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ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ (感想前編)【横浜美術館】

10日ほど前の日曜日(前回ご紹介した花火に行く前)に、横浜美術館で「ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ」を観てきました。好みのど真ん中の作品が多かったので、今回は前編・後編に分けてご紹介しようかと思います。

P1130817.jpg P1130819.jpg


【展覧名】
 ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ

【公式サイト】
 http://www.tbs.co.jp/pola2010/s

【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2010年07月02日~09月04日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
会場は結構混んでいました。1つの作品に3~4人くらいついてるくらいで、前半の一部は列になって観る程の混み具合でした。(後半はそんなに混んでなかったです)

さて、今回の展示は箱根にあるポーラ美術館の所蔵品を紹介する展覧会で、ポーラ美術館の看板作品とも言える作品を含んだ74点の内容となっていました。箱根と横浜なんてすぐ近くなのに…とちょっと疑問にも思いましたが、流石に素晴らしいコレクション揃いで、印象派~エコール・ド・パリの時代の傑作が並んでいました。 作品充実度を④にしたのは、普段ポーラ美術館の常設で観られる作品が多いので、二度と観られない!というわけではないということで、この点にしました。(単に内容だけで言えば⑤で文句ありませんw)
なお、今回ご紹介する作品は昨年のポーラ美術館の記事でご紹介した作品や、今年のルノワール展でご紹介した作品も結構あります。以前の感想と重複しますがご容赦ください^^; 今日は1章の印象派についてご紹介しようと思います。

 参考記事:
  肖像画の100年 ルノワール、モディリアーニ、ピカソ (ポーラ美術館)
  ポーラ美術館の常設

 参考リンク:
  ポーラ美術館公式サイト


<Ⅰ 印象派>
最初は印象派のコーナーでした。ポーラ美術館の近代絵画のコレクションの中でも特に充実しているのは印象派じゃないかと思います。最初から素晴らしい作品の数々にテンション全開ですw

クロード・モネ 「ジヴェルニーの積みわら」 ★こちらで観られます
晴れた日中の原っぱに置かれた積み藁を描いた作品です。画面は明るく光に満ちていて、爽やかな雰囲気があります。解説によるとこの作品は有名な「積み藁」の連作を描く前に描かれたものらしく、「積み藁」や「ポプラ」の連作時代と違い、観たままに描いているそうです。確かにすっきりしてる感じがしました。 これは絵をあまり観ない人でも好きになれるんじゃないかな。

クロード・モネ 「セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイユ」 ★こちらで観られます
これはセーヌ河の舟の上から描いた河畔の風景画です。(確か、船の上で絵を描くのは先生のブーダンの影響だったかな) 3人で濃いでるボートをはじめ何艘かの舟が描かれ、水面は穏やかな様子を見せています。 ちょっと薄曇の様子で、微妙な雲の濃淡などが観られました。モネにしては写実的に思いました。

クロード・モネ 「サン=ラザール駅の線路」 ★こちらで観られます ☆以前の紹介記事
蒸気の煙る駅付近の線路を描いた作品です。この当時急速に発達しつつあった鉄道に関する作品で、時代背景を感じます。また、蒸気を吐いてこちらにくる機関車の動きや、機関車よりも主役に見える蒸気など、刻々と変わる状況を描いたモネらしい作品に思います。

アルフレッド・シスレー 「セーヴルの跨線橋」 ★こちらで観られます ☆以前の紹介記事
右から跨線橋に向かって汽車が走ってくる様子を描いた作品です。跨線橋の上では汽車を観ている人が何人かいて、のどかな雰囲気です。旅情を感じる作品です。

アルマン・ギヨマン 「ロバンソンの散歩」 ★こちらで観られます
右に馬やロバを貸している人や2階建ての建物が見え、左には町の通りを行きかう人々が描かれています。この人たちは行楽客だそうで、楽しげな雰囲気が漂います。解説によると、左側の緑が濃く、フォーヴィスム(色彩が強い「野獣派」と呼ばれる芸術運動)への予兆が観られるそうです。

カミーユ・ピサロ 「エラニーの村の入口」 ★こちらで観られます
広い田舎道を描いた作品です。右に果樹園があり、道の遠くに行きかう馬や人々の姿が観られます。その背景には高い教会らしきものも見え、遠近感が見事です。全体的に少し薄暗い感じもしますが、のどかで平和な風景でした。

クロード・モネ 「睡蓮の池」 ★こちらで観られます
晩年の睡蓮の連作の1枚で、日本風の太鼓橋が架かっている池とそこに咲く睡蓮を描いています。言われて気づいたのですが、橋を境に上部は森、下部は池というように大まかに分かれています。全体的に緑色ですが、微妙な明暗や水の反射を感じる素晴らしい作品です。
今年はこの日本風の太鼓橋を描いたモネの絵によく出会いますね。ボストン美術館の作品と構図が似てました。
 参考記事:
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想前編 (国立新美術館)
  ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)

