ザ・コレクション・ヴィンタートゥール (感想後編)【世田谷美術館】
今日は前回の記事に引き続き、世田谷美術館の「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール スイス発-知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂-」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら
まずは概要のおさらいです。


【展覧名】
ザ・コレクション・ヴィンタートゥール スイス発-知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂-
【公式サイト】
http://www.collection-winter.jp/
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2010年08月07日(土)~10月11日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
昨日は1~4章をご紹介しましたが、今日は残りの5~8章についてです。
<第5章 ヴァロットンとスイスの具象絵画>
5章はヴァロットンを中心としたコーナーとなっていました。ヴァロットンはナビ派の1人で、最近終了したオルセー展でも「ボール 《ボールで遊ぶ子供のいる公園》」 「夕食、ランプの光」といった作品が展示されていたのが記憶に新しいところです。彼はスイス出身だそうで、解説では「形態を即物的に冷淡かつ簡潔に把握する」と紹介されていました。 また、このコーナーには同時期のスイスの画家も紹介されています。
参考記事:
オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編 (国立新美術館)
オルセー美術館展2010 ポスト印象派 2回目感想後編 (国立新美術館)
フェリックス・ヴァロットン 「水差しとキズイセン」 ★こちらで観られます
透明なガラスの水差に入った黄色い花(キズイセン)と、その周りの赤い本や黄色い本、果物(オレンジ)、市松模様の陶磁器などが描かれた静物画です。明るく平面的な感じを受ける画面でしたが、写実的で質感のある画風に思えました。
フェリックス・ヴァロットン 「5人の画家」 ★こちらで観られます
黒い服を着た5人の男性が部屋に集まっている様子が描かれ、どうやらこの5人はナビ派の画家のようです。解説によると、左端で立っているのがヴァロットン、その下で座っているのがボナール、その隣がヴィヤールとのこと(他2名は思い出せず)で、各自の手の仕草は雄弁であるが人物は凝固したような冷たい描写と説明されていました。結構明るい感じでアカデミー的なものも感じました。
ルネ・ヴィクトール・オーベルジョノワ 「オランピア礼賛」
これは同時代のスイスの画家の作品です。マネの「オランピア」に捧げた作品だそうで、暗い画面で横を向いてもたれかかる裸婦、左側で後ろ向きの女性が振り返っている姿、黒い犬などが描かれています。絵自体はあまり似ていませんが、主題は確かにオランピアを連想させました。
<第6章 20世紀Ⅰ:表現主義的傾向>
続いて6章はドイツで生まれた表現主義のコーナーです。表現主義は心の内側を重視した一派で、ドレスデンで結成された「ブリュッケ(橋)」やミュンヘンの「青騎士」「ミュンヘン新芸術家協会」といった集団があるようです。このコーナーには有名どころではカンディンスキー(青騎士)やクレーなどが並んでいました。
…そう言えば、最近観たベルギーの画家たちもドイツの表現主義に影響を受けたコーナーがありました。また、今年の11月からは三菱一号館美術館で青騎士の展示も始まるようですので、しばらく表現主義に注目したいところです。
参考記事:アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
エーリッヒ・ヘッケル 「池で水浴する者たち」
湖で水浴する3人の女性らしき姿が、フォーヴィスム並の強烈な色彩で描かれています。とにかくその色使いにインパクトがあったのですが、解説によると、「無垢なる自然と一体化する共同体」という理想を追求していたそうです。
ワシリー・カンディンスキー 「はしごの形(しみの上の)」 ★こちらで観られます
これはカンディンスキーがバウハウスで教官をしていた頃の抽象画で、今まで観たカンディンスキーの中でもかなり好みの作品でした。いくつかの三角が重なった木のようなもの、ハシゴらしきもの、黄色い円を背景に赤線の3重丸と十字で太陽を表現したようなもの、色とりどりの円など、風景画のようにも見えます。その幾何学性と柔らかな色合いが面白かったです。
パウル・クレー 「ごちゃごちゃに」
このコーナーはクレーも2枚ありました。クレーはスイス生まれらしいです。この作品は、オレンジの画面に無数の点や正体不明のものが描かれ意味はよく分かりませんw タイトルの通りごちゃごちゃな感じを受けましたが、色彩感覚は好みでした。
オスカー・ココシュカ 「アヴィニョン」
