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花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術 【出光美術館】

この前の土曜日に、出光美術館に行って始まったばかりの「花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術」を観てきました。

P1180401.jpg

【展覧名】
 花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術

【公式サイト】
 http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

【会場】出光美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 有楽町駅/都営地下鉄・東京メトロ 日比谷駅


【会期】2011年4月23日(土)~6月19日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
まだ初日だったせいか空いていて、ゆっくり鑑賞することができました。

さて、今回は「花鳥の美」がテーマの展覧会で、すべて出光美術館のコレクションとなっています。一応、展示は5つの章に分かれていて、題材を細分化したものとなっているのですが、特に作品同士の関連性は無いようでしたので、気に入った作品のご紹介だけしようと思います。

<1.花鳥が出逢う水辺>
最初は水辺を題材にした作品を集めた章でした。

伝 雪舟等楊 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1隻の屏風で、手前に松がうねり、その奥に川が流れています。右には竹、左には蓮の葉と花、松が描かれ、空から白鷺?が舞い降りてきています。よく見ると川や松の上にも鳥がいて、正に花鳥図といった趣です。 花だけがピンク色で他はモノトーンな感じかな。濃淡で遠近感を感じます。これは雪舟の作と伝わっているようですが、私の感じる限りでは雰囲気が違っているように思えました。

この辺には蒔絵や陶器のコーナーとなっていました。織部、景徳鎮、伊万里、九谷、青磁などが並んでいます。

伝 雪舟等楊 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
こちらも雪舟の作と伝わる先ほどと同名の屏風で、横長で小さめの6曲1隻となっています。手前に松、奥に川辺というのは先ほどと同じで、花も右に牡丹、左に蓮が配されています。 翡翠、雀などの鳥も描かれ、先ほどの作品と比べると賑やかな画面になっているように思いました。これも雪舟なのかなあ??

狩野永納 「遊鶴図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風です。金地に松、牡丹、鶴、尾が長い鳥などが描かれ、左の方には滝も見えます。 大和絵風で、川の深い青や鮮やかな緑など、色合いが強くて煌びやかな雰囲気がありました。解説によると、狩野永納は学者肌の絵師だったらしく、狩野派としてはかなり緻密に描かれているそうで、近くで見ると鶴の羽や葉っぱ、待つの表面などはかなり細かく描きこまれていました。また、構図も練られているとのです。


<2.文様の美を競う>
続いては文様が作品の主体になっているコーナーでした。

「堆朱蓮池鴛鴦文盆」
円形の盆で、中心に大きく2羽の鶏が彫刻?され、その周り草花もあしらわれています。これは漆を塗り固めて作った盆らしく、相当に手間がかかっていそうな…。意匠も単純化が大胆で、近代芸術も顔負けの優美さがありました。
この辺はこうした朱漆の盆と黒漆の盆が並んでいました。

「金銅蓮唐草文透彫経箱」
金銅の箱で、花の模様(蓮唐草文)に透かし彫りになっています。かなり精密に作られていて、文様のパターンは左右対称になっていました。これは一目で凄い!と驚く品だと思います。

「螺鈿楼閣人物花卉文食籠」 ★こちらで観られます
円筒形の黒漆の食篭で、結構ごっつい印象を受けますw 全体的に黒漆を塗りこまれ、表面に螺鈿で楼閣の前に集まる人々や仏具の細工ににた模様が施されていました。これも精密さに驚く品で、見所の1つだと思います。 荘厳な雰囲気のある作品でした。


<3.富貴花の展開>
3章は富貴の花=牡丹をテーマにしたコーナーでした。

「白地刻花牡丹文梅瓶」
白地の壺で、上部よりも下部のほうが細くなっている優美な形をしています。表面にさらっと描かれているような牡丹の模様があり、牡丹の周りは粒々みたいな魚子文(ななこもん)となっていました。色合いや筆遣いから軽やかな印象を受けました。

この辺は陶器のコーナーで、青花の景徳鎮などが展示されていました。

「青磁刻花牡丹唐草文梅瓶」
薄い緑色の瓶です。側面に牡丹の花と葉っぱが描かれ、うっすらと緑の濃淡で表現されていました。流れるような曲線や大胆なうねりなど、文様も面白かったです。


<4.幻想世界に迎えられた鳥たち>
4章は主に鳳凰をテーマにしたコーナーでした。最初に八花鏡や鳳凰の掛け軸、螺鈿などが展示されていました。

勝覚 「理趣経種子曼荼羅」
梵字?が書かれた巻物です。これは字よりも紙の方に今回の趣旨に沿ったものがあります。 紙に黄色の雲母を使って透かしのようなものが描かれ、円の中に2羽の鳳凰の姿が見えます。それがいくつもパターンのように並んでいて、その周りには草花も描かれて?いました。華やかで美しい紙です。

「金襴手孔雀文共蓋仙盞瓶」
全体的に赤が多く使われた景徳鎮の水差です。側面に桃型の枠があって、その中に金色の孔雀が描かれています。緻密で少しくどい位の色使いにも思えますが、いかにも中国という美意識を感じました。

この辺も陶器が並んでいます。


<5.人々に愛された花鳥の主題>
最後は花鳥全体的なコーナーでした。

谷文晁 「枯木山鳩図」
枯れ木にとまった緑色の鳩を描いた掛け軸で、鳩の隣にはピンクの花もあります。勢いよく描かれた枝と、細かい描写の鳩が同居しているのが面白く、身を捻ったような鳩のポーズからは動きと愛嬌を感じました。

この辺も陶器のコーナーです。鶏の型をした陶器や富士山の形をした皿などもあります。

柿右衛門 「色絵鸚鵡」 ★こちらで観られます
枯れ木にとまるオウムをそのまま陶器にしたような作品です。大きさも等身大くらいかな? 色は本物よりカラフルな感じです。きりっとした表情で威厳のような雰囲気がありました。
この近くには鴨の形の作品もありました。

「花車図屏風」
金地の6曲1隻の屏風です。牛のいない牛車?に大きな花束が乗っていて、絵の上部には銀色の藤が垂れ込めています。白、緑、赤、など色も様々で華やかな雰囲気がありました。なお、これは狩野永徳筆と書いてあるそうですが、そうではないと考えられているようです。

「吉野龍田図屏風」
6曲1双の屏風です。右隻は桜の花で覆われていて、左隻は真っ赤に染まる楓で埋め尽くされています。全体的にやや風化していますが、華やかで静かに迫ってくるものを感じます。解説によると桜は胡粉を盛り上げて描いているとのことでした。
なお、この作品は以前にもご紹介しましたが、根津美術館にもよく似た作品があります。
 参考記事:
  ユートピア ―描かれし夢と楽園― (出光美術館)
  国宝那智瀧図と自然の造形 (根津美術館)


ということで、幅広いコレクションを見ることができる展示でした。結構、通好みの展示じゃないかな。この辺は美術館・ギャラリーも多いので、ゴールデンウィークにアート散歩してみるのも面白いと思います。
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