ヘンリー・ムア 生命のかたち 【ブリヂストン美術館】
前回ご紹介したブリヂストン美術館館内のカフェでお茶した後、「テーマ展示 ヘンリー・ムア 生命のかたち 」を観てきました。いつも通りぐるっとパスを使って入りました。


【展覧名】
テーマ展示 ヘンリー・ムア 生命のかたち
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=80
【会場】ブリヂストン美術館
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2010年7月31日(土)~2010年10月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
特別展:0時間30分程度
常設展:0時間50分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いている環境の中でじっくりと観ることが出来ました。今回は近代彫刻家の中でも特に有名なヘンリー・ムーアをテーマにした展示で、入口付近の2部屋を使った展示でした。 彫刻6点、素描40点ということで、そんなに品数は多くないのですが、今まで知らなかったような作品もあって参考になる内容でした。詳しくは気になった作品を通してご紹介しようと思います。
なお、★マークをつけた作品は公式サイトで「展示作品」のところから進むと観られます。★マークを押すと公式のTOPにリンクしています(各作品説明に直リンクできないので…))
<第1章 生命のかたち>
まず1章は彫刻と素描のコーナーで、4つのテーマに分けて展示していました。冒頭には遍歴が説明されていましたので簡単にご紹介しますと、ムーアは1930年代にイギリスの画家、彫刻家、建築家によって結成された「ユニット・ワン」という前衛的なグループに参加し、シュルレアリスムなどにも影響を受けていました。 第二次世界大戦の後、ロンドン大空襲の際に地下鉄に避難した人たちを描いた素描シリーズが国際的に高い評価を受け、さらにそれに続いて炭鉱労働者の素描シリーズも手がけたそうです。また、シュメール、エジプト、アフリカ、オセアニア、古代メキシコ(マヤ)などの原始彫刻にインスピレーションを受け、小石や骨の構造研究なども行っていたようです。
ムーアの作品は「人間存在」について向き合っていて、どんなに抽象化されても人体の基本的な要素が暗示されているそうです。ここに並んだ作品もそうした背景が伺えるものとなっていました。
[1.横たわる人体]
まず最初はムーアの作品でもよく見る横たわるポーズについてです。 ムーアは「立つ」「座る」「横たわる」の3つのポーズを比較し、「横たわる」は「最も自由かつ安定している」と語ったそうです。各作品には胴に比べ頭が小さいという特徴があり、これは胴にスケール感を持たせ、人体をモニュメンタルに感じさせるためと解説されていました。
ヘンリー・ムーア 「横たわる人体」 ★
横になった女性像です。緩やかな曲線が滑らかな印象を持たせ、小さい頭には白い点のような目があるなど、単純化/象徴化されたような姿をしています。いかにもムーアの作品という姿ですが、何故か懐かしさと神秘性を感じます。古代文明からインスピレーションを受けているせいかな?
