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ホキ美術館開館記念特別展 (感想前編)【ホキ美術館】

前回ご紹介した千葉市の昭和の森公園をぶらついた後、お目当てのホキ美術館で「ホキ美術館開館記念特別展」を観てきました。初めて行った美術館で点数も非常に多かったので、前編・後編に分けてじっくりとご紹介しようと思います。

DSC_14899.jpg

【展覧名】
 ホキ美術館開館記念特別展

【公式サイト】
 http://www.hoki-museum.jp/gallery/index.html

【会場】ホキ美術館
【最寄】土気駅


【会期】2010年11月3日(祝)~2011年5月22日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この美術館は2010年11月3日にオープンしたての美術館ですが、平日(金曜日)に行ったためかお客さんはそんなに多くなく、自分のペースでゆっくり見ることが出来ました。
東京からのアクセスがあまり良いとは言えないのですが、結構広い駐車場もあったので、車で行くほうが良いかもしれません。

敷地に入るとこんな感じの通路を抜けていきます。
DSC_14903.jpg

美術館を横から見たところ。ギャラリー1は宙に浮いている部分があります。外光を取り入れていることも驚きでした。絵は痛んだりしないのかな?
DSC_14908.jpg

館内に入ってすぐのところに、イタリアンレストランがあったので早速!と思ったら14時でランチはラストオーダーでした。5分差くらいで入れず残念。この近くには昼食を食べられそうな所は無く、あとは地下のカフェくらいしかありませんでした。この日は仕方なくお昼抜きで早速展覧会を観てきました。

さて、ここからはこの美術館と展示品についてご紹介ていきますが、ホキ美術館の特徴を簡単に言うと「日本の現代作家による写実専門の美術館」です。抽象的なところは無く、観てすぐに何を描いているか分かる作品ばかりですが、写実ゆえに何を表現・意図しているかというのは難しかったように思います。 その辺の解説は少なく作品リストも無いので、今回の記事は私のしょーもない感想のみとなりますw すみません^^; また、今回の点数は160点とボリュームも凄かったので、前編ではギャラリー1と2をご紹介し、後編で3~9をご紹介しようと思います。 (バランスが偏っているように見えますが、ギャラリー1と2は特に作品が多いのです)


<ギャラリー1> ★この章の作品
まずギャラリー1は先ほどの浮いている部分を含んだ長い部屋となります。足元から外光が入ってくる造りで、壁の両脇にずら~っと絵が並んでいました。(公式ページの写真で雰囲気を確認できます) 現代画家のことは全く無知なのですが、ここは中堅作家のコーナーとなっているそうです。

生島浩 「Card」
椅子に腰掛けて手に持つカードをじっと見つめる現代日本の女性像です。写真のようにリアルで質感があり、女性の肌に光が当たったような感じがよく出ています。暗い背景で、どこか昔の写実絵画に通じるものを感じました。(←私の勝手な推測です)
最初はこの画家のコーナーでした。現代女性を描いた作品が多かったかな。ちなみに他の画家も基本的にモデルは現代の日本人が多いです。

生島浩 「若い月」
椅子に腰掛けて手に持つ本をじっと読む女性が描かれています。真剣な眼差しをしていて、服の皺や髪の毛、陰影など細部まできめ細やかで上品な雰囲気がありました。

藤原秀一 タイトル失念
一面に咲いたヒマワリと青空を描いた作品です。生き生きとした色合いで強い日差しを感じました。色彩が綺麗で目に鮮やかでした。
この隣にあった「秋と猫」という作品も可愛くて好みでした。

大畑稔浩 「仰光-霞ヶ浦」
霞ヶ浦の水面と空、向こう岸にかかる大きな橋などが描かれた作品です。雲間から光が差し、水面がピンクから紫に染まっていく様子が美しく、神聖な感じを受けます。また、手前に描かれた杭のようなものがアクセントになっているように思いました。
この辺で、写実でも画家によって個性がだいぶ違うと気づきはじめました。

羽田裕 「紅富士」
富士山の上部の方が大きく描かれた作品です。左から赤い夕日が差しているようで、山頂の雪が赤く染まっています。離れて見ると写真みたいですが、近くで見るとマットな質感なのが面白かったです。空の微妙な色合いも好みでした。

島村信之 「午睡Ⅰ」
腕を挙げて横になる女性を描いた作品です。気持ち良さそうな寝顔で、柔らかい光りや微妙な陰影も穏やかな雰囲気を出していました。
この人も女性が座ったり寝ている作品が多めでした。モデルが現代の日本人なので結構親しみが沸きます。どれも美人だしw

