルの上にはナイフとフォークが於かれ、無数の引っかき傷のようなものもありました。食べるのかなw

<サーカスと道化>
「サーカス」
壁画のように巨大な作品。馬と、その上に乗り傘を持って帽子を被る女性が描かれています。腹が出て中年のおばさんみたいな…。周りには尖がり帽子の3人の男もいたのですが、みんな嫌そうな顔をしているように見えましたw どういうシーンなのか気になります。

最後の部屋はビュフェとジャン・ジオノの共作『純粋の探求』とジオノの『木を植えた男』のコーナーで、実際に本もおかれていました。(短編なのでちょっと時間があれば読破できそう) なお、『木を植えた男』は戦時中には反戦的であるとして出版できなかったそうです。

「挿画本『純粋の探求』より」
21枚あったのですが、気に入ったのは農村の風景で、ピラミッドのような山や真っ直ぐな直線的な畑など幾何学的に単純化された風景画でした。他には静物画や街の風景などが多かったです。


ということで、寂しさ、惨さ、荒廃…などの言葉が浮かぶ展覧会でした。しかし、いずれの作品も静けさがあり、淡々とした空気が流れていたように思います。こういう画家は珍しいと思いますので、だいぶ楽しめました。

この後、隣の部屋で同時開催の「藤田嗣治-東京・ニューヨーク・パリ」も観てきました。次回ご紹介しようと思います。 

 ⇒ こちらに書きました。

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