ヘンリー・ムーア 「荒れ模様の空の下に横たわる人体」
ここからはリトグラフのコーナーです。これはムーアの彫刻をそのまま絵にしたような作品ですが、彫刻よりも人間っぽい等身をしているように思いました。それにしても、ムーアのリトグラフや素描がこれだけあるとは思いませんでした。
ヘンリー・ムーア 「横たわる人体のための習作」 ★
6体の横たわる人体らしきものが描かれた習作です。もはや人体とは思えないほど変形していて、シュルレアリスムやキュビスムの影響を感じるかな。6体とも違った姿をしているので、色々試行錯誤していたのかな?と思ったり。
ヘンリー・ムーア 「衣装をまとった横たわっている人体」
膝を立てて横たわっている姿の女性彫像です。結構人体らしい形で、腰より下にボリューム感があり、なめらかな雰囲気でした。
ヘンリー・ムーア 「ふたつのかたちによる横たわる人体:2重円」 ★
これは2つのパーツからなら彫刻作品です。左側には上を見上げる人の顔のようなもの、右は腰かお尻のような形があります。 タイトルから察するにこれも横たわった人体を表現しているようです。よく分からないと思いつつも、人体っぽさを感じる作品でした。
[2.母と子]
ムーアは母と子の主題は時代や地域を越えた永遠性を持ったものと考えていたらしく、初期の彫刻作品から母と子を主題としていたようです。戦時中に防空壕の中の母子を描いてからはさらに重要なテーマとなり、やがて父親も加わり「ファミリーグループ」の連作が展開されたとのことでした。
ヘンリー・ムーア 「波を背景にした母と子」(Ⅰハードグレー、Ⅱイエロー、Ⅲソフトグレー) ★
これは色違いの3枚のリトグラフです。線で描かれた波を背景に、中央より左で母が子を抱いた姿が影のように描かれています。波のうねりがちょっと怖いような寂しいような印象を受けました。 母親がしっかり子供を抱いて守っているように見えたかな。
ヘンリー・ムーア 「母と子:腕」
膝を立てて座る母親と、その膝の上に立って母の肩に手を乗せている子供の彫刻です。抽象化されていますが母と子の絆を感じる作品でした。近くにはこれと似た小さな作品もありました。
ここには他にもファミリーグループの習作もあります。
[3.座る女のポーズ]
座る女は抽象的な「横たわる人体」と異なり、子供を抱いたり、本を読んだりしていて、何か意図的でリアルな対象として描かれたそうです。ここには、鳩を持って座る女、腕を組む女など様々な動きをしている絵画作品がありました。
[4.頭部(ヘルメット・ヘッド)]
このコーナーは二重の扇形の中に目が描かれたような「ヘルメット・ヘッド」というシリーズが並んでいました。この主題は内部を外部が保護するというテーマに発展していき、やがては子宮に守られた子という関係にも発展したそうです。
ヘンリー・ムーア 「ヘルメット・ヘッド 黙視」
抽象画のような作品です。中央に四角の枠があり、左に円の1/4が2重に描かれています。円の中には目がついていて、ヘルメットを被った人が窓から覗いているような感じです。目が怖くて不気味w この辺にはこの主題の作品(ヘルメットを被った人がこっちを観ているような絵など)が5点くらいありました。
ヘンリー・ムーア 「ヘルメット・ヘッド No.6」 ★
これは彫刻作品です。ヘルメットと言うか、ゆで卵の白身の部分みたいな覆いの中に、モニュメントが入っている2重の構造となっています。内部のモニュメントは川村記念美術館にある作品を小さくしたような形でした。
↓これに似てます

参考リンク:川村記念美術館の案内
<第2章 ストーンヘンジ-有機的な形>
2章はストーンヘンジらしき巨石を描いた素描のコーナーでした。ムーアは23歳の時に初めてストーンヘンジを観たそうで、74歳の時に「黒い素描」というシリーズを描きました。ここにはそうした巨石を題材にした、質感溢れ威厳に満ちた作品が並んでいました。
ヘンリー・ムーア 「ストーンヘンジ Ⅳ 輪の内側」
白黒のリトグラフで、写実的にストーンヘンジが描かれています。静かな雰囲気の中で重厚感と圧倒的な存在感がありました。この辺には色々な角度から描かれた19点の素描が四方にずらりと並んでいました。作品の題材も相まって、壮観な光景となっています。
最後は参考になる本が展示されていました。解説にあった防空壕や炭鉱を描いた版画などもあり、ちょっと怖い雰囲気を感じました。
ということで、テーマ展示はここまでです。ムーアの作品は結構な数を観ていますが、こうして体系立った展示は中々ないので貴重な体験でした。
<常設>
ここからは常設です。ここの常設は相変らず幅広く充実しているのですが、このブログでも何度か紹介しておりますので、私の感覚で「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」だけをいくつかご紹介しようと思います。
参考記事:
美の饗宴・東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)
印象派はお好きですか? (ブリヂストン美術館)
エドゥワール・ヴゥイヤール 「鏡の前」
