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【世田谷美術館】の常設 (2010年08月)

先日ご紹介した世田谷美術館のザ・コレクション・ヴィンタートゥール展を観た後、常設展も観てきました。私はこの美術館には何度となく行っていますが、常設は何故か観る機会がなく、ゆっくり観ることができたのは初めてかもしれません。(大体は閉館ぎりぎりまで特別展を観ているのが原因だと思うのですが、たまに早く観終わっても常設が無い時だったりしてましたw)

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2010年8月22日時点では常設は2部構成となっていて、第1部は「建畠覚造―アトリエの時間」展、第2部は「素朴派の絵画」展となっていました。
1部の方が作品も多く、本格的な展覧会だったのですが、特別展で精神力をかなり消耗したので、1部ではあまりメモを取りませんでしたw (文章で説明できるような作品ではなかったし) なので、1部は混み具合のテンプレートとごく簡単な感想だけにして、好みの作品が揃った2部は作品ごとにご紹介しようと思います。


<第1部 建畠覚造―アトリエの時間 ミュージアム コレクションⅠ>

P1140493.jpg


【展覧名】
 建畠覚造―アトリエの時間 ミュージアム コレクションⅠ

【公式サイト】
 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection.html
 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection_list.html

【会場】世田谷美術館 2階展示室
【最寄】用賀駅
【会期】2010年4月16日~9月5日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【感想】
常設は空いていて、のんびり観ることができました。一応、ごくごく簡単に説明すると、柔らか味と幾何学的な雰囲気を持つ立体作品(マケット)が会場のあちこちに置かれ、その配置も含めてシュールでスタイリッシュな空間となっていました。また、壁には素描も並らんでいました。 作品はどれも複雑な形態をしていて、結構面白かったです。

続いて、第2部の「素朴派の絵画」はメモを取ってきました。

<第2部 素朴派の絵画>
2部は小部屋で10点ほどの内容となっています。点数は少ないですが、ルソー、ボーシャンなど名作ぞろいで、小展ながらもこの美術館の看板作品とも言える作品も含まれていました。

カミーユ・ボンボア 「森の中の休憩」
緑の森(山?)の中で腰掛けて、こちらを観ている2人のふくよかな女性が描かれた絵です。緑が強く黄色の服との対比が目に鮮やかです。ちょっとのんびりしつつも色が深い作品です。

アンリ・ルソー 「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」
この作品は以前にもご紹介しましたが、改めて感想を…。 満月の浮かぶ河岸の風景を描いた作品で、右には高い建物も見えます。また、所々にぽつんとおもちゃの人形のような人物が立っていて、どこか超現実的な不思議な光景でした。うろおぼえですが、サン=ニコラ河岸からはサン=ルイ島は見えないはずだった気がします。いろんな意味でルソーらしいかもw かなり好みです。
 参考記事:日本の美術館名品展 感想前編 (東京都美術館)

アンリ・ルソー 「フリュマンス・ビッシュの肖像」 ★こちらで観られます
草原の中の道で、軍服を着てサーベルをさげた人が立っている姿を描いた作品です。背景には山が描かれているのですが、地平線がやけに低く描かれています。また、男の立っている道も狭く感じられるため、男が巨人なのではないか?と思えてきましたw かなりインパクトがあってシュールさを感じます。これはこの美術館のコレクションの中でも看板作品と言って良いかと思います。
ルソーはこの他にも1枚ありました。この日は特別展の2枚と合わせて5枚のルソーを拝めました。

アンドレ・ボーシャン  「花」
アンドレ・ボーシャンは2枚ありました。これは、目の前の大きく描かれた植木鉢に沢山の花々が入っている様子を描いた作品です。赤、オレンジ、白など、びっしりと多くの花が咲き誇っています。背景には町や木々が描かれているのですが、遠近感が奇妙なため、花が大きく浮いているようにも思えてきます。ボーシャンは園芸で生計を建てていたせいか、植物へのこだわりや愛情がこうした絵にも表れているのかもしれません。
 参考記事:アンドレ・ボーシャン いのちの輝き(ニューオータニ美術館)

ルイ・ヴィヴァン 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
パリにあったキャバレー「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」を描いた作品で、そのシンボルである風車が2つ描かれています。そして、周りの道、レンガ、建物の壁、風車の羽などに濃い黒い線で、格子柄と直線が多様されているのが特徴的でした。また、ちょっと単純化された人々の描写も面白かったです。

ということで、2部は15分くらいで観終わりました。1部と合わせて30分~40分くらいだったですが、好みの作品が多く楽めました。


この後、美術館の周りにある彫刻作品の写真を撮ってきましたので、合わせてご紹介しようかと思います。

<彫刻作品>

菊池一雄 「ながれA」
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庭でのんびりしているようなw この作品は置いてある場所も良いですね。

アンソニー・カロ 「垣間見るアルカディア」
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カロはイギリスの著名な彫刻家で、ムーアの弟子でもあります。…私には作品の意図がまったくわかりませんでしたw

バリー・フラナガン 「馬とクーガ」
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この人もイギリスの彫刻家です。馬に乗っかっているクーガ(ピューマ?)は擬人化されてるのかな? 何故馬に乗っているんだろ??

左:本郷新 「わたつみのこえ」
中;佐藤助雄 「桃源」
右:淀井敏夫 「海の鳥と少年」
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美術館入口付近の3点の彫刻。特に「海の鳥と少年」が好みです。躍動感を感じます。

ということで、特別展と共に常設もたっぷりと楽しめました。特にルソーは必見だと思いますので、特別展に行ったら観ることをお勧めします(9/5以降もルソーを展示しているかは分からないので、お早めにどうぞ)


追記:
どうやらアンリ・ルソーの「フリュマンス・ビッシュの肖像」は、ポーラ美術館の「アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち」(2010/9/11~2011/3/13)に貸し出されるようです。ザ・コレクション・ヴィンタートゥール展と一緒に観られる期間は短そうです。

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Comment
No title
はじめまして
たくさんは見に行けないので
こちらに遊びに来て行ったつもりになってます
ありがとうございます

私も庭の彫刻は海の鳥と少年が好きです
でも、馬の上のクーガとか、手がグーの彼とか
なぜだかいつも、笑いがこみあげてくるのです…
Re: No title
>ぞをさん
はじめまして!
お役に立ててなによりです。この美術館は彫刻も面白くていいですよね。
多分、色々な意味があるとは思うのですが、美術館の住人として迎えてくれているようなw
クーガは何かを訴えているのかなあ。

また色々とご紹介していこうと思いますので今後ともよろしくお願いします^^
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