江戸絵画への視線 【山種美術館】
今日のお昼過ぎに、山種美術館で「開館記念特別展Ⅵ 江戸絵画への視線 -岩佐又兵衛《官女観菊図》 重要文化財指定記念-」を観てきました。色々とネタを溜め込んでいるのですが、残りの会期が短くなってきているので先にご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
開館記念特別展Ⅵ 江戸絵画への視線 -岩佐又兵衛《官女観菊図》 重要文化財指定記念-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年7月17日(土)~9月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それなりにお客さんはいましたが、混む合うこともなく自分のペースでゆっくりと観ることができました。
今回の展示は2008年3月に岩佐又兵衛の「官女観菊図」が重要文化財の指定を受けた記念の展覧会だそうで(記念にしてはだいぶ経ってますがw)、江戸期のコレクションを中心に紹介するという内容でした。山種美術館の創始者である山種二が美術品を集め出したのは、子供の頃に酒井抱一の作品に感動したのがきっかけらしく、最初に買った抱一は贋作だったのだとか。それに懲りてからは画家に直接購入するスタイルが多かったために近現代のコレクションが増えたそうです。 しかし、江戸時代の作品も来歴がしっかりしたものを集めていたようで、この展覧会で観ることが出来ました。詳しくは気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<琳派>
まず最初は琳派のコーナーです。尾形光琳の作品はありませんでしたが、宗達、抱一、其一といった前後の時代の優品が揃い、いきなりメインディッシュが来たような濃密な内容となっていました。
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) 「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」 ★こちらで観られます
銀色の地面に立つ首を捻ったような姿勢の金の鹿の断簡です。鹿の左右には光悦の書が書かれ、鹿と書が軽やかな雰囲気を出していました。この断簡は元は巻物で、12の断簡に分割されてしまったものの1枚となります。(最近だとサントリー美術館の展示で何枚か観る機会がありました。) 何度観ても素晴らしい作品です。
参考記事:美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 (サントリー美術館)
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) 「四季草花下絵和歌短冊帖」
これも宗達と光悦の合作で、18枚の短冊に絵と短歌が描かれた作品です。金銀で描かれ非常に優美な雰囲気の短冊がずらりと並び、壮観な光景でした。特に「千羽鶴」「すすきに桔梗」「波に梅」などが気に入りました。
酒井抱一 「飛雪白鷺図」
これは掛け軸で、川で斜め上を見ている白鷺、水辺に生えた草、上部には飛んでいる白鷺などが描かれています。白鷺や周りに雪のように散った白(胡粉)が美しい作品でした。
この辺は全部メモする位の勢いで、素晴らしい作品ばかりでした。
酒井抱一 「菊小禽図」
赤、黄、白といった花が左上に向かって伸びている様子が描かれた作品です。非常に色鮮やかで、細かさを感じる一方で装飾的な美しさも感じました。華やかです。
酒井抱一 「秋草図」
大きくおぼろげな満月?(右半分しか見えない)を背景に、ススキ、朝顔、撫子などが咲いている様子を描いた作品です。軽やかで品格を感じる曲線や、落ち着いた色彩が優雅な雰囲気を出していました。
鈴木其一 「伊勢物語(高安の女)」
伊勢物語を題材にした作品です。うっすらとした色で、右には部屋の中を覗く男、左には部屋の中でご飯をよそっている女性が描かれています。ドラマ的だなと思ってみていたのですが、解説によると、男は自分でご飯をよそる女を卑しく思い、嫌気がさしてしまったシーンだそうです。
酒井抱一 「秋草鶉図」 ★こちらで観られます
2曲の屏風で、金地に黒い月(元々は銀色)が浮かび、その下には飛んだり休んだりしている鶉(うずら)達がいます。また、その周りにはススキなどの秋草や紅葉した楓の葉、赤い花などがあり、草の緑の曲線が金地に映えてなんとも華やかな雰囲気を出していました。解説によると、これは深まる秋の武蔵野をイメージしたそうです。多分以前にも観たと思いますが、非常に気に入ったので帰りに絵葉書を買いました。
鈴木其一 「四季花鳥図」
こちらは2曲1双の屏風で、右隻には大きなヒマワリや朝顔、鶏たちなどが描かれ、左隻には菊やススキ、水仙などとオシドリが描かれていました。全体的に装飾的かつ平面的で、非常に華やかな印象を受けました。
