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アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち 【国立新美術館】

この前の土曜日に、六本木の国立新美術館で、アーティスト・ファイル2011―現代の作家たちを観てきました。

P1190248.jpg

【展覧名】
 アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち

【公式サイト】
 http://www3.nact.jp/af2011/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/af2011/index.html

【会場】国立新美術館 企画展示室2E  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年3月16日(水)~6月6日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間50分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
館内は空いていてゆっくり観ることができました。

この展覧会は今年で4回目を迎えたそうです。毎年だとこの展覧会が開催される時期には六本木アートナイトが開催されて、その日は無料だったりしたのですが、今年の六本木アートナイトは地震の影響で中止となってしまい、残念な限りです。
 参考記事:
  アーティスト・ファイル2010 現代の作家たち (国立新美術館)
  アーティスト・ファイル2009 (国立新美術館)
  六本木アートナイト2010 (前編)

さて、今年の展覧会の内容も例年と同じく、現在国内外で注目を浴びる作家を取り上げた内容となっていて、8人の作家で構成されていました。せっかくなので、全員ご紹介していこうと思います。


<クリスティン・ベイカー> ★紹介ページ
まずはニューヨーク在住のアメリカ人の作家です。大部屋に巨大な絵画作品が7点並んでいました。

クリスティン・ベイカー 「クロトプラック・カーブ」
F1のクラッシュする様子?を描いた非常に大きな作品です。スピード感・緊迫感のある表現で、縁石がこちらに向かって広がっていてくるような構図は迫ってくるようでした。
この人は他にもF1の観客席の絵や、嵐の中の船?を描いた絵などもあり、具象的なところもありますがやや抽象的でカラフルな印象を受ける作風に思いました。


<松江泰治> ★紹介ページ
続いては写真と映像を使う日本の作家のコーナーです。暗い部屋に町並みを撮った写真と映像作品があり、写真の中の街は日本のものもあれば外国のものもあり、幾何学的で整然とした印象を受けるものが多かったように思います。統一感があってパターン化された町並みと言う感じかな。
さらに次の部屋では山間の風景を撮った写真群と映像がありました。こちらには巨大な露天の鉱山のようなところや、砂漠など荒涼とした印象の作品が多かったです。自然の大きさや時間が止ったような雰囲気があるようにも思えました。


<タラ・ドノヴァン> ★紹介ページ
3人目はアメリカのインスタレーション作家で、会場と一体化している作品が2点展示されていました。

タラ・ドノヴァン 「霞」
大部屋の奥の壁一面が綿雲のようになった作品です。遠くから見るとふんわりした印象を受けるのですが、近づいて見るとビックリ! 実はこれはプラスティックのストローをぎっしりと並べたもので、断面をカットすることによって雲のような感じにしていたものでした。そのスケールとストローの数に圧倒されました。

タラ・ドノヴァン 「無題 (マイラーテープ)」
こちらも壁と一体化した作品で、無数のフィルムの輪を使って泡か雪の結晶、雲などを彷彿するようなものが壁一面に広がっています。何を表現しているか分かりませんが、フラクタルで自然界のもののような雰囲気がありました。


<中井川由季> ★紹介ページ
続いて、クレイ・オブジェを手がける女性作家のコーナーです。

中井川由季 「受け止めるために沈み込む」
ざらざらした質感の陶?で出来た大きな台座のような作品で、真ん中にくぼみがあります。パッと観た時にエジプト遺跡の棺台のようだなと思ってしまった^^; 恐らくどこかでこの作家の作品は観た気がするのですが、思いだせず…。 
この作品の隣の部屋にも陶でできた巨大なオブジェ作品が並んでいて、木のような石のような、人工物のような自然物のような、独特の質感と形態の作風となっていました。


<鬼頭健吾> ★紹介ページ
休憩室を通って、続いては今回の展覧会でも特に気に入った作家のコーナーです。

鬼頭健吾 「Inconsistent Surface」
広い部屋一面に広がったスカーフの海とも言える作品です。様々な模様の正方形のスカーフを縫い合わせ、その下に送風機で風を送り、バルーンのようにスカーフを浮かせています。波打っている様子はまさに海のようで、部屋の壁が銀色で鏡のように反射しているのも実際の広さ以上に広がりを感じさせました。これは部屋に入った瞬間に驚くと思います。

<ビョルン・メルフス> ★紹介ページ
続いては、ちょっとホラーな印象を受ける映像のインスタレーション作品のコーナーです。

ビョルン・メルフス 「夜番 ナイトウォッチ」
暗い部屋の中、部屋の奥に映像があり、頭はフクロウ、体は人間のような手足で羽毛の生えた奇妙な白い鳥人間が映し出されています。部屋の右にも映像があり、こちらには巨大な満月の映像があって、夜の森を思わせます。 部屋の中には立方体で点滅する照明が置かれ、周囲は鳴き声や悲鳴、邪悪な笑い声などが響き、それと共に点滅しているようでした。 悲鳴などはホラー映画からサンプリングしたそうで、その音声だけでもちょっと怖いかもw 何か不安を呼び覚ますような作風でした。


<岩熊力也> ★紹介ページ
続いては絵画作品の作家のコーナーでした。大きな壁画のような作品が並び、淡く色が交じり合うような抽象的な作風となっています。水面で海草が揺らめいているような幻想的な雰囲気に思ったのですが、タイトルも抽象的で、「reverb 祈る手、殺める手、兎、野犬、鳥」といったように意味深な名前がついているものもありました。 
解説によると木枠に張られた透過性の高い薄いポリエステル布を支持体としているそうで、隣の部屋では実際に展示されている作品のメイキングのドキュメントビデオ(5分程度)も流れていました。最初は結構はっきり描いてあるのに徐々にぼやけていく素材のようで、何度も塗り重ねて作品を作り上げていました。
2部屋目は最初の部屋と違って色が濃い目で、島や山を彷彿する作品が多かったように思います。


<バードヘッド> ★紹介ページ
最後は中国のアーティストグループのコーナーでした。最初の部屋には木の枠に1文字ずつ漢字(詩?)が書かれた作品がありました。意味はよく分かりませんが、古い伝統的な中国の文化を感じます。
そして、その次の部屋には壁一面にたくさんの写真がびっしり貼られていて、上海の現在の様子を雑多に伝えているようでした。結構、現代的な風景が多いように思いました。

出口には壁一杯に大きく書道のように中国の漢字でメッセージが書いてあって、大学時代の第二語学が中国語だった私の勘では、また来てね(もしくは来てくれてありがとう)的なことが書いてるようでした。多分w


ということで、今年も個性溢れる面々で非常に楽しめる内容となっていました。現代アートが苦手な私でも楽しめるので、好きな人にはたまらない展示じゃないかな。是非、来年もやって欲しい展示です。

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