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誕生!中国文明 【東京国立博物館 平成館】

もう半月ほど前ですが、上野の東京国立博物館で「誕生!中国文明」を観てきました。(実はシャガール展の後にハシゴしていたのですが、ご紹介を後回しにしてしまったw) 

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【展覧名】
 誕生!中国文明

【公式サイト】
 http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=7411

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2010年7月6日(火)~9月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
土曜の夕方に行ったのですが、全然お客さんがいなくて驚くくらい空いていました。私は年間パスがあるので、行かないと損な気がするという理由だけで行ったので、空いていたのはちょっと納得かもw ちょっと興味が薄いジャンルです…。しかし、中国文化は日本美術においても重要な意味があるので、何かの参考になるかも?という期待はありました。案の定、色々と知らなかったこともありましたので、いつも通り章ごとに気になった作品をご紹介しようと思います。 なお、同じような名前の作品がいくつもあったりするので、作品番号も記載しておきます。出品作品のリストは公式サイトで確認することができます。

 参考リンク:
  東京国立博物館の年間パスポートについて
  「誕生!中国文明」の作品リスト


<第1部 王朝の誕生>
この展覧会は3部構成となっていて、最初は中国の河南省で発掘された品々を通じて、中国文明の発祥と発展を振り返るコーナーでした。時代ごとにコーナーが分かれ、時代に沿って進んでいく構成でした。

[1 幻の初期王朝 夏(前2000年頃~前1600年頃) ]
「夏」は「か」と読み、およそ4000年前の伝説上の国と考えられているそうですが、二里頭という遺跡が夏の遺跡では無いか?とも考えられているそうです。ここでは二里頭から出土した品々(酒を温める器の「爵」や壺)などが並んでいました。

1 「動物紋飾板」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている出土品です。青銅の板にトルコ石を嵌め込んでいるもので、単純化された狐の姿をしています。(目の部分がトルコ石) これは身分の高い人が観につけていたようです。既に青銅の文化があり、動物を象る意匠もあったことに驚きでした。

[2 王朝の確立 商・周(前16~前8世紀) ]
続いて、夏を滅ぼしたと言われる「商(殷)」と、その商を滅ぼした「周」のコーナーでした。ここには武器、玉、鼎(かなえ)などが並んでいました。(今更ですが、玉(ぎょく)とは今でも中国で珍重している綺麗な石です。この後の展示にも玉は何回も出てきます)

14 「方か」 ★こちらで観られます
商(殷)時代の酒を入れるための入れ物です。結構大きくて、4つの足がついています。今は緑色に寂びていますが元は金色だったようです。よく観ると、ミリ単位の四角い渦巻き文様がびっしり描かれていました。
根津美術館の常設で似たものを観られますが、あれと同じ時代の物のようでした。
 参考記事:国宝那智瀧図と自然の造形 (根津美術館)

17 「じこう」
これは周の時代の可愛らしい獣(龍?)の頭を象った青銅容器で、酒や水を入れて使ったようです。中には長子口という持ち主の名前が書いてありました。解説によると、周の頃から文字が青銅器に書かれるようになったそうです。
この辺にはこうした一見しても使い道が分からない謎の青銅器が並んでいました。

20 「玉璧」
円形で真ん中に穴が空いたドーナツ状の玉器で、よく観ると中央の穴の淵だけ少し高くなっています。解説によると、これは淵の部分を残して周りを丹念に削りとったとのことでした。単純な形をしているけれど、恐ろしく手間がかかっているのですね…。古代中国の文明の高さに恐れ入ります。
なお、今日の我々も使う「完璧」という言葉は、こうした玉璧から生まれたのだとか。

26 「玉製胸飾り」
5段に並んだ半月状の玉がついた胸飾りで、瑪瑙がビーズのように連なっています。かなり古いですが、文明の高さが見て取れました。


[3 競い合う国々 春秋・戦国(前8~前3世紀) ]
紀元前770年に周は洛陽に遷都したそうですが、その力は衰え、多くの国々が覇権を競った春秋・戦国時代に突入しました。(有名な孔子や孟子が活躍したのもこの時代らしい) このコーナーには大きな甕(かめ)のようなもの、儀式用の剣、壺、手洗い容器の盤などが並び、その側面などに文字や文様がついていました。この時代には小さな国々でもこうした青銅器が作られるようになったそうです。

33 「九鼎」 ★こちらで観られます
これが置かれた部屋には感嘆の声を上げました。青銅の「鼎(てい)」というかなえがずらっと9つ並び、その前には「き」という器も8つ置かれていました。この「鼎」と「き」は身分によって使える数が異なり厳しく制限されていたそうです。特に「九鼎八き」は周王だけが使える数だったようですが、この春秋時代には諸侯も使い出したそうで、これもそういった流れで作られたようです。 周の衰えと諸侯の台頭が分かるのが面白い作品でした。ずらっと並んでいるのは圧巻です。

