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オルセー美術館展2010 ポスト印象派(2回目感想前編) 【国立新美術館】

先週の金曜日、会社の帰りに国立新美術館へ行って再度「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」を観てきました。会期も残り少なくなっている為か、以前よりもお客さんが増えていました。

P1130994.jpg P1140006.jpg

【展覧名】
オルセー美術館展2010 ポスト印象派

【公式サイト】
 http://orsay.exhn.jp/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2010/orsay/index.html

【会場】国立新美術館 企画展示室2E
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2010年5月26日(水)~8月16日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度  ※今回は早足でした。しっかり観たら2時間30分くらいかな

【混み具合・混雑状況(金曜日18時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この日は18時くらいに美術館に着いたのですが、入場規制もなく、チケットも並ぶことなく買えたので、もしや空いてるのでは!?と淡い期待をしてしまいました。…甘すぎる期待でしたw  中に入ったらどこもかしこも人だらけ! 絵の周りには人だかりが出来ていて、作品によっては10人以上は付いていたと思います。 人とぶつかることもしばしばあるなど、会場内は非常に混んでいました。もうこれは会期末まで空いてる時間とかは期待できないんじゃないかなw 一応、公式サイトでも混み具合は確認できますが、これから行く人は混んでるものだと心の準備をしておいてください。
 参考リンク:公式サイトの混雑状況確認ページ

さて、内容については前回もご紹介した通り、もう二度と日本でこんな展示は観られないのでは?というくらい貴重な展示となっています。各コーナーの趣旨や代表的な作品は前回の記事でご紹介したので、今回は前回にご紹介した作品以外で気になった作品について前編・後編に分けてご紹介しようと思います。 (今回は補足的な感じで、私の簡単な感想のみです^^;)

 前回の記事:
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想前編 (国立新美術館)
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編 (国立新美術館)


<第1章 1886年-最後の印象派>
カミーユ・ピサロ 「ルーアンのボワルデュー橋、夕日、靄のかかった天気」
画面いっぱいの川と、そこにかかる大きな橋を描いた作品です。橋には人々や馬車が行きかい、少しぼんやりとした感じの画面となっています。また、空の色や背景の工場が出す水蒸気など微妙な色の違いなどもあり、色と光の表現が繊細な作品に思いました。

クロード・モネ 「ボルディゲラの別荘」
これは前回観た時に、遠目で観てルノワールかと思いましたw 別荘とその前の木々が描かれ、輪郭は曖昧で緑や赤、黄色など色とりどりとなっています。生い茂る植物の色彩の豊かさを感じました。

クロード・モネ 「ノルウェー型の舟で」
3人の女性がボートで舟遊びをしている様子を描いた絵です。舳先に立っている女性は腰に手を当て、もう一方の手は細い棒を持っています。これは釣りをしているのかな? 他の2人は水面を見たりしてのんびりと舟遊びを楽しんでいるようでした。 静かで優雅な雰囲気を感じる作品でした。


<第2章 スーラと新印象主義>
アンリ=エドモン・クロス 「エクトール・フランス夫人」
これは点描で描かれた作品で、多分縦3mくらいある大きな絵です。後ろ向きでこちらを振り返る紫のドレスの貴婦人が描かれ、画面の下のほうには花も見えます。よく観ると周りの椅子などには影が出来ていて、かなり細かい点で表現されていました。風景画以外にこういう作品も点描で描けるというのは素晴らしいです。

ジョルジュ・スーラ 「ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの《貧しき漁夫》のある風景」
これは画中画となっていて、「貧しき漁夫」という絵が飾ってあるところを描いた作品です。(この「貧しき漁夫」はこの展示の後半で実物を観ることができます) 左半分は景色?が描かれ、右が模写となっているのですが、そんなにハッキリした模写じゃなかったかな。どういう経緯で描かれたのかは分かりませんが、実物と同じ展覧会で観られるのが面白かったです。

シャルル・アングラン 「道行く二人」
背中を向けて奥に歩いていく男女が、非常に細かい点描で描かれた作品です。奥の暗いところの影の表現が、点描とは思えないほど微妙で繊細でした。また、奥の街灯や壁など、水平・垂直の要素が多いように思いました。前衛的な作品だったんじゃないかな。

ジョルジュ・スーラ 「サーカス(エスキース)」
これはちょっと変わった作品で塗り残しみたいな白い画面に、青、黄色、赤と少ない色で描かれた絵です。馬の上に立ってポーズをきめる女性や、宙返りしている人、男性の団員など、サーカスの様子を伝えています。背景の観客席がまばらに思えるw これはどうしてこういう色なのか分かりませんが、逆に記憶に残りました。

テオ・ファン・レイセルベルヘ 「舵を取る男」
これも点描です。絵の右下には大きく描かれた男性の姿があり、どうやら彼の乗っているヨットのような船を操っているようです。背景には白いしぶきを上げる海が広がり、嵐のような雰囲気を感じますが、男性は落ち着いた顔をしているように思いました。また、絵の対角線にロープが伸び、マストも斜めに描かれるなど、幾何学的な構図を狙っているのかな?と思いながら観ていました。

<第3章 セザンヌとセザンヌ主義>
ポール・セザンヌ 「セザンヌ夫人」
青いブラウスを着たセザンヌの奥さんの肖像で、こちらを見てじっとしているようです。面白かったのが彼女の背景で、ちょうど顔の位置より右側は薄い青の背景、左側は茶色というように分かれていたのが興味を引きました。また、顔の左にあるのは何だろ?(描き直し??)と、気になる点がいくつかありました。

ポール・セザンヌ 「たまねぎのある静物」
テーブルの上に赤いたまねぎがゴロゴロとならび、皿の上にも乗っています。他にも白いテーブルクロスや瓶も見られ、球や直線的な描写が多いように思いました。また、絵の左下は色々と物が置かれている様子となっているのですが、右上は壁だけとなっていて、その配置のバランス感覚が面白かったです。


<第4章 トゥールーズ=ロートレック>
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「赤毛の女(化粧)」 ★こちらで観られます
ロートレックは生涯を通じて赤毛を描いたそうで、この作品は部屋の中で背中を向けて座る赤毛を束ねた上半身裸の女性を描いています。 まずはその赤毛が白い肌と対照的で目に入ったかな。解説によると、上から俯瞰する(見おろす)視線で描かれているのは、娼婦を前に支配欲を抱く客の眼差しを想起されるとのことでした。私は単に日常の着替えか化粧を描いたものかと思いましたが、ロートレックならではの鋭い視線と皮肉がありそうな絵でした。


ということで、今回もだいぶ堪能できました。初めて観た時とは興奮していましたが、今回は少し余裕を持ってよく観られたかもw 少し違った印象を受けました。
次回はちょっと多目に後半の展示をご紹介しようと思います。
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