エミール・ガレの生きた時代 【目黒区美術館】
色々とネタを溜め込んでいるのですが、もうすぐ終わりそうな展覧会を優先してご紹介しようかと思います。今日、目黒区美術館へ「エミール・ガレの生きた時代」を観に行ってきました。

【展覧名】
エミール・ガレの生きた時代
【公式サイト】
http://www.mmat.jp/event/Galle/press.htm
【会場】目黒区美術館
【最寄】JR・東京メトロ 目黒駅
【会期】2010年4月17日~5月30日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ガレ展もちょくちょく色々な場所でやっている気がしますが、これくらいの規模のは2年前にサントリー美術館で行われた展示以来かも?と思いながら観てきました。ガレは特に好みなので、ガレと名前がついてるとつい観にいってしまいますw
参考記事:群馬ガラス工芸美術館の案内
今日は雨が降っていたせいもあってかあまり混んでいなくて、自分のペースで観ることができました。ちょっとタイミングがズレたので参加しませんでしたが、館員による解説トークも行われていて皆さん熱心に聞き入っているようでした。
さて、この展覧会についてですが3部屋に分かれていて、最初の部屋では初期の作品や、花器・家具などが展示され、後半の2部屋はランプや後期の花器などが展示されていました。1部屋は展示順がよく分からなかったので、章立ては間違って記載してしまうかもしれません。すみません。(念のために作成年を入れておきます。)
<ガレの初期作品>
このコーナーがどこからどこまでなのかよく分からなかったw 順路も特に無いので適当に観てきました。
まず最初にガレの年表や生い立ちが描かれていました。ガレはフランスのナンシーの生まれで、父親のシャルルはガラスと陶器を販売する商店を営んでいました。ロココや新古典主義などの作品があったようで、エミール・ガレにもそうした影響が観られるようです。
また、入口付近にはガレの他に、ガレと同時代のロブマイヤー(ヨーゼフ・ロブマイヤーが設立した恒久ガラスの専門店)のロココ風・イスラム風の作品や、マイセン、セーブル窯の作品などがありました。特に面白かったのが眼鏡をかけたヤギに乗る眼鏡の貴族(マイセン)と、陶器で出来たマリー・アントワネットの胸像(セーブル窯)などでした。壁にそって進むと家具や銀食器、机、タペストリーなども並んでいました。
部屋の中央にあったのが初期の作品なのかな。展示順がわかりづらいw
エミール・ガレ 「トランプ文リキュールセット」 1878年~89年
4つの蓋付きの水差しのようなガラス器と小さなガラスカップのセットです。蓋はトランプの4つのマークの形をしていて、胴部分にはデフォルメされた愉快な人物の絵が描かれていました。この絵はガレと同じナンシー出身のジャック・カロの版画から引用したそうです。ちょっと可愛らしい作品でした。
エミール・ガレ 「アラベスク文花器」 1884~1889年
金色がかったガラスに緻密な文様が描かれた作品です。豪華さを感じる一方で、散らして描かれた文様には軽快な雰囲気も感じました。 この作品以外にもアラベスク文の壷などもあり、イスラムへの興味も垣間見られました。
エミール・ガレ 「陶製置き物 兎」 1880年代
陶器で出来た兎の置物です。全体的にちょっと青っぽい色をしていて、耳がぴんと張った姿をしています。目はガラスで出来ていてしっかり赤色の目をしていました。かわいいと言うよりはちょっと威厳すら感じる目つきだったかもw
隣にはフクロウの置物もありました。こちらは目がくりっとして可愛かったです。
ここから壁沿いに戻って、ぐるっと部屋を周る感じでご紹介しています。
エミール・ガレ 「花文棚」 1900年頃 ★こちらで観られます
これは寄木細工の象嵌が施された棚です。正面には月や草木、蝶、蜻蛉などが施されています。そして左側面にはスズランと百合にト音記号が絡まったようなものが描かれ、この棚は楽譜棚だったようです。モチーフが面白く、技術力だけではないのを感じる作品でした。この作品の他にもティーテーブルやキャビネットなどもありました。
<異国趣味とジャポニスム>
ガレはパリ万博で日本美術工芸にふれる機会があり、それがきっかけで自分でも日本の作品をコレクションするようになりました。そして、刀の鍔や北斎漫画をモチーフにした作品を作っていたようです。しかし、それは当時の他の作家もやっていたことで、それらの作家とガレとの違いは「植物へのこだわり」であると解説されていました。(ガレは若い頃から植物園によく通っていたためだと思われます。) また、日本以外にもエジプトやイスラムなど東方全体への興味関心を持っていたそうです。
