関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

東大寺大仏―天平の至宝― 【東京国立博物館 平成館】

少し前の日曜日に、上野の東京国立博物館(平成館)で、光明皇后1250年御遠忌記念 特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」 を観てきました。私が行った日は期間限定の正倉院宝物の特別公開も観ることができました。

P1150941.jpg P1150942.jpg

【展覧名】
 光明皇后1250年御遠忌記念 特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」

【公式サイト】
 http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=7812

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2010年10月8日(金)~12月12日(日)
    (正倉院宝物の展示は2010年11月2日(火)~11月21日(日))
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
思った以上に混んでいて、一部は列を組んで観ているような感じでした。
今回の展示は東大寺の大仏建立を主題に、それに関わる品々が並んでいました。

<第1章 東大寺のはじまり―前身寺院と東大寺創建―>
東大寺は幼くして亡くした皇子を弔うために若草山の麓に山房を設けたのが始まりだそうです。その後、有名な大仏が置かれるわけですが、大仏以外にも様々な品が作られたようで、まず最初のコーナーでは、東大寺で発掘された当時の瓦などが展示されていました。

…というか最初は瓦ばかりなわけですがw 瓦工の名前がスタンプされた法華堂の瓦、細かい文様の二月堂の瓦、丸山西遺跡 天地院(行基が建てたお寺)の瓦など瓦が沢山ありますが、正直、テンションはあがりませんw また、伽藍配置の絵のコピーや復元模型などもありました。模型は奈良市役所のロビーに展示されているものだそうです。

「講堂出土鬼瓦」
ぎょろっとした目に大きな鼻の鬼瓦です。大きく力強さがありました。 火の鳥鳳凰編の鬼瓦の話を思い出したのは私だけじゃないはずw


<第2章 大仏造立>
続いての2章はかなり大仕掛けの展示となっていて、こちらは結構楽しめる品々が並んでいました。

「西大門勅額」 ★こちらで観られます
「金光明四天王護国之寺」と描かれた枠の周りに、8対の仏像が彫られた額です。この字は聖武天皇の筆によるものだそうで、四天王によって国が守られるという思想に基づいているそうです。また、仏像は上から順に梵天、帝釈天、四天王、金剛力士像(2体)となっています。こちらは鎌倉時代の快慶の作ではないかとのことでした。かなりの大きさで荘厳で、今回の見所の1つだと思います。

この作品の先に、スロープが出来ていて、本当に東大寺に来たようなセットがあり驚きました。阿修羅展以来の扱いでは?w 後ほどご紹介する「八角燈籠」がどど~んと置かれているのは圧巻です。

「伎楽面 酔胡従」 ★こちらで観られます
これは劇で使う仮面です。伎楽面は古くは「くれのうたまい」という名前の舞で、「呉」を音読みした中国の「ご」の国に起源があります。14種類の23面で1具となっているらしく、この酔胡従もそのうちの1つです。(今回の展示では10面観られます)
凄く耳が長くて鼻は天狗のように長く、顔には深い皺が刻まれています。 仮面自体の大きさから迫力を感じますが、基本的に面白い顔で楽しげな表情でした。酒に酔った役の面だそうです。

「伎楽面 崑崙」
色が黒く、歯をむき出しにしていて獣のような顔をした面です。呉女に懸想して、「力士」にやり込められる役柄の面だそうですが、卑しく滑稽に作られるものらしく、もはや人間とは思えないような顔つきでした。
この近くにはこの崑崙を倒す役の「力士」の仮面もありました。