色鮮やかに描かれた町の絵です。見渡すように広々とした視点で、右の方には教会も見えています。明るくて開放的だなーなんて思いながら観ていましたが、解説によると人工的な明るさで不穏な光とまで言われていましたw 昨年この画家の絵を観ましたが、その時は簡素化された童話のような絵だったので、この作品はだいぶ作風が違っていて興味深かったです。
参考記事:ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展 (日本橋タカシマヤ)
マックス・ベックマン 「ストレリチアと黄色いランのある静物」
太い輪郭で描かれた花瓶に入った花の絵です。何故か背景には真っ黒なトンネルの入り口のようなものが描かれています。これはなんだか分かりませんが、迫力と不気味さを感じました。なお、以前にもご紹介しましたが、ベックマンはナチスに頽廃芸術の烙印を押され追放されたことについて説明されていました。(他にもクレー、シーレ、シャガール、カンディンスキーなどもそうだったと記憶しています) ベックマンも中々日本では観る機会が少ないので、本格的に観てみたいものです。むしろ、頽廃芸術の烙印を押された画家を集めた展示とか観たいw
参考記事:ルートヴィヒ美術館所蔵 ピカソと20世紀美術の巨匠たち (そごう美術館)
<第7章 20世紀Ⅱ:キュビスムから抽象へ>
7章はキュビスムのコーナーです。ピカソ、ブラック、レジェなどの有名どころから、あまり観る機会のない画家までありました。
ジョルジュ・ブラック 「桃と梨」
横長のキャンバスに桃と梨1つずつ描かれ、それ以外は四角など幾何学的な図形が描かれています。これは引き出しや壁紙のようで、キュビスムらしい単純化・幾何学化が観られます。桃と梨はセザンヌの影響を感じるかな。
パブロ・ピカソ 「二人の人物」
真っ暗な背景に2人の女性らしきものが描かれ、左は赤い服、右は黄色の服を着ています。多面的で幾何学的なところも興味深いですが、色彩が強かったのも印象深かったです。
ル・コルビュジエ 「ヴァイオリン、骨、サン=シュルビス聖堂の構成 またはバロック様式の聖堂とヴァイオリンの静物」
建築家として有名なル・コルビュジエの絵画作品です。ル・コルビュジエは元々は絵に力を入れていて、キュビスムをさらに推し進めたピュリスムを掲げた画家でもあります。あまり絵画作品を観ないので、結構貴重かも(最近だと3年くらい前に森美術館で何枚か観た記憶があります)
この絵はバイオリンと骨?が単純化・分解されて描かれ、直線なども多用されています。聖堂についてはよく分からなかったw こういう構成的な感覚が建築家の仕事にも役立ったのだろうなと思いながら観ていました。
<第8章 20世紀Ⅲ:素朴派から新たなリアリズムへ>
最後は素朴派とジャコメッティのコーナーです。ここには今回の目玉であるルソーの作品もありました。
アルベルト・ジャコメッティ 「林間地(9人の人物による構成)」
これは実際には6章あたりの小部屋にありました。前編の3章では父のジョヴァンニ・ジャコメッティをご紹介しましたが、後半では息子のアルベルトの彫刻が観られます(絵画作品もあります)
これはかなり細長い人物像が9体並んでいる彫刻です。細すぎて稲穂みたいに見えるかもw 解説によると人物像同士や観客との距離感が人間のあり方を示しているそうです。
アドルフ・ディートリッヒ 「エシュリバッハの冬の風景」
この人はスイスの素朴派の画家です。広々とした空、静かに波がたつ湖、白い雪景色、赤いコテージなどが描かれています。その色彩が非常に鮮やかで、透明感があるように思いました。何とも清清しい1枚でかなり気に入りました。
アンリ・ルソー 「赤ん坊のお祝い!」 ★こちらで観られます
右手で服の裾を捲り上げて花を入れ、左手で操り人形を持つ赤ん坊?が直立している姿を描いた作品です。赤ん坊のはずなのですが、周りの木々と比べると巨大な体に見えますw また、左手に持つ操り人形は、赤ん坊の半分ほどもあるのですが、いとも軽々持ち上げているのもパワフルですw そして、顔はキリッとしていて威厳すら感じました。解説によると、この絵は赤ん坊の生まれた時に依頼して描いたそうで、背景の木々には成長への祈りも込められているようです。 何故かシュルレアリスムのような雰囲気する不思議な魅力を持った作品でした。ルソーの作品は何を観ても面白いです。
この辺りにはマグリットなどもありました。
ということで、90点程度でしたが近代の西洋絵画の歩みを一気に観たような気がします。その上、スイスの美術館ならでは作品も観られる素晴らしい内容でした。ゴッホやルソーの作品は美術好きでなくても惹かれるものがあると思いますので、今後はさらに人気が出そうな気がします。
この後、常設も観てきました。常設にも自慢のルソーなどが並んでいましたので、次回はそれをご紹介しようかと思います。
おまけ:
画像はありませんが、ミュージアムショップにはルソーの「赤ん坊のお祝い!」の金太郎飴などもありました。世田谷美術館の「フリュマンス・ビッシュの肖像」の金太郎飴と並んでいて面白かったですw
参考リンク:
ミュージアムショップ公式サイト (両方の金太郎飴の画像もあります)
「フリュマンス・ビッシュの肖像」の金太郎飴の画像付エキサイトニュース