水色のドレスを着た女性が、こちらを向いて暖炉の上の鏡の前に立っています。鏡には女性の背中と赤いカーテン、薄っすらした光などが見えます。パステルの色合いのせいか温かみを感じる作品でした。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「レダと白鳥」
両手を左にのばしている裸婦(レダ)と、その背後に覆いかぶさるような巨大な白鳥が描かれています。白鳥はレダに顔を近づけていて、物語の内容をよく伝えているように思いました。また、四角い絵の中に絶妙に納まった構図も面白かったです。ブールデルの絵画作品は6点ほどありました。
オシップ・ザツキン 「三人の女」
これはグアッシュで、3人の女性が肩を組むように立っている様子を描いたものです。真ん中の女性の顔は左右が白黒に分かれていて、背景はそこを境に左が白、右が黒というように分かれていました。抽象的で彫刻作品の面影を感じます(入口にある三美神と共通するものがあるかも)
この辺には他にもロダン、アーキペンコ、マリーニ、ジャコメッティなど彫刻家の絵画作品が並んでいて、観たことが無い作品が多かったです。ムーア展に合わせた企画かな。
オディロン・ルドン 「裸婦」
鉛筆とパステルで描かれた素描みたいな感じの作品です。何かを追いかけているようなポーズの裸婦が描かれ、足の辺りにオレンジの花か蝶のような模様が描かれています。体の周りには薄い紫のオーラのようなものが漂い、不思議で幻想的な作品でした。
[新収蔵品特別展示]
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「サーカスの舞台裏」

これは最近コレクションに加わったようでした。白黒の油彩画で、馬に手をかけるピエロのような人が描かれ、両脇には黒い帽子の男と踊り子のような女性の姿があります。解説によると、白黒なのは薄暗い舞台裏を意識したものではないかとのことで、静寂の中に本番の緊張感があるそうです。
これ以降では以前と違う作品は気づかなかったかな。
ということで、常設もいつも通り楽しんできました。ぐるっとパスで入れる上、静かに鑑賞できて、本当に素晴らしい美術館です。


【展覧名】
テーマ展示 ヘンリー・ムア 生命のかたち
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=80
【会場】ブリヂストン美術館
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2010年7月31日(土)~2010年10月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
特別展:0時間30分程度
常設展:0時間50分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いている環境の中でじっくりと観ることが出来ました。今回は近代彫刻家の中でも特に有名なヘンリー・ムーアをテーマにした展示で、入口付近の2部屋を使った展示でした。 彫刻6点、素描40点ということで、そんなに品数は多くないのですが、今まで知らなかったような作品もあって参考になる内容でした。詳しくは気になった作品を通してご紹介しようと思います。
なお、★マークをつけた作品は公式サイトで「展示作品」のところから進むと観られます。★マークを押すと公式のTOPにリンクしています(各作品説明に直リンクできないので…))
<第1章 生命のかたち>
まず1章は彫刻と素描のコーナーで、4つのテーマに分けて展示していました。冒頭には遍歴が説明されていましたので簡単にご紹介しますと、ムーアは1930年代にイギリスの画家、彫刻家、建築家によって結成された「ユニット・ワン」という前衛的なグループに参加し、シュルレアリスムなどにも影響を受けていました。 第二次世界大戦の後、ロンドン大空襲の際に地下鉄に避難した人たちを描いた素描シリーズが国際的に高い評価を受け、さらにそれに続いて炭鉱労働者の素描シリーズも手がけたそうです。また、シュメール、エジプト、アフリカ、オセアニア、古代メキシコ(マヤ)などの原始彫刻にインスピレーションを受け、小石や骨の構造研究なども行っていたようです。
ムーアの作品は「人間存在」について向き合っていて、どんなに抽象化されても人体の基本的な要素が暗示されているそうです。ここに並んだ作品もそうした背景が伺えるものとなっていました。
[1.横たわる人体]
まず最初はムーアの作品でもよく見る横たわるポーズについてです。 ムーアは「立つ」「座る」「横たわる」の3つのポーズを比較し、「横たわる」は「最も自由かつ安定している」と語ったそうです。各作品には胴に比べ頭が小さいという特徴があり、これは胴にスケール感を持たせ、人体をモニュメンタルに感じさせるためと解説されていました。
ヘンリー・ムーア 「横たわる人体」 ★
横になった女性像です。緩やかな曲線が滑らかな印象を持たせ、小さい頭には白い点のような目があるなど、単純化/象徴化されたような姿をしています。いかにもムーアの作品という姿ですが、何故か懐かしさと神秘性を感じます。古代文明からインスピレーションを受けているせいかな?