エミール・ガレ 「草花文杯」 1879年ごろ
カゲロウや蝶、草花などが描かれた透明な杯です。日本趣味的ですが、まだ単にモチーフを貼り付けただけという感じかも。
エミール・ガレ 「蛙文花器」 1889年頃
葛飾北斎の「北斎漫画」に描かれている蛙が描かれた花器です。片足を曲げてジャンプしそうな雰囲気です。このモチーフを描いた作品は他にも観たことがあるので、よっぽど気に入っていたのかな。近くには北斎漫画のコピーが展示され、花器との比較が出来るようになっていました。
エミール・ガレ 「睡蓮文花器」 1900~1910年頃
薄い緑と濃い茶色の色合いで、花器に睡蓮の葉が浮き上がり、貼り付けられたような感じの作品。この辺りになると単に絵付けしたものではなく、花器全体の形や色などに様々な技法が見られるかと思います。
<アール・ヌーヴォーの生活空間>
ガレは1886年から象嵌で飾った家具を作りだしたそうで、その理由は「自分のガラス器を飾るのに相応しい台が欲しかった」というものでしたw 家具に関しては全くの素人だったにも関わらず、3年後には万博で銀メダルを取ったというのだから驚きです。
また、このコーナーにはルイ・マジョレルの家具もありました。マジョレルは重厚な作品を作っていましたが、ガレの影響でアール・ヌーヴォー風の作品を作るようになったそうです。マジョレルの作品は男性的で、ガレの作品は女性的と解説されていましたが、なるほどと納得できました。
ルイ・マジョレル 「タンポポ文食堂セット 食器棚(大)」 1900年~1905年頃
上段の中央に大きなたんぽぽの彫刻?があり、周りにはパターン化された模様の寄木の象嵌が施されています。また、下には葉っぱの絵が施されていました。この食器棚は大きくてどっしりとしつつも、どこか軽やかな雰囲気を感じました。展示方法も面白く、食器棚の上にロダンの彫刻を置いたり、前にテーブルと椅子の作品や、似たモチーフの小さな食器棚も同じ場所にありました。
ルイ・マジョレル 「海草文食堂セット 食器棚(大)」 1914年
こちらもどっしりとした食器棚で海草の文様?が彫られていました。観た感じ、左右対称に近くてアール・ヌーヴォーの雰囲気は薄くなっているようにも思いました。
エミール・ガレ 「菊花文花器」 1900年頃
深緑のガラスに薄いピンクの菊が描かれた花器です。大きめの花器ですがすらっとした形で優雅さを感じます。これも展示方法が面白くて、孔雀の羽みたいなもの??を入れて展示していました。
続いてここからは2部屋目の作品です。ランプなどが置かれていました。
エミール・ガレ 「セリ文ランプ」 1902年~1904年頃 ★こちらで観られます
柔らかい色調で透明・ピンク・オレンジを重ねた3層被ガラスにエッチングで「セリ」という植物を描いたランプです。キノコのような形で、いかにもアール・ヌーヴォーという自然をモチーフにした柔らかい曲線ある優美な作品でした。
エミール・ガレ 「風景文ランプ」
傘の部分に恐らく鷹(鷲?)が描かれ、胴の部分には山や木々が描かれたランプです。赤や黄色、青などが使われていて色合いも苦労してそうです。どこか日本的なものを感じる作品でした。
<華開くアール・ヌーヴォー>
ここから最後の部屋の作品です。最後の部屋は特に好みの作品が多かったです。いくつか技法の説明があり、象嵌細工をガラス器に応用した技法などが紹介されていました。また、ここにはガレと人気を分けたドーム兄弟やティファニーの作品もありました。
エミール・ガレ 「プリムラ文花器」 1889年~1900年頃
この作品は、解説によると酸化金属を混ぜて縞模様を発色させる技法によって、青・緑・黒の浮かんだ半透明の素地にピンクを重ねているそうです。ピンク色の部分が花となっていて、色とモチーフがよく合っているように思いました。
この辺はグラビュール(彫刻)で浮き彫りにされた作品が多かったです。また、この頃のガラスは不透明で日本の陶器のような落ち着いた雰囲気を持っていると解説されていました。
エミール・ガレ 「花器 アルプスのアザミ」 1900年頃 ★こちらで観られます
緑色の花器で、ダイナミックにアザミが彫り込まれていました。色も良くかなり好みの作品となりました。この作品の近くにはこの作品の原案の絵も展示されていて対比しながら観ることが出来ました。
エミール・ガレ 「花器 ソーダ」 1903年
花器からソーダ水が流れ出したようなデザインの作品で、連作の1つのようです。マーブル模様の本体に、白い気泡が入ったようなソーダ水の部分がくっついているようです。中々豪快で表現の面白さを感じる作品でした。
L.C.ティファニー 「花文花器」「花器」「葉文三つ耳花器」 1900年~1910年頃