前編はこちら
まずは概要のおさらいです。


【展覧名】
ザ・コレクション・ヴィンタートゥール スイス発-知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂-
【公式サイト】
http://www.collection-winter.jp/
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2010年08月07日(土)~10月11日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
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【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
昨日は1~4章をご紹介しましたが、今日は残りの5~8章についてです。
<第5章 ヴァロットンとスイスの具象絵画>
5章はヴァロットンを中心としたコーナーとなっていました。ヴァロットンはナビ派の1人で、最近終了したオルセー展でも「ボール 《ボールで遊ぶ子供のいる公園》」 「夕食、ランプの光」といった作品が展示されていたのが記憶に新しいところです。彼はスイス出身だそうで、解説では「形態を即物的に冷淡かつ簡潔に把握する」と紹介されていました。 また、このコーナーには同時期のスイスの画家も紹介されています。
参考記事:
オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編 (国立新美術館)
オルセー美術館展2010 ポスト印象派 2回目感想後編 (国立新美術館)
フェリックス・ヴァロットン 「水差しとキズイセン」 ★こちらで観られます
透明なガラスの水差に入った黄色い花(キズイセン)と、その周りの赤い本や黄色い本、果物(オレンジ)、市松模様の陶磁器などが描かれた静物画です。明るく平面的な感じを受ける画面でしたが、写実的で質感のある画風に思えました。
フェリックス・ヴァロットン 「5人の画家」 ★こちらで観られます
黒い服を着た5人の男性が部屋に集まっている様子が描かれ、どうやらこの5人はナビ派の画家のようです。解説によると、左端で立っているのがヴァロットン、その下で座っているのがボナール、その隣がヴィヤールとのこと(他2名は思い出せず)で、各自の手の仕草は雄弁であるが人物は凝固したような冷たい描写と説明されていました。結構明るい感じでアカデミー的なものも感じました。
ルネ・ヴィクトール・オーベルジョノワ 「オランピア礼賛」
これは同時代のスイスの画家の作品です。マネの「オランピア」に捧げた作品だそうで、暗い画面で横を向いてもたれかかる裸婦、左側で後ろ向きの女性が振り返っている姿、黒い犬などが描かれています。絵自体はあまり似ていませんが、主題は確かにオランピアを連想させました。
<第6章 20世紀Ⅰ:表現主義的傾向>
続いて6章はドイツで生まれた表現主義のコーナーです。表現主義は心の内側を重視した一派で、ドレスデンで結成された「ブリュッケ(橋)」やミュンヘンの「青騎士」「ミュンヘン新芸術家協会」といった集団があるようです。このコーナーには有名どころではカンディンスキー(青騎士)やクレーなどが並んでいました。
…そう言えば、最近観たベルギーの画家たちもドイツの表現主義に影響を受けたコーナーがありました。また、今年の11月からは三菱一号館美術館で青騎士の展示も始まるようですので、しばらく表現主義に注目したいところです。
参考記事:アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
エーリッヒ・ヘッケル 「池で水浴する者たち」
湖で水浴する3人の女性らしき姿が、フォーヴィスム並の強烈な色彩で描かれています。とにかくその色使いにインパクトがあったのですが、解説によると、「無垢なる自然と一体化する共同体」という理想を追求していたそうです。
ワシリー・カンディンスキー 「はしごの形(しみの上の)」 ★こちらで観られます
これはカンディンスキーがバウハウスで教官をしていた頃の抽象画で、今まで観たカンディンスキーの中でもかなり好みの作品でした。いくつかの三角が重なった木のようなもの、ハシゴらしきもの、黄色い円を背景に赤線の3重丸と十字で太陽を表現したようなもの、色とりどりの円など、風景画のようにも見えます。その幾何学性と柔らかな色合いが面白かったです。
パウル・クレー 「ごちゃごちゃに」
このコーナーはクレーも2枚ありました。クレーはスイス生まれらしいです。この作品は、オレンジの画面に無数の点や正体不明のものが描かれ意味はよく分かりませんw タイトルの通りごちゃごちゃな感じを受けましたが、色彩感覚は好みでした。
オスカー・ココシュカ 「アヴィニョン」
色鮮やかに描かれた町の絵です。見渡すように広々とした視点で、右の方には教会も見えています。明るくて開放的だなーなんて思いながら観ていましたが、解説によると人工的な明るさで不穏な光とまで言われていましたw 昨年この画家の絵を観ましたが、その時は簡素化された童話のような絵だったので、この作品はだいぶ作風が違っていて興味深かったです。
