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百花繚乱 -桜・牡丹・菊・椿- 【山種美術館】

前回まで写美についての記事が続いていましたが、実はその前に山種美術館に行って「百花繚乱 -桜・牡丹・菊・椿-」を観てきました。(記事を書く時間がなくて後回しにしていました^^;)

P1190308.jpg

【展覧名】
 百花繚乱 -桜・牡丹・菊・椿-

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
 http://www.yamatane-museum.jp/doc/exh/110427jp.pdf (pdf)

【会場】山種美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅


【会期】2011年4月27日(水)~6月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構、お客さんが多いように思いましたが、自分のペースで観て周ることができました。
さて、今回の展示は日本画の中でも特に重要な位置をしめる花をテーマにした内容となっています。作品すべてがこの山種美術館の所蔵品で、江戸時代から昭和にかけて描かれた名だたる巨匠達の作品が惜しげなく並んでいました。詳しくはいつもの通り、気に入った作品を通してご紹介しようと思います。なお、展示されていた順にメモを取っていたのですが、若干リストと順序や章があっていないかもしれません。メモの順序にご紹介しようと思いますので、間違っていたらすみません^^;


<1:春の花>
まずは花の中でも特に華やかな印象を受ける春の花のコーナーです。初っ端から酒井抱一や速水御舟の作品が並び、テンションが上がります。

酒井抱一 「月梅図」
素早く描かれた感じの枝と、紅白の花をつける梅を描いた作品で、背景には大きな月が霞むように浮かんでいます。枝葉伸びやかで、白い梅の花からは清廉な感じを受けます。 にじみを使って描いているのは琳派お得意の技法かな。素晴らしい作品です。

速水御舟 「紅梅・白梅」
2幅対の掛け軸です。左幅に白梅、右幅に紅梅が描かれ、左幅には弓形に欠けた月も浮かんでいます。全体的にこまやかですっきりした画面となっていて、左幅は上方、右幅は下方に枝が配置され、対になっているように向き合っていました。解説によると、この白梅は若木、紅梅の方は老木らしいので、それも対になっているのかもしれません。
先日観た速水御舟の梅も良かったですが、こちらも好みの作品でした。
 参考記事:香り かぐわしき名宝 (東京藝術大学大学美術館)

この辺には以前ご紹介した奥村土牛の醍醐もありました。これも見所の1つです。
 参考記事:生誕120年 奥村土牛 (山種美術館)

加山又造 「夜桜」
暗闇の中で咲き誇る桜を描いた作品です。下の方は網のようなもの?で枝を支えています。花は1つ1つ描かれ、華やかさもありますが、桜の隣にはぼんやりと満月が浮かび、それが静けさや神秘的な雰囲気を強く感じさせました。加山又造も何を観ても素晴らしいんだよなあw

<2:取り合わせの妙>
続いては複数の種類の花を1つの画面に入れる取り合わせがテーマとなったコーナーです。ここは4点しかありませんでした。

作者不詳 「竹垣紅白梅椿図」
6曲1双の金屏風で、竹垣に椿と梅が絡むように描かれています。右隻は白梅と赤い椿、空には鳥が舞っていて、左隻は右下から左上に上がっていくように竹垣が描かれています。こちらにも白梅があるけど椿の赤が目立つかな。 金、緑、赤、白という非常に目に鮮やかな色の取り合わせで、華やかな作品でした。


<3:西洋原産の花>
続いては西洋の花をモチーフにしたコーナーで、ここも3点のみのミニコーナーです。

中川一政 「薔薇」
これは油彩画で、やや抽象絵画のように単純化されたバラを描いた作品です。激しい筆遣いを感じ、色合いも強めでフォービスムの流れに近いように思いました。力強いです。

奥村土牛 「ガーベラ」
花瓶に入った5輪のガーベラの花を描いた作品です。赤、白、黄色、オレンジの花があり、生き生きとした印象を受けます。茎や花瓶は薄い色、背景は乳白色なので、全体的に明るい雰囲気がありました。可憐で可愛らしい花でした。


<4:初夏から夏の花>
続いては杜若やアジサイ、朝顔、芙蓉よいった今の時期にぴったりの花が並ぶコーナーでした。

山口蓬春 「梅雨晴」
薄い青地を背景に、青や紫のアジサイの花、緑の葉っぱが描かれた作品です。いずれも柔らかい色合いで、観ていて癒されるような懐かしいような、そんな印象を受けました。解説によると、この画家は洋画からスタートした日本画家で、写生と近代的観念を取り込んでいるそうです。

