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にっぽんの客船 タイムトリップ 展 【INAXギャラリー】

前回ご紹介したポーラミュージアムアネックスの展示を観た後、すぐ近くのINAXギャラリーに移動して、「にっぽんの客船 タイムトリップ 展 Japanese Passenger Ships Journey Back in Time」を観てきました。

P1180419.jpg P1180423.jpg

【展覧名】
 にっぽんの客船 タイムトリップ 展
 Japanese Passenger Ships Journey Back in Time

【公式サイト】
 http://inax.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001750.html

【会場】INAXギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町


【会期】2011年3月3日(木)~2011年5月21日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会場は空いていて、ゆっくりと観ることが出来ました。

今回の展示は日本の豪華客船をテーマにした内容で、1920年代から戦前までの様子を紹介していました。資料や写真、模型、映像などを使っていて、結構わかりやすい内容となっています。今回は個々の作品のメモは取らなかったので、ざっくりと展覧会の様子をご紹介しようと思います。
 参考リンク:展示場の風景

客船の黄金期は1920年代後半から10年くらいの間らしく、日本でも1929年から翌年にかけてディーゼル機関の大型船を作って欧米に対抗したそうです。その頃の豪華客船は貨物も運んだ貨客船だったらしく、今の客船とは違ったのだとか。
勿論、施設やサービスは一流で、演芸や映画、デッキゴルフ、水泳、ダンスパーティ、クラシック、ジャズなど数々の娯楽があったそうです。 料理も豪華で、特に日本郵船の船は良かったらしく、フランス料理のみならず鰻丼や天ぷら、すきやきなどを振舞うこともあり、かのチャップリンは帰国する際に氷川丸を選んだほどだったそうです。
その後、客船はその国の科学、産業、文化を競う国力の象徴として動く国土と見なされたほどだったそうですが、第二次世界大戦で失われてしまったそうです。
ちなみに、当時の運賃は横浜~ホノルル~サンフランシスコの13日間が1等で300ドルだったのですが、当時の1ドルは2円で、大卒銀行員が月給70円だった時代でした。(つまり600円÷70円で8~9ヶ月分の給料くらいかな。) 豪華客船の名は伊達じゃないw

展示室に入ると「あるぜんちな丸」の模型がありました。これは1939年に竣工された大阪商船(今の商船三井)の船で、全長は166mもある当時最高峰の大型船だそうです。近くには内部の写真や、和辻春樹というネルヴィル・アーキテクト(船の建築デザイナー)の図面などもありました。内部はシックなデザインでアール・デコやアール・ヌーボー、和風、エコール・デ・ボザールなどの影響が感じられるかな。4分ほどの映像もあり、CGで「あるぜんちな丸」と姉妹船の「ぶらじる丸」の内部を見ることができました。村野藤吾のインテリアなども再現されています。 そして、この映像で驚いたのが「ぶらじる丸」の最期で、客船の上に滑走路を乗せた空母となり、戦場で撃沈されたそうです。当時の空母の写真が何とも痛々しい…。

他にも高砂丸、愛国丸、長城丸など8隻ほどの客船の写真もあり、すみれ丸、むらさき丸、橘丸、にしき丸など垂線間長が70~90mくらいの客船の模型もありました。

さらに進むと、ぶらじる丸でのイベントの写真もあり、運動会や演芸会、仮装パーティー、すき焼きパーティー、デッキゴルフの様子などが紹介されていました。また、パンフレットやメニュー表も展示されていて、メニュー表には浮世絵が使われているなど洒落たデザインとなっています。 花毛布という毛布?も展示されていたのですが、その名の通り花の形になっているなどサービスの心遣いも細かいですw

最後の方はパンフレットやポスターのコーナーでした。ゲオルグ・ヘミングの「NYK AROUND THE WORLD」というポスターは以前もご紹介しましたが、直線を多用して非常に洗練されたデザインでした。
 参考記事:三菱が夢見た美術館 - 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション (三菱一号館美術館)

ということで、日本の豪華客船の歩みを知ることができる面白い内容でした。これは後々にも参考になりそうです。
この後、他の部屋の同時開催の展示も観ました。いずれも終わってしまいましたが、簡単に感想だけ…。

<黒川 徹 展 -銀黒陶 有機体の幾何学- Kurokawa Toru Exhibition>
【会期】2011年4月1日(金)~4月26日(火)  公式サイト
こちらは文章で伝えづらいので公式サイトを観て頂くとよくわかるのですが、穴の開いた球体の陶器や、「く」の字の形の大きな陶器作品などがありました。手びねりで作っているそうですが、有機的で緩やかなフォルムが優美な作品ばかりで、どこか自然物のようでありながらも幾何学的な雰囲気がありました。


<英 ゆう -祖を辿る旅-展>
【会期】2011年4月1日(金)~4月26日(火)  公式サイト
こちらは8枚の大画面の絵が並んだ展覧会でした。つい最近、近くのポーラミュージアムでこの人の作品を観たばかりだったので、よく覚えていました。
 参考記事:ポーラ ミュージアム アネックス展2011 -早春- (ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)
今回は石灯籠が毛糸で出来ているかのような質感の絵や、塔にマフラーをかけたようなシュールな絵など、日本の寺やタイの建造物をモチーフにした作品となっていました。独特のもこもこっとした質感が面白かったです。
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