37 「編鐘」
これは装飾が見事な鐘で、祭礼で使われた権威の象徴だそうです。これも10個ほどずらっと並び、壮観な眺めでした。


[4 大帝国の形成 前漢(前3~後1世紀) ]
紀元前221年に有名な「秦」の始皇帝が天下を統一しましたが、その後わずか15年という短さで終わり、「漢」が取って変わりました。漢は400年に渡る安定した時代となり、様々な文化を生んだようです。

41 「金縷玉衣」 ★こちらで観られます
これは驚きのあった出土品です。緑のタイル状の玉が2008枚も繋げられて作られた人型の玉衣で、タイルの四方を金の針金で繋いでいます。身分の高い人が死んだ際にこれを着せて埋葬したそうで、玉は遺体を腐らせないというのを信じてこうした玉衣を作ったそうです。しかし、中身はあっさり腐ってしまったのだとか。(現代人からすれば当たり前ですが) それにしてもこれだけのものを作る権力は相当だったことが伺えます。

この辺りには馬車につけられた金具や、恩賞に与えた金なども並んでいました。


<第2部 技の誕生>
続いて2部は「技」をテーマにしていました。時代がバラバラなので、1部ほど繋がりは分かりませんでしたが、「暮らし」「飲食の器」「アクセサリー」に分かれた構成で、中国の当時の高い技術や価値観を伺える作品が並んでいました。

[1 暮らし]
49 「案」
これは横1mくらいある大きな食事用の机で、漆器らしいです。表面は朱色で、円形の巻雲紋様が規則正しく4×9で36個ならんでいました。朱色と黒がお互いに映えて鮮やかでした。また、紋様の幾何学性も中国らしい美意識を感じました。

50 「七層楼閣」 ★こちらで観られます
これは7階建ての塔と3階建ての塔の模型を焼き物で作ったものです。高さは180cmほどもあり、2つの塔は渡り廊下で繋がっています。どうやら32のパーツで組んでいるらしく、かつては色もついていたそうです。細部までかなり凝っていて、6階の窓の中には外を見ている人、1階には物を担いでいる人や寝そべる犬の姿もありました。これは2世紀の後漢時代のもののようですが、当時からこんな高度な建物があったのか!?という驚きと、この作品そのものに対する驚きがありました。
また、隣では組み立ての様子を映像で見ることもできました。解説によると、死後も楽しい生活が出来るようにという思いで、こうした建物の模型がお墓に入れられたそうです。今回の展示の中で特に面白かった作品でした。

この辺には陶器の枕のコーナーなどもありました。


[2 飲食の器]
67 「褐釉扁壺」
これは酒を入れるための扁平な形の陶器です。その形は遊牧民の皮袋の形を模したものらしく、胴の部分に笛を吹く人や踊る人などが描かれていました。 こうしたことから、中央アジアなどの影響がわかり、当時の東西交流を知ることができるようでした。

65 「杯」
透明感のあるエメラルドグリーンのガラス器です。形はシンプルですが、横に回転して出来た傷がありました。どうやら回転して磨き削った跡のようです。 解説によると、これは漢時代のもので、中国でガラス容器の生産が始まった頃の貴重なもののようでした。 単純に見た目も綺麗でした。


[3 アクセサリー]
このコーナーは玉が沢山あるコーナーでした。玉でできた虎、王冠、刀子、龍?、鳳凰?、フクロウ、羊、牛などが並んでいました。玉は硬いので丹念に研磨してこうした作品を作っているようでした。モチーフがちょっと可愛い^^
また、遊牧民族の影響で戦国時代以降(特に漢の時代)に発展したトンボ玉や金銀で出来た金具なども展示されていて、煌びやかでした。


<第3部 美の誕生>
最後の第3部は美術品のコーナーでした。絵画、書、彫刻、工芸などが「神仙の世界」「仏の世界」「人と動物」「書画の源流」という4つのテーマに分かれて展示されていました。

[1 神仙の世界]
中国は多神教の伝統があり、仙人になって永遠に楽しい生活を送りたいという願望が根底にあるようです。ここではそうした神仙をテーマにした作品が並んでいます。

90-1 「神面」
青銅のお面で、にやけたような片目が正面を向いていて、鼻と口は左向きとなっています。ある意味キュビスム的な感じかな?w お面にしてはやけに小さいと思ったら、これは吊るして魔よけに使っていたそうです。

