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中国青銅鏡 【泉屋博古館 分館】

つい先日の土曜日に、六本木一丁目付近へ買い物に行った際に、周辺の展覧会巡りをしてきました。まずは泉屋博古館分館で「中国青銅鏡」を観てきました。

P1170464.jpg

【展覧名】
 中国青銅鏡

【公式サイト】
 http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html

【会場】泉屋博古館 分館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店

【最寄】六本木一丁目/神谷町

【会期】2011年1月8日(土)~3月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
ここはいつも空いていますが、この日はそこそこお客さんがいました。それでも充分に快適な環境だったので、自分のペースで観てきました。

さて、今回の展示は中国の青銅鏡を主題とした中々渋い展示となっています。一口に中国の青銅鏡と言っても春秋時代(前5世紀)頃から戦国時代に量産され、漢時代に絶頂となった歴史があり、様々な時代の作品が並んでいました。また、鏡は霊力を持って吉祥をもたらす道具と考えられていたそうで、背面の文様でその効果を保証しているとのことです。その為、それぞれの時代の思想や価値観(神仙思想や宇宙観)を反映したような作品が多いように思いました。
各作品についている解説や、会場でもらえるパンフレットでは文様や時代背景について丁寧に書かれているのですが、私にはちょっと難しくてメモを取るのを半ば諦めました^^; その為、今回は展覧会の雰囲気だけでもご紹介しようと思います。最近、中国関連の展示が多いので徐々に歴史や当時の価値観を学んでいこうと思います…。
 参考記事:誕生!中国文明 (東京国立博物館 平成館)

まず最初の部屋には春秋時代の作品が並んでいました。鳳凰や「ち」という幼い龍などの文様の作品が多く、薄手で細かく文様が刻まれています。また、この辺は円形の鏡ばかりが並んでいました。 銅鏡と言えば真っ先に円形のものが思いつくので当たり前のように感じますが、これは「天円地方」という中国古来の宇宙観を体現したもので、天は円く、地は方形という意味があるそうです。一応、円以外の作品もあるのですが、この時期から少し後までは円が多く、唐や宋の時代の作品には八花や八稜といった形もありました。
時代順に作品が並び、戦国時代より少し時代が進んだ前漢~後漢時代の作品には四神(朱雀、白虎、青龍、玄武)や西王母・東王父(崑崙・蓬莱に住む神仙)などを配した作品が多かったように思います。道教由来の思想かな?

この辺は古い銅鏡だけに文様が見えづらい作品もいくつかあったかも…。ミュージアムスコープを持っている人は持っていった方が良さそうです。

1部屋目を出て2部屋目に移る途中、ロビーでは銅鏡の作成方法や再現?なども展示されていました。道教には不純物が少ないとも解説されていました。

2部屋目は唐時代の鏡が中心となっていました。銅鏡は南北朝時代に一時停滞した後、再び大流行したそうです。ここには「さんげい」という獣の文様があり、これは獅子の影響を受けた獣のようで、短いたてがみで犬や豹のような姿をしています。(とは言え、作品によっては小動物のような感じも受けましたがw) また、さんげいと共に葡萄の蔦を茂らせた海獣葡萄文という文様もいくつか展示されていました。
他には四神や十二支を配した鏡や、葡萄や柘榴など植物文様の鏡がありました。十二支は道教の思想、葡萄や柘榴は子孫繁栄の意味を持っていると思います(多分)
 参考記事:
  知られざるタオの世界「道教の美術 TAOISM ART」 -道教の神々と星の信仰- (三井記念美術館)
  吉祥のうつわ展-中国陶磁にみる祝い寿ぐ文様の世界 (松岡美術館)

この辺は八花や八稜といった、花の形を思わせる道教ばかり並んでいました。この頃になると「天円地方」の思想も薄らいでいったようで、思想の違いが作品に現れているのが面白いです。
そして、今回最も気に入ったのが「瑞花鳳凰八稜鏡」という日本の平安時代の鏡で、これは国宝に認定されています。(日本産か中国産かは分からず…) 八稜(尖った八角形)をしていて、鏡面には仏たちが細かく刻まれています。背面には鳳凰が彫られているなど観るからに価値の高そうな風格を持っていました。

その後、唐以降の作品もいくつか並んでいました。宋の時代にはまた盛り返したそうですが、以前の模倣が多かったそうです。


ということで、少し難しく思うところもありましたが、中国古来の考えや趣向が詰まったような展示だったと思います。点数は80点程度なのでじっくり観ようと思えば、もう少し時間がかかるかもしれません。中国文明が好きな方には面白いんじゃないかな。 ぐるっとパスがあれば提示のみで入場できるし、気になる方は公式ページをチェックしてみると良いかもしれません。


おまけ:
この後、去年ご紹介したファミリーセールの2011年版に行ってきたのですが、特に何も買わず収穫が無かったので、ご紹介は割愛しますw
 参考記事:ファミリーセール 2010冬 (スピックインターナショナル)
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