アルフレッド・シスレー 「ロワン河畔、朝」 ★こちらで観られます ☆以前の紹介記事
河の朝の風景を描いた作品で、少し薄めのパステル調の色彩で描かれています。空は爽やかに澄み、河の流れは穏やかで、清清しい朝の雰囲気がよく出ています。透明感のある作品でした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「水浴の女」 ★こちらで観られます
上半身裸の色白の女性像です。この作品は1887年の作品で、「アングル様式」という古典絵画のような輪郭線がはっきりしていた時代だと思いますが、解説によると輪郭線は柔らかくなっていて背景との調和を見せているとのことです。(私が観た感じでは逆に、女性ははっきり描かれているけど風景は形が曖昧に思え、背景に浮かんでいるように見えましたw 難しいものですねえ…)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「エッソワの風景、早朝」 ★こちらで観られます ☆以前の紹介記事
これはルノワール展で観た方も多いかな? 白いくだりの並木道を描いた作品です。これがフランスの原風景なんだろうなーという、温かみのあるのどかな風景です。ルノワールらしい優しく幸せな雰囲気を感じる作品で好みです。
この近くには、この作品と同じく今年のルノワール展に出品されていた「ムール貝採り」などもありました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」 ★こちらで観られます
この辺はポスト印象派のコーナーでした。 これは鮮やかな青い川と、黄色い橋、黄土色の岸など、色彩が強烈な作品です。岸で洗濯している女性達の輪郭線も赤で描かれ、日の光の強さを感じます。 まだゴッホ特有の分厚い絵の具ではなくすっきりしていたかな。うねりはそんなにありませんが、すでに強い力を放っているようでした。

ポール・ゴーガン 「白いテーブルクロス」 ★こちらで観られます
テーブルの上の白いテーブルクロスに乗るフルーツの入った器や、瓶を描いた静物画です。ゴーギャンにしては色は押さえられているように思い、ぱっと観た時にセザンヌの影響を感じました。 (それでも十分に明るい色彩だと思いますが。) 解説によると、この絵は宿屋に贈るために描かれたそうです。

ポール・セザンヌ 「プロヴァンスの風景」 ★こちらで観られます
崖の上に建つオレンジ色の屋根の家を描いた作品です。その手前には鮮やかな色彩の緑の木々が生い茂り、リズミカルに並んでいます。家の幾何学的な形などセザンヌが目指したものが詰まっている作品に思えました。

ポール・セザンヌ 「ラム酒の瓶のある静物」 ★こちらで観られます
薄い黄色っぽい背景に、様々な果実やラム酒の瓶が載ったテーブルクロスとテーブルを描いた静物です。これは絶妙なバランスの配置らしく、色使いも地塗りが残っているなどの特徴があります。(瓶の口をよく見ると塗り残していたりしました。) その構成や色の濃淡など、興味深い作品でした。静物は特に流石ですね。

この辺が展覧会の半分くらいで、一旦入口の辺りに戻ってきます。休憩コーナーではポーラ美術館の案内VTRなどを流していました。 まだ1章の途中ですが今日はここまでにして、明日は新印象主義とエコール・ド・パリについてご紹介しようと思います。門外不出だったあの作品まで展示されてます(><)



 ⇒後編はこちらです。


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Comment
18日でしたね
はじめまして、いつも拝見しています。
18日にゆっくり横浜美術館を鑑賞しました。どこかですれ違いできていたかもしれませんね。
その後山下公園へいきました。花火当日で人出が多かったのですね。氷川丸も乗船してみました。
花火の動画も有難うございます。
17日に名古屋から、三菱のマネ、新国立のオルセーを見る為、東京へ出たついでに一泊して横浜美術館に寄ることが出来ました。どちらも肩越し鑑賞でした・・・。v-238
海外へ出ても美術館めぐりがメインです。
ブログランキングも一位で流石と思います。
どこよりも内容が優れているのは時間を掛け充実に心がけていらっしゃるからでしょうね。
これからも宜しくお願いします!  つばさより
Re: 18日でしたね
>つばささん
いつもご愛読ありがとうございます!
ちょうど同じ日に同じようなコースだったのですね。美術館に氷川丸に花火とは、贅沢この上ないですね^^

私も今日の夕方にオルセーに再度行ってきたのですが、以前よりもさらに人が多くなっていて驚きました。やはり東京でしか開催されていないことが大きいのかな? 遠くから来る価値はありますよね。できれば海外に直接見に行ければ良いんですがw

ブログランキングは皆様のおかげで1位になれました m(_ _)m
世の中には凄いブログがたくさんあるので、そのうち抜かれてしまっても仕方ないとは思いますが、ランキングを見て期待してきた人にがっかりさせない位にはしていきたいと思います。

これからもよろしくお願いいたします。
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