<やまと絵>
続いては大和絵関連のコーナーでした。こちらには今回の展覧会のきっかけとなった岩佐又兵衛の「官女観菊図」も展示されていました。
伝 土佐光吉 「松秋草図」
2曲の金屏風です。左には大きく単純化された松、右にはススキや女郎花、白菊などが描かれ、大和絵風ののっぺりした色彩となっています。松の幹と風に揺れる秋草の曲線が呼応しているように見えたのが面白かったです。
岩佐又兵衛 「官女観菊図」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。モノクロで、牛車の中で御簾を上げる侍女と足元の菊を見る2人の宮廷女官が描かれています。よく見ると、3人の女性の唇はうっすらと赤くなっていて艶やかさがありました。 これは元々は6曲1双の押絵屏風の1扇のようで、CGによる屏風の再現写真もありました。
作者不詳 「源平合戦図」
源平の合戦を描いた6曲1双の見事な屏風です。金雲が漂う中で無数の兵士達が戦い、右隻には一ノ谷の戦いのシーン(鵯越(ひよどりごえ)や敦盛の最期)などが描かれ、左隻では屋島の戦いのシーン(那須与一や義経弓流し)などが描かれているようです。与一はどれか見つけられませんでしたが、躍動感があり緊迫した雰囲気も感じました。
<狩野派>
狩野派のコーナーは3枚だけでした。
狩野常信 「七福神図」
これは巻物の作品で、打ち出の小槌から玩具?を出す大黒、頭の長い福禄寿、鯛をじゃんじゃん釣っている恵比寿、腰掛ける毘沙門、鹿を連れた寿老人などが描かれ、それぞれの周りには唐子(中国風の子供)たちが走り回っていたりして楽しそうな雰囲気です。七福神が一際大きく描かれていたのは神だからかな? 縁起の良さそうな絵でした。
七福神の見分け方の参考記事:
ユートピア ―描かれし夢と楽園― (出光美術館)
ゑびす大黒-笑顔の神さま-展 (INAXギャラリー)
<文人画>
今回の展示の中で一番作品が多かったのはこの文人画のコーナーでした。私は文人画はそんなに好きではないのですが、池大雅や谷文晁など大物の作品が並んでいました。
池大雅 「指頭山水図」
筆を使わず指先や爪、掌などで描く「指墨(指画)」という技法で描かれた掛け軸です。中国の風景を理想化したような光景が広がり、淡い色彩で手で描いたとは思えないくらい軽やかな印象がありました。
山本梅逸 「花虫図」
(これは作品番号のメモを間違ったかも??) 雄と雌の孔雀が見つめあっている所が描かれ、立派な尾羽の雄は振り返る姿勢で、雌は伏せています。雄の羽の質感や、背景にうっすらと描かれた渓流の動きがが見事でした。
<諸派>
ここは様々な流派の作品が並んでいました。
伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」
沢山の唐子が描かれた掛け軸です。琴を弾く子、書画を描く子とそれを囲って見る子達、手ぬぐいをかぶってふざけている子、囲碁の石をぶちまけている子、喧嘩をしている子など、てんやわんやな事態になっていますw 琴、碁、書、画は君子のたしなみだったようですが、子供たちにかかるとカオスでしたw 生き生きとした感じがよく出ていました。
岸連山 「花鳥図」
6曲1双の屏風で、右隻には松の下で群れている鶴や白鷺、松の枝にはオウムの姿も描かれています。それに対し左隻には、威厳に満ちた孔雀などが描かれていました。所々に金砂子が散らされ絢爛な印象を受ける作品でした。 この人は南蘋派と狩野派の折衷の作風らしく、そのせいか、同じく南蘋派から影響を受けた若冲と似た題材に思えました。
参考記事:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
<江戸絵画への視線(近代絵画)>
最後は江戸以降の近代の作品が並んでいました。
柴田是真 「墨林筆哥」
8枚つづりの漆絵の画帖?です。小さな蛙たちに囲まれて三味線を弾いて歌う蛙、雪の富士山、笠、雁?の群れなどが濃い色彩で描かれています。漆で描かれているのに自由闊達で、重厚感と華麗さを併せ持っていました。
参考記事:柴田是真の漆×絵 (三井記念美術館)
速水御舟 「名樹散椿」
これは以前にもご紹介した作品ですが、何度観ても素晴らしいので再度ご紹介w 2曲1双の金屏風に、朱色の椿が咲き誇っている様子が描かれています。うねった幹や装飾的な花や葉っぱは琳派からの影響を感じさせます。色鮮やかで絢爛な作品です。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
前田青邨 「鶺鴒」
海の上を飛ぶ鶺鴒(せきれい)を、さらに上から観たような視点で描かれた作品です。その変わった視点も面白いですが、海は琳派が得意とした「たらしこみ」の技法で描かれ、にじみが海らしい雰囲気を出していました。海の色も鮮やかで、鶺鴒とともに清々しく思いました。
