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シュルレアリスム展 2回目 【国立新美術館】

ゴールデンウィーク中の祝日に、国立新美術館で「シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」を再度観てきました。もう終わってしまいましたが、以前の記事の補足としてご紹介しておこうと思います。

P1190179.jpg

【展覧名】
 シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―

【公式サイト】
 http://www.sur2011.jp/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/surrealisme/index.html

【会場】国立新美術館   ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年2月9日(水)~5月15日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(祝日15時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前回観にいった時よりだいぶ混んでいて、入場制限を行っていました。(20分と書かれていましたが10分程度でした。)
↓こんな感じで並んでいました。中もごった返していて、よく人にぶつかりましたw
P1190175.jpg


内容については以前ご紹介したので省略して、今回は以前ご紹介しなかった作品についてだけ簡単にご紹介しようと思います。今回は補足的な感じです。

 参考記事:
  シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
  シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)


<Ⅰ ダダからシュルレアリスムへ 1919-1924>
まずはダダからシュルレアリスムの初期のコーナーです。

マン・レイ 「ミシンと雨傘」
テーブルに置かれたミシンを撮ったものです。四角に×を描いたような模様のテーブルが幾何学的かな。意味は分かりませんが洒落た感じの作品でした。

ジョルジョ・デ・キリコ 「ある午後のメランコリー」
手前に紙くずのような灰色の花のような謎のものがあり、奥には煙突や煙を上げる汽車の姿も見えます。誰もいない空間で、寂しくも超現実的な神秘性を感じました。


<Ⅱ ある宣言からもうひとつの宣言へ 1924-1929>
続いて、アンドレ・ブルトンがシュルレアリスム宣言をした頃のコーナーです。

アンドレ・マッソン 「採光窓」
周りを立体的で幾何学的なものに囲まれた人の顔らしきものを描いた作品です。右には透明の水差?らしきものもあり、キュビスムのような作風で少しくすんだ色合いに思いました。意味は分かりませんが面白い作品でした。

イヴ・タンギー 「夏の四時に、希望・・・」
下は黒くうねる感じで、上は水色、アメーバ状のものがあたりに浮かぶように描かれています。パッと観て海底の様子を描いたものかと思いました。タイトルはかなり謎ですが、夏と海は関係ありそうな気がしますw

ヴィクトル・ブローネル 「モティーフについて」
画家の鼻と目が触手のように伸びていて、目の前の絵に色を塗っている様子を描いた作品です。ちょっとグロいけど面白いw 小さめの作品だけどインパクトがありました。

ヴィクトル・ブローネル 「空気の威信」
様々な部品が組み合わさったマネキンのようなものが街角に立っているような作品です。 足はマッチ箱だったり、左手の一部は消えていたりと非常に奇妙で、不可思議な雰囲気がありました。意味は分かりませんが不穏でデキリコに通じるものを感じましました。

ルネ・マグリット 「旅の想い出」
首と手足の無い裸婦の胴体(トルソみたいな)と、渦巻くような黒い謎のオブジェ、白い笛のようなものなどが描かれた作品です。背景には富士山のような形の山など荒涼した感じで、裸体は薄い表面のマネキンのような感じでした。タイトルから察すると旅で観たものを色々まとめたのかな?? 難解な印象を受ける作品でした。

この辺の甘美な死骸のコーナーは物凄く混んでました…。

ジョアン・ミロ 「絵画」
深い青地に黒や赤、黄色、緑など様々な色の三角形?のようなものが描かれた作品です。抽象的な感じですが、左上の方には滑空する鳥を思わせる青い形があり、海を想起しました。


<Ⅲ 不穏な時代 1929-1939>
続いては戦争が始まる少し前の時代のコーナーです。

アルベルト・ジャコメッティ 「テーブル」 ★こちらで観られます
彫刻作品で、テーブルに向かう女性の像です。首と手首しかなく、浮かんでいるように見えるかな。その表情は目を大きく開けて驚いているようにみえました。ちょっと怖さすら感じます。よく見るとテーブルの脚4本とも違っているデザインも面白かったです。