島村信之 「朝靄」
山の中にある湖畔を描いた作品で、ぼや~っと輝くような靄が立ち込めています。水面と水中の描き分けなども見事で、細密な描写となっていました。朝の湖畔の静かな雰囲気がありました。

五味文彦 「青い器物のある静物」
青い陶器とグラス、かぼちゃ、果物、大きなカゴなどが描かれた静物です。色鮮やかで、特にグラスの反射などはリアルな描写となっています。若干、現実よりも鮮やかな気もしますが、光の表現が凄い画家のようでした。

五味文彦 「赤い花」
水差、3つのグラスに入った薔薇、飛んでいる虫を描いた作品です。背景は真っ白で、どこか現実を超えたような雰囲気を感じました。水面の歪みや薄っすらとした影など細やかな表現も素晴らしかったです。

小尾修 「遠い記憶」
円形のクッションの上で膝をまげて胎児のようなポーズをとる裸婦を描いた作品です。上から観たような視点がちょっと変わっているかも。髪の毛1本1本まで流れるように描かれ、身体には所々に青い血管のようなものまで描きこまれていました。周りの床の木目も含めてリアルなのですが、モデルのまどろんでいるような顔は夢の中のようでした。

塩谷亮 「朝陽」
背後の足元を振り返るようなポーズをした白い服の女性を描いています。少し反り返った感じから動きも感じられるように思いました。

<ギャラリー2>  ★この章の作品
ギャラリー1の階下がギャラリー2となります。ここには森本草介 氏の作品が30点ほどずらりと並んでいました。

森本草介 「みちのく早春」
雪の残る川辺を描いた作品です。所々に枯れたような色の草が見え、寒さが緩んだような柔らかい雰囲気を受けます。この作品からは昔の西洋写実に似たものを感じました。

森本草介 「光の方へ」
しゃがんでいる裸婦の後姿を描いた作品です。写実的ですが柔らかな陰影でより絵画的な雰囲気を感じました。また、時間が止まったような感じも受けました。
この辺には裸婦の作品が並んでいたのですが、後姿が多かったかな。

森本草介 「VEZELAY」
横長で、丘の上の町と手前の草原を描いた作品です。町はみんな赤い屋根をしていてヨーロッパ風です。驚くことに草の1本1本まで丹念に描かれているようでした。 それにしても町を描いているのに画面には誰もおらず、穏やかで静かな雰囲気に思えました。

森本草介 「コーヒータイム」
椅子に腰掛けて白いカップを持つ現代日本の女性像です。視線をカップに向けている表情や仕草が上品で女性らしい美しさを感じました。

森本草介 「牡丹」
薄茶色の背景にピンク、紫、赤、白などの牡丹の花が咲いています。写実的ですが、どことなく象徴主義のような幻想性を感じるのが不思議でした。上半分が空白となっているのもちょっと変わってる気もします。

ということで、今日はこの辺までにしておきます。一口に写実と言っても色々あるのだなと実感しました。見た目からして綺麗な作品も多いので、普段は美術館賞をしていない人でも楽しめそうでした。(深い部分は私も分かりませんが) 

次回は残りの部屋をご紹介します。 ここは「広い」というか「長い」という印象ですw


 →後編はこちら

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Comment
小旅行かな
こんばんは。
建物見物も面白そうですね。
だだっ広い所は好きなので行ってみたいです。
しかし、遠い・・・
Re: 小旅行かな
>semicolon?さん
コメントありがとうございます^^
ここは東京からはだいぶ離れているので本当に日帰り旅行みたいなものですねw
公園と美術館がセットになったので、行くだけの価値もあるんじゃないかな。
公園のだだっ広さは保障しますよw
もっと遠くへ
ホキ美術館より車でもう一時間ほど奥地に行きますと
松山庭園美術館という私設の美術館があります。
今、コノキ・ミクオの個展をやっています。
お庭も紅葉真っ盛りで素晴らしいですよ。

ただ日帰り旅行ではすまないかも…笑
一見の価値はありますv-364
Re: もっと遠くへ
>パンピーさん
貴重な情報ありがとうございます!
松山庭園美術館というのは初めて知りました^^;
http://www.konoki.com/

庭園も綺麗そうですね。白猫も可愛いです。
やはりここも行くのが大変なのが懸念されますねw
いずれ行ってみたいです。
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先週フェルメールの展覧会が、今週末はレンブラントの展覧会が始まりました。 この先人達が残した技法等を現在風に昇華した絵画を展示しているのがホキ美術館です。 主な画家は次の通りです。 現在日本に...
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