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国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア 2回目 【Bunkamura】

薩摩切子展を観た後、渋谷に移動して、この前観て大満足だった「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」の2回目を観てきました。

前回の感想はこちら

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【展覧名】
国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア

【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_tretyakov.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_tretyakov/index.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2009年4月4日(土)-6月7日(日) 開催期間中無休
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度

【混み具合(土曜日19時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
お昼頃はそこそこ混んでいるみたいですが、夜は空いていて、好きな絵をじっくり楽しめました。これだけ素晴らしい展示会をゆっくり観られるなんて最高です^^

前回紹介できなかった作品を中心にご紹介。

<第1章 抒情的リアリズムから社会的リアリズムへ>
イワン・シーシキン 「木陰で休む家畜の群れ」
精密な描写で牛や羊が木陰で休んでいる絵です。のんびりと牧歌的な雰囲気が漂う作品で、向こうには川が見えます。平和で穏やかな気分になりました。

アレクセイ・サヴラーソフ 「楢の木のある夏の風景」
手前に池、右側に木(恐らくこれが楢の木)、奥に草原と空という遠近感のある作品で、どこか懐かしい風景です。縦長の作品で木を大きくとっているせいか存在感がありました、

アレクセイ・ボゴリューボフ 「ネヴァ河でのそり遊び」
結構、大きな作品。横長の絵で、上側の3分の2くらいが青空となっていて、広々として爽やかな印象があります。そして特筆すべきは建物や人々の描写で、リアルかつ精密に描かれていれ、大きなキャンパスなのに細かいところはミリ単位で描かれているのが驚異的です。そり遊びの動きなども伝わってきました。

<第2章 日常の情景>
ニコライ・クズネツォフ 「食事のあと」
庭で背もたれ椅子に寝転がっている2人の女性と、話しかける男性の絵です。 3人とも微笑を浮かべ楽しい談笑の一瞬が垣間見えます。幸せそうです。

ワシーリー・マクシモフ 「嫁入り道具の仕立て」
嫁入りする若い女性が頭の後ろで腕を組んで、ちょっと夢見てる感じなんだけど、同じ食卓を囲っている子供たちがそっぽむいて退屈そうにしてたり、それをじっとみていたり、花嫁を羨望眼差しで観ていたりと、みんな様々な動きをしているのが面白かった。隅っこにいた猫も可愛い。。。

ウラジーミル・マコフスキー 「愛の告白」
全体的に明るい印象がする作品。男のキョドった感じと、女性の無関心のような恥じらいのような表情から観てるほうまで緊張しますw でもこの明るさから良い未来を感じます。

<第3章 リアリズムにおけるロマン主義>
フョードル・ワシーリエフ 「雨が降る前」
やっぱこの絵が好きです。この絵を観たいがためにまた来ました。スポットライトのような光、右に傾いている木々。。。心に残ります。

アルヒープ・クインジ 「エルブルース山-月夜」
月自体は描かれていませんが、青白い月光に照らされて浮かぶエルブルース山が神秘的な雄大さを称えています。ちょっと富士山にも似ている山です。そして、手前に向かって川が流れているのか、ちょっと輝いているようにも観えて静けさを感じました。

イサーク・レヴィタン 「たそがれ-干し草」
モネの積みワラを連想するような作品ですが、月光と淡い緑の干草がどこか御伽噺の世界のような安らかな印象を与えます。単純化され明快な絵ですが深い味わいがあります。

ワシーリー・ヴェリシャーギン 「デリーで見つけた金持ちの牛車」
真っ青な空と、白い牛、赤が映える牛車 など色の対比が美しい作品でした。強く写る影が日差しの強さを感じさせ、インドの異国情緒溢れる雰囲気が伝わってきました。

<第4章 肖像画>
イワン・クラムスコイ 「忘れえぬ女」
このコーナーの女性の肖像画はどれも素晴らしいですが、今回の主役はやはりこの絵でしょうか。女性は細部まで精密に描かれているのに対して、背景は薄く描かれているので、より一層女性に視線が行きます。むしろ、背景なんかどうでも良いという心情の表れなのかも。この誘うような慈しむような夢想するような、何とも言えない眼差しが「忘れえぬ」所以なのかなと。

イリア・レーピン 「画家レーピンの息子、ユーリーの肖像」
5~6歳の子供の絵です。ちょっと軍服のような?金のボタンが鮮やかな服を着て、つぶらな瞳でこちらを見ています。上品な深紅の絨毯とその格好から凛々しいイメージもうけます。このユーリーは結構大変な人生を歩むことになったようですが、この絵からは子を思う親の愛情が伝わります。

ヨシフ・ブラース 「文豪チェーホフの肖像」
文豪らしいキリっとした威厳ある紳士です。眼鏡をかけていて物静かな知性も感じます。 その眼は少し悲しげで、作家自身が「私が陰鬱な作品を書くとしたら、この絵のせいだw」と冗談を言ったらしい。しかし、その人間性も感じさせる素晴らしい作品だと思います。

<第5章 外光派から印象主義へ>
ワーシリー・ポレーノフ 「アブラムツェヴォの池」
池の上には優雅な水鳥が泳ぎ、水面には緑が生い茂る森の様子が写りこんでいます。対岸には丸太小屋が見え、詩情溢れる作品です。緑の鮮やかさと青空がとても清清しく、ロシアってこんなに明るいんだ。。。とちょっと意外な感じすらしました。

イサーク・レヴィタン 「満開の林檎の木」
ベンチのある林檎園で、林檎が真っ白な花を満開に咲かせています。ちょっと桜のような美しさで、画家はきっと興奮と感動からこの作品を手がけたのではないかな。生き生きとした生命力が溢れて、清純な爽やかさがあります。

ヴィクトル・ボリソフ=ムサートフ 「五月の花」
これまた林檎の白い花が描かれています。そして中央には白い服を着た2人の少女がボール遊びをしています。林檎の花の白と、少女達の白が同等のように描かれているのが特徴です。そのあたりが装飾的と捕らえられ、評価を真っ二つに分けた作品らしい。装飾性=頽廃的と捕らえた批評家もいたそうですが、この絵を観る限り華やかで幸せそうな春の情景に思います。

ニコライ・カサトキン 「恋のライバル」
雪道を2人の若い女性が歩いている絵です。タイトルからして恋人となる男性がいるのかな?後ろにいる人かも?? 2人のうち、右側の女性は左側の女性の顔を覗くように話しかけているようですが、左側の女性はちょっとうつむき加減です。これはきっと左側が抜け駆けして気まずいのかも??なんてことも想像できるシーンでした。

スタニスラフ・ジェコフスキー 「領主の館のテラスで」
広々として心地良さそうなテラスで物書きか読書をしていると思われる女性座っています。柔らかな日差しが一層穏やかな雰囲気を与えてくれて、咲き誇った白い花は華やかさを添えています。穏やかな午後の様子でしょうか。こんな家に住みたい。。。w


ということで、この展覧会は明るくて穏やかな絵が多いのが特徴です。心休まる作品郡に今回も大満足でした。多分、もう一回行くと思うw お勧めです。


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