94 「博山蓋樽」
タルの上の蓋の部分が山のようなデザインで、その蓋には羽の生えた獣や「羽人」が描かれています。羽人は龍に乗ったり動物に餌をあげているのが細かく描かれていました。羽人は確か不老不死になった仙人だったと記憶しておりますが、中々に自由きままな感じがしました。
 羽人の参考記事:知られざるタオの世界「道教の美術 TAOISM ART」 -道教の神々と星の信仰- (三井記念美術館)

91 「神獣」 ★こちらで観られます
青銅とトルコ石でできた緑色になった獣の像です。龍の頭を持ち、虎の胴体をしていて、ベロっと舌を出しています。龍というよりは蝙蝠みたいな顔かも? 頭の角も小さな龍となっていて背中にも龍が乗っていました。ちょっと奇怪な感じでしたが、解説によるとこれは春秋時代の「楚」という国の美意識が詰まった傑作だとのことでした。


[2 仏の世界]
インドから中国に仏教が伝わり、5世紀頃に盛んになったそうで、特に洛陽の近くは仏教美術の宝庫らしいです。このコーナーでは仏像や寺で使われた品々などが並んでいました。

118 「天王立像」
4つの石に彫られた守護神像です。力強く躍動的で、微妙に金箔や彩色の跡も残っています。流れるような衣や威圧感と気品を感じる佇まいが好みでした。

104 「宝冠如来坐像」
巨大な石仏です。冠を被り、腕輪や首飾りをつけていて、釣りあがって猫のような目をしているあたりに日本の仏像との違いを感じます。解説によるとこれは悟りを開いた姿とのことでした。肉付きが優美な雰囲気を出しているように思いました。

110~115 「白磁双耳壺」「白磁壺」「白磁長頸瓶」「白磁合子」「白磁碗」「白磁塔形壺」
白磁の陶器がいくつか並んでいました。これは仏塔の地下に収められていたものだそうで、仏教への厚い信仰心を示しているようです。乳白色で非常に滑らかな美しさがありました。

117 「三彩舎利容器」 ★こちらで観られます
これは三彩という緑や茶色などが塗られた陶器で、大きな建物のような形をしています。どうやらこれは舎利容器らしく、四方の扉の前には犬のような獅子と仁王が番をしていました。会場でも目を引く存在感のある作品でした。


[3 人と動物の造形]
前の部でもご紹介しましたが、昔の中国人は死後も楽しく暮らしたいと願い、お墓に色々な模型や俑(よう)と呼ばれる人形などを入れました。同様に家畜の像なども収めたようで、ここにはそうした動物や使用人の像が並んでいました。

125 「闘犬」
犬同士が戦っている像です。首の後ろにかみ付き圧し掛かる姿をしています。こうした闘犬の俑は他に例が無いそうで、珍しい品のようでした。闘犬マニアが入れたのかな?
この辺には他にも、犬、鴨、水鳥、騎馬増、キリン(麒麟じゃなくてキリン)、商人、武人、らくだなども並んでいました。

133 「御者と馬」 ★こちらで観られます
前足をあげる馬と、それを引っ張る御者の俑です。御者の腕は力強く筋が出ていて、顔も力を入れた時の表情がよく出ています。一瞬を見事に捕らえ、躍動感あふれる表現に思いました。 素晴らしい作品です。
近くにはコミカルな馬と人のセットもありました。

[4 書画の源流]
最後は書のコーナーで、紙が発明される前の時代の品から並んでいました。河南は漢字が生まれたところだそうで、紙以前は骨に刻んだり青銅器に刻まれていたそうです。

134  「卜骨」
骨を熱して、ひびで翌日の天気を占ったものです。その骨には確かに文字が刻まれていて、我々の使っている文字の源流を観ることが出来ました。
この近くには石片や竹簡なども並んでいました。出口付近には漆喰に描かれた画や石棺を安置する台などもありましたが、ちょうどこの辺で閉館時間となってしまいメモは取れませんでした^^;


ということで、美術展と博物展の中間みたいな展示かな。貴重でスケールの大きい作品が並んでいました。これだけの内容であれば、中国の文化に興味がある方には面白い展示だとは思います。ただ、興味の薄い私には詰め込み過ぎな気がして、魅力と意図が伝わりづらいかったです^^; ・・・それにしても最後までポスターのヒヨコは何だったのか分かりませんでした。マスコットらしいんだけど、何故ヒヨコ? 飛ばし観してた所にでもいたのかな?

おまけ:
この展示を観終わった頃には閉館となってしまい、この日は常設には行けず。現在、常設では酒井抱一「夏秋草図屏風」が展示されているので、むしろそっちの方が気になってしまいますw
 参考リンク:「重要文化財 夏秋草図屏風 酒井抱一筆」 公開
  2010年6月29日(火)~2010年8月8日(日)


 参照記事:★この記事を参照している記事

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