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ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 【国立西洋美術館】

この前行って、かれこれ1ヵ月半くらいになったので、「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」にまた行ってきました。
前回の感想はこちら

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【展覧名】
ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画

【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html
http://www.ntv.co.jp/louvre/

【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年2月28日(土)~6月14日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間50分程度 + 入場規制30分

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
土曜日に都美に行った際に通りがかったら、土砂降りのせいか、ちょっと空いてるかも!?と思って、日曜に行ったら日曜は絶好のお天気で長蛇の列でしたw プラカードには30分待ちの文字が。。。きっちり30分待ってから入場。 ちなみにこの日は上野駅構内のコンビニでチケットを買いました。全く並ばずに買える穴場です。

感想としてはこの前書いたのと同じような感じですが、改めて章毎にいくつか紹介。

【黄金の世紀とその陰】
ニコラ・プッサン「川から救われるモーセ」  ★こちらで観られます
ファラオがイスラエル人の男児を全て殺すようにと命じた際、モーセの母親が船で川に流して逃がし、それを通りがかりのファラオの王女が拾い上げたというシーン。この展覧会の後半では「ナイル川にモーセを遺棄するヨケベト」というちょっと前のシーンの絵もあります。
神話的な重厚感のある絵で、いかにもヨーロッパの絵だーってのを感じるスタートに相応しい1枚です。

ピエール・ミニャール「ド・ブロワ嬢と推定される少女の肖像」
以前も紹介しましたが、この絵は本当にいいです。平和な午後を思わせる背景に、女神像のようなポーズをとっている少女の赤いドレスが鮮烈な感じがします。犬がちょこんと座って可愛いです。

レンブラント・ファン・レイン「縁なし帽を被り、金の鎖をつけた自画像」  ★こちらで観られます
ひげを生やし、貴族っぽい品格のある面持ちをした自画像です。ちょっと眉を寄せてるように見えて、私は神経質そうだなーとか思いましたw
向かって左側の顔に光があたり、右半分と陰影がわかれているのがレンブラントっぽいかな。

フランス・ハルス 「リュートを持つ道化師」  ★こちらで観られます
遠目からみたらニヤけているのかと思いましたが、眼は爽やでにこやかかもw 派手な衣装よりもその独特の表情が忘れられません。 それと、ギターでいえばサウンドホールの部分?の緻密さや髪を振り乱しているような動きの描写も気になりました。

アンブロシウス・ボスハールト(父)「風景の見える意思のアーチの中に置かれた花束」  ★こちらで観られます
この手の絵が大好きです(><) 華やかで彩色豊かなところは勿論ですが、透明の花瓶にも注目してみました。透明のようで水が入っているのを感じる微妙な質感や、ちょっとレンズ効果が出ている様子がよく表現されているんじゃないかと。

ヨハネス・フェルメール 「レースを編む女」  ★こちらで観られます
これだけの作品が来ている時点でこの展覧会は凄いです(><)
光に包まれたかのような温かみや、周りの静けさまでもが伝わってきそうです。(って前回と同じような感想ですがw) もしクッションの赤と白の糸が無かったら・・・と想像するとこの構図と配色は天才たる由縁なのかもしれません。

ル・ナン兄弟 「農家の家族」  ★こちらで観られます
華やかな貴族や花束の絵に囲まれている中で異彩を放っているのがこの絵。当時の様子をどこまで正確に描写しているかはわかりませんが、当時、農家の家族を描こうとする画家は珍しかったのでは? 心なしか疲れた顔でこっちを見ている人がいたり、そっぽ向いていたり、犬や猫が隠れてたりと、平凡な日常の一瞬の風景のようでした。

17世紀フランドル派 「襲撃」
前回も紹介しましたが、ちょっとシニカルなところが大好きなのですw

【大航海と科学革命】
クロード・ロラン 「クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス」  ★こちらで観られます
全体が黄金色に輝いているように見えます。そしてこの作品の見所はやはり真ん中で縦に走る光の線でしょう。この光が船が出て行く一瞬を感じさせ、動きが伝わってきます。これ観てると、昔の週末のTV映画のオープニングを思い出しますw 黄昏のような望郷のような。。。。

ヨアヒム・ウテワール 「アンドロメダを救うペルセウス」  ★こちらで観られます
これは何度観ても驚く構図です。美しいアンドロメダの足元には骨や貝殻がゴロゴロ、後ろでは今まさに聖と邪の決戦が行われています。怪物の禍々しさがアンドロメダをより美しく感じさせます。肌に輝きすら感じるしw

ペーテル・パウル・ルーベンス 「ユノに欺かれるイクシオン」  ★こちらで観られます
ルーベンスの凄いところはなんと言っても肉体の表現だと思います。そしてその色合いの緻密さが引き立てます。 前回観た時は気が付かなかったのですが、よーく観ると偽者(左)のユノは左足の先が曖昧になってきています。そして眼はうつろで魂が抜けている感じでした。

【聖人の世紀における古代文明の遺産】
カルロ・ドルチ 「受胎告知 天使/受胎告知 聖母」 
私は天使の方が好みだったりします。耳からうなじの辺りが好きなもんでw 薄そうな透き通った肌が純白な無原罪を感じさせます。
どちらの絵も厳かな雰囲気がありますが、マリアの方は厳粛に受け止めている面持ちが印象的で、光背が出て神聖な感じです。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「大工ヨセフ」  ★こちらで観られます
前回は表情について書いたので、今回はキリストの左手に注目してみました。火の明かりが手からもれているのがリアルです。キリストの膝やヨセフの腕のの反射とか、それぞれの影なんかも含めて、光の表現が卓越しています。観れば観るほど凄さに気づきます。

アンニーバレ・カラッチとその工房 「聖ステパノの石打ち」
ストーリー性が強い作品です。左で石に打たれている聖ステパノ、それを非難する聖パウロ、天から殉教者の証である棕櫚を持って迎えに来る天使。と、1枚で時間の流れがいくつもあるような絵でした。布教の為にわかりやすく描いたのかな。

グェルチーノ 「ペテロの涙」  ★こちらで観られます
キリストなんて知らない!と3回(2回だったかな?)連呼したことを後悔して泣いているペテロと、キリストの死で悲嘆にくれているマリア。泣いているうちはまだ元気なのかもしれません。マリアのほうは瞑想してるのか呆然としているのかわからない状態で、泣いているペテロよりも深い悲しみを感じるのが心に響きます。

ミシェル・コルネイユ 「天国の栄光」
何だか曼荼羅みたい。。。なんて言いながら観てました。筒の底から上を見ているように円になっています。中心には金色の天使の形があります。荘厳さが漂う作品です。

ということで、ヨーロッパ(特にオランダ絵画)の美味しいところが集まったような展覧会で、素晴らしいです。ただ、前回書いたようにちょっとわかりづらいところがあるのと、めっちゃ混んでるのでゆっくり観られないのが難です。会期末はさらに混むと予想されますので、お早めに。。。

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