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マーク・ロスコ 瞑想する絵画 【川村記念美術館】

実は今まで、川村記念美術館に行ったことはなかったのですが、ゴールデンウィークを機に重い腰をあげて、千葉県佐倉にある川村記念美術館まで行ってきました。

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【展覧名】
マーク・ロスコ 瞑想する絵画

【公式サイト】
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html

【会場】川村記念美術館
【最寄】JR佐倉駅 または 京成佐倉駅
【会期】2009年2月21日(土)~6月7日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はNikon D60で撮影しました。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 特設 0時間30分程度 + 常設 1時間30分程度 + 庭園散策 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(GW中の平日11時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
えきすぱあとで検索してJR佐倉駅に向かおうとすると、何度も乗換えをする必要があるので、今まで諦めてた・・・。しかし、よく調べたら京成佐倉駅からもバスが出ていて、上野から乗換え無しで行けることがわかりました。これならスムーズに行けると思ったので、ついに未踏の地へ。(とはいえ上野から50分くらい、駅からバスで30分かかります。バスは事前に出発時間を調べていくことをお勧めします。)

広い館内を常設→特設の順で回っていきます。
まずは常設展

ここには印象派以降を中心とした素晴らしいコレクションがあるので、どちらかというと常設観たさに来た感じです。結構入れ替えがあるみたいなので、お出かけの際はこちらでチェックするのも良いかと。
http://kawamura-museum.dic.co.jp/collection/current.html
気に入った作品をいくつか紹介。

<101展示室 印象派の時代からエコール・ド・パリまで>
ピエール・オーギュスト・ルノワール 「水浴する女」
ルノワールらしい裸婦で素晴らしい作品だと思います。よくみると体の一部が青や紫がかっていて、影ができているのがわかります。背景の濃い緑と真珠色の対比も美しいです。なんと言っても表情が心に残りますね。

アンリ・マティス 「肘掛椅子の裸婦」
ホテルの中で書いた作品らしいです。裸婦だけでなく、赤が鮮やかな絨毯なども見所でした。

マルク・シャガール 「ダヴィデ王の夢」
シャガールのおなじみのモチーフである、花嫁やエッフェル塔などが描かれ、独特の色彩も溢れていました。ユダヤ人としてのアイデンティティも感じられ、シャガールの魅力が凝縮されていました。

<102展示室 レンブラント>
レンブラント・ファン・レイン 「広つば帽を被った男」  ★ここで観られます
これはこの美術館でも最高の1枚じゃないかな。レンブラントならではの陰影や、リアルな質感、豊かな表情など、見所の多い肖像画です。優しい眼差しでこちらを見つめ、全体的に温かい幸福感があります。というのも、この肖像には対になる夫人の像があるようです。アメリカのクリーヴランド美術館の「婦人の肖像(Portrait of a Lady)」がそれで、1度だけ並んで展示されたことがあるとか。

<103展示室 前衛の時代>
カジミール・マレーヴィッチ 「シュプレマティズム」  ★ここで観られます
マレーヴィッチの抽象が極まった頃の作品じゃないかな。これは何を描いたものなのかさっぱりわかりませんw しかし、これは何だろう??と考えているうちに、スピード感や遠近感などを感じてきました。

<110展示室 日本画>
今はここの目玉である長谷川等伯の作品は無いようでした。

上村松園 「桜加里」
薄い紫色の着物を着た女性と、侍女の2人を描いた作品。タイトルにもある桜がひらひらと舞い散ってきているのも相まって、艶やかで気品溢れています。理想の女性像なのかも。侍女が絵の外に視線を向けていることで、広がりを感じることができます。

<104展示室 ダダとシュルレアリスム>
マックス・エルンスト 「入る、出る」  ★ここで観られます
ドアが作品になっています。居候した友人の家に描いたものが偶然見つかったものらしいです。木に掴まっているようでもあり、浮かんでいるようでもあり不思議です。片足だけ靴下?をはいていたり、腿だけ透明だったりと謎が多いのも魅力です。

ルネ・マグリット 「感傷的な対話」
マグリットの作品は何でも好きなんじゃないかと思うくらい好きです。夕日?の中、人間のようなチェスの駒のようなものが向き合っている絵です。 この絵を観ていると、郷愁とはまた違った、心の内側の風景をみているような若干の不安を感じます。

<105展示室 コーネル>
ジョゼフ・コーネル 「無題(星ホテル)」
この人の作品は星座がテーマになっているのが多いように思います。この作品は箱になっていて、中にはミニチュアのようなオブジェが配置されています。意味はちょっと分かりませんが、独特の世界観が表現されていて記憶に残りました。

<200展示室 ニューマン・ルーム>
バーネット・ニューマン 「アンナの光」  ★ここで観られます
でっかい赤い長方形?w 高さ2.8m、横幅6.1mもあるそうで、これだけ大きいと威厳すら感じます。真っ白な壁、窓から見える緑など、部屋全体が作品のようになっています。ただ赤い大きな作品がこれだけ美しく思えるのは新鮮でした。

<201展示室 第二次世界大戦以降のアメリカの中傷美術>
フランク・ステラ 「ヒラクラ III」  ★ここで観られます
今回、ここを訪れて一気に好きになったのがフランク・ステラ。美術館の入口にある作品もステラの作品です。 自在にキャンバスの形を変える手法から、ついにはオブジェのような絵画?まで、自由な感性が楽しいです。そして各作品の大きさがでかくてカラフル! 大部屋に並んだステラの作品はここでしか観られない必見のコレクションだと思います。

入口のステラの作品
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続いて、特設展
<マーク・ロスコ 瞑想する絵画 >
この展示は、テートや川村記念美術館に散在しているマーク・ロスコの作品を集めた貴重な展覧会みたいです。 この人は、部屋の中を自分の作品だけ並べるということにこだわったそうで、元々飾る予定だった最高級レストラン「フォー・シーズンズ」の雰囲気が作品に合わないとして展示を断念するなど、展示方法や場所も作品の一部と考えていたようです。展示室にはその辺の解説や経緯が最初に展示されています。
その後、メインの大部屋には、テートが所蔵する3点、ワシントン、ナショナル・ギャラリーが所蔵する5点、川村記念美術館が所蔵する7点の合計15点のシーグラム壁画があります。赤と濃い赤で四角を描いていて意味はよくわかりませんが、四方ぐるっと囲まれると壮観です。
ロスコはクラシック音楽、特にモーツァルトが好きだったそうで、自分の作品を並べてクラシックを聴いていたそうです。音声ガイドでその音楽を聴きながら観ていると、暗い赤から荘厳な静けさを感じ、曲が盛り上がると逆に燃え上がるような情熱を感じるのが面白いです。音楽を聴きながら美術鑑賞すると、聴いた音楽に影響された感想になってしまうのでいつもはやらないのですが、ここでは是非、モーツァルトを聴きながら観ることをお勧めします。

ということで、常設・特設共に楽しめました。行く途中の田園風景も美しかったし、美術展以外でも散策路や建物も含めて楽しめる、郊外ならではの美術館でした。
次回は美術館の敷地内の散策路の写真をご紹介します。

 ⇒こちらで記事にしました。

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滑り込みで川村記念美術館の展覧会、 「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」 に足を運んだ。 シーグラム壁画30枚の内の15枚が集まったこの展覧会。 見逃していたら一生...
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