ということで、40数点の展示でしたがかなり濃密な内容となっていました。特に琳派の作品は素晴らしかったので、日本画が好きな方は必見の内容だと思います。お勧めです。


【展覧名】
開館記念特別展Ⅵ 江戸絵画への視線 -岩佐又兵衛《官女観菊図》 重要文化財指定記念-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年7月17日(土)~9月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それなりにお客さんはいましたが、混む合うこともなく自分のペースでゆっくりと観ることができました。
今回の展示は2008年3月に岩佐又兵衛の「官女観菊図」が重要文化財の指定を受けた記念の展覧会だそうで(記念にしてはだいぶ経ってますがw)、江戸期のコレクションを中心に紹介するという内容でした。山種美術館の創始者である山種二が美術品を集め出したのは、子供の頃に酒井抱一の作品に感動したのがきっかけらしく、最初に買った抱一は贋作だったのだとか。それに懲りてからは画家に直接購入するスタイルが多かったために近現代のコレクションが増えたそうです。 しかし、江戸時代の作品も来歴がしっかりしたものを集めていたようで、この展覧会で観ることが出来ました。詳しくは気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<琳派>
まず最初は琳派のコーナーです。尾形光琳の作品はありませんでしたが、宗達、抱一、其一といった前後の時代の優品が揃い、いきなりメインディッシュが来たような濃密な内容となっていました。
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) 「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」 ★こちらで観られます
銀色の地面に立つ首を捻ったような姿勢の金の鹿の断簡です。鹿の左右には光悦の書が書かれ、鹿と書が軽やかな雰囲気を出していました。この断簡は元は巻物で、12の断簡に分割されてしまったものの1枚となります。(最近だとサントリー美術館の展示で何枚か観る機会がありました。) 何度観ても素晴らしい作品です。
参考記事:美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 (サントリー美術館)
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) 「四季草花下絵和歌短冊帖」
これも宗達と光悦の合作で、18枚の短冊に絵と短歌が描かれた作品です。金銀で描かれ非常に優美な雰囲気の短冊がずらりと並び、壮観な光景でした。特に「千羽鶴」「すすきに桔梗」「波に梅」などが気に入りました。
酒井抱一 「飛雪白鷺図」
これは掛け軸で、川で斜め上を見ている白鷺、水辺に生えた草、上部には飛んでいる白鷺などが描かれています。白鷺や周りに雪のように散った白(胡粉)が美しい作品でした。
この辺は全部メモする位の勢いで、素晴らしい作品ばかりでした。
酒井抱一 「菊小禽図」
赤、黄、白といった花が左上に向かって伸びている様子が描かれた作品です。非常に色鮮やかで、細かさを感じる一方で装飾的な美しさも感じました。華やかです。
酒井抱一 「秋草図」
大きくおぼろげな満月?(右半分しか見えない)を背景に、ススキ、朝顔、撫子などが咲いている様子を描いた作品です。軽やかで品格を感じる曲線や、落ち着いた色彩が優雅な雰囲気を出していました。
鈴木其一 「伊勢物語(高安の女)」
伊勢物語を題材にした作品です。うっすらとした色で、右には部屋の中を覗く男、左には部屋の中でご飯をよそっている女性が描かれています。ドラマ的だなと思ってみていたのですが、解説によると、男は自分でご飯をよそる女を卑しく思い、嫌気がさしてしまったシーンだそうです。
酒井抱一 「秋草鶉図」 ★こちらで観られます
2曲の屏風で、金地に黒い月(元々は銀色)が浮かび、その下には飛んだり休んだりしている鶉(うずら)達がいます。また、その周りにはススキなどの秋草や紅葉した楓の葉、赤い花などがあり、草の緑の曲線が金地に映えてなんとも華やかな雰囲気を出していました。解説によると、これは深まる秋の武蔵野をイメージしたそうです。多分以前にも観たと思いますが、非常に気に入ったので帰りに絵葉書を買いました。
鈴木其一 「四季花鳥図」
こちらは2曲1双の屏風で、右隻には大きなヒマワリや朝顔、鶏たちなどが描かれ、左隻には菊やススキ、水仙などとオシドリが描かれていました。全体的に装飾的かつ平面的で、非常に華やかな印象を受けました。
<やまと絵>
続いては大和絵関連のコーナーでした。こちらには今回の展覧会のきっかけとなった岩佐又兵衛の「官女観菊図」も展示されていました。