「伎楽面 太孤父」
おでこの広い老人の面で、鼻が長く少し笑みを浮かべて優しそうな雰囲気でした。これも結構迫力はありますがw

「誕生釈迦仏立像及び灌仏盤」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている、釈迦が生まれた時の「天上天下唯我独尊」をあらわした仏像と、その下にある盤です。にこっと柔らかい表情をして、右手は上に左手は下に向けています。これは4月8日に行われる灌仏会の本尊だそうで、灌仏会の際には仏像に甘茶をかけるので、足元の灌仏盤が受け皿となります。灌仏盤の周りにはうっすらと鳥や草花、獅子に乗る人、2羽の鶴、鶴に乗る仙人 なども描かれているのが面白かったです。
この作品はかなり気に入りました。映像による解説もありがたかったです。

この辺りには「東大寺金堂鎮壇具」という、太刀や水晶など土地の神を鎮める為に建物に埋める品々が並んでいました。

「銀製鍍金蝉形さ子(宝相華透彫座金付)」
「東大寺金堂鎮壇具」の1つで、セミを模った錠前です。セミは地中から出てくることなどから再生の象徴として中国で好まれたモチーフらしいですが、日本では珍しいもののようです。こうした作品から、当時の日本はシルクロードの終着点だったということが伺えるようでした。単純にデザインとしても面白いですが、中々奥深い貴重な品のようでした。

続いては今回の目玉、「八角燈籠」に関するコーナーです。八角燈籠にはその名の通り8面があるのですが、その羽目板と扉の現状について解説がありました。奈良時代のオリジナルもあるようですが、レプリカや後補のものもあり、結構状態はまちまちといった感じのようでした。

「八角燈籠火袋羽目板」 ★こちらで観られます
八角燈籠の火袋につけられていた、4面の羽目板のうちの東北面にあった1枚です。斜め格子を背景に音声菩薩(おんじょうぼさつ)が彫られ、金属の厚みを感じる一方で、流れるような衣の表現が軽やかに思いました。

「良弁僧正坐像」
八角燈籠の近くに鎮座していた良弁上人の像です。孫の手のようなものを持ち、澄んだ目で遠くを見るような表情をしていました。解説では毅然とした風格があるとも言っていて、衣のヒダの鋭い彫は天平彫刻の特徴と説明していました。

「八角燈籠」 ★こちらで観られます
壁に大仏の写真がど~んと飾られ、その前にある巨大な燈籠がこの八角燈籠です。音声菩薩の彫られた面と、2頭の獅子が向かい合う面(扉?)が交互に配置されていて、下の柱のような部分には経文が刻まれていました。これを移動・展示するのは初だと聞いた覚えもありますが、よくぞこれだけのものを貸してくれたなと妙な感心をしていましたw 当時は金色に輝いていたようなので、今とは見た目が違うと思いますが、戦災を逃れて残っているのは奇跡的かもしてません。

快慶 「僧形八幡神坐像」
何故、東大寺に神像が?と思ったら、この神様は東大寺の大仏建立を必ず成就させると約束した神様なのだとか。台座の上に座り錫杖を持っていて、鮮やかな色が塗られています。神像ですが写実的な感じで、威厳を感じました。作者には快慶の名前があるそうで、鎌倉時代の作品のようでした。

この近くには光明皇后が発願した写経が並んだコーナーもありました。ここで展示は半分で、次の部屋に移ります。


<第3章 天平の至宝>
続いてのコーナーは期間限定の正倉院の品もある章でした。まずは部屋一面を使ったバーチャルリアリティーの映像があります。天井にも映像が映しだされ、12分間に渡って仏教の宇宙観や仏像についてを説明してくれます。 この映像は中々迫力があるので今回の見所の1つとなると思います。

「二月堂本尊光背」
繊細な線が刻まれた光背です。光背のみで仏像はありませんが、二月堂の本殿のものらしく、奈良時代の貴重な品だそうです。細かく彫られた仏たちや千手観音などが目を引きました。

「不空羂索観音菩薩立像光背」
法華堂の仏像の光背です。かなりの大きさで、周りに向かって無数の棒が出ていて後光を表しているようです。一部は明治時代のもののようですが、これも貴重な作品のようでした(国宝)