ヘンリー・ムーア 「荒れ模様の空の下に横たわる人体」
ここからはリトグラフのコーナーです。これはムーアの彫刻をそのまま絵にしたような作品ですが、彫刻よりも人間っぽい等身をしているように思いました。それにしても、ムーアのリトグラフや素描がこれだけあるとは思いませんでした。
ヘンリー・ムーア 「横たわる人体のための習作」 ★
6体の横たわる人体らしきものが描かれた習作です。もはや人体とは思えないほど変形していて、シュルレアリスムやキュビスムの影響を感じるかな。6体とも違った姿をしているので、色々試行錯誤していたのかな?と思ったり。
ヘンリー・ムーア 「衣装をまとった横たわっている人体」
膝を立てて横たわっている姿の女性彫像です。結構人体らしい形で、腰より下にボリューム感があり、なめらかな雰囲気でした。
ヘンリー・ムーア 「ふたつのかたちによる横たわる人体:2重円」 ★
これは2つのパーツからなら彫刻作品です。左側には上を見上げる人の顔のようなもの、右は腰かお尻のような形があります。 タイトルから察するにこれも横たわった人体を表現しているようです。よく分からないと思いつつも、人体っぽさを感じる作品でした。
[2.母と子]
ムーアは母と子の主題は時代や地域を越えた永遠性を持ったものと考えていたらしく、初期の彫刻作品から母と子を主題としていたようです。戦時中に防空壕の中の母子を描いてからはさらに重要なテーマとなり、やがて父親も加わり「ファミリーグループ」の連作が展開されたとのことでした。
ヘンリー・ムーア 「波を背景にした母と子」(Ⅰハードグレー、Ⅱイエロー、Ⅲソフトグレー) ★
これは色違いの3枚のリトグラフです。線で描かれた波を背景に、中央より左で母が子を抱いた姿が影のように描かれています。波のうねりがちょっと怖いような寂しいような印象を受けました。 母親がしっかり子供を抱いて守っているように見えたかな。
ヘンリー・ムーア 「母と子:腕」
膝を立てて座る母親と、その膝の上に立って母の肩に手を乗せている子供の彫刻です。抽象化されていますが母と子の絆を感じる作品でした。近くにはこれと似た小さな作品もありました。
ここには他にもファミリーグループの習作もあります。
[3.座る女のポーズ]
座る女は抽象的な「横たわる人体」と異なり、子供を抱いたり、本を読んだりしていて、何か意図的でリアルな対象として描かれたそうです。ここには、鳩を持って座る女、腕を組む女など様々な動きをしている絵画作品がありました。
[4.頭部(ヘルメット・ヘッド)]
このコーナーは二重の扇形の中に目が描かれたような「ヘルメット・ヘッド」というシリーズが並んでいました。この主題は内部を外部が保護するというテーマに発展していき、やがては子宮に守られた子という関係にも発展したそうです。
ヘンリー・ムーア 「ヘルメット・ヘッド 黙視」
抽象画のような作品です。中央に四角の枠があり、左に円の1/4が2重に描かれています。円の中には目がついていて、ヘルメットを被った人が窓から覗いているような感じです。目が怖くて不気味w この辺にはこの主題の作品(ヘルメットを被った人がこっちを観ているような絵など)が5点くらいありました。
ヘンリー・ムーア 「ヘルメット・ヘッド No.6」 ★
これは彫刻作品です。ヘルメットと言うか、ゆで卵の白身の部分みたいな覆いの中に、モニュメントが入っている2重の構造となっています。内部のモニュメントは川村記念美術館にある作品を小さくしたような形でした。
↓これに似てます

参考リンク:川村記念美術館の案内
<第2章 ストーンヘンジ-有機的な形>
2章はストーンヘンジらしき巨石を描いた素描のコーナーでした。ムーアは23歳の時に初めてストーンヘンジを観たそうで、74歳の時に「黒い素描」というシリーズを描きました。ここにはそうした巨石を題材にした、質感溢れ威厳に満ちた作品が並んでいました。
ヘンリー・ムーア 「ストーンヘンジ Ⅳ 輪の内側」