伝 土佐光吉 「松秋草図」
2曲の金屏風です。左には大きく単純化された松、右にはススキや女郎花、白菊などが描かれ、大和絵風ののっぺりした色彩となっています。松の幹と風に揺れる秋草の曲線が呼応しているように見えたのが面白かったです。
岩佐又兵衛 「官女観菊図」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。モノクロで、牛車の中で御簾を上げる侍女と足元の菊を見る2人の宮廷女官が描かれています。よく見ると、3人の女性の唇はうっすらと赤くなっていて艶やかさがありました。 これは元々は6曲1双の押絵屏風の1扇のようで、CGによる屏風の再現写真もありました。
作者不詳 「源平合戦図」
源平の合戦を描いた6曲1双の見事な屏風です。金雲が漂う中で無数の兵士達が戦い、右隻には一ノ谷の戦いのシーン(鵯越(ひよどりごえ)や敦盛の最期)などが描かれ、左隻では屋島の戦いのシーン(那須与一や義経弓流し)などが描かれているようです。与一はどれか見つけられませんでしたが、躍動感があり緊迫した雰囲気も感じました。
<狩野派>
狩野派のコーナーは3枚だけでした。
狩野常信 「七福神図」
これは巻物の作品で、打ち出の小槌から玩具?を出す大黒、頭の長い福禄寿、鯛をじゃんじゃん釣っている恵比寿、腰掛ける毘沙門、鹿を連れた寿老人などが描かれ、それぞれの周りには唐子(中国風の子供)たちが走り回っていたりして楽しそうな雰囲気です。七福神が一際大きく描かれていたのは神だからかな? 縁起の良さそうな絵でした。
七福神の見分け方の参考記事:
ユートピア ―描かれし夢と楽園― (出光美術館)
ゑびす大黒-笑顔の神さま-展 (INAXギャラリー)
<文人画>
今回の展示の中で一番作品が多かったのはこの文人画のコーナーでした。私は文人画はそんなに好きではないのですが、池大雅や谷文晁など大物の作品が並んでいました。
池大雅 「指頭山水図」
筆を使わず指先や爪、掌などで描く「指墨(指画)」という技法で描かれた掛け軸です。中国の風景を理想化したような光景が広がり、淡い色彩で手で描いたとは思えないくらい軽やかな印象がありました。
山本梅逸 「花虫図」
(これは作品番号のメモを間違ったかも??) 雄と雌の孔雀が見つめあっている所が描かれ、立派な尾羽の雄は振り返る姿勢で、雌は伏せています。雄の羽の質感や、背景にうっすらと描かれた渓流の動きがが見事でした。
<諸派>
ここは様々な流派の作品が並んでいました。
伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」
沢山の唐子が描かれた掛け軸です。琴を弾く子、書画を描く子とそれを囲って見る子達、手ぬぐいをかぶってふざけている子、囲碁の石をぶちまけている子、喧嘩をしている子など、てんやわんやな事態になっていますw 琴、碁、書、画は君子のたしなみだったようですが、子供たちにかかるとカオスでしたw 生き生きとした感じがよく出ていました。
岸連山 「花鳥図」
6曲1双の屏風で、右隻には松の下で群れている鶴や白鷺、松の枝にはオウムの姿も描かれています。それに対し左隻には、威厳に満ちた孔雀などが描かれていました。所々に金砂子が散らされ絢爛な印象を受ける作品でした。 この人は南蘋派と狩野派の折衷の作風らしく、そのせいか、同じく南蘋派から影響を受けた若冲と似た題材に思えました。
参考記事:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
<江戸絵画への視線(近代絵画)>
最後は江戸以降の近代の作品が並んでいました。
柴田是真 「墨林筆哥」
8枚つづりの漆絵の画帖?です。小さな蛙たちに囲まれて三味線を弾いて歌う蛙、雪の富士山、笠、雁?の群れなどが濃い色彩で描かれています。漆で描かれているのに自由闊達で、重厚感と華麗さを併せ持っていました。
参考記事:柴田是真の漆×絵 (三井記念美術館)
速水御舟 「名樹散椿」
これは以前にもご紹介した作品ですが、何度観ても素晴らしいので再度ご紹介w 2曲1双の金屏風に、朱色の椿が咲き誇っている様子が描かれています。うねった幹や装飾的な花や葉っぱは琳派からの影響を感じさせます。色鮮やかで絢爛な作品です。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
前田青邨 「鶺鴒」
海の上を飛ぶ鶺鴒(せきれい)を、さらに上から観たような視点で描かれた作品です。その変わった視点も面白いですが、海は琳派が得意とした「たらしこみ」の技法で描かれ、にじみが海らしい雰囲気を出していました。海の色も鮮やかで、鶺鴒とともに清々しく思いました。
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