[正倉院宝物]
この辺が特別展示となっていました。まずはお経や荘園の書類、財産目録などが並んでいました。うーん、ありがた味がいまいちわからないw
そのほかには象などを描いた掛け軸のようなものや、薬として使われたシナモンとその袋、人参とその袋…といった感じで、施薬院で使われた薬なども展示されています。また、部屋の中央には壺や裁文などがあり、他には開眼の時に使った大きな筆なども展示されていました。 まさか人参の袋とかが展示されているとはw 意外と見た目は地味なコーナーでした。


<第4章 重源と公慶>
最後は東大寺の復興に関するコーナーです。東大寺は1180年に平氏が放った火で燃えてしまい、その後、重源上人によって再興されました(なのでここまでも鎌倉時代の作品が多い) また、1567年には松永久秀と三好氏の合戦によって大仏の頭部が解け落ちてしまったそうで、それを復興したのが江戸時代の公慶となります。このコーナーではその2人の僧にスポットをあてた品が並んでいました。

まずは金剛力士の中に入っていた書物などがありました。重源や結縁者、仏師の名前などが書かれているそうです。他には小さな仏像などもありました。

「重源上人坐像」 ★こちらで観られます
かなり年老いた頃の重源の座像です。老いてはいますが強い眼をしていて、生き生きとした雰囲気を感じました。やはりこれだけの大事業を成功させた人物だけに年老いても意志が強かったのかな。

性慶・即念 「公慶上人坐像」 ★こちらで観られます
両手を握っているポーズをした公慶上人の座像です。顔の頬がこけていて、ちょっとやつれた感じもします。公慶上人は大仏の再建にあたり、7年間横になることをしなかったそうで、その意気込みがこの像にも出ているようでした。

「五劫思惟阿弥陀如来坐像」
これはつい最近に三井記念美術館で観た仏像と同じかな?それとも別物?? 頭の螺髪が異様に大きな仏像で、これは髪が伸びるのを忘れて非常に長い時間修行したためこのようになったようです。ちょっと可愛らしいですが、苦しい修行の成果なんですね。
 参考記事:奈良の古寺と仏像 ~會津八一のうたにのせて~ (三井記念美術館)

ということで、貴重な品々なんだろうとは思いますが、いまいちテンションの上がらない展示だったと思います。八角燈籠や映像があって良かったw 博物展的な要素が強いと思いますので、仏像目当てとかだと肩透かしになるかもしれません。

この後、いつもどおり常設に行ってきました。

おまけ:
2010年11月13日に、せんとくんが来たそうですw
 参考リンク:せんとくん来館!
関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



コメント
No title
今日はどこの美術館かな~と
毎日、気になって拝見させていただいております e-317
東大寺大仏―天平の至宝展の詳しい解説、参考になりました。
ぜひ行ってみたいと思います e-267
2010/11/16(火) 12:30 | URL | トド #bvaU0mfw[ 編集]
No title
こんにちは
東大寺展見ていただき、ありがとうございます。
大仏殿はかなり悩み、こだわったのですけどねぇ
扉が開くように見えましたでしょうか?
施工中の画像すこしづつ載せてまーーす。
2010/11/16(火) 17:39 | URL | σ(^○^) #CMLHv.As[ 編集]
Re: No title
>トドさん
この時代が好きな方には面白いかもしれませんね。
ちょっと美術品なのかな?というのもありますがw
せっかくなら正倉院の展示があるうちが良いかと思います。
常設も良いですよ^^
2010/11/16(火) 23:14 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
Re: No title
>σ(^○^) さん
こちらの展示も担当されていたのですね。会場の造りや大仏殿は凄かったです^^
あれを搬入したり作ったりするのは苦心されそうですね…。
また裏話をアップされたら拝見させて頂きます!
2010/11/16(火) 23:19 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト

全記事の一覧リンク

カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する

日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。

<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~ 
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション

<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス

<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
16位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
2位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。