この辺には御舟の写生帖などもありました。写実的で淡い色がつけられていて、描写力の確かさを見ることができました。

小林古径 「菖蒲」
古伊万里の赤い模様の壺に入った色とりどりの菖蒲を描いた作品です。いずれも大きな花と長い茎となっていて、花瓶が倒れないか心配になるほどですw 解説によると、これがかえって動きをもたらし、まだ根を張っているような生命感が溢れているとのことでした。これもかなり好みの作品です。

川端龍子 「八ツ橋」
6曲1双の金屏風で、青や白の杜若が咲き誇る様子と、それを縫うように置かれた8つの板から成る八ツ橋が描かれています。これは伊勢物語の東下りを題材にしたもので、観た瞬間に尾形光琳の作品を思い起こしました。それもそのはず、川端龍子は光琳を慕っていたそうで、多分意識して描いたのだと思います。光琳のに比べると杜若の密度が高くて色が濃いので、迫るような感じかな。橋は木というより陶器のような質感でした。ちょっと色々やりすぎな気がしなくもないですw 
地震の影響で根津美術館で予定されていた尾形光琳の八ツ橋図屏風は見られませんでしたが、似ている燕子花図屏風を先日観たばかりだったので、一層堪能することができました。
 参考記事:国宝 燕子花図屏風 2011 (根津美術館)

鈴木其一 「四季花鳥図」
2曲1双の金屏風です。右隻には、菜の花、たんぽぽ、ひまわり、朝顔、菖蒲などの花と一緒に立派な鶏とヒヨコたちが描かれています。ひまわりはゴッホ並に生命力があって緑豊かな葉っぱも目立ちました。対して左隻は、菊、ススキ、水仙、桔梗などの秋草が描かれ、オシドリの姿もありました。 左右で向き合うようになっていて、非常に見栄えがよく、琳派ならではの華やかさがありました。


<5:秋の草花、冬の彩り>
続いては秋冬の花のコーナーです。寂しさを帯びたものや、寒さを跳ね返す生命力のある花が描かれていました。

酒井抱一 「秋草図」
縦長の掛け軸です。桔梗やススキなどの秋草が並び、上のほうにはススキに隠れた月も描かれています。葉っぱにはたらしこみの技法が使われ、軽やかで雅な雰囲気の曲線を描いていました。気品があり、さすが抱一!と嬉しくなる作品でした。

田能村直入 「百花」
これは巻物で、右側からびっしりと植物が描き込まれていて、春30種、夏36種、秋22種、冬12種で合計100種類の花があるようです。画風としてはちょっと中国っぽいなと思ったら、中国の清時代の写実的な没骨(もっこつ。輪郭線を用いず、濃淡で表現する技法)を用いて描かれていると解説されていました。中国風の百花辞典といった感じかな。


<6:四季繚乱>
続いては四季を一巡りと捉えて描かれた作品のコーナーです。ここは4点のみとなっていました。

荒木十畝 「四季花鳥」
4幅対の大きな掛け軸です。淡く明るい色彩で、四季折々の花鳥が描かれています。大まかに言うと、春は白・ピンク、夏は青、秋はオレンジ、冬は白というように全体的な色合いからも季節が感じられます。どことなく琳派を意識した意匠を感じ、冬の木にはたらしこみの技法も見られました。 見事な作品です。


<7:花の王様、牡丹>
続いてはショップの脇を通って第二会場です。最後は初夏にちなんで牡丹をテーマにしたコーナーでした。

福田平八郎 「牡丹」 ★こちらで観られます
2曲1隻の屏風で、ピンクや赤の牡丹が沢山咲き誇る様子が描かれています。裏彩色(絹の裏側から彩色する手法)を駆使して描かれた花は、柔らかい色合いで、少しぼんやりするくらいです。布のような透明感を感じるかな。そのため、全体的に幻想的で象徴主義のような雰囲気があるように思いました。

速水御舟 「牡丹花(墨牡丹)」
墨のにじみの濃淡で描かれた黒い牡丹の絵で、葉っぱは淡く、おしべは金色となっていています。かなり精密な描写で、静かな雰囲気のある作品でした。


と言うことで、見応えのある展覧会でした。花をテーマにしているだけあって、華やかな雰囲気がありました。 日本画にとっては欠かせない題材だけあって、良い作品が多いです。 もうすぐ終わってしまいますが、お勧めの展覧会です。

おまけ
カフェでは様々な花をあしらった和菓子が食べられるようでした。
P1190314.jpg
 参考記事:Cafe 椿 (山種美術館のお店)
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