参考記事:ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展 (日本橋タカシマヤ)
マックス・ベックマン 「ストレリチアと黄色いランのある静物」
太い輪郭で描かれた花瓶に入った花の絵です。何故か背景には真っ黒なトンネルの入り口のようなものが描かれています。これはなんだか分かりませんが、迫力と不気味さを感じました。なお、以前にもご紹介しましたが、ベックマンはナチスに頽廃芸術の烙印を押され追放されたことについて説明されていました。(他にもクレー、シーレ、シャガール、カンディンスキーなどもそうだったと記憶しています) ベックマンも中々日本では観る機会が少ないので、本格的に観てみたいものです。むしろ、頽廃芸術の烙印を押された画家を集めた展示とか観たいw
参考記事:ルートヴィヒ美術館所蔵 ピカソと20世紀美術の巨匠たち (そごう美術館)
<第7章 20世紀Ⅱ:キュビスムから抽象へ>
7章はキュビスムのコーナーです。ピカソ、ブラック、レジェなどの有名どころから、あまり観る機会のない画家までありました。
ジョルジュ・ブラック 「桃と梨」
横長のキャンバスに桃と梨1つずつ描かれ、それ以外は四角など幾何学的な図形が描かれています。これは引き出しや壁紙のようで、キュビスムらしい単純化・幾何学化が観られます。桃と梨はセザンヌの影響を感じるかな。
パブロ・ピカソ 「二人の人物」
真っ暗な背景に2人の女性らしきものが描かれ、左は赤い服、右は黄色の服を着ています。多面的で幾何学的なところも興味深いですが、色彩が強かったのも印象深かったです。
ル・コルビュジエ 「ヴァイオリン、骨、サン=シュルビス聖堂の構成 またはバロック様式の聖堂とヴァイオリンの静物」
建築家として有名なル・コルビュジエの絵画作品です。ル・コルビュジエは元々は絵に力を入れていて、キュビスムをさらに推し進めたピュリスムを掲げた画家でもあります。あまり絵画作品を観ないので、結構貴重かも(最近だと3年くらい前に森美術館で何枚か観た記憶があります)
この絵はバイオリンと骨?が単純化・分解されて描かれ、直線なども多用されています。聖堂についてはよく分からなかったw こういう構成的な感覚が建築家の仕事にも役立ったのだろうなと思いながら観ていました。
<第8章 20世紀Ⅲ:素朴派から新たなリアリズムへ>
最後は素朴派とジャコメッティのコーナーです。ここには今回の目玉であるルソーの作品もありました。
アルベルト・ジャコメッティ 「林間地(9人の人物による構成)」
これは実際には6章あたりの小部屋にありました。前編の3章では父のジョヴァンニ・ジャコメッティをご紹介しましたが、後半では息子のアルベルトの彫刻が観られます(絵画作品もあります)
これはかなり細長い人物像が9体並んでいる彫刻です。細すぎて稲穂みたいに見えるかもw 解説によると人物像同士や観客との距離感が人間のあり方を示しているそうです。
アドルフ・ディートリッヒ 「エシュリバッハの冬の風景」
この人はスイスの素朴派の画家です。広々とした空、静かに波がたつ湖、白い雪景色、赤いコテージなどが描かれています。その色彩が非常に鮮やかで、透明感があるように思いました。何とも清清しい1枚でかなり気に入りました。
アンリ・ルソー 「赤ん坊のお祝い!」 ★こちらで観られます
右手で服の裾を捲り上げて花を入れ、左手で操り人形を持つ赤ん坊?が直立している姿を描いた作品です。赤ん坊のはずなのですが、周りの木々と比べると巨大な体に見えますw また、左手に持つ操り人形は、赤ん坊の半分ほどもあるのですが、いとも軽々持ち上げているのもパワフルですw そして、顔はキリッとしていて威厳すら感じました。解説によると、この絵は赤ん坊の生まれた時に依頼して描いたそうで、背景の木々には成長への祈りも込められているようです。 何故かシュルレアリスムのような雰囲気する不思議な魅力を持った作品でした。ルソーの作品は何を観ても面白いです。
この辺りにはマグリットなどもありました。
ということで、90点程度でしたが近代の西洋絵画の歩みを一気に観たような気がします。その上、スイスの美術館ならでは作品も観られる素晴らしい内容でした。ゴッホやルソーの作品は美術好きでなくても惹かれるものがあると思いますので、今後はさらに人気が出そうな気がします。
この後、常設も観てきました。常設にも自慢のルソーなどが並んでいましたので、次回はそれをご紹介しようかと思います。
おまけ:
画像はありませんが、ミュージアムショップにはルソーの「赤ん坊のお祝い!」の金太郎飴などもありました。世田谷美術館の「フリュマンス・ビッシュの肖像」の金太郎飴と並んでいて面白かったですw
参考リンク:
ミュージアムショップ公式サイト (両方の金太郎飴の画像もあります)
「フリュマンス・ビッシュの肖像」の金太郎飴の画像付エキサイトニュース
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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