アンドレ・マッソン 「夏の愉しみ」
赤や緑、茶色など様々な色でたくさんの蟷螂たちが描かれています。飛んだり襲い掛かったりするようなポーズがちょっと人間っぽいかも。生き生きしていると言うよりは戦っているようなパワーのある作品でした。

ウィルヘルム・フレッディ 「聖アントニウスの誘惑
箪笥の上の箱に入っている人?を描いた作品で、その箱に前のめりでよりかかっている人、手前に女性の足なども見えます。背景は暗く、絶望やエロスを感じる作品でした。

リュシアン・ロレル 「ロートレアモン『マルドロールの歌』のための挿図」
これは白黒写真で、砂地から突き出す瓦礫と石が置かれ、その隣に砂から人の手が何かを握るように突き出しています。隣にある木と同じように見えるのが何とも面白い発想の作品でした。

ルネ・マグリット 「夏の行進」
海を背景に大理石のようなブロックの上に置かれた女性の胴体を描いた作品で、上下で色合いが違っています。背景の海は四角に陥没していて空も立方体の形に切れているなど、現実感もありつつシュールな感じがしました。

今回、休憩室で休んできたのですが、休憩室ではブルトンのアトリエの映像をやっていました(25分程度)


<Ⅳ 亡命中のシュルレアリスム 1939-1946>
4章は戦争の頃、シュルレアリスムの作家がアメリカに亡命するなど苦難の時代のコーナーです。

ヴィクトル・ブローネル 「パラディスト、あるいはパラディストの主題によるコンポジション」
魚のような顔をした人?が2人向かい合っている様子を描いた作品です。1人は手を差し伸べて、もう1人は座っている感じですが、人間ではないので頭から手が生えていたりして、非常に奇妙です。背景には絡み合っているようなものもあり、不気味な感じもしますが面白い作品でした。


<Ⅴ 最後のきらめき 1946-1966>
最後はシュルレアリスムの末期のコーナーです。

ルネ・マグリット 「ストロピア」
5~6本のパイプを咥え、懐中時計を持つターバンの男の像です。額や目の中にもパイプが突き刺さっているなど現実のようで非現実的な肖像となっていて、タッチが大まかでマグリットの作とは気がつかないくらいでした。

マックス・エルンスト 「三本の糸杉」 ★こちらで観られます
赤、黄色、緑の糸杉?のような岩の柱のようなものが立っている作品です。1本ごとに背景の色(風景?)も異なり、幾何学的な中にゴツゴツした質感の柱が生き生きと立っていました。 解説によるとレオナルド・ダ・ヴィンチの考えに影響を受けて描いた作品のようでした。

マルセル・ジャン 「ホロスコープの娘」
首と手足の無い女の胸像です。色がつけられていて、地球儀のような模様になっているのが面白く、胸の辺りには肋骨のように緑の線が入っていました。これは皆、一目で地球儀を連想すると思いますw


ということで貴重な作品を観ることができました。少々難解だったのにこれだけ人気が出たのはちょっと意外でしたが、それだけシュルレアリスムは人気なのかな。数年ごとに同様の主題の展覧会は開かれるので、またの機会を楽しみにしようと思います。
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Comment
No title
ちょうど昨夜エルンストの画集を眺めていて
「わお~~~!」とか「すごっ!」とかひとりで騒いでいました。
「三本の糸杉」迫力ありそうですね。

大判できれいなこの画集、BOOK OFFで25円でした。e-317
驚きの価格です。
Re: No title
>パンピーさん
コメントありがとうございます。
エルンストの画集良いですね~。しかも25円ってw
この画家は目玉とか鳥をよくモチーフにしていますが、糸杉というのは初めてみました、
色も目を引きましたよ
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