白黒のリトグラフで、写実的にストーンヘンジが描かれています。静かな雰囲気の中で重厚感と圧倒的な存在感がありました。この辺には色々な角度から描かれた19点の素描が四方にずらりと並んでいました。作品の題材も相まって、壮観な光景となっています。
最後は参考になる本が展示されていました。解説にあった防空壕や炭鉱を描いた版画などもあり、ちょっと怖い雰囲気を感じました。
ということで、テーマ展示はここまでです。ムーアの作品は結構な数を観ていますが、こうして体系立った展示は中々ないので貴重な体験でした。
<常設>
ここからは常設です。ここの常設は相変らず幅広く充実しているのですが、このブログでも何度か紹介しておりますので、私の感覚で「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」だけをいくつかご紹介しようと思います。
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両手を左にのばしている裸婦(レダ)と、その背後に覆いかぶさるような巨大な白鳥が描かれています。白鳥はレダに顔を近づけていて、物語の内容をよく伝えているように思いました。また、四角い絵の中に絶妙に納まった構図も面白かったです。ブールデルの絵画作品は6点ほどありました。
オシップ・ザツキン 「三人の女」
これはグアッシュで、3人の女性が肩を組むように立っている様子を描いたものです。真ん中の女性の顔は左右が白黒に分かれていて、背景はそこを境に左が白、右が黒というように分かれていました。抽象的で彫刻作品の面影を感じます(入口にある三美神と共通するものがあるかも)
この辺には他にもロダン、アーキペンコ、マリーニ、ジャコメッティなど彫刻家の絵画作品が並んでいて、観たことが無い作品が多かったです。ムーア展に合わせた企画かな。
オディロン・ルドン 「裸婦」
鉛筆とパステルで描かれた素描みたいな感じの作品です。何かを追いかけているようなポーズの裸婦が描かれ、足の辺りにオレンジの花か蝶のような模様が描かれています。体の周りには薄い紫のオーラのようなものが漂い、不思議で幻想的な作品でした。
[新収蔵品特別展示]
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「サーカスの舞台裏」

これは最近コレクションに加わったようでした。白黒の油彩画で、馬に手をかけるピエロのような人が描かれ、両脇には黒い帽子の男と踊り子のような女性の姿があります。解説によると、白黒なのは薄暗い舞台裏を意識したものではないかとのことで、静寂の中に本番の緊張感があるそうです。
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ブリヂストン美術館
おはようございます。
ブリヂストンにはなが~く行っていないので
この記事を見てまた行きたくなりました。
先日サーカスを見たので
特別展示も興味津々!
ポチ。
ブリヂストンにはなが~く行っていないので
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先日サーカスを見たので
特別展示も興味津々!

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Re: ブリヂストン美術館
>パンピーさん
いつもポチありがとうございます!
この美術館は良質なコレクションを静かに見られるのでちょくちょく通ってしまいます。
長く行かれていないようでしたら、足を運ぶ価値はあると思いますよ。
近くにギャラリーや美術館が多いのも魅力です。
サーカスいいですねー。私も見に行きたいです^^
いつもポチありがとうございます!
この美術館は良質なコレクションを静かに見られるのでちょくちょく通ってしまいます。
長く行かれていないようでしたら、足を運ぶ価値はあると思いますよ。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
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