ティファニーの花器で、金属のような光沢が美しい作品が3~4つ並んでいました。どうやってこんな色を出したのだろう?と不思議でした。
レッツ工房 「木の葉花器」「虹彩花器」
こちらは縞模様と不思議な輝きを見せる花器です。どうやらラスター彩のようなものらしく非常に神秘的な雰囲気がありました。
ドーム兄弟 「冬景色文ランプ」 1900年~1910年頃
オレンジっぽい黄色地に黒い枯れ木が描かれたランプです。木は細くて繊細で、風景に叙情的な風情がありました。
ドーム兄弟 「梨花文ランプ」 1910年~1912年頃
薄いピンク色のグラデーションを背景に、梨の枝とそこに咲く花が描かれています。優美で落ち着いた感じの作品でした。
ドーム兄弟 「雪景色文花器」 1900年頃
雪の積もった木と、凍った池で遊ぶアヒルが描かれた作品です。解説によると、絵画的な効果の上手さではドームのエナメル作品の中でも屈指の作品らしく、冬の風景への愛着を感じました。雪景色・冬景色はドーム兄弟のお得意のジャンルですね。
ドーム兄弟 「雪景文花器」 1900年~1910年頃
3層の被ガラスで出来た花器で、白く雪の積もった木にとまるカラスが描かれています。その絵の下の層に雪のような斑模様の層が透けているのが景色にあっていて素晴らしかったです。
この部屋の前の休憩スペースでは、ガラス器の作成技法を紹介した映像が流れていました。これを観て、こうやって作るのか!と発見もありました。
ということで、年代が交錯したり他の作家の作品が混ざったりしていて、文脈がよくわからない順序となっていましたが、展示されていた品自体は楽しむことができました。ガレを始めとするアール・ヌーヴォーの作品は日本人には特に感性に合うかと思います。 もうすぐ終わってしまいますが、これで800円(ぐるっとパスならパス提示でOK)はお得な内容だと思います。

【展覧名】
エミール・ガレの生きた時代
【公式サイト】
http://www.mmat.jp/event/Galle/press.htm
【会場】目黒区美術館
【最寄】JR・東京メトロ 目黒駅
【会期】2010年4月17日~5月30日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ガレ展もちょくちょく色々な場所でやっている気がしますが、これくらいの規模のは2年前にサントリー美術館で行われた展示以来かも?と思いながら観てきました。ガレは特に好みなので、ガレと名前がついてるとつい観にいってしまいますw
参考記事:群馬ガラス工芸美術館の案内
今日は雨が降っていたせいもあってかあまり混んでいなくて、自分のペースで観ることができました。ちょっとタイミングがズレたので参加しませんでしたが、館員による解説トークも行われていて皆さん熱心に聞き入っているようでした。
さて、この展覧会についてですが3部屋に分かれていて、最初の部屋では初期の作品や、花器・家具などが展示され、後半の2部屋はランプや後期の花器などが展示されていました。1部屋は展示順がよく分からなかったので、章立ては間違って記載してしまうかもしれません。すみません。(念のために作成年を入れておきます。)
<ガレの初期作品>
このコーナーがどこからどこまでなのかよく分からなかったw 順路も特に無いので適当に観てきました。
まず最初にガレの年表や生い立ちが描かれていました。ガレはフランスのナンシーの生まれで、父親のシャルルはガラスと陶器を販売する商店を営んでいました。ロココや新古典主義などの作品があったようで、エミール・ガレにもそうした影響が観られるようです。
また、入口付近にはガレの他に、ガレと同時代のロブマイヤー(ヨーゼフ・ロブマイヤーが設立した恒久ガラスの専門店)のロココ風・イスラム風の作品や、マイセン、セーブル窯の作品などがありました。特に面白かったのが眼鏡をかけたヤギに乗る眼鏡の貴族(マイセン)と、陶器で出来たマリー・アントワネットの胸像(セーブル窯)などでした。壁にそって進むと家具や銀食器、机、タペストリーなども並んでいました。
部屋の中央にあったのが初期の作品なのかな。展示順がわかりづらいw
エミール・ガレ 「トランプ文リキュールセット」 1878年~89年
4つの蓋付きの水差しのようなガラス器と小さなガラスカップのセットです。蓋はトランプの4つのマークの形をしていて、胴部分にはデフォルメされた愉快な人物の絵が描かれていました。この絵はガレと同じナンシー出身のジャック・カロの版画から引用したそうです。ちょっと可愛らしい作品でした。
エミール・ガレ 「アラベスク文花器」 1884~1889年
