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入口はこちら - なにがみえる? 【東京都現代美術館】

先日から東京都現代美術館をご紹介していますが、借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 ⇒ Cafe Haiでお茶 というコースの後、常設展も観てきました。現在の常設は「入口はこちら - なにがみえる?」というタイトルでアリエッティ展と同じ時期の開催となっているようでした。

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【展覧名】
 入口はこちら - なにがみえる?

【公式サイト】
 http://www.mot-art-museum.jp/collection/index.html

【会場】東京都現代美術館
【最寄】清澄白河駅、木場駅、菊川駅など
【会期】2010年7月17日(土)~ 10月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらの展示はアリエッティ展と同じチケットで入れるのですが、全然混んでおらずゆっくり鑑賞できました。展覧冒頭にあった説明によると、この展示は会場に並ぶ作品を「入口」と捉え、その中の広がりと我々との繋がりを考えるというコンセプトがあるそうです。また、貰ったパンフレットにはコーナーごとに詳しい解説が載っているのですが、各作品の意味が深すぎてちょっと難しいかも?? ・・・やはり私には現代アートは猫に小判みたいなものですw なので、感想は感覚で簡単なものにしようと思います。


藤本由紀夫 「EARS WITH CHAR (MOT)」
この作品は今回の展示の作品リストに無いので、本当に常にあるものかも。 常設の入口の部屋にある椅子で、その両脇の耳の高さに長い筒が取り付けられ、その筒を耳に当てて音を聞くという作品です。何やらぶ~んぶ~んという音が聴こえてきました。空気の流れの音?? また、筒の逆側の先でぼそぼそっと誰かがしゃべっても、糸電話のように耳まで伝わってくるのが面白かったです。
 参考リンク:「入口はこちら - なにがみえる?」の作品リスト (PDF)


<いりぐち1 そのなかでおこっていること>
O JUN 「光景図-宮城と一輪車」 ★こちらで観られます
最初はO JUN氏の作品でした。この人の作品はつい最近、「アーティスト・ファイル2010」でも観たのですぐにわかりました。この作品は髪か残像のようなものをなびかせながら一輪車に乗る人の絵なのですが、動きと色合いがちょっと怖いw 観ていて不安な気分になる作品でした。
 参考記事:アーティスト・ファイル2010 現代の作家たち (国立新美術館)

<いりぐち2 世界にふれるための>
このコーナーはまず、牧野虎男 氏の植物をスケッチした絵が15点程度並んでいました。独特の流れるような生命感のある作品で、結構好みでした。

その後、広い部屋に泉太郎 氏の映像作品が何点か並んでいて、今回はこの人の作品が一番面白かったかな。テレビの周りに瓶やスタンドライト、ハンガーなどが置かれ、その前にはビデオカメラが置かれている作品が3~4点あり、その後ろの大きなスクリーンに投影されていました。(わかりづらくてすみませんw) 映像の中の映像と、元の映像が混ざったような感じが面白かったです。また、街行く人を撮りつつ、その人の方向に手を伸ばして掴む仕草をすると、手を開いたら掌でその人が絵となっている… という面白い発想の作品もありました。これは文章では伝えるのは難しいですが、観れば誰でも楽しめると思います。

その次は日高理恵子 氏の木の枝のドローイングのコーナーがありました。10点程度でいずれもモノクロで描かれています。解説によると結構深い意味があるようですが、難しいことを考えなくても良い絵でした。

その後はショーン・グラッドウェル氏の映像作品です。部屋の真ん中のスクリーンの裏表に映されていて、どちらも砂漠を走る車が写っていました。しばらく観ていると、車の中から身を乗り出して、ハコ乗りしたかと思えば車の屋根に上るという、ちょっと危険な行為を映していましたw 何を意図しているのかわかりませんが、背景の砂漠と遠い雷雲なども含めて緊張感があるように思いました。

1階はここまでで続いて3階に続きます。

<いりぐち3 さそう絵画>
ここは何人かの油彩画のコーナーでした。

杉戸洋 「the plane」
これは大きなステージを描いたような作品。舞台に役者がいるわけでも無ければ、何があると言うわけでもなく、ステージそのものを描いています。逆に想像力をかきたてられるような作品でした。

<いりぐち4 鏡のむこうがわ>
ここも油彩画が多かったかな。

アンソニー・グリーン 「Brittain 1953」
この人の作品は世田谷美術館の「十二の旅 感性と経験のイギリス美術」展(2009年冬)で観た記憶がありました。色彩も絵柄も「濃い」雰囲気の作品で、変形したキャンバスに描かれているのが特徴です。これは家族をテーマにしているのか、ちょっと温かみを感じました。

この近くにはデイヴィッド・ホックニーの鮮やかな原色の作品がずらっと並んでいました。リトグラフとその上のフレームに絵を描いて、騙し絵的な面白さがある作品もありました。・・・この人も前述の世田谷の展示で観たけど、あの時は写真作品のコラージュだったかな。

<いりぐち5 みえない空間をひきよせるための>
小林正人 「絵画」
オレンジと茶色で描かれている抽象画なのですが、人が横たわっているように見えたかな。シミのようにぼんやりとした中に浮かび上がってくるように見えました。

ナイジェル・ホール 「無名の土地への入口」
緑の針金のようなものでできた階段状の作品です。壁にくっついていて、3次元の作品ですがちょっと離れると絵のようにも見えました。これも色々と難しい意味があるみたいです。

<いりぐち6 わたしのいる場所>
マーク・ロスコ 「赤の中の黒」
3階の最後あたりにロスコの作品もありました。その名の通り濃い赤の中にかかれた黒い四角を描いた抽象画です。結構巨大で、色の持つパワーを感じました。もしかしたら川村記念美術館で観たやつかな?
 参考記事:マーク・ロスコ 瞑想する絵画 (川村記念美術館)

モナ・ハトゥーム 「Web」
これは入口(出口)の部屋にあった作品。天井から釣り下がった巨大なくもの巣のような作品で、水滴に見えるクリスタルボールが巣の中にいくつもありました。結構、見た目も綺麗で、しばらく見上げていました。(3階からは見下ろすこともできました。)


ということで、現代アートが苦手な私でもまずまず楽しめました。特別展とセットで観られるのだから、観ておいて損はないかと思います。詳しい解説ももらえるので、現代アートをじっくり知りたい方には良い展示かも。
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Comment
世田美
はじめまして

ブログ、いつも拝見しております

今回の常設展をみて、世田美の十二の旅を思い出された、というので、あ、同じだ、と思い、コメントさせていただきました!

あのときも、モナ・ハトゥームやホックニーが出ていたというのを改めてチラシを見て驚き、同じ作家でもいろいろな作品があるのだな、と思いました。

またブログ、楽しみにしております
Re: 世田美
>えいぜとさん
はじめまして。いつもご愛読ありがとうございます^^
えいぜとさんも世田谷の展覧会をご覧になられていたのですね。どれも個性的な作家だったので、記憶に残っておりました。私は特にアンソニー・グリーンを気に入っています。

展覧会を周っていると、こういう再会もあるのが面白いですよね。おっしゃるとおり、同じ作家でも色々あるので気づかないこともよくありますがw
明日にでも久々に世田谷に行って、また感想を書こうと思いますので、また覗いてみてください^^
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