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日本の美術館名品展 【東京都美術館】 (感想前編)

土砂降りの雨の中、土曜日から始まった「日本の美術館名品展」を観てきた。濃密かつ点数の多い贅沢な展覧でした。

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【展覧名】
美連協25周年記念 日本の美術館名品展

【公式サイト】
http://www.museum-islands.jp/
http://www.tobikan.jp/museum/japan.html

【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年4月25日(土)~7月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15~17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
初日の上、土砂降りだったせいか意外なほど空いていました。なんと100館もの美術館がこの展覧会に出展しているそうで、全国の美術館で看板作品となっている名品が一同に会していました。1つ1つに所蔵している美術館からのメッセージ・解説が付いている上、音声ガイドも38点となっていて多くの説明を受けることができます。 (解説を全部読むなら3時間くらい必要かも)

今日は西洋絵画、彫刻で気に入ったものを紹介。左下の方にある、ブログパーツで雰囲気を味わって頂ければと。作品リストはこちら 前期・後期で展覧の入れ替えがあるので要チェックです!!


<西洋絵画、彫刻>
私が一番満足したのは入ってすぐの西洋画のコーナーです。バルビゾン派以降の西洋画の歴史に沿って所狭しと名画が並んでます。バルビゾン派、ラファエル前派、印象派、後期印象派、ナビ派、フォービスム、キュビスム、エコールド・パリ、ダダ/シュルレアリスム、未来派、それ以降の近代美術などなど、よく揃えたなーってくらい幅広く展示されています。ここのフロアは本当に好みの絵ばかりで最高でした。


ジャン=フランソワ・ミレー 「ポーリーヌ・V・オノの肖像」 ★ブログパーツ参照
ダヴィンチの「モナリザ」を思わせるポーズをとっている、ミレーの奥さんの肖像。 若くして亡くなったらしいですが、どことなく憂いを感じる眼が印象的でした。

サー・エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ 「フローラ」
花の女神フローラが種をまき、すぐに花が咲くという場面を描いています。フローラの赤い衣装が鮮やかです。種が流れるように撒かれている様子や、優美でけだるさを漂わせたフローラが好みです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「庭で犬を膝に抱いて読書する少女」
ルノワールらしい暖かい雰囲気につつまれた作品。作品名の通り、黒い犬を膝に乗っけた少女が腰掛けて本を読んでいます。青いストライプの衣装と差し込む黄色い光がなんとも爽やかで、モデルと相まってほほえましいです。

カミーユ・ピサロ 「エラニーの菜園」   ★ここで観られます
これぞ印象派!って感じの作品です。菜園が柔らかな光に包まれているようです。やはり印象派は光の表現が素晴らしいです。

オディロン・ルドン 「ペガサスにのるミューズ」  ★ここで観られます
ルドンらしいどこか神秘的な雰囲気を持った作品でした。これは昔行われたルドン展でも特に重要な位置を占めた作品らしく、100万ドルで購入されたらしい。

ジェームズ・アンソール 「キリストの誘惑」
悪魔からキリストへの第三の誘惑となる権力と繁栄の誘惑を描いたもの。淡い色彩で描かれているんだけど、その繁栄の都市が輝かんばかりで、こんな誘惑されたら普通の人間ならころっと行ってしまうかもと思いながら観てました。

ピエール・ボナール「アンドレ・ボナール嬢の肖像 画家の妹」
これは今回の展示でも見所の1つ。上の看板の写真の作品です。
犬を連れた女性がなんとも気品があります。そして何と言っても色彩の鮮やかさが見所かな。犬も可愛いです(><)

アンリ・ルソー 「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」
「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展にもあったらしいですが、行けなかったので初めて観ました。
これを観たとき、ゾクゾクっとくる感動がありました。ルソーは大好きな画家なのですが、これほどの作品は中々ないのでは? 現実の世界のようでもあり、ちょっと超現実のような雰囲気がたまりません。

ヴァシリー・カンディンスキー 「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬) ★ブログパーツ参照
カンディンスキーは結構あちこちで見かけますが、この作品は好みにあっていました。というのは、カンディンスキーは未だによくわからないですが、これは理屈抜きで色彩の美しさだけで楽しめるからです。明るい色が主体でポップな感じすらしました。

エゴン・シーレ 「カール・グリュンヴァルトの肖像」 ★ブログパーツ参照
シーレの作品を観るのは久々です。この人の作品はエロくて時にグロいまでに欲情むき出しってのが私のイメージなのですが、その激しい作風の一端を伺わせるような所と、私の持つイメージとは違う厳格な雰囲気がありました。じっと何かを見つめ手を組む姿勢に緊張感を感じました。

モーリス・ユトリロ 「ノルヴァン通り」
この展示会では以前観たことがある作品が結構あったのですが、特によく覚えていたのがこの作品。ユトリロの作品の中でも評価の高い「白の時代」の作品です。白の時代というだけあって、背景も建物も白っぽいのですが微妙な色の違いが繊細です。 これは絵葉書を見て描いたものだったっけかな??

ジョアン・ミロ 「ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子」  ★ここで観られます
この前行ったミロ展で得た知識を使うときがきましたw  参考「ジョアン・ミロ展」
ミロの記号がふんだんに使われていて、配色も煌びやかです。これは聖堂の中のステンドグラスやオルガン演奏など様々な感動を表現しているのだとか。分かってくると面白いです。

イヴ・クライン 「人体測定ANT66」
これは結構な衝撃を受けました。爽やかな青地に躍動感ある白い人影が描かれています。これは原爆のコンクリートに焼け付いた人の形をした白い影との関係性も指摘されているとのことですが、私には明るい生命に溢れている作品に見えました。

コンスタンティン・ブランクーシ 「空間の鳥」
金色で細く縦長の半月状の彫刻です。まさに今、飛びたたんとする鳥のピンと胸を張った状態を表現していて、力強くて気品に溢れています。流線型の形が工業製品と思われたとか?? 
滋賀県立近代美術館からの作品ですが他のどこかで観たことあるんだけど、どこだったか思い出せません。。。

・・・このフロアは本当に好みの作品ばかりで紹介しきれないくらいですw
次回は<日本近・現代洋画>と<日本画、版画、彫刻>を紹介します。

⇒ こちらです。引き続きよろしくお願いします。

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