金色がかったガラスに緻密な文様が描かれた作品です。豪華さを感じる一方で、散らして描かれた文様には軽快な雰囲気も感じました。 この作品以外にもアラベスク文の壷などもあり、イスラムへの興味も垣間見られました。
エミール・ガレ 「陶製置き物 兎」 1880年代
陶器で出来た兎の置物です。全体的にちょっと青っぽい色をしていて、耳がぴんと張った姿をしています。目はガラスで出来ていてしっかり赤色の目をしていました。かわいいと言うよりはちょっと威厳すら感じる目つきだったかもw
隣にはフクロウの置物もありました。こちらは目がくりっとして可愛かったです。
ここから壁沿いに戻って、ぐるっと部屋を周る感じでご紹介しています。
エミール・ガレ 「花文棚」 1900年頃 ★こちらで観られます
これは寄木細工の象嵌が施された棚です。正面には月や草木、蝶、蜻蛉などが施されています。そして左側面にはスズランと百合にト音記号が絡まったようなものが描かれ、この棚は楽譜棚だったようです。モチーフが面白く、技術力だけではないのを感じる作品でした。この作品の他にもティーテーブルやキャビネットなどもありました。
<異国趣味とジャポニスム>
ガレはパリ万博で日本美術工芸にふれる機会があり、それがきっかけで自分でも日本の作品をコレクションするようになりました。そして、刀の鍔や北斎漫画をモチーフにした作品を作っていたようです。しかし、それは当時の他の作家もやっていたことで、それらの作家とガレとの違いは「植物へのこだわり」であると解説されていました。(ガレは若い頃から植物園によく通っていたためだと思われます。) また、日本以外にもエジプトやイスラムなど東方全体への興味関心を持っていたそうです。
エミール・ガレ 「草花文杯」 1879年ごろ
カゲロウや蝶、草花などが描かれた透明な杯です。日本趣味的ですが、まだ単にモチーフを貼り付けただけという感じかも。
エミール・ガレ 「蛙文花器」 1889年頃
葛飾北斎の「北斎漫画」に描かれている蛙が描かれた花器です。片足を曲げてジャンプしそうな雰囲気です。このモチーフを描いた作品は他にも観たことがあるので、よっぽど気に入っていたのかな。近くには北斎漫画のコピーが展示され、花器との比較が出来るようになっていました。
エミール・ガレ 「睡蓮文花器」 1900~1910年頃
薄い緑と濃い茶色の色合いで、花器に睡蓮の葉が浮き上がり、貼り付けられたような感じの作品。この辺りになると単に絵付けしたものではなく、花器全体の形や色などに様々な技法が見られるかと思います。
<アール・ヌーヴォーの生活空間>
ガレは1886年から象嵌で飾った家具を作りだしたそうで、その理由は「自分のガラス器を飾るのに相応しい台が欲しかった」というものでしたw 家具に関しては全くの素人だったにも関わらず、3年後には万博で銀メダルを取ったというのだから驚きです。
また、このコーナーにはルイ・マジョレルの家具もありました。マジョレルは重厚な作品を作っていましたが、ガレの影響でアール・ヌーヴォー風の作品を作るようになったそうです。マジョレルの作品は男性的で、ガレの作品は女性的と解説されていましたが、なるほどと納得できました。
ルイ・マジョレル 「タンポポ文食堂セット 食器棚(大)」 1900年~1905年頃
上段の中央に大きなたんぽぽの彫刻?があり、周りにはパターン化された模様の寄木の象嵌が施されています。また、下には葉っぱの絵が施されていました。この食器棚は大きくてどっしりとしつつも、どこか軽やかな雰囲気を感じました。展示方法も面白く、食器棚の上にロダンの彫刻を置いたり、前にテーブルと椅子の作品や、似たモチーフの小さな食器棚も同じ場所にありました。
ルイ・マジョレル 「海草文食堂セット 食器棚(大)」 1914年
こちらもどっしりとした食器棚で海草の文様?が彫られていました。観た感じ、左右対称に近くてアール・ヌーヴォーの雰囲気は薄くなっているようにも思いました。
エミール・ガレ 「菊花文花器」 1900年頃
深緑のガラスに薄いピンクの菊が描かれた花器です。大きめの花器ですがすらっとした形で優雅さを感じます。これも展示方法が面白くて、孔雀の羽みたいなもの??を入れて展示していました。
続いてここからは2部屋目の作品です。ランプなどが置かれていました。
エミール・ガレ 「セリ文ランプ」 1902年~1904年頃 ★こちらで観られます
柔らかい色調で透明・ピンク・オレンジを重ねた3層被ガラスにエッチングで「セリ」という植物を描いたランプです。キノコのような形で、いかにもアール・ヌーヴォーという自然をモチーフにした柔らかい曲線ある優美な作品でした。
エミール・ガレ 「風景文ランプ」
傘の部分に恐らく鷹(鷲?)が描かれ、胴の部分には山や木々が描かれたランプです。赤や黄色、青などが使われていて色合いも苦労してそうです。どこか日本的なものを感じる作品でした。
<華開くアール・ヌーヴォー>
ここから最後の部屋の作品です。最後の部屋は特に好みの作品が多かったです。いくつか技法の説明があり、象嵌細工をガラス器に応用した技法などが紹介されていました。また、ここにはガレと人気を分けたドーム兄弟やティファニーの作品もありました。
エミール・ガレ 「プリムラ文花器」 1889年~1900年頃
この作品は、解説によると酸化金属を混ぜて縞模様を発色させる技法によって、青・緑・黒の浮かんだ半透明の素地にピンクを重ねているそうです。ピンク色の部分が花となっていて、色とモチーフがよく合っているように思いました。
この辺はグラビュール(彫刻)で浮き彫りにされた作品が多かったです。また、この頃のガラスは不透明で日本の陶器のような落ち着いた雰囲気を持っていると解説されていました。
エミール・ガレ 「花器 アルプスのアザミ」 1900年頃 ★こちらで観られます
緑色の花器で、ダイナミックにアザミが彫り込まれていました。色も良くかなり好みの作品となりました。この作品の近くにはこの作品の原案の絵も展示されていて対比しながら観ることが出来ました。
エミール・ガレ 「花器 ソーダ」 1903年
花器からソーダ水が流れ出したようなデザインの作品で、連作の1つのようです。マーブル模様の本体に、白い気泡が入ったようなソーダ水の部分がくっついているようです。中々豪快で表現の面白さを感じる作品でした。
L.C.ティファニー 「花文花器」「花器」「葉文三つ耳花器」 1900年~1910年頃
ティファニーの花器で、金属のような光沢が美しい作品が3~4つ並んでいました。どうやってこんな色を出したのだろう?と不思議でした。
レッツ工房 「木の葉花器」「虹彩花器」
こちらは縞模様と不思議な輝きを見せる花器です。どうやらラスター彩のようなものらしく非常に神秘的な雰囲気がありました。
ドーム兄弟 「冬景色文ランプ」 1900年~1910年頃
オレンジっぽい黄色地に黒い枯れ木が描かれたランプです。木は細くて繊細で、風景に叙情的な風情がありました。
ドーム兄弟 「梨花文ランプ」 1910年~1912年頃
薄いピンク色のグラデーションを背景に、梨の枝とそこに咲く花が描かれています。優美で落ち着いた感じの作品でした。
ドーム兄弟 「雪景色文花器」 1900年頃
雪の積もった木と、凍った池で遊ぶアヒルが描かれた作品です。解説によると、絵画的な効果の上手さではドームのエナメル作品の中でも屈指の作品らしく、冬の風景への愛着を感じました。雪景色・冬景色はドーム兄弟のお得意のジャンルですね。
ドーム兄弟 「雪景文花器」 1900年~1910年頃
3層の被ガラスで出来た花器で、白く雪の積もった木にとまるカラスが描かれています。その絵の下の層に雪のような斑模様の層が透けているのが景色にあっていて素晴らしかったです。
この部屋の前の休憩スペースでは、ガラス器の作成技法を紹介した映像が流れていました。これを観て、こうやって作るのか!と発見もありました。
ということで、年代が交錯したり他の作家の作品が混ざったりしていて、文脈がよくわからない順序となっていましたが、展示されていた品自体は楽しむことができました。ガレを始めとするアール・ヌーヴォーの作品は日本人には特に感性に合うかと思います。 もうすぐ終わってしまいますが、これで800円(ぐるっとパスならパス提示でOK)はお得な内容だと思います。
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もうすぐ再開予定 (02/28)
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没後70年 吉田博展 【川越市立美術館】 (01/16)
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今後の更新について (01